2025年最初のUFC PPVイベント『UFC 311』に出場する中村倫也(日本)が、アメリカントップチーム(ATT)に正式に所属することを発表した。中村が自身のYouTube『リンヤマンチャンネル』にて明かした。
2017年レスリングU-23世界選手権61kg級優勝の中村は、現在UFC3連勝中。1月18日(日本時間19日)に米国カリフォルニア州イングルウッドのインテュイット・ドームにて開催の『UFC 311: Makhachev vs. Tsarukyan 2』で元ONEのムイン・ガフロフ(タジキスタン)と対戦する。
UFC4戦目に向け、今回もATTでファイトキャンプを行って来た中村は、「2カ月間、アメリカントップチームに行ってたじゃないですか。帰ってきて、高谷(裕之)さんや、僕のコーチと話して、アメリカントップチーム所属になりました」と報告した。
ATT所属となったのは、堀口恭司の「近くで格闘技を作りたい。恭司さんはそれを引き上げてくれる人」と、中村が求める格闘技を堀口がトレーニング・生活する場で作って行くことができると考えたからだという。
「(ATT入りの)一番の理由は(堀口)恭司さんに惚れたっていう。あの人の近くで格闘技を作れたら、よりすごいいいものになると思ったし、環境もずば抜けていい。前回、実はもうあのアメリカントップチームいる時に『(ATT所属に)なりたいです』っていう旨は伝えさせてもらった時に、もう恭司さんから、ガンガン教えていただくことが出来て。考え方、練習以外も生活も含めて“やっぱ違うな”っていう。(堀口は)背中も見せつつ、1個というか、引き上げてくれる人だなっていう風に近くで感じて僕はすごい嬉しかった。そういう人はなかなかいなかったんで。向こう(フロリダ)に行く比重とかも増えます。アメリカントップチームからさらに次のジムへっていうのは多分ないと思うんで。そこでしっかり格闘技を作ってくっていう感じになっていくかなと思います」と、今後の中村の格闘技の旅の拠点となることを語った。
これまでも、ATTでの合宿生活を「勢いでやっていることも、1回ストップして、ここはこういう考え方だから、そこに手を置いて体重を乗せておいてから進めるように」と、瞬発的な力の動きではなく、理にかなった技術指導を受けていること明かしていた中村は、「1日2回、同じ時間に練習できて生活のリズムも良い。1箇所ですべてが揃うから移動で使うエネルギーと時間がもったいなくない」と、各分野のコーチ陣と強豪選手が揃う環境を効率がよいと語っていた。
そのATTには、すでに日本人選手で堀口恭司を筆頭に、元谷友貴、牛久絢太郎、金太郎が所属選手となっている。ここに中村倫也も加わることになる。
世界中からトップファイターが集う同ジムには、アメリカ人ファイターのみならず、ブラジリアン、ロシアンらがそれぞれのコミュニティを作っており、プロ練習で近い階級毎にトレーニングは行うものの、それぞれが協力しあってファイトキャンプに臨んでいる。ATTで1人で始めた堀口のもとに4人の日本人選手が加わり、所属選手となることで、コーチ陣の関わりも増して、よりチームとしての戦いになっていく。
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パントージャの方が軸が整っていた(中村)
YouTubeでATT入りを発表した中村は、7日の『UFC 310』でJTTのチームとしてラスベガスに乗り込んだ朝倉海の王者・パントージャへの挑戦についても触れている。
「あれだけカリッカリになるまで体重作って、で元気だった。練習ですごい体力を作り込んできたんだなって。UFC初めてで、久々のフライでもあれぐらいのコンディションを作ったのはすごいこと」としながらも、ATTでパントージャと直に肌を合わせた経験を持つ中村は、朝倉戦で、「パントージャはいつもと同じスタイルをやりつつも相手にアジャストしたような小技を用意して、距離を潰していた。1個上のレベルの戦い方を見せてくれたのかなと。パントージャがすごい強かったです」と王者の上手さと強さを語る。
また、朝倉がパントージャとのフェイスオフで手を引き寄せられた場面を挙げ、「パントージャは落ち着いていた。気とか重心も含め、“上げる”のは簡単だけど、落とすのは時間がかかる。フライ級でちょっと“浮く”し、どっちかっていうと、いつもよりも殺気立ってるぐらいの方がいいんじゃないかなと思った」と、挑戦者の試合前のメンタルおよび重心が上がりすぎていた、と独特の表現で語った。
一発の攻撃のキレで勝負する朝倉に対し、それを警戒しながら、朝倉の単発攻撃を見切っていたパントージャは「軸が整っていたから、来たものに返すリアクションが良かった」と評する中村は、パントージャが繰り出した関節蹴りについても「足で足をとめるのが良かった。(朝倉のヒザ蹴りを)止めていた」と、朝倉最大の武器を封じていたとした。
ほかにもYouTubeでは、「正直、あの場に立たないと分かんない」と中村自身が感じたUFCナンバーシリーズの雰囲気とケージの中での感覚や、朝倉海の次戦についてなど、たっぷりと語られている。
(C)Zuffa LLC/UFC
1月大会も「UFC世界ライト級王座戦 イスラム・マカチェフvs.アルマン・ツァルキヤン」と、自身の階級である「UFC世界バンタム級王座戦 メラブ・ドバリシビリvs.ウマル・ヌルマゴメドフ」のダブル王座戦が並ぶビッグマッチにラインナップされている中村。堀口の大晦日王座戦に続き、中村はATT所属として、難敵ガフロフ相手にどんな動きを見せるか。
「僕は僕のベストなアートを届けたいので、それが出来るのはバンタム」という中村のUFC4連勝に期待が高まる。