2024年12月1日(日)神奈川・横浜大さん橋ホール『RWS JAPAN』(U-NEXT配信)にて、モンクペット・ペットプラオファー(タイ)と103lbs契約3分3Rで対戦する伊藤紗弥(尚武会)のインタビューが主催者を通じて届いた。
伊藤はジュニアキックで数々のタイトルを獲得。2012年12月には中学2年生にしてタイでWPMF女子世界ピン級暫定王座に就いた。2014年4月に国内で正式にプロデビューを果たすと、国内外の強敵を相手に快進撃を続けWPMF・WMC・WBCムエタイ・IPCCと女子世界王座の四冠を制覇。BOM女子ピン級(-45.53kg)初代王座、BOM女子ライトフライ級(-48.98kg)王座も獲得。 2023年9月に『RWS』初参戦もモンクッペットに判定負けを喫し、RWSでの2分3R制を踏まえてパンチを強化して11月のBOMでは予告通り左フックでミンタを2RでKOした。12月にはラジャダムナンスタジアムで初勝利、2024年4月のRWS JAPANでは元K-1王者のパヤーフォンも判定で破り、7月にはラジャ4位のノンパーフォンとの熱戦も制して7連勝を飾ったが、10月のタイ『RWS』にてラジャダムナンスタジアム認定女子ミニマム級初代王座決定戦でパヤーフォンに敗れて王座を逃した。
モンクペットに勝って何がなんでもベルトに挑戦したい
――10月の前戦となったパヤーフォンとのラジャダムナンスタジアム認定女子ミニマム級王座決定戦では惜しくも負けてしまいましたが、今試合を振り返っていかがですか。
「ムエタイの奥深さを痛感した試合でしたね。私が結構蹴っていたと思うのですが、パヤーフォン選手はカットと蹴り返しを徹底していてポイント負けでした。悔しいですけど、いい経験になったと思います。1Rは私が取ったかなと思いましたが、向こうに付けているジャッジもいて、完全にポイント取りにいかないと勝てないと1R目で分かったので、2Rから攻めの姿勢を見せたのですが、相手がうまく戦ってましたし、私も緊張もしていたせいで自分の動きができずでした。3R目も取ったと思ったのですが、映像を見返したところ、取られている場面もあり、トータル的に完敗だったなと」
――パヤーフォン選手とは今年4月のRWS JAPANで対戦して勝っていますが、伊藤選手のことを対策し尽くしていると感じたものはありましたか?
「そうですね。初めて対戦したときは蹴り合いになると思ってたところあまり蹴ってこなかったことで自分が蹴り勝ったのですが、2回目では、私がやりたいことをやらせてもらえず、7月のRWS JAPANでのノンパーフォン戦の時もリングサイドで観ていたぐらい私の研究を徹底してきたなと感じましたね」。
――鼻と右目が凄く腫れてましたが、どういう場面で負傷したんですか。
「5R目にもう行くしかないと思って攻めた時に、攻撃を合わされてヒジを浴びたことで目を負傷しました。鼻に関しては2R目にバッティングをもらって、曲がってしまいましたね」
――ラジャダムナンスタジアムでの試合はアウェイの場でしたが、戦いの面でやりづらさはありました?
「何度もアウェイでの戦いの経験があるのでそんなに抵抗はなく、欧米の観光客が私のことを応援してくれるので問題なかったのですが、敵地で戦う時は判定までいくと圧勝しないと勝てないと以前から言われていて、そこは覚悟して行ったのですが、やはり圧勝するのは難しかったですね」
――会見では「緊張していた」とも言われていましたが、50戦近く戦ってきてもまだ慣れないものですか。
「ラジャダムナンスタジアムでの試合に関してはまだ慣れないですね。ラジャに上がるのは3回目でしたが、やはり緊張しましたし他のリングとは雰囲気が違うんです。他のリングと比べて凄く大きいですし、いつもゴングが鳴ると気持ちを切り替えられるのですが、ラジャだとずっと緊張しっぱなしなんです。インターバルは2分あるので、その間に色々と考え過ぎてしまうこともあります」
――今回のモンクペット戦は次期挑戦者決定戦ということですが、ここで勝って2度目のラジャ王座挑戦はまたラジャのリングになる可能性もありますよね?
「次のモンクペット戦は大きな試合になるのでここで勝てば自信が付くと思いますし、緊張もすると思いますが、タイトル再挑戦が決まったら気持ちを切り替えてやりますし、パヤーフォン選手のムエタイのリズムもわかってきたので修正できると思います」
――ずっと狙っていたラジャのタイトルマッチで負けたことで進退を考えることもあったのでしょうか。
「今井会長はじめ、BOMの中川夏生会長やRWS JAPANの佐々木洋平代表やRWS関係者の方々が私の階級のタイトル制定、初のタイトルマッチ実現に向けてすごく動いてくれましたし、皆さんから絶対に獲ってほしいという気持ちを感じてました。私自身もかなり獲る気満々だったので、負けたことでかなりショックでしたね。負けてラジャのベルトを獲ることの難しさを改めて分かったので、次こそはという気持ちにもなりました。 名高みたいにラジャで3階級制覇するのは凄すぎですが、これがムエタイであり、全てがうまくはいかないものだと自分でも納得できましたが、早い段階でモンクペット選手との試合が次期挑戦者決定戦として決まっていたので気持ちを切り替えるしかないという気持ちでしたね。次の日に帰国する飛行機の便が夜中で、朝早くにホテルをチェックアウトしないといけないことになり、時間があったので、ムエタイの聖地のアユタヤに行ってリフレッシュすることができたことも良かったです。
――再びベルトに届くチャンスが到来したことでさらに気合いが入りますね。
「そうですね。ここで負けたらベルト挑戦が遠くなってしまうので、モンクペットに勝って何がなんでもベルトに挑戦したい、リベンジしたい気持ちは強いです」
――2023年9月に対戦し敗れているモンクペット選手とは再戦になりましたが、前回戦った時の印象はどういうものがありますか。
「アマチュアムエタイでたくさん試合経験のある選手だったのでポイントの取り方が凄く巧くて、2分3Rの中で有利に戦う印象付けもうまくて手強い相手だと思いました」
――ポイントの取り方がうまいというのはどういうところで感じたのでしょうか。
「どっちかと言うと後手のタイプなんですが、しっかり蹴りをカットして蹴り返して、距離が近づいたら得意な首相撲に持っていき、印象をよく見せる戦いのできる選手だと思いました」
――伊藤選手もそういう戦い方が得意ですよね。
「そうですね。2分5Rだと私もそういう風にフィームーで戦うのは得意なんですけど、2分3Rしかなく1Rごとにどちらかに優劣をつけないといけないマストシステムになるので最初から攻めないといけません。ですが、モンクペット選手はリーチが長く、私は攻撃を当てられず不利な戦いになりました。やはりリーチの長い方がポイントを取りやすくなるので、今回も私がとにかく攻めないといけない戦いになるのかなと思います」
――今回はこれまでと同じくパンチも強化されていますか。
「パンチも磨いてますが、モンクペット選手のリーチが長く、蹴りで止められてパンチが届かないと思うので、今までと同じようにはパンチを強化していなく、どっちかといったら首相撲の対処などを重点的にやっています」
――前回負けて次にやれば勝てるという手応えもありました?
「あの時は初めてのRWSのリングでの試合で、マストシステムというのを知らず、2分3Rの戦いもあまり経験がなかったので、ルール的にも完璧には理解してなかったです。そういう中でうまくやられたなというのはあり、次に対戦することがあれば絶対に勝つという気持ちで今頑張っています」
――試合を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
「今年最後の試合になりますが、モンクペット選手にリベンジして、次こそはラジャのタイトルを獲れるように頑張りますので応援よろしくお願いします」