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インタビュー

【UFC】初防衛戦に臨むバンタム級王者メラブ・ドバリシビリ「俺はグラップリング力を証明しに来たんじゃなくて、ファイトをしに来た」×挑戦者ウマル・ヌルマゴメドフ「彼はアルド戦ではテイクダウンを奪えなかった。相手によっては彼のレスリングは通用しない」

2025/01/17 11:01

ウマル・ ヌルマゴメドフ「グレイシー一族みたいに、みんなが俺たちの名前を覚えてくれるなら光栄だ」

──多くのUFCファイターが夢見る世界タイトルマッチですが、今回ついにタイトルをかけて戦うことになりました。タイトルマッチを戦うには少し早すぎるという声もありますが、今はどのような気持ちですか?

「すごくワクワクしてるよ。でも『早すぎる』って話はちょっと違うと思う。ある選手は1勝しただけでタイトルマッチに挑んだり、デビュー戦でタイトルを懸けた例だってあるしね。『ハビブの名前のおかげ』って言う人もいるけど、アルジャメイン・スターリングだって5連勝でタイトルマッチ挑戦権を獲得したんだ。なら俺が6連勝でタイトルマッチに挑むのもおかしくないと思う」

──メラブがあなたに対して怒っているように見えますが、彼は試合前に感情的になりすぎていると思いますか?

「彼はナーバスだと思うよ。たぶんUFCが俺との試合を強制したことに腹を立ててるんじゃないかな。もともと彼は王者になる前も、俺との対戦を避けたがってたし、王者になってからも他の相手を選びたかったんだと思う。楽な相手と戦って勝ち続けたほうがいいだろうしね。だけどダナ・ホワイトやUFCに『ノー』とは言えなかったんじゃないか?」

──スタイル面で考えたとき、メラブとの一戦がこの階級で最も困難なチャレンジになると思いますか? それとも、ほかにもっと厄介な相手がいると感じますか?

「別にメラブだけが特別ってわけじゃないよ。今はMMA自体のレベルが高いから、みんな打撃もレスリングもグラップリングもできる。どの試合も気が抜けないんだ。だから俺たちは日々、あらゆる局面を鍛えてる。そうじゃないとトップレベルでは通用しないからね」

──メラブは先月の記者会見であなたと直接やり取りがあった際、「なぜ自分を侮辱するのか」と問いただしたところ、あなたは「それがどうした?」と返答したと言っています。しかし会見の場では「侮辱なんかしていない」と仰ったと。そのやり取りについて詳しく教えてもらえますか?

「もちろん覚えてるよ。あのとき俺は会場の奥で彼を見かけて、ちょっと笑いかけて通りすぎたんだ。そしたら彼が追いかけてきて『なぜ俺を侮辱した?』って聞いてきた。だから俺としては『いや、何を言ってるんだ?』って感じだった。彼は自分が父親みたいな立場で、『お前はなぜこんなことをした?』って問いただしてるつもりなのかもしれないけど、俺は彼の息子じゃないからね。もし本当に俺が侮辱したと思うなら、どこで何を言ったか具体的に教えてくれればいい。『お前は臆病者だ』とか『クソ野郎だ』とか、そんなことを言った覚えはないし、音声や証拠があるなら見せてほしいね。実際、彼がSNSであれこれ言ってたから俺も『怖がるなよ』って返したくらいなんだ。彼はダナ・ホワイトやジョー・ローガンから『次はウマルが挑戦者だ』って言われても、ずっとはぐらかしてたんだろ? それでファンの目にも“逃げ腰”に映ってしまった、それだけだよ」

──今回の大会ではイスラム・マハチェフもメインイベントでアルマン・ツァルキャンと再戦します。あなたの試合と比べて、どちらのほうが難しい戦いになると思いますか?

「アルマンはメラブより総合的に上だと思う。アルマンはすごくスキルが高いんだ。でもイスラムは俺がずっと目標にしてきたファイターだし、彼にとってアルマンは苦戦するような相手ではないんじゃないかな。ただ、メラブよりはアルマンのほうが良いファイターというのは周知の事実だ」


(C)Zuffa LLC/UFC

──メラブは以前のインタビューで「ウマルとグラップリングを競うつもりはない。テイクダウンしないで立ち技で戦う」と言っていましたが、これは駆け引きだと思いますか? それとも本当に打撃戦を狙っていると感じますか?

「正直、何を言おうと気にしてないよ。実際は彼がレスリングを使ってくるのは100%確実だと思う。ショーン・オマリー戦のときだって、打撃じゃあまり上手くいかなかったからタックルで凌いでたわけだしね。オマリーのテイクダウン・ディフェンスもそこまで強くなかったと思うし。俺としては彼がどう出ようが構わない。ケージが閉まったら、俺が強いほうだってことを証明するだけだよ」

──メラブは「試合が終われば握手をしたいし、元のように仲良くなれたらいい」と言っています。彼は、本当にあなたのことを嫌っていると思いますか?

「正直、俺には分からないよ。彼は王者になった途端に、言うことが変わったんだ。記者会見でも、『あなたのことは気にしていない、ただベルトが欲しいだけ』って言っただけだ。彼はダゲスタンにも遊びに来たいとも言っていたけど、言動が伴っていない。もし友達として来るなら歓迎するし、敵として来るならそれなりに対応する。それだけだよ」

──あなたのこれまでのキャリア最大の相手として、コーリー・サンドヘイゲン(バンタム級4位)の名前が挙がることがあります。メラブとコーリーを比較してどう思いますか?

「メラブがなぜコーリー戦まで、イージーファイトって見下すのかわからない。現在のコーリーに勝てる人は、この階級にいないと思うよ。ショーン・オマリーと戦っても、コーリーが勝つと思う。メラブはレスリング力が強いけど、打撃を見ればコーリーが最強だ」

──あなた自身もレスリングやグラップリングに定評がありますが、今回メラブがテイクダウンを狙ってきても問題ないと思いますか?

「とにかく相手を“壊す”って気持ちで臨むよ。打撃でもテイクダウンでも、どっちでもいい。チョーク狙いでも何でもやるさ。これがMMAだからね。俺は倒しに行くし、相手の持ち味を封じ込めればいいだけだと思ってる」

──あなたはまだ若いがすでにトップクラスで戦っています。家族やチームには、ハビブ・ヌルマゴメドフ、イスラム・マハチェフ、そしてウスマン・ヌルマゴメドフなどがいますが、彼らと比較してあなたはどの位置にいると思いますか? また、プレッシャーはありますか?

「彼らはハイレベルだし、彼らと一緒に練習していると、いつも新たなことを学べる。俺はまだまだ学び続けている身だ。プレッシャーは、特に感じてないね。ずっとこのチームでやってきて、彼らがどれほど厳しい環境で練習してるかも知ってる。俺たち全員が昔から同じ場所で育って、お互いの実力を分かってるからさ」

──今週と来週はあなたやイスラム、さらにウスマンも大きな試合を控えていて、家族やチームにとって重要な2週間になりそうです。

「すごく大事な2週間だよね。もし俺とイスラム、そしてウスマンがそれぞれ勝てば、俺たちのレガシーはさらに大きくなると思う。歳を取ってから子どもたちに『昔は俺たち、すごかったんだぞ』って誇れるような感じかな。グレイシー一族みたいに、みんなが俺たちの名前を覚えてくれるなら光栄だよ」

──イスラムとの出会いについて知りたいです。ハビブと幼い頃から一緒に練習していたと想像しますが、初めて顔を合わせたときの思い出はありますか?

「いつが最初だったか正直はっきり覚えてないんだ。イスラムは昔から面白い人で、よくみんなをからかって笑わせていたよ」

──メラブはピョートル・ヤンとの試合で49回ものテイクダウンを試みたそうですが、これはスタミナやレスリング力の高さを示す数字だと思いますか? 今回も同じ戦略を取ってくると考えますか?

「彼のレスリング力やコンディションは全く気にしていないし、ビビっていない。準備はできてるし、テイクダウンを狙われても問題ない。そもそも彼はジョゼ・アルド戦ではテイクダウンを奪えていなかったし、相手によっては彼のレスリングは通用しないんじゃないか」

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