初の2連敗で逆に良い意味で吹っ切れた
――ONEに参戦しキャリア初の連敗をしたということで、かなり気持ちが落ちてしまった時があったと報道されています。そこから現在の様に気持ちを持ち直す上で、支えになった言葉や、周囲の言動などあったら教えてください。
「挙げたら沢山あるのですが、トレーナーの方々の気にかけてくださる優しさだったりとか。結構、今までのチームで孤独だったことがすごく多くて。過去のチームの温かさは全くゼロだった訳ではなかったのですが、ここまで高さを感じるチームに所属したのが初めてで。そのチームからの支えてくれる言葉にまずは救われました。試合後にチャトリさんと話させてもらい激励されたことも大きかったです。ただ、1番はやはり1番近くで見てくれている妻の存在です。妻からも色々言われましたけど、それが僕の中では1番大きかったです」
――奥様からは日頃からよくそういう言葉をかけて貰えるのですか?
「普段の練習の話は毎日のようにしていますが、アドバイスとかそういうのはたまにくらいで。そういった中でも、妻がやっぱり1番見てくれていますし。少しの変化でも1番に気づいてくれるのがやっぱり妻なので。そういったところでは感謝しかないかなって僕は思っていますね」
――先程のお話にもありましたが、team VASILEUSのメンバーはいかがですか? 野杁選手の背中を押してくれる存在ですか?
「そうですね。1月11日にジムのオープンパーティーをやらせていただいて。2025年のteam VASILEUSの初戦は僕なので、良い流れを作りたいです。この後にも、試合がある選手が沢山いるので、そういった選手たちにも良い流れと良い内容でバトンタッチしたいので、その想いでパワーもらっています」
――今の野杁選手の気持ちを察するに、連敗で悔しい歯痒い気持ちだったり、新しいチームを牽引したいという気持ちだったり、支えてくれる周囲への感謝の気持ちだったり、色々な感情が入り混じった心持ちではないかと感じていますが、これまでの格闘技人生で、この様な経験はありましたか?
「初めてですね。前戦はteam VASILEUSの昨年最後の試合が僕だったので、決めないとという気持ちが強くありすぎて。皆、勝ち続けているんですけど、僕だけ勝ててないっていうのをちょっと背負い過ぎたというか、考え過ぎた部分があって。ただ今は、その初の2連敗で逆に良い意味で吹っ切れました。結局はリングに上がるのは僕自身ですし、そこを支えてくれる色々な人はいますけれど、本当に楽しむことが1番だと思いました。
昔ずっと勝ち続けていた時のことを振り返ると、あの時は何も背負わず、本当に純粋に格闘技というものを楽しんで試合してたなと、この期間で改めて思いました。次の試合は、色々なことを多分考えなければいけないんですけど、一旦それは忘れて、試合当日は全力で楽しんでやろうかなって思っています」
――話を伺っていると、今回の試合後、一皮剥けたというか、本当の意味で“新しい野杁正明”の姿が見れそうですね。
「そうですね。そうなったら1番ベストですし。そうさせるために今回のオファーも受けましたし。こんな短い期間でオファーしてくれたONEチャンピオンシップには本当に感謝しかないです。だからこそ結果と内容で証明したいと思っています」
――今回のセコンドですが、武尊選手もセコンドに入られるんですか?
「今回は武尊くんは来ないです。3月のロッタン戦に向けてアメリカ合宿に行っているので。ギリギリまで来てくれようとはしてくれていたんですけど、僕が『自分の練習を優先してください』と言いました。なので、渡辺雅和トレーナーとチームメイトの与座優貴がサポートできてくれます」
――因みに、与座選手とスパーリングなど行っていますか?
「そうですね、やります。与座キックもそうですし、優貴は本当に技が多彩な選手で、殺傷能力がどの技もあるので。僕も意見を聞いたり、優貴からも自分の意見を尋ねてくることもあります。チームメイトですけど、尊敬できる後輩の1人ですね」
――武尊選手も海外合宿で物理的には別々ですが、気持ちの上ではセコンドについているような感じですね。
「そうですね。ジムの先輩ですし本当に第一線で活躍しているトップファイターの1人ではいるんですけど、自分にとってはプライベートでも、ずっと常に見守ってくれる感じの本当にお兄ちゃん的な存在です」
――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
「今回はONE3戦目ですが、本当に失うものは何もないので。チャレンジャーらしく最初からがむしゃらに勝ちを掴み取りに行くので、良い結果、良い内容で終われることを祈って見ていてください。応援よろしくお願いします」