『1ラウンド目からスター状態』が目標

――今回はそんな中で、4年前にも1度対戦をして勝っているKOKOZ選手との対戦が決まりましたが、この試合が組まれた時の心境はいかがでしたか?
小林 YAYA選手とKOKOZ選手が戦って、勝った瞬間にKOKOZ選手とのオファーが来るって思っていました。再戦という形にはなっていますけど、成長具合だったりやってきている事も変わっているので、全く違う人と戦う感覚です。
――KOKOZ選手は現在もタイで練習していて、ムエタイスタイルの選手ですけど、そういう選手にはどういった対策をしていますか?
小林 NEXT LEVEL渋谷の男子選手はムエタイ上がりの方も多いので、男子選手に相手をしてもらったり、あとはやりたいことが大体同じスタイルなので、いかに自分がやりたいことを貫き通せるかっていうのが一つの山になるかなと思っています。
――会見の時も「選手としてやりたいことが似ている」という様な発言がありましたが、具体的にはどういった部分が似ているポイントになりますか?
小林 プレッシャーをかける時に強くて、逆にプレッシャーをかけられると相手の流れになりやすいという、長所と短所が似ているので、攻撃の仕方はお互い変わっているとは思うんですけど、そこの出し合いになってくるかなと思っています。
――その辺りどの様な練習をしていますか?
小林 相手の攻撃に対して対応はするけど、受け入れちゃうと一歩先に回られて後をつけられちゃうので、相手の流れになってしまわないような練習をしています。
――作戦が重要になってくる試合になりそうですね。
小林 はい。
――ここ最近の小林選手の試合はパンチが主体になっているような印象があります。以前はミドルキックを蹴って試合の展開を組み立てている様なイメージがあるのですが、それはRISEで戦ってきてRISE用のファイトスタイルに進化してきているのですか?
小林 自分がやりたいスタイルというのが、自然とRISEのスタイルになってきています。

――RISEのスタイルを突き詰めてきた結果が“今”の小林選手の戦い方なんですね。
小林 ポイントで勝つスタイルも魅せる部分が多くて面白いですけど、そうではなく圧をかけながら詰めていくっていう戦い方に自分の中では理想があって。ちゃんと効かせて倒すっていうことをやりたいです。
――神村エリカさんと一緒に練習をされていますけど、神村さんもすごく倒す選手だったので、そこに求めている理想があるんですか?
小林 神村エリカさんの“倒しにいく”っていう考え方と格闘技に対するマインドがすごく好きで、話を聞いていると自分のやりたい理想像とマッチするので、自分が足りない部分はどういう所だとか、どうしていったらそういうスタイルに一歩進めるのかを教えていただいています。
――前回の会見で「マリオのスター状態で戦う」という事を言っていましたが、その発言にはどの様なきっかけがあったんですか?
小林 ちょうど神村エリカさんにそういう風に言っていただいていて、だからこそスターの状態をいかに長く最初からできるかというのを、一緒にトレーニングしていく中で教えてもらっています。
――”スター状態”っていわゆるゾーンに入っている状態の事だと思うのですが、宮原さんは気持ちのスイッチの入り方とかゾーンに入った状態って空手などを通して経験された事はありますか?
宮原 私は小学生で空手をやっていた時に、道場と父の教えが“優勝以外は負け”っていう、「誰かに負けている時点で1回戦で当たるか2回戦で当たるかの違いだけだよ」って言われていたので、勝つことしか考えていなかったんですけど、自分が出せない技とかが綺麗に出せる“ゾーンに入っている時”がたまにあって、その状態の時って疲れなかったり、なぜか相手の動きが少しゆっくりに感じたりする時があったんですよね。それを今“スター状態”って言われたらすごく分かりやすかったし、「今スター状態になってるかもしれない」って感じられたら見ているファンも楽しみになるなと思いました。選手が戦っている時にどんな事を考えているかって、ファンからしたら分からないと思うので、今の話を聞きながらゾーンに入っている瞬間が楽しみだなと思いました。私に関して言うと、勝つことしか考えずに対策も取ったことがなかったので、自分が強くなればいいと思っていました。
――宮原さんは自分のスタイルを突き詰めて、自分らしい試合をしていくというところだけを考えていたわけですね。
宮原 ワンツーと前の回し蹴りの3つしかないスタイルでした(笑)。
――それも一つの考え方ですよね。
小林 どんな相手にも自分を貫くっていうのは、1番強い人の考え方ですよね。
宮原 考え方なのか、それしかできなかったのかは微妙なところですけどね。小林選手のお話を聞いていると、色んな事を考えて練習して、経験されているんだなと思いました。

――小林選手は競技をやっている上で、心身ともに充実しているなと感じる事はありますか?
小林 もちろんその日その日で自分の体調だったり感覚も違うんですけど。だからこそ今日できた事とできなかった事を次の日にどうするのかってしっかり向き合うと、一歩進化できているって感じられて楽しいんですよね。あとは神村エリカさんとのトレーニングの時に、最後はめちゃくちゃ追い込みをしていたんですけど、追い込み切った後の限界を超えた自分と出会えた時がすごく清々しくて。それに興奮してそういう風に感じている自分がドMだなって思いました(笑)。そういう所に喜びを感じられているというか、「今日も一歩越えたぜ」っていうのが自信になっています。
――どんどんプレッシャーを自分に課していってるんですね。
小林 前回は一息で行けなかったところを行けた時とかは、終わった後“よっしゃー!”って思いますね。
――今回復帰戦を迎えるにあたって、ご自身で決めているテーマはありますか?
小林 まさに『1ラウンド目からスター状態』っていうのが目標になっています。
――じゃあゴングが鳴った瞬間から行くって決めているんですね。
小林 行き方は色々考えているんですけど、スターのまま戦い抜くっていうのを第一に考えています。
――今回のKOKOZ戦をクリアしたら、「内容次第だけどタイトルマッチもあり得る」と伊藤代表も仰っていましたが、そこが1番の目標になりますか?
小林 客観的に見た試合を通しての目標としては、“勝つだけではなくてとにかく内容を重視してどう勝つか”っていうところがすごく見られる部分だと思うので、そこにこだわっていきたいからこそ、1ラウンド目からスター状態になれると自ずと結果も出てくるかなと思っています。

――今日話してみて、宮原さんから小林選手に聞いてみたい事はありますか?
宮原 トップ戦線を走り続けているじゃないですか。ずっと気を張り続けているのって難しい事だと思うんですけど、そのメンタル面はどうやって維持しているんですか?
小林 身近にいるサポートしてもらえる人とかに話を聞いてもらったり、あとは神村エリカさんのマインドとか、自分が「それそれ!」って思う感覚を持っている方とお話をするのがメンタルのリフレッシュになっていますね。あとは追い込み切った後の自分に会った時に整う感じがあったので、それが自分のやり方の一つとして軸になっています。
宮原 私は高校生の時にメンタルトレーニングの本を読んでいたんですよ。その本を読んでマインドコントロールするみたいに、「日本一になるためにはこれをしよう、あれをしよう」って決めたり日誌を書く部活だったので、それが今にも活きている部分があるんですけど、私は高校1年生の時にメンタルトレーニングで鍛えられたことがあるんですけど、それってやらないと知らないままじゃないですか。選手の皆さんは試合が決まらない時のモチベーションの保ち方とかをどうやって維持しているのかなと気になりました。
――小林選手はキャリアも重ねてきて、ジム内では引っ張っていく存在にもなってきていると思うのですが、その辺りについてはいかがですか?
小林 性格的に、引っ張るとかみんなをまとめるっていうのはできないタイプで、だからこそ結果を見せて自分がやっている事が強さに繋がるっていう事を見せたいと思っています。だからこそ女子で頻繁にトーナメントをさせてもらえるっていう状態が、今後の女子選手の活躍に繋がっていくと思うので、そういう土台作りを自分ができたら最高です。
――最後にファンの皆様にメッセージをお願いいたします。
小林 こんにちは。いつも応援ありがとうございます。2月23日にスター状態の愛三をみんなに見てもらえたらと思います。ぜひ会場に来て応援をお願いいたします。


