2024年12月7日(日本時間8日)、米国ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催される『UFC 310: Pantoja vs. Asakura』(U-NEXT/UFC Fight Pass配信)のメインイベント「UFC世界フライ級選手権試合」(5分5R)に向け、同級王者アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル・ATT)に挑戦する、前RIZINバンタム級王者の朝倉海(日本・JTT)が4日(日本時間5日朝)同地でメディア向けの個別インタビューに臨んだ。
平良選手と日本で戦ったら?──日本のみんながめちゃくちゃ喜ぶと思うし、盛り上がると思います
──海外で今まで海選手の試合を見たことが無いファンが多いですが、どういう試合にしたいですか。
「海外の人や、UFCファンは俺の試合を見たことが無い人が多いと思うんですけど、俺の試合はKOを狙うスタイルで、KOで勝つことが多かったんで、ほんとうに楽しんでもらえるファイトスタイルなので、しっかり存在をアピールしたいと思います。楽しみにしていてほしいです」
──まだ海選手のことを米国のファンは知らないですが、MMAに詳しい人は週末のUFCに期待が高まっています。
「嬉しいですね。ラスベガスの街中で声をかけられる機会が増えて、UFCの影響力が凄いことを感じます。期待を感じるので、その期待を越えるようなパフォーマンスを見せるつもりです」
──フライ級とバンタム級の両階級で経験がありますが、UFCでのフライ級はどちらの希望でしたか。
「どちらの階級でも出来ると伝えて、UFCフライ級があまり盛り上がっていない、そこを盛り上げてほしいと言われてフライ級で戦うことを決めました」
──パントージャは素晴らしい選手ですが、少し歳を取り始めています(34歳)。選手としての評価はいかがですか。
「いや、彼はほんとうに素晴らしい選手ですし、年齢的にもいまが一番強いんじゃないかなと思います。ただ、たぶんこれからの将来を考えると、僕が勝ってUFCを引っ張った方がUFCが盛り上がると思うので、僕が勝たないといけないと思っています」
──UFCのランカーたちの試合はチェックしていますか。
「もちろんUFCのフライ級とバンタム級のランカーに入る選手の映像はチェックしていて、いつでも戦えるように準備していますし、レベルの高い階級だと思っているので、これからいろいろな選手と戦えることを楽しみにしています」
──スパーリングパートナーのモンド・グティエレスがDEEPで勝ったことをどのように感じていますか。
「ほんとうに嬉しかったです。試合自体はラスベガスにもう来ていたので(直に)見れなかったんですけど、PPVで見て勝って嬉しかったですし、タイにいたときから合宿に参加してくれて、たくさん練習で助けてくれたので、彼が勝ったことが嬉しかったです」
──日本のスポーツのスーパースターの大谷翔平選手や山本由伸選手が海選手の試合を見に来ることはありますか。
「面識が無いので連絡は取れていないですけど、やっぱり同じ日本人として世界で活躍しているアスリートですごく刺激をもらっています。僕の試合を観に来てくれるのであれば、すごく嬉しいことですし、そこ(来場するかどうか)は分からないです(笑)」
──オープンフィンガーグローブが新しいものからまた以前のものに変わりました。それに関して何かありますか。
「まあ、グローブの形とかどうでもいいというか、何も関係ないです。グローブ無くてもいいよ、と思います」
──日本人初のUFC世界王者がかかるこの大会に向けて特別な緊張感ありますか。
「プレッシャーは全く無いですね。というのも勝てる自信があるので、だから別に普通に戦って相手を倒すだけ、そこは何も変わらないかなと思います
──UFCファイトウィークは日本のRIZINのファイトウィークと比べていかがですか。
「そんなに変わらないですね。僕は常にプロモーションに力を入れて、たくさんお客さんの呼ぶことを意識してずっとやってきたので、前から変わらないです」
──多くのファンが興味があるのが、5R戦の準備と7年ぶりのフライ級の手応えです。この前日計量前の状況はいかがですか。
「日本から来てくれたんですか、ようこそラスベガスへ。5Rの試合に関しては、このタイトル戦が確定したのが3、4カ月前なので、5R戦うことを意識してスタミナトレーニングだったり練習量も上げてきたので、そこは全く問題ないですし、5分5Rの練習もそれ以上もこなしてきたので。フライ級に関しては、これも何度も言っていますが、135ポンドではほとんど減量をせず水抜きだけで体重を作っていたので、125ポンドが本来の自分のベストだと思っているので、いまも順調に減量が出来ているので問題ありません」
──海選手はいつもジャパントップチームでフルアイズのケージで練習をしています。RIZINリングとUFCケージの違いであなたが何かアジャストする必要はありましたか?
「そんなに大して変わらないのかと思いますけど、壁際のケージレスリングの攻防だったり、あとはサークリングがしやすくなるので、そこらへんだったり、多少の調整ですが、ほんとうに毎日(UFCと)同じような環境で練習が出来ているのであまり気にしていないですね」
──UFCは2017年以降、日本大会を開催していません。日本大会についてUFCのトップと話したことはありますか。
「僕のその思いはUFCのトップの人にも伝えています。ずっと僕はUFCを日本でやりたいと思っていて、なかなか状況的に難しいと。でも僕がチャンピンになれば、その状況は変わると思うので、実際にいま日本の格闘技のレベルが上がっていると思いますし、絶対に日本でUFCを盛り上げる自信があるので、今回のタイトルマッチでしっかり勝って、日本でUFCが出来たらいいと思います」
──日本大会開催が空いているのは何が理由だと考えますか。
「前回は日本のスターがいなくて、格闘技事態もそんなに人気がなかった時代で、いまはRIZINだったり、ほかの団体もすごく盛り上がっていて、大会が行われば絶対に会場は埋まるし、PPVがたくさん売れる状況にあるので、あとは僕が出場すれば。ぜひ僕に任せてUFC日本大会を開催してほしいです」
──パントージャ戦後を考えたら、日本の同じ階級の選手で日本の舞台で平良達郎選手との試合が一番盛り上がる試合だと思いますが、海選手としてはいかがですか。
「まあ、その試合が出来たら日本のみんながめちゃくちゃ喜ぶと思うし、盛り上がると思いますね」
ハイライトリールに残るような衝撃的なKOで
「UFCのファイトウイークを迎えて、今は楽しみしかありません。UFCファンの中には僕の試合をまだ見たことがない人もいるかもしれませんし、このアメリカではまだ僕の試合を見たことのない人がたくさんいると思うんですけど、僕はみんなが見たことのないようなエキサイティングな試合をすることができるし、絶対エキサイティングな試合を見せると約束しておくので、僕の戦いを必ず見てください」 パントージャは素晴らしい選手で、素晴らしいチャンピオンなので、その選手と戦えることは光栄ですし、最高のショーを作りたいと思っています。どういう戦いになるかは分からないですけど、彼の寝技が強いのは当然知っていますし、その対策はできています。僕はキャリアの中で一度も一本を取られたことがないので、彼にそれができるのかっていうところを、見てみようじゃないか、という気持ちでいます。「これまでもUFCのチャンピオンになるというのは、ずっと日本人が望んで追いかけてきたものではありますが、まだ誰も成し遂げていないことを考えると、僕がやるしかないのかなとも思いますし、自分ならやれると確信しているので勝つだけです。ハイライトリールに残るような衝撃的なKOで相手を失神させて勝ちたいと思っています」(UFC公式によるコメント)
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朝倉海「日本人が世界のトップに立ったら日本中の格闘技が盛り上がると思うし、格闘技を始めたいと思う若い子も増えると思う」(U-NEXTインタビュー)
──試合まであと3日となりました。現在のコンディションはいかがですか?
「減量はキツイというかまあ、お腹は空きますけど(苦笑)、いい感じに準備ができて、あとは体重落とすだけかなという感じです」
──減量もバッチリですか?
「今回栄養士さんもついてくれて、体重、トレーニングを見てくれていたのでそこは心配していないですね」
──この試合のために3週間前からラスベガス入りをされていましたが、どういった成果を得られましたか?
「着いてからは多少時差ボケがあったので、少しゆっくりトレーニングを始めて。で、標高の違いとかもあるので、スタミナ面だったりを強化するための練習をたくさんしてきました」
──それは、どのようなトレーニングですか?
「毎日ダッシュ系のトレーニングだったり、あとは週に1、2回ガチスパーをやったり。説明するのがちょっと大変なのですけど、コーチが決めたトレーニングをやってきました」
──日本で試合に向けての取り組みは終えてきて、あとは調整をしていくというような感じだったのでしょうか。
「まあそうですね。調整が多かったですけど。まあでも、こっちに入ってからも10日前くらいまでは本当に5分5ラウンドのスパーリングとかもやってましたし、本当にいい練習ができましたね」
──本日行われたUFCメディアデーの会見で「ラスベガスの街で声をかけられる」とおっしゃっていましたね。UFCファイターになったという実感が強く湧いていますか。
「そうですね。今回メインイベントということもあって、UFC側もたくさんプロモーションをしてくれたこともあって、本当に買い物に行っているだけでも声をかけられるし、店員さんとかもみんな気づいてくれるし。やっぱりUFCの影響力はすごいと感じますし、Instagramのフォロワーも1日に3000人増えたり、本当に驚いています。注目度がすごいなっていう」
──試合を直前に控えた今改めて、パントージャという王者についてどのように思っていますか?
「やっぱりUFCのチャンピオンだし、この階級で今6連勝中なので、すべてにおいて強い選手だと思いますね」
──試合のオッズはご覧になりましたか? 大差で海選手がアンダードッグですが、それについて、何か思うところなどはありますか?
「まあでもそれは当然の結果かなと思いますけど。やっぱり海外の人からすると僕の試合をほとんど見たことがないと思うので、初めて来た人がいきなりタイトル戦をやって、最強のチャンピオンに勝てるわけがないでしょっていうのが当たり前だと思うのですけど。まあ、なんだろ。僕からしたら、どうでもいい、というか。僕はやることをやって倒すだけだし、すごく自信があるので。普通に倒そうと思っています」
──先ほど、UFCファイターになってアメリカでの認知度が高まっているお話であったり、アンダードッグでもそれを跳ね返すというお話を伺った上で、ここで海選手が勝利しベルトを巻くことは、どれほどの影響を及ぼすと思いますか?
「すごいことになるでしょうね。やっぱりこういう起爆剤のようなものが必要だと思うし、UFCフライ級にとっても、こういう新しい風が必要だと思うので、僕がそれをやる予定だし、自分ならできるって信じているので。それを3日後に試合で証明するだけですね」
──UFC王者になることが、日本の格闘技も盛り上がることにつながるという意識や使命感も大きいですか。
「もちろんそうです。日本人が世界のトップに立ったら日本中の格闘技も盛り上がると思うし、格闘技を始めたいって思う若い子も増えると思いますし、いいことが多いと思いますので。そういう意味でも絶対に勝たないといけないと思っています」
──試合に集中しているタイミングで伺うのは恐縮なのですが、ここでタイトルを獲得してから、次の野望は頭のなかで膨らんでいますか?
「たくさん考えていることはあるのですけれど。パントージャは本当に強いチャンピオンなので、この試合に勝つことだけに集中し、フォーカスして頑張りたいと思います」
──実際の試合は、どのような展開になると思いますか?
「うーん、まあやってみないとわからないですけど、とにかく僕は最後までKOを狙って、途中で絶対に倒し切りたいと思います」
──この試合を通して、応援している方や支えてくれてきた方はもちろん、見ている人に伝えたいことは?
「僕が今回一番伝えたいことは……、なんだろ、僕はもともと夢とか目標とか全くなくて。18歳の頃に兄貴(朝倉未来)に格闘技の世界に誘ってもらって、初めてUFCのチャンピオンになりたいという自分の夢ができて。そこからその夢に向かっていろいろ考えたり努力したり、いろいろなひとと協力して、その夢を叶えるために進んできているその人生がすごく豊かになっているので、だから『夢を持ったときに、それを願い続ければ叶うんだよ』っていうところを僕が証明したいし、そういう、夢を持つことで、みんなの人生がどんどん豊かになっていいものになっていくということを、僕がこの試合を通して伝えたいと思います」
──それが、ご自身にとっての夢の実現であると同時に、他ならぬ世界一の舞台であるUFCの王座であるということには、大きな意味を感じていますか。
「そうですね。UFCのチャンピオンになれば説得力が増すと思いますし、たくさんの人に勇気や希望を与えられると思うので。だから、必ず叶えたいと思います」
──ここまで辿りつくために、エリー&ビリーコーチをはじめ、海選手は自分の手で環境をイチから整えてきました。それ以前のキャリアも含めて、これまでの自分の選択や行動に手応えや自信を持っていますか?
「そうですね。常にUFCのチャンピオンになるためには何が必要か、ということを自分のなかで考えてきて、そのピースが今揃っているので。だから今回試合に勝てると思いますし、僕のために支えてくれる人たちみんなに感謝の気持ちを持って、勝つことで恩返しをできたらと思っています」
──最後に、U-NEXTを通して日本から応援するたくさんのファンの皆さんへメッセージをお願いします。
「日本のみなさん、今回フライ級タイトルマッチに挑みます。本当にいい準備ができて絶好調で試合の日を迎えられると思いますので、ぜひU-NEXTで応援していただけると嬉しいです。必ず勝って、日本にベルトを持って帰りたいと思います」