2024年12月14日(土)東京・国立代々木競技場第一体育館『K-1 WORLD GP 2024』にて、「K-1 WORLD GP 2024 無差別級トーナメント」準々決勝3分3R延長1Rで、エロール・ジマーマン(キュラソー/Hemmers Gym) と対戦するK-Jee(日本/K-1ジム福岡チームbeginning) のインタビューが主催者を通じて届いた。
K-Jeeは19年1月の初代Krushクルーザー級王座決定トーナメントで優勝し、王座獲得。20年11月はK-同級王者シナ・カリミアンの持つタイトルに挑み、KO勝利で第2代王座に就いた。23年9月は元極真世界王者・上田幹雄にKO負け。24年3月はイタリアでマティア・ファラオニに判定負けと5連敗を喫したが、24年10月のK-1 WORLD GP 2024 無差別級アジア予選ではレジェンドのジェロム・レ・バンナをハイキックでKOして、本戦出場を決めた。
ファラオーニはセコイ
――山口翔大選手と一緒に練習をしているようですね。
「ええ、自分が福岡から大阪まで行ってやらせてもらっています。情報交換しながらなので、いい練習ができています」
――前回のアジア予選は、レジェンドのジェロム・レ・バンナ選手を右ハイキックでKOしました。短い時間でしたが、振り返ってみていかがでしたか?
「思ったよりも早く決まってしまいました」
――長引く想定もあったと。
「作戦としては、ローキックを効かせたかったんですよ。パンチ連打からローキックへつなげるパターンで攻めようとしたら、思ったよりも相手が下がってローキックを蹴れなくなったのでハイキックに変えたら当たってしまいました」
――当たってしまったと(笑)。
「もっと相手が打ち返してきたところで奧足にローキックを入れたかったんですが、思ったよりも下がったんで、ハイキックに切り替えて。その前に三日月蹴りをボディへ入れていたんで、ミドルキックだと思ってガードが下がったんでしょうね」
――ボディを効かせてのハイキックは、バンナ選手くらいのキャリアがあれば予測できそうですけどね。
「おそらく10年前だったら、あの場面は打ち返してきたと思います。そういうところじゃないですか。昔だったら強気だったと思いますけど、そこが今との違いかと思います」
――とはいえ、バンナ選手はコンスタントに試合をしていました。いきなり衰えるのは考えにくいです。
「海外での試合は分かりませんが、今年熊本でやった試合を見ましたがレベル的にはどうかなとは思っていました」
――バンナ選手の反応が落ちていたこともあったかもしれませんが、K-Jee選手の動きがそれ以上に良かったように見えました。
「ここで負けたら、現役は続けられないなと思って試合に臨みました。そうした、いつも以上の覚悟みたいなものはあったかもしれません」
――試合後は、自分が勝ったことよりもバンナ選手が負けたことのニュースが大きかったと残念そうでした。
「まあ、それはそうですけど、自分は次の試合に全力で臨むだけですから」
――ジマーマン選手は、“バンナの仇を討つ”と指名してきました。
「ラッキーと思いましたよ。ビッグネームですし、いきなり初戦でリュウ・ツァー選手とか体力を奪われる選手とやるよりかはいいので」
――ジマーマン選手の山口戦を見て、どんな印象でしたか?
「落ちているなとは思いました。昔は、もっとバネがあってスピードがあるような印象がありました。でもラウンドを重ねるごとに動きが良くなっていたので、さらに良くなるイメージで戦います。彼のSNSを見てもグッドシェイプになってきているので、油断はできません。あと彼は、右の組み立て、コンビネーションが多い。その対策をしています」
――山口選手からのアドバイスで攻略の糸口は見つかったと。
「うーん、どうしようかなと考えています。山口選手と僕のファイトスタイルは違いますからね。それは、試合まで考えていきます」
――今回、リュウ選手がケガで欠場となり、彼に勝っているフェン・ルイ選手とK-Jee選手がイタリアで対戦したマッティア・ファラオーニ選手が戦います。
「ファラオーニは、僕が戦いたかったですね。あいつ、セコイんですよ、戦い方が」
――セコイ? ファラオーニ選手は、ブラジルでUFC王者のアレックス・ペレイラ選手と戦っていますし、直近では飛び後ろ廻し蹴りでKOしています。
「たいしたことないですよ。自分があいつと戦った時はルールも違ったし、向こうの判定で負けただけ。K-1ルールだったら、絶対に自分が勝てますよ。それに飛び後ろ廻し蹴りも、それまでローキックを効かされていて、たまたま蹴ったら当たっただけですし」
――つまり、回転系の技で掛け逃げすると。
「そう! セコイ奴なんです。イタリアのホームタウンデシジョンで勝っているだけなんで」
――かなり因縁がありますね。
「俺がやりたかったなー! あの時は勝負してくれなかったんで、今回やったら絶対に勝てます」
――戦うとなれば、決勝になりますね。
「多分、初戦で負けますよ。強くないです。そのくせ、イタリアで女の子にキャーキャー言われて、腹立ちますね」
――伊達男なんですね。
「そんなんじゃないですよ! “俺は、スターだぜ”みたいな雰囲気だけで。それで勝負しないで逃げてルールに守れられて勝つ。腹立つわ」
――K-Jee選手は、準決勝でマチャド選手とブルーデネル選手の勝者と対戦しますが、どう予想していますか?
「ブルー何とかが勝つんじゃないですか?(笑)」
――ブルー何とか(笑)。
「マチャドよりかは強いイメージがあります」
――ブルーデネル選手は、予選をオールKOで優勝していますからね。
「嫌ですね、強そうです(笑)。ジマーマン戦で削られた状態だと思うので、そこが気になるところです」
――あと余談になりますが、前回のアジア予選でシナ・カリミアン選手がクラウディオ・イストラテ選手と戦い、後頭部へのパンチを反則と主張していました。あれについては、どう思っていますか?
「何をやってんだよという感じです。効いてもいないと思ったし、自分も反則はしているし。もう、K-1に来なくてもいいんじゃないですかね。そういうスタンスでしか戦えないのなら。見ている人も戦っている相手も、あれで騒ぐ感じならば面白くないんで。需要がないと思います」
――かつて戦った相手ですが、残念な思いですか。
「残念というか、負けると思ったからあれしかなかったんでしょうね。俺だったら負けると思っても、しっかり殴り合って潔く散りますよ。ダサい生き方はしたくないので。あれならば、リングに上がる意味ないです」
――K-Jee選手は、逃げるという行為は許せないんですね。
「だって、逃げないで覚悟を持って戦う競技じゃないですか。それができないならば、リングに上がる資格がないと思います。痛いのが嫌とか、負けるのが嫌とか、そんなのみんな同じじゃないですか。でも、その上で勝負をするのが僕たち格闘家なので。正々堂々と戦えない選手を僕は認めません」
――さすが、熱いスピリットを持っていますね。では、今回のWGP無差別級トーナメントは覚悟を持って戦うと。
「もちろん。全試合、1ラウンドから倒しに行きます。それを3回やります。僕は3ラウンドで試合を組み立てるような器用なタイプではないし、最初から倒すだけです」
――K-Jee選手は22勝のうち19KOしていますので、倒すか倒されるが信条ですね。
「僕は、それしかできない。3回倒します!」