キックボクシング
インタビュー

【RISE】原口健飛が肉体改造で10kg増量「俺とミゲールの勝った方が優勝するんじゃないですか」「キックボクシングが面白いっていう事も伝えたい」

2024/12/18 17:12
 2024年12月21日(土)千葉・幕張メッセイベントホール『ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2024 FINAL』にて行われる「GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRANDPRIX」に出場する、原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM)のインタビューが主催者を通じて届いた。  原口は空手出身で、高校からはボクシングを始めて17歳でプロデビューし、2016年西日本新人王決定トーナメントで準決勝進出。2017年にキックボクシングでプロデビューすると、わずか2戦目でACCELフェザー級王者となり、翌年(2018年)のRoad to RIZINキックトーナメントで優勝。2020年1月にRISEライト級王座に就き、2020年10月には「DEAD OR ALIVE 2020 -63kgトーナメント」で優勝。  2022年6月の『THE MATCH』では第5代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者の山崎秀晃に2R0分33秒、TKO勝ち。2023年3月にはジェレミー・モンテーリョをKOしてISKA世界王座を獲得。GLORYのランカーや推薦選手を次々と撃破し、2024年7月にGLORY世界フェザー級王者ペットパノムルンとの3度目の対決に臨んだが、判定で敗れた。戦績は26勝(17KO)4敗1分。 勝ち上がってきたやつが1番強いのでその選手とできたら ――トーナメントまで後1週間と迫りましたが、心身ともに整ってきていますか? 「体は整っているんですけど、気持ちの方は整っているというか自分の全てを受け入れているので、ありのままの自分で戦える気持ちにはなっていますね。いろんな恐怖感とか楽しみもあるんですけど、全部ひっくるめて自分のままで戦いたいなと思っています」 ――先日行われたRISE184の会場には同じトーナメントに出場されるペポシ選手なんかも来場されていて、否が応でもトーナメントへのムードが高まってきたと思うのですがその辺はどう感じていますか? 「ペポシがまさか来るとは思っていなかったです。それでペポシもすごいワクワクしているんだろうなっていうのは伝わったので、いよいよだなって感じがしました。映像では見ましたけど実際には会っていないので、会っていたらもっと“遂にだな”って感じたかもしれないです。 ――その会場で行われた小林愛理奈選手の試合は残念ながらオランダのテッサ・デ・コム選手に負けてしまいましたが、同じ国際戦に挑んだということで小林選手の試合から何か学んだことはありますか? 「僕もペッチに3回負けているし、ちょっと負け方が似てたなと思ったんですよね。自分の攻撃は当たるんですよ。小林のパンチも当ててはいたし効いてはいるんですけど、その先がなかなか当てるのが限界みたいな試合内容だったので、俺の時と似ているなと思いました。でも俺も3回負けているし偉そうなことは言えないので、アドバイスというよりかは『一緒に頑張っていこう』っていう風に伝えました。やっぱり改めてフィジカルは大切だなって思いましたね」 ――そうなると今回のトーナメントでも“当てたその先に”という事が重要になってきますか? 「そうですね。でもトーナメントなのでフィジカルが大事だけど、良い意味で逃げるテクニックも必要だと思うし、いろんなテクニックができるやつが全てを持っていくのかなと思います。それに関しては自分が1番得意だと思っているし、ミゲールもそういう選手なので、だから俺とミゲールの勝った方が優勝するんじゃないですかね」 ――そのミゲールへの対策はバッチリですか? 「対策という対策はしていないです。ミゲールを対策してもチャドとかヴィダレスがいるし、ペッチか白鳥くんもいるし。だから対策というよりかはトーナメントを戦えるような体に仕上げるのが1番良いのかなと思っています。要所要所は対策していますけど、ミゲールもトーナメントだからファイトスタイルを変えてくるかもしれないし、色んなことを想定しながらやっています」 ――2018年には今回と同じ会場で4人制のトーナメントを優勝していましたね。 「懐かしいですね(笑)。あの時58kgだったでしょ。言っちゃ悪いけど日本人相手だったから恐怖感もなかったし、2回勝ったけどそんなに体も痛くなかったんですよ。相手も軽いし自分も軽いから今ほど蹴った時の衝撃もなかった。その時とは全然違うけどめちゃくちゃ縁起は良いですよね。幕張では負けていないし」 ――本当に験の良い会場ですよね。 「チャンヒョン・リーにも負けると思われていたけど圧倒的に勝ったので、幕張は自分の会場かなと思っています」 ――その辺の縁起は担ぎたいと思いますか? 「気持ち的には負けている会場よりかは良いですよね(笑)。縁起が悪い会場よりかはいいと思うので、それ以上はそんなに考えていないです」 ――1回戦が第9試合で続く準決勝が第13試合にマッチメイクされていて、試合間隔が短いと思うのですがこの辺りについてはいかがでしょうか? 「短い方が良いなと思っていたんですよ。意外に1時間半くらいあるんですけどそんなにいらないですね。熱とか興奮したままノリで行きたいなと思っているので、1時間半でも長いと感じているくらいなので逆にありがたいです」 ――もっと短い方が良いって感じですか? 「1時間くらいがベストですね。だから準決勝を勝って決勝くらいのペースが良いのかなと思っています。絶対に体が痛くなるので、そうなる前にやってしまいたいという思いもあったので短くてよかったです」 ――トーナメントはRISEルールではなくて、攻撃している限り首相撲がOKというルールですが、このルールに関してはいかがですか? 「前回の俺だったらキツイなと思っていたんですけど、今は首相撲の練習もがっちりやっているので、首相撲では勝てないけど組み返せる技術はだいぶ付いてきていますし、そのルールに関しては問題ないです」 ――相手が組みついてきてもそれをクリアして反撃できるところまで持ってきたということですね。 「そこは自然と体が出るくらいまでは練習してきたので大丈夫です」 ――チャド・コリンズ選手かヴィダレス選手の試合は、どういう戦いになってどちらが準決勝に上がってくると予想されていますか? 「勝ってほしいのは戦いたいのでチャドなんですけど、ヴィダレスが上がってくる可能性もあるなと思っています。チャドって真っ直ぐ勢いで入ってくるタイプなんですけど、こういうタイプにヴィダレスは合わせるのがすごく上手いんですよ。GLORYでのチクムーサ戦でも、来たところにショートのフックを合わせてKOしていたから、同じような展開になる事もあり得るなと思っています。ほんと分からないですけど、チャドが絶対に勝つとは思えないですね」 ――ヴィダレス選手とも拳を合わせてみて、かなりの実力がある選手だというのは分かっていらっしゃると思うのですが、侮れない選手の1人ですよね? 「ヴィダレスはまじで強かったですね。今までの負けた試合以外でだったらヴィダレスが1番強かったです。シンプルにキックボクシングも上手かったし、手打ちのパンチも当たれば誰でも倒れるんちゃうかなってくらい重かったです。ハンドスピードはそんなに速くはないですけど、チャドとやったら噛み合いそうな気がするからヴィダレスが上がる可能性もあります」 ――やはり決勝ではペッチ選手と4度目をやりたいですか?それとも誰でもいいですか? 「誰でもいいっすよ(笑)。例えばここでペッチに勝っても、今までに負けた3回はチャラにならないので誰でもいいです。できるのであればペッチと戦いたいけど、いつもみたいに『ペッチと絶対やりたい』みたいな想いはなくて、勝ち上がってきたやつが1番強いのでその選手とできたらいいですね」 ――トーナメントを優勝したとしたら、来年はどういう展望を描いていますか? 「俺も考えたんですけどこれ難しいですよね。ミゲールに勝ってチャドに勝ってペッチに勝ったとして、来年はチャドと防衛戦で戦いたいですね。そこはマストでやりたいと考えているんですけど、GLORYの挑戦とかは時が来たらでいいので、チャドとは1回やりたいです」 ――その前にまずは当然このトーナメントですよね。 「そうですね。先のことはあまり考えていないです」 ――トーナメントや大会自体も、ファンが見てワクワクするような組み合わせだと思うのですが、そういうのを提供することに関してはいかがですか? 「大会自体は凄いと思うんですよ。ただ外国人が多いっていうのもあって、なかなか日本のファンに伝わっていない部分もあるのかなと思います。そこが僕たちの課題でもあると思うし、ガチゆえに分かっていない人が半分くらいいると思うので、そういう所をこれから自分が勝つ事によって変えていきたいです。こういう外国人が集まった試合になるのは俺も初めてだしファンの人も初めてだと思うので。だから俺たちとファンの間に凄さの認知度がちょっと違う部分もあるから、そこは仕方がないと思うので自分が勝って今回のトーナメントが過酷だったっていう事を伝えたいし、キックボクシングが面白いっていう事も伝えたいですね」 [nextpage] 今回は挑戦する形なので“自分自身”で戦いたい ――フィジカルの話がありましたが、直近の試合を含めて65kgの強豪選手と戦った時に、実際のところまだ体格差を感じる部分はありましたか? 「前回までは体格差もありながら『そんなの別に分かってるよ』っていう状態で正直やってきていました。でも前回ペッチに負けてから『さすがにあかんな』と思って。だから今回はちゃんと肉体改造もして、10kgくらい増量もしてちゃんとフィジカルをつけて対外国人用に仕上げてきたので、今回は“フィジカル差”っていうのはあまりないのかなと思います」 ――この短期間で10kgも増量されたんですか? 「トレーニングが好きで独学でやっていたんですけど、今回はコーチをつけて真剣にやったので、意外にすんなりとある程度は増えましたね。そこからは食事とか色々な事をやっていきました。でも増量はマジできつかったですね」 ――そのコーチからはトレーニングや食事など、どこまで内容を見てもらえるんですか? 「食事に関しては別で雇っている人もいて、フィジカル面はコーチがしっかりついて最短で筋肉をつけて体を強くできるかっていうのをやりながら教えてもらっていました」 ――原口選手は元々筋トレ好きだったと思うんですけど、コーチをつける事によってどう変わりましたか? 「Youtubeとかで独学でやっていたから人よりかは筋肉のつき方とかは分かりますけど、コーチとかと比べると筋肉への効かし方とかも全然違いますし、コーチを付けてから筋トレの概念を含めてだいぶ変わりました」 ――スピードを重視して体格差のある相手と戦っていた印象があるんですけど、体が重くなったりする感覚は出てきていないですか? 「ちょっとありますけど逆に良いのかなと思うんですよね。それでもやっぱりスピードはあるので、ちょっとスピードが落ちてもいいと思ってやっていたので、試合をしてみないと分からないですけど今のところは成功しています」 ――フィジカルが上がって普段の体重も上がった事によって、戦う場面においては何が強くなったと思いますか? 「全部ですね。これだけは言えるんですけどショートのパンチの威力が凄い上がりましたね。思い切り振りかぶらなくても、ジャブだけでも威力が出るみたいな感じですね。ストレートとジャブが同じくらいの威力になったと言えば分かりやすいですかね」 ――それはスパーリングをやっていて、周りの方からも言われるんですか? 「めちゃくちゃ言われますね。あとはミドルキックを蹴られた時のバランスとかもそうだし、崩れにくくなりました。そういうのは感じられるので、あとは本番をやってみないと分からないですけど、今のところは増量しておいて良かったなと感じています」 ――現状の通常体重は78kgくらいあるという事になるんですか? 「元々65kgくらいだったんですよ。そこから75kgまで増えました」 ――本来は66kgから減量が1kgくらいだったんですか? 「そうですね。66kgなかった事もありましたね。オランダに行った時はなかったです」 ――この数ヶ月くらいでウェイトを変えて、10kg減量くらいになるという事ですね。 「今減量途中でまだ全然残っているので、水抜きがめっちゃ楽しみなんですよ。減量も4年ぶりとかなので、そこも楽しみだし久しぶりに飯が楽しみになる感覚があります」 ――お腹が空いた状態からの回復になるからという事ですね。 「みんな減量していて『ご飯が食べたい』っていう思いがあるじゃないですか。だから計量の時も『よっしゃ飯食える!』ってなると思うんですよ。俺にはそれがなかったんですよね。だから計量が終わってもずっと試合のことを考えていて、リラックスできる時間がなくて嫌だったんですよね。今回はまず『ご飯に行ける!』っていう試合とは別のことを考えられるので、それも凄い楽しみですね」 ――良い意味で研ぎ澄まされそうな感じがありますね。減量が終わった後のファイターを見ると研ぎ澄まされているような感じがするので。 「それがなかったので中途半端な気持ちで計量に乗って、1個の作業みたいな感じがありました。だから今回はしっかり計量から勝負になるので楽しみですね」 ――メンタル面では「試合前は不安定な時もあります」と話していた時もありましたが、以前と比較すると今はいかがでしょうか? 「不安定というか、自分自身をよく理解できるようになってきていて、恐怖感もしっかり受け入れてやるのが1番強いって思っているんですよ。前までは変に自分を作ってしまったりとかしていた部分もあったんですよね。今回は楽しい気持ちもあるし怖いし、怪我しそうとか色んなことを考えるんですけど、そういうのを全部考えても良いと思って受け入れてやっているので、比較的に平常心でいられてます。変にキャラを作ると苦しい場面もあったので、それをなくして今回は挑戦する形なので“自分自身”で戦いたいと思っています」 ――1日3回のトーナメントかつ、外国人選手が入っているトーナメントというのはキャリア初ですよね? 「初ですね。RISEファイターでこういうトーナメントする人は中々いないでしょ」 ――1日のマックス試合数は『DEAD OR ALIVE』の時の2試合ですか? 「2試合ですね。2試合と言っても正直言っちゃ悪いけど優勝できると思っていたし、『負けるはずがない』と思っていたのでメンタル面が違いましたね。今回はまた違いますよね」 ――チャレンジとしては新しいチャレンジでをするような気持ちになるんですね。 「未知の世界ですね。だからあまり考えないようにはしているけど、絶対痛いだろうなとは思っています。きついだろうなとも思うけど、ノリで行っちゃおうかなって感じですね」 ――トーナメント制覇は「運も必要」と言う方もいらっしゃいますが、トーナメントで優勝するうえで1番重要だなと思う部分ってどんなところになりますか? 「ミゲールも言ってましたけど『優勝したい気持ちが1番強いやつが運も含めて持っていく』と思います。技術とかよりも“しっかり3試合戦い抜いて絶対に優勝する”っていう気持ちのあるやつが強いと思うので、そこが重要になるんじゃないですかね」 ――最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。 「1回戦目はミゲールなんですけどとりあえず自分自身の動きをして、後先は考えていないですけど前回のGLORYで期待を裏切ってしまった分、しっかり今回で魅せて『原口やっぱすげー! 強いな』って思ってもらえるように一生懸命頑張るので、3試合分応援をよろしくお願いします」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント