1月26日 (土)東京・後楽園ホールにて、2019年のKrush最初の大会となる「Krush.97」が、1,850人超満員札止めの観衆を集めて行われた。
トリプルメインイベントでは、3階級の王座戦が行われ、3人の新王者が誕生した。
トリを飾ったフェザー級タイトルマッチでは、王者・西京春馬に江川優生が挑戦。判定で江川が西京を降し、王座初挑戦にして戴冠。同門の武居由樹に次ぐKrush王者に輝いた。
スーパー・ライト級王座決定戦では、鈴木勇人が松下大紀を2Rに左ミドルでKOし第7代王者に、バンタム級王座決定戦では、武尊と同郷の晃貴が萩原秀斗を延長判定の末に降し、第4代王者となった。
また、今大会から開幕した初代クルーザー級王座決定トーナメントは、K-Jeeと杉本仁がともに2R KO勝利。準決勝に駒を進めた。(※写真追加あり)
▼第9試合 トリプルメインイベント第3試合 Krushフェザー級タイトルマッチ 3分3R・延長1R
×西京春馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/Krushフェザー級王者)
[判定0-2] ※29-30、29-29、28-30
○江川優生(POWER OF DREAM/挑戦者)
※江川が第4代王者。西京は2度目の防衛に失敗
王者・西京春馬はアマチュア時代から強豪選手として活躍するサウスポーの蹴撃者。前戦2018年6月のK-1フェザー級王座決定トーナメントでは、再戦となった村越優汰との決勝で両足がつってしまい、無念のTKO負け。今回が再起戦となる。
対する江川はボクシング経験のある父の影響で幼少期からボクシングや空手を学び、中学入学後にキックボクシングを始めたパンチャー。POWER OF DREAMでパンチと蹴りを融合させたスタイルを開花させると、2017年10月からフェザー級に階級を上げ、3勝(2KO)1敗でタイトルマッチまで辿り着いた。
試合は、サウスポーの西京の蹴りとパンチャーの江川のパンチ──といった構図だけではない、両者の進化が見られた攻防に。
序盤から得意の左ミドルで先制していく西京だが、江川は詰めてパンチの距離に持っていくと、さらにオーソから右のインロー、左右のミドルを入れてパンチに繋ぎ、西京のペースにさせない。
対する西京も2Rから距離を修正。左の蹴りに前蹴りも混ぜ、江川の入りに得意の左ストレートを勇気をもって突き刺していく。逆に江川は西京の蹴り際に右ストレートのカウンターを狙う。
さらに3Rには、左右ボディから左フックと上下に散らす江川は、リングサイドの武居の「厳しく行け!」の声に、西京のミドル、ヒザの強打を顔色を変えずにブロック。そこで落ち着かずに王座獲りに足を止めずに詰めて手数も止めず。
判定は、30-29、29-29、30-28の2-0で江川が勝利。コールに新王者はマットにひざまずいて歓喜の涙を流し、POWER OF DREAMの古川誠一会長から肩を叩かれ祝福された。
◆江川「江川優生とPOWER OF DREAMをよろしくお願いします」(リング上)
「自分がこのリングでベルトを巻いているのがほんとうに夢のようで、このリングに導いてくれた古川会長に感謝します。そして、POWER OF DREAMのみんなにも感謝しています。今日来てくれた応援団のみんな、ありがとうございます。ベルトを獲ってやっとスタート地点だと思っているので、上のリング、Kのリングのチャンピオンを獲りたいです。これからもっと頑張っていくので、江川優生とPOWER OF DREAMを、よろしくお願いします」
◆江川「フェザー級を盛り上げる」(バックステージ)
「勝った今でも実感がなくて変な感じです。(西京は)やっぱりトップでやってるだけあって、ちょっと当たったくらいじゃ怯まない凄い選手だなと思いました。(左の攻撃をもらう展開が続いたが?)受けるなら受けて、しっかり返してやろうという気持ちでした。終盤はパンチにも(西京がパンチを)打ち返してきて、気持ちが強いなと思いました。(インローなどパンチに蹴りも織り交ぜていったが、作戦は?)蹴ってからパンチ、パンチから蹴りというイメージで今回は組み立てました。(試合直後、古川会長からは?)『泣いてんじゃねえ、相手にしっかり挨拶してこい』って背中を押されました(苦笑)。(今後の目標は?)ベルトを獲ったからには、責任を持って、フェザー級を盛り上げて、大会を大きなものにしたいと思います」
▼第8試合 トリプルメインイベント第2試合 Krushスーパー・ライト級王座決定戦 3分3R・延長1R
×松下大紀(K-1ジム川口TEAM SIRIUS)
[2R 0分36秒 KO]※左ミドルキック
○鈴木勇人(K-1ジム五反田チームキングス)
※鈴木が第7代王者に。
篠原悠人が階級を落としたことで王座返上、挑戦者決定戦から王座決定戦となった1戦。松下大紀は2018年5月に寺崎直樹、7月にジョージ、11月にFUMIYAを相手に3連続KO勝ち。パンチラッシュを得意とする。対する鈴木勇人はサウスポーからの左の蹴りが武器。アマチュア無敗、プロでは6勝(3KO)2敗1分で、2018年は3勝(2KO)1分と負けなしで王手をかけた。
1Rから、様々な高さの左ミドルを蹴っていく鈴木に対し、詰めていく松下は左右のボディ打ちから顔面と得意のパターンで接近戦に持ち込もうとする。ブロックする松下だが、松下の右ストレートに一瞬、動きが止まるも、ロープを脱出。左ミドルで距離を取り直していく。
2R、鈴木の蹴りに松下も右ローを返すが、蹴り合いは鈴木の庭。左ミドルを連打すると腕でブロックする松下にダメージの色が。さらに鈴木は左ミドルから左ヒザ蹴りで松下からダウンを奪う。立ち上がった松下はパンチ勝負に出るが、鈴木は左ミドル一閃! 崩れ落ちた松下を見て、レフェリーがKO勝利を告げた。
久保優太ら五反田チームキングスの面々とがっちり抱き合い、スーパー・ライト級のベルトを腰に巻いた鈴木は、リング上で「応援ありがとうございました。目が悪いので眼鏡をかけさせてもらいます。念願のKrushのベルトを獲れて、自分一人の力ではここまで来れなかったと思います。サポートしてくれた皆様、チームキングスのみなさん、ありがとうございます」と周囲に感謝の言葉を述べると、「松下選手、パンチが強くて、最初にストレートもらった時に左目が見えなくなってしまってヤバいと思いました。これからもっと強くなって少しでも感動してもらえる試合が出来るよう頑張ります」と、挨拶した。
◆鈴木「ベルトを獲ってスタートラインに立った」(バックステージ)
「今はホッとしてます。(松下は)想定していた通りの選手でした。パンチは気をつけてたんですけど、1発、右ストレートをもらっちゃって、左目が見えなくてどう戦おうと焦ったんですけど、セコンドの(久保)優太くんから『自分の武器を信じてやれば大丈夫だから』と言われて、自分の武器を信じて最後までやりきろうと。(今後の目標は?)Krushのベルトを獲ってスタートラインに立ったところ。これからはK-1のベルトを目指して、強くなって活躍していきたいと思います」
▼第7試合 トリプルメインイベント第1試合 Krushバンタム級王座決定戦 3分3R・延長1R
×萩原秀斗(K-1ジム総本部チームペガサス)
[延長R 判定0-3]※9-10×3
[本戦判定 0-1]※28-30、29-29、30-30
○晃貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
※晃貴が第4代王者に。
金子晃大が階級アップのため王座返上。挑戦者決定戦から王座決定戦となった1戦。萩原秀斗はこれまでムエタイルールを主戦場としてきた蹴りを得意とする選手。10月にKrushに初参戦し、隆聖に判定勝利し、今回の試合に抜擢された。晃貴は武尊と同じ鳥取県米子市出身。9月大会で出貝泰佑に判定勝利し、2連勝で王座戦となった。晃貴の父親は鳥取時代の武尊にキックボクシングを教えたこともあり、武尊の後を追い上京してきた晃貴のセコンドには武尊がついた。
序盤から前に出ることでパンチのリズム、距離に持っていく晃貴。左右のフックをガード上からでも叩き込んでいく。対する萩原はジャブを突き、下がりながらも前蹴りとミドルで自身の距離にし、右ミドル、右ローと右の蹴り上下に打つ。
2、3R、萩原のミドルに蹴り返しのローは晃貴。萩原のパンチには右をかぶせてゆく。圧力をかける晃貴をステップでかわそうとする萩原は、右ハイ、前蹴り。晃貴が左右フック、右ストレートで詰めると、萩原も左ボディからストレート、さらにワンツーから右ハイキックと蹴りまで繋げる。ここで圧を下げない晃貴は前進。本戦判定は30-28、29-29、30-30で晃貴に1票もドロー。延長戦へ。
延長R、退かない両者。近距離で強い晃貴に、右ハイ、バックフィストも放つ萩原だがかわす晃貴。萩原の蹴りの時間の後も、必ず捌いて右フックを打ち返して前に出た晃貴が、延長判定10-9×3で勝利。
ベルトを巻いた晃貴は「このベルトは自分一人の力では獲れない、自分の親やジムの先輩に鍛えてもらって。本当にありがとうございます。何言えばいいか分からないです(笑)。自分はデビューしてからK-1に1度も出たことがないので、6月(29日)両国のK-1に出させてください」と、K-1出撃をアピール。さらに「Krushのチャンピオンになって武尊くんに肩車してもらって写真撮るのが夢だったんで、いいですか?」とマイクで語ると、武尊がすぐに晃貴を肩車。2人でガッツポーズで写真に収まった。
▼第6試合 初代Krushクルーザー級王座決定トーナメント1回戦 3分3R・延長1R
○K-Jee(K-1ジム福岡チームbeginning)
[2R 1分13秒 TKO]※跳びヒザ蹴り、タオル投入
×工藤勇樹(エスジム)
※K-Jeeが準決勝進出。
新設されたクルーザー級の王座決定トーナメント1回戦。予告通りにオーソから左ジャブと左ローを蹴りこんでいくK-Jee。重量級らしかならぬ素早い出入りも見せる。左右スイッチする工藤は左ボディから右ロー、左ミドルで応戦。
2R、詰めたK-Jeeが左フックから顔面への右ヒザでダウンを奪取。立ちがるも重量級の1発にダメージを隠し切れない工藤。コーナーに詰めたK-Jeeは跳びヒザ蹴りでダウンを追加。工藤のセコンドからタオルが投入された。
1回戦を突破したK-Jeeは「クルーザー級が今日から始まって、まだ人数が少ないし実力の差も少ないから、とりあえずデカい奴はみんな、Krushに上がって来い!」と呼び掛けた。
▼第5試合 初代Krushクルーザー級王座決定トーナメント1回戦 3分3R・延長1R
○杉本 仁(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
[2R 1分07秒 KO]※左フック
×俊雄(PAL-GYM)
※杉本が準決勝進出。
新設されたクルーザー級の王座決定トーナメント1回戦。シルバーウルフの杉本は、初代K-1クルーザー級王座決定トーナメント3位。俊雄はサウスポーを活かして本命を食うことができるか。
左構えの俊雄に強烈な右ミドル&右奥足ローを蹴っていく杉本。俊雄も右ストレート、右フックで迎撃。2R、右ボディも突く杉本は、上下に散らしておいての右ストレートからの左フック! 倒れ際には右ミドルも打っていたが、これが当たるまでもなく、俊雄はマットに崩れ落ち、杉本がKO勝利した。
初戦を突破した杉本はリング上で「クルーザー級の初戦でKOで勝てたので、この勢いでKrushクルーザー級のベルトを巻きたいと思います」と力強く宣言した。
▼第4試合 Krushフェザー級 3分3R・延長1R
○伊澤波人(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
[判定3-0]※30-27、30-28、29-28
×和夢(Gwinds)
パンチ主体の和夢の上下に、打ち下ろしの右下段蹴り、踵蹴りを粘り強く打つ伊澤。3R終了間際に伊澤は、和夢をコーナーに詰め、下を打つ布石からの左上段蹴りでダウン奪ったところでゴング。判定は30-27、30-28、29-28の3-0で伊澤が勝利した。
▼第3試合 Krushライト級 3分3R・延長1R
○瓦田脩二(K-1ジム総本部チームペガサス)
[3R 2分59秒 KO]※左ヒザ蹴り
×蓮實 光(パラエストラ栃木)
ラウェイ、MMAでも戦う蓮實は接近戦での打ち合いを望み、近づけばクリンチも、両脇を差しての組みつきと足をかける行為でイエローカード。減点1となる。瓦田は2R、ジャブローヒザ、左フックでダウン奪うと3R、右フックに頭を下げて来た蓮實に左ヒザを当て、KO勝利。K-1で初黒星を喫しての再起戦をKOで飾った瓦田はKrushでは6連勝。
▼第2試合 Krushスーパー・ライト級 3分3R・延長1R
○松本篤人(バンゲリングベイ・スピリット)
[判定3-0]※30-28×3
×迅也(北斗会館浅科道場)
松本のジャブローでサウスポーの迅也は鼻血。サウスポー迅也は北斗会館仕込みのステップで回転系の蹴り、バックフィストで反撃も松本は前進止めず。真っすぐのパンチで制した。
▼第1試合 Krushウェルター級 3分3R・延長1R
○加藤虎於奈(TEAM TOP ZEROS)
[判定3-0]※30-28、30-26、30-27
×海斗(ポゴナ・クラブジム)
1年ぶりの再戦。互いにサウスポー。1R、加藤は左ストレートから右フックを先に当てダウンを奪う。ローも当てた加藤が逃げ切り、前戦に続き海斗に連勝した。
▼プレリミナリーファイト第3試合 Krushスーパー・バンタム級 3分3R
×山脇魁斗(隆拳塾)
[判定0-3]※28-30×3
○龍斗(K-1 GYM横浜infinity)
互いに上下に散らす中、打ち下ろしの右ロー、右ミドル効かす山脇に、龍斗は左ボディ、右ストレート、左アッパーもヒット。
▼プレリミナリーファイト第2試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R
×足利和正(TEAM Aimhigh)
[1R 1分04秒 KO]※後ろ蹴り
○齋藤祐斗(JK TRIBE)
手を低めに構える齋藤は左ミドル当てボディストレートで最初のダウンを奪い、最後は後ろ蹴りで64秒KO勝利。
▼プレリミナリーファイト第1試合 Krush女子アトム級 2分3R
×豊嶋里美(TEAM OJ)
[判定0-3]※29-28、30-26、30-26
○菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
K-1アマチュア全日本大会で3度優勝の菅原とプロ3戦2敗1分の豊嶋が対戦。打ち合いに退かない強気の両者。1Rにオーソの菅原が左フックでダウン奪う。左右でラッシュする菅原はヒザも突くが決めきれず。豊嶋も果敢に打ち返し菅原に鼻血を誘うが、菅原はミドル、ハイも繰り出す。判定はダウンを奪い、パンチ・蹴りともに上回った菅原が大差で勝利した。