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【ONE】パシオがブルックスを2R TKOでストロー級統一王者に、ハガティーがウェイ・ルイを破り初防衛、アヤカロック封印した三浦彩佳がフォガットにヒザ十字を極めて4連勝!「タイトルマッチを」。隻腕ピーコックが鈴木真治から4度ダウン奪いTKO勝ち、ビビアーノがベリンゴンと5度目の対戦制して引退、ケイドがMMA3連勝!

2025/02/20 23:02
ONE 171: Qatar: Pacio vs. Brooks2025年2月21日(金)カタール・ルサイル・スポーツ・アリーナ※U-NEXTにてLIVE配信 ▼ONEストロー級 MMA世界王座統一戦 5分3R〇ジョシュア・パシオ(フィリピン/正規王者)[2R 4分22秒 TKO]×ジャレッド・ブルックス(米国/暫定王者)  パシオはチーム・ラカイ所属でウーシュー(散打)ベースの王者。2018年9月にかつて一度敗れた内藤のび太を破り、ONE世界ストロー級王者となった。初防衛戦で猿田洋祐に敗れたものの、2019年4月の再戦でベルトを取り戻している。  その後、2019年11月にレネ・カタランに2R 肩固めで一本勝ちで初防衛。2020年1月には、アレックス・シウバとの5Rの死闘を制し、2度目の王座防衛。2021年9月に猿田と3度目の対決で1R KO勝利。3度目の王座防衛に成功したが、4度目の防衛戦でブルックスに判定負け。  ブルックスは、レスリングをベースにMMAに転向し、日本のPANCRASEで活躍後、UFCで一階級上のフライ級に参戦し2勝2敗。現UFC世界フライ級王者のデイヴソン・フィゲイレードとスプリット判定の接戦で敗れている。2019年12月の『BELLATOR JAPAN』では、当時のDEEPストロー級王者・越智晴雄に判定勝ち。  2021年11月にONEに初参戦すると、リト・アディワンを肩固めで極め、箕輪ひろばに判定勝ち、ボカン・マスンヤネをRNCで失神させ、強豪に3連勝。王者パシオへの挑戦権を手にすると前述の通り2022年12月に王座を奪取した。  そして迎えた2024年3月、今大会と同じカタールのルサイル・スポーツアリーナにて再戦した両者。スタンドバックを奪ったブルックスがパシオを持ち上げて頭から落としてパウンド。  パシオは動けず。ケージに登ってガッツポーズのブルックスだったが、頭から落としたスラムが反則の「スパイキング」にあたり、ブルックスは失格となった(1R 0分56秒)。  その後、2024年8月にブルックスはグスタボ・バラートに1Rリアネイキドチョークで勝利し、暫定王者となった。今回、因縁の場所で両者は王座統一戦という決着戦を迎えることとなる。  1R、パシオの左の蹴りに合わせて組んでテイクダウンはブルックス。左で差して頭をつけてパスを狙うブルックス。下から上体を起こすパシオにノーアームギロチンのブルックス。首をずらしハーフに潜るパシオに、ブルックスはダースチョーク! 仰向けになってずらしてから起き上がるパシオに再びノーアームギロチンのブルックス! しかしパシオも中腰になり首を抜いてゴング。  2R、右前蹴りのパシオ。パシオが右ミドルで踏み込むと、今度はパシオがその蹴り足を掴んでテイクダウン。フルガードのブルックスに、パシオは右ボディ打ち、そして左ヒジ。下のブルックスは片腕をオーバーフックするが、パシオは空いた腕でボディ打ち。 鉄槌連打! 両手で頭を抱えて防御一辺倒になるブルックスは、それでも徐々に金網に向かい立とうとするが、パシオは左を連打! 片手で頭を守ることしかできず、打たれ続けて動けなくなったブルックスを見て、レフェリーが間に入った。  2R 4分22秒、パシオがTKO勝ちでONEストロー級統一王者になった。両者の対戦はパシオの2勝1敗に。パシオはセコンドのフォラヤンらと勝利のハグをかわした。 [nextpage] ▼ONEバンタム級 キックボクシング世界タイトルマッチ 3分5R〇ジョナサン・ハガティー(英国/王者)[判定3-0]×ウェイ・ルイ(中国/挑戦者)※ハガティーが初防衛に成功。  ハガティーは7歳からムエタイを学び、12歳からアマチュアで試合を開始。2016年4月にISKAムエタイ世界スーパーフェザー級王座を奪取し、2018年5月にはWBCムエタイ世界スーパーフェザー級インターナショナル王座も奪取。  2019年1月からONEに参戦すると、5月の2戦目ではサムエーを破りONEフライ級ムエタイ世界王者に。同王座はロッタンに奪われるも2023年4月にはノンオーをKOしてONEバンタム級ムエタイ世界王座に就き、11月にファブリシオ・アンドラージにKO勝ちでキックボクシング同級王座も獲得して統一王者となった。しかし2024年9月、スーパーレックに49秒KOで敗れてムエタイ王座は手放している。戦績は23勝(16KO)5敗。  散打出身のルイは、2017年2月の「K-1 WORLD GP 初代ライト級王座決定トーナメント」でK-1初参戦。1回戦で佐々木大蔵を2R KOに下すと、準決勝でクリスチャン・スペトゥクに判定勝ち。決勝で平本蓮の左ローに苦しみながらも手数を返してスプリット判定勝ち。中国人初のK-1チャンピオンに輝いている。  その後もタイトルマッチでゴンナパー・ウィラサクレックに判定勝ちするなど、怒涛の33連勝を飾るが、2018年3月の卜部功也戦で700gの体重超過。変則王座戦の末に、卜部の左ストレートを浴びて2R KO負け。キャリア初のKO負け、約3年7カ月ぶりの黒星を喫していた。K-1を離れてからは、Glory of Heroes、武林風にカムバックし、2024年5月からはONEに参戦。秋元皓貴に判定勝ちして21連勝をマークしている。戦績は70勝(26KO)3敗。  1R、先に前へ出たのはハガティーで左へ回り込みながら右ミドル、左ローを蹴る。サウスポーのルイは右カーフを蹴っていき、ハガティーが右インローを蹴ってくるとすぐに蹴り返す。  ハガティーのワンツーにルイはワンツーフックのお返し。ルイはフックで横のガードを固めさせてアッパーを下から突き上げる。ルイは左インローも上手く当てていく。ハガティーも左ミドルからの右ストレートを打ち下ろす。  2R、ルイのローに打ち下ろしの右ストレートを合わせに行き、左ハイを軽くヒットさせるハガティー。ギアを上げたハガティーは手数を増やし、ステップを踏んで出入りもしていく。飛び込んでのヒザを突き刺し、右を強く打つハガティー。右ヒザと右ストレート、前蹴りに下がらされるルイ。ハガティーの圧と手数、ヒット数が上回った。  3R、ハガティーはステップで出入りしてのワンツーと右ヒザ。ルイは前蹴りに右フックを合わされてのけ反る。ルイは左ミドルを蹴っての左ストレートで反撃するが、ハガティーは左フックからの右アッパーをヒットさせると、続く右ストレートも強打。打ち合いになるとハガティーがブロックして右ヒザを突き刺す。  4R、左へ回り込みながら左ローを蹴るハガティーに、ルイは左ミドルと左ロー。右ミドルからの右ストレートはハガティー、ルイもパンチを返すがハガティーがブロックしてパンチとヒザを返す。ムエタイの崩しを見せるハガティーだがこれは反則。ジャブからヒザ、顔面前蹴り、ルイの左フックに合わせた右ストレートとハガティーがヒットを奪っていき、圧もかける。ルイは左目上から流血。  5R、前に出るルイをワンツーで迎え撃つハガティー。前蹴りも使って突き放す。ルイは左右ボディで勝負をかけるが、ハガティーは下がりながらジャブ、前蹴り、ワンツー。ルイが後ろ蹴りを放つとハガティーもすぐに後ろ蹴りを返した。  判定3-0でハガティーが初防衛に成功。ベルトをチャトリCEOから受け取ったハガティーはケージ中央で大の字となった。  勝利者インタビューでは「前回はスーパーレックに敗れたけれど今回勝てて嬉しい。ルイをみんな見くびっているけれど、本当に強い選手だった」とルイを称えた。 [nextpage] ▼ONEウェルター級 MMA 5分3R〇ロベルト・ソルディッチ(クロアチア)[1R 1分55秒 TKO] ※パウンド×ダギ・アサラナリエフ(トルコ)  アサラナリエフは欧州のブラジリアン柔術の大会で何度も表彰台に上がり、アゼルバイジャンオープンBJJではチャンピオンになった。 バランスの取れたスキルが持ち味で、散打でもロシアとアルメニアの元国内王者であるほか、アゼルバイジャンとダゲスタンの両方で3度も王者に輝いた。 ほぼすべての勝利を、第1ラウンドでのフィニッシュで決めてきた。最も印象的だったのは、2018年9月の「ONE:CONQUEST OF HEROES」で、ロシアのトップ選手ティモフィ・ナシューヒンをノックアウトしたこと。この勝利によりアサラナリエフは、激戦のライト級でトップにいることを証明した。ONEで8勝中2つの一本勝ち。MMA9勝2敗。  ソルディッチはKSWでミドル級とウェルター級の2階級を制覇して2022年にONEと契約。12月の初陣は偶発的なローブローによるノーコンテスト、2023年5月の2戦目ではゼバズチャン・カーデスタムにTKO負けを喫した。MMA20勝4敗。  1R、サウスポー構えのソルディッチの左の蹴りを突かんで右でソルディッチのバランスを崩させるアサラナリエフ。  圧力をかけるアサラナリエフの右ミドルに、ソルディッチはカウンターの左! カウンターでアゴを打ち抜かれたアサラナリエフは、飛び上がったまま後方に倒れて、パウンド。レフェリーが間に入った。  試合後、ケージ外のチャトリ会長に猛アピールしたソルディッチは、無事、5万ドルを獲得した。 [nextpage] ▼キャッチウェイト (210 LBS) MMA 5分3R〇シャミル・エルドアン(トルコ)[1R 0分28秒 TKO]×アウンラ・ンサン(ミャンマー)  元ONE2階級王者のンサンは、2022年2月にビタリー・ビグダシュに判定負けも、その後は3連勝。岡見勇信、ジルベルト・ガルバォンを連続初回TKOに下すと、2023年5月は中国のファン・ロンを2R ニンジャチョークで極めた。  エルドアンは、9戦無敗。2023年6月の前戦でONEデビューし、連戦のファン・ロンを2R、左三日月蹴りでKOに下している。  両者は2024年9月の『ONE 168: Denver』で対戦し、この時はエルドアンが2RにパウンドでTKO勝ち。両者ともそれ以来の試合となり、ダイレクトリマッチとなった。  計量失敗のンサン。試合はキャッチウエイトに。  1R、先に前に出て左右を突くンサン。頭を下げてレベルチェンジを見せながら左を突くが、その前進をさばくエルドアンは、ンサンが右に頭を傾けての打撃に左ハイいや、エルドアンにとっては左ミドルハイを頭部に当てて、ンサンをマットに沈めた。エルドアンは5万ドルボーナスを獲得。ンサンはオープンフィンガーグローブをマットに置いた。 [nextpage] ▼ONEフェザー級MMA 5分3R〇シャミル・ガサノフ(ロシア)[判定3-0]×マーティン・ニューイェン(豪州)  1R、開始早々ガサノフがダブルレッグへ、そこに右アッパーを突くニューイェンだが、押し込むガサノフ。金網背に凌ぐニューイェンにガサノフはシングルレッグからいったん手を放し、右ストレート! 効かされたニューイェンだがシングルレッグを切ってゴング。  2R、右前蹴りのガサノフ。さらに右前蹴りからそのまま歩いて左。ニューイェンに金網を背にさせる。。突き放すニューイェンにガサノフはシングルレッグで押し込むもブレーク。立ち合いからニューイェンの左にすぐに組み付くガサノフ。しかし切るニューイェンにバックスピンキックのガサノフ。左ボディキックも。  3R、右を当てるニューイェンに、構わずシングルレッグで反対側の壁までドライブするガサノフ。ブレーク後もすぐに組んで押し込み。切るガサノフ。両者に膠着イエロー。互いにローから、ガサノフの蹴りに右を合わせるニューイェン。ガサノフも右を返すと、ニューイェンは右ボディストレート。  判定は3-0でニューイェンをドミネートしたガサノフが勝利。「タフでとても大変だった。トノンと再戦したい。どこでも試合をする」と語った。また、敗れたニューイェンはオープンフィンガーグローブグローブをマットに置いて引退を宣言した。 [nextpage] ▼ONEフェザー級 MMA 5分3R〇ビビアーノ・フェルナンデス(カナダ/ブラジル)[判定2-1]×ケビン・ベリンゴン(フィリピン)  1980年3月、ブラジル・アマゾン マナウス生まれのビビアーノは、オズワルド・アウヴェス門下生として、ムンジアル2003年、05年、06年の黒帯64kg級世界王者に。2004年のブラジル『Jungle Fight 3』でMMAデビューし、リアネイキドチョークで一本勝ち。2戦目がいきなり、KOTC世界バンタム級王座戦で、ユライア・フェイバーにTKO負け。  3戦目がHERO'S 2007 ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦で、山本“KID”徳郁にスタースイープを決め、腕十字を仕掛けるなど肉薄も判定負け。2009年からDREAMに参戦し、フェザー級GPで大塚隆史、今成正和、ジョー・ウォーレン、高谷裕之を破り優勝。初代DREAMフェザー級王座についた。2011年12月にはDREAMバンタム級王座も獲得し、2階級制覇。  ONEには、2012年8月から参戦。2013年5月に岡嵜康悦に判定勝ちでバンタム級暫定王座を獲得すると、2013年10月にキム・スーチョルに判定勝ちで王座統一に成功。2016年1月にケビン・ベリンゴンと初対戦し、1R キムラロックを極めて4度目の王座防衛に成功。以降、7度の王座防衛に成功すると、2018年11月のベリンゴンとの2戦目でスプリット判定で敗れ、王座陥落。2019年3月の3度目の対戦では3Rにベリンゴンが反則の後頭部へのヒジ打ちで失格。王座を戻した。  2019年10月にベリンゴンと4度目の対戦。2Rにビビアーノがリアネイキドチョークを極め、防衛に成功。しかし、2022年3月のジョン・リネカー戦で左フックを被弾し、KO負けで王座陥落。2022年11月の前戦ではマーク・ステファン・ロマンに判定負けで2連敗を喫していた。44歳。  対する37歳のベリンゴンは、ビビアーノとの4度目対戦後、2020年にリネカー、2021年にクォン・ウォンイル、2022年にキム・ジェウンにいずれもTKO負けで、現在5連敗中。今回は2年3カ月ぶり復帰戦となる。  MMA24勝6敗のビビアーノは、対ベリンゴンで通算3勝1敗。ベリンゴンとの5度目の対戦が、最後の試合になる。ONE Championship史上最多のタイトル戦勝利数と、ONEバンタム級MMAにおける最多防衛記録を保持しているビビアーノは、元王者として有終の美を飾ることができるか。  1R、ともにオーソドックス構え。先に左ローから入るビビアーノ。ベリンゴンも左右ローからバックスピンキック。右ロー。その打ち終わりにシングルレッグテイクダウンからすぐにパスガードからマウントへ。しかしその瞬間に跳ね返したベリンゴン。ビビアーノの下からの腕十字をかわすと、ビビアーノが立ち上がり。離れるベリンゴン。  右オーバーハンド、左の蹴り、そこにシングルレッグのビビアーノだが切るベリンゴン。ビビアーノは右振り、金網に詰めてシングルレッグテイクダウン。ハーフガードのベリンゴンに背中をつかせて押さえ込んでパス、ニーインも、そこでヒールフック狙いのベリンゴン、上のビビアーノをまたも返して取り返したところでゴング。  2R、右前蹴りを打点高く打つベリンゴンに両手を広げて効いてないと詰めてシングルレッグテイクダウン。そのままサイドを奪い、左で脇差しヒジ、アームロック狙いにベリンゴンはブリッジで返してスタンドに。右ストレート、ヒ蹴り、左ミドル、右ローで前に。  ビビアーノはカウンターで蹴り足を掴みに行くが、とらせないベリンゴン。続くシングルレッグも切って左に回ると、追うビビアーノがダブルレッグに入ったところでベリンゴンは足を広げて防御してゴング。  3R、右オーバーハンドのベリンゴン。ビビアーノの首相撲に、先に内側からアッパーを突く。ジャブの刺し合いから前に出るビビアーノ。シングルレッグも切るベリンゴン。圧力をかけ続けるビビアーノは「来い」と両手で招き、ダブルレッグへ。引き出せないと見るや、ケージに押し込み、ベリンゴンの股の間に頭を入れて押し込み、後方に投げてトップへ。ハーフのベリンゴンに背中を着かせたまま、ゴングを聞いた。  判定は2-1でビビアーノが勝利。オープンフィンガーグローブをマットに置いたビビアーノは、「どんな方法でも勝ちに行った。みんなありがとう。チャトリ会長も、ヘンゾ・グレイシーもありがとう。14年間やってきたんだ」と語った。 [nextpage] ▼ONEヘビー級 MMA 5分3R〇キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)[1R 3分28秒 TKO] ※右ローキック×マウロ・チリリ(イタリア)  1R、ともにオーソドックス構え。右ローから入るチリリにグリシェンコも右カーフを返すと右ハイ、さらに右前蹴りを腹に突く。左ジャブ、右前蹴りのグリシェンコに、詰めて左右フックを効かせるチリリが前に。しかし、そこにグリシェンコは右手でアイポーク、中断。  再開、左ジャブのダブルを突くグリシェンコは右オーバーハンド。。チリリは右カーフも、グリシェンコの右ローに、チリリは左足をひきずって片手を挙げてストップの意思表示。  1R 3分28秒、グリシェンコがTKO勝ち。ONE4勝2敗とした。 [nextpage] ▼ONEバンタム級 ムエタイ 3分3R〇ジェイク・ピーコック(カナダ/英国)[3R 1分29秒 TKO]※レフェリーストップ×鈴木真治(フジマキックムエタイジム)  両者は2024年11月に米国アトランタで開催された『ONE 169』での対戦が決定していたが、延期となっていた。  鈴木は2005年に藤原ジムからプロデビューし、40戦以上のキャリアを持つベテラン選手。様々な団体に出場してトップ選手と拳を交え、2018年11月に開催されたシュートボクシング世界トーナメントS-cupでは決勝進出を果たしている(決勝は棄権)。ヒジ打ちやローキックを駆使する粘り強いファイトが持ち味。2022年から2023年4月にかけて行われた「ROAD TO ONE ムエタイ」ウェルター級トーナメントで優勝。2023年9月の『ONE Friday Fights 32』でスーブラックに2R、左アッパーでKO負けを喫したが、2024年3月の『ONE 169』でハン・ズーハオに左フックでダウンを奪い判定勝ちした。  ピーコックは隻腕のキックボクサー。極真空手を学び、北米選手権で優勝すると世界大会にも出場した。キックボクシング転向後は北米スーパーウェルター級王座、1Xヨーロッパ同級王座、そして2022年7月にはWBCムエタイ カナダ ウェルター級王座も獲得。2023年に1年間にわたって繰り広げられた「Road to ONE」トーナメントで優勝し、2024年4月の『ONE Friday Fights 58』に初出場すると新城絋平を相手に全くハンディを感じさせない見事な戦いぶりで判定勝ち。ONEデビュー戦を白星で飾った。2016年6月には『Hard Knocks Fighting Championshiip』でMMAにも挑戦しているがTKO負け。  1R、右ローの蹴り合いで鈴木が転倒。ピーコックは右カーフをどんどん蹴っていき、鈴木はまたも転倒する。サウスポーになるピーコックが左ハイを蹴り、左ストレートを突き刺す。飛びヒザを放つピーコックに鈴木が右フック。スピードのある左ジャブ&左ストレート、蹴り技を放つピーコックは手数も多い。  2Rも前に出るピーコックはリング中央を取り、右カーフと右ミドル。鈴木も右カーフを蹴り返すが、ピーコックの手数が多い。右カーフに倒れる鈴木はダウンでもおかしくない状態に。ピーコックの左ストレートからのヒザがローブローとなり、試合は中断。 再開後もピーコックの手数に押される鈴木。ピーコックの右ハイ、左ボディ、ヒザに鈴木は下がる。そして右ヒジ2発からの左ヒザ蹴りで鈴木がダウン。続いて右カーフから隻腕での右ヒジを叩き込む。  3R、前に出てくる鈴木にジャブを合わせるピーコック。そして前に出ると右ヒザからの右ヒジでダウンを追加。さらに右カーフでこのラウンド2度目のダウン。前に出て詰めるピーコックが蹴りを上下に散らし、左右ヒジからの左ストレート。組み付いてきた鈴木を崩し倒したところでレフェリーが試合を止めた。  見事なTKO勝ちを奪ったピーコックは「とてもいい気分だね。妻やチームのみんなに感謝したい。自分の試合はみんなが見てくれるからどんどん試合を組んでほしい」とアピールした。 [nextpage] ▼ONEアトム級 MMA 5分3R〇三浦彩佳(TRIBE TOKYO MMA)[1R 2分24秒 ヒザ十字]×リトゥ・フォガット(インド)  柔道ベースの三浦は、2023年11月にONEストロー級でメン・ボーを1R スカーフ・ホールド・アメリカーナ=アヤカロックで極めると、2024年1月にONEアトム級で平田樹に判定勝ち。2024年11月の前戦でマカレナ・アラゴンにもアヤカロックを極めて3連勝中。今回もアトム級でフォガットと対戦する。  フォガットは、コモンウェルスゲームズのレスリング金メダリスト。U-23レスリング世界選手権でインド女性初の銀メダルに輝いている。父マハヴィル・シン・フォガットは映画『ダンガル きっと、つよくなる』で描かれた伝説のコーチでリトゥはこのレスリング一家の三女にあたる。 ONEではリン・ホーチン、メン・ボー、ジェネリン・オルシムを相手にいずれも判定勝ちで3連勝後、スタンプ・フェアテックスに腕十字で一本負け、2022年9月の前戦でティファニー・テオに1R リアネイキドチョークを極められている。 フォガットは強いレスリングをテイクダウン、スクランブルとコントロールで発揮したときの強さを誇るが、三浦はその先の極めを、不利な体勢からも狙うことが可能だ。3連勝で研究もされるなか、さらなるアプローチでアヤカロックをみたび極めるか。  1R、ともにオーソドックス構え。先に圧力をかけた三浦はシングルレッグへ。2度切るフォガットの左手を掴んでケージに押し込み、首後ろも掴もうとする三浦だが、手を抜いたフォガットは離れて右!  ダブルレッグの三浦を切るフォガットはヒザ蹴りを狙わず離れる。続く三浦はシングルレッグから足を手繰り寄せてバックを狙いうフォガットからトップを奪い、深くからんだ右足にヒザ十字! タップを奪った。  公言通り、アヤカロックを使わずタップを奪った三浦はケージの上でガッツポーズで少し涙。しかし、勝者コールに笑顔を見せた。  試合後、三浦は「いつもアヤカロック以外にあるんですよと言っていて、今回出ました。いろんな技を用意しています、まだまだたくさんあります。勝って言いたいことがあると言っていました。私はいま4連勝しています。ストロー級でもアトムでもどちらでも良いと言っていたのですが、もうアトム級でタイトルマッチがしたいです。私は極める力を持っています。面白い試合になると思います。ぜひタイトルマッチができるよう応援お願いします」とアトム級での王座戦をアピール。  5万ドルボーナスを告げられると「何でもやると言っていて……もう泣いちゃいます。いつも、自分のワガママを突き通して。それでも皆が応援してくれて。恩返しします」と語った。 [nextpage] ▼キャッチウェイト (175 LBS) MMA 5分3R〇ケイド・ルオトロ(米国)3勝0敗[1R 3分04秒 肩固め]×ニコラス・ヴィーニャ(アルゼンチン)7勝1敗  1R、ルオトロは左ハイをヒット。それを掴んだヴィーニャにヒザ十字、外ヒール狙い。逃げるヴィーニャにボディロックテイクダウンは、ルオトロ。  すぐにバックから4の字、ボディトライアングルに組み、背後からパウンド、マウントに移行し、強いパウンド。肩固めへ。ヴィーニャはレフェリーの足にタップした。  ヴィーニャに初黒星をつけて3連勝をマークしたケイド・ルオトロは、5万ドルボーナスを獲得。「1R目でもう少し早く仕留める予定だった。なるべき早く終わらせようと思った。隙があったから極めた。足首が鳴ったけど大丈夫かな。ボーナスありがとう。グラップリングも防衛したいけど、心はMMAの方にあるかな」と語った。
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