2024年12月1日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2024 vol.6』にて、KNOCK OUT-BLACKライト級王座決定戦3分3R延長1Rでセーンダオレック・Y'ZDジム(タイ/Y'ZDジム)と対戦する大谷翔司(スクランブル渋谷)。
今年6月の代々木第二大会でセーンダオレックに2R TKO負けを喫している大谷にとっては、リベンジとタイトルのチャンスが同時に回ってくることとなった。この大チャンスに、大谷はどのように意気込んでいるのだろうか?
12月1日を僕の日にしようと思っている
──セーンダオレック選手との再戦が王座決定戦となりました。思ったよりも早くリベンジのチャンスが来たのではないかと思うんですが。
「そうですね。オファーを聞いた時はうれしかったです。セーンダオレック選手に対してもリベンジだし、タイトルマッチに対してもリベンジということなので。同時にできる大チャンスだし、全てを覆せる機会なので、うれしく思いました」
──前回のセーンダオレック選手との試合を踏まえて、一番気をつけたいこととは?
「実際に戦ってみて、想定と違ってパンチが思ったより強かったんですよね。そのあたりを考えながら今、練習に取り組んでいます」
──ご自身で強化しようと取り組んできたことは?
「半年なので、技術的なところでは急激に成長できることもないと思うんですけど、相手への対策と、1回負けた相手とか関係なく、僕は今までタイトルマッチを2回やってるじゃないですか」
──バズーカ巧樹選手への挑戦と、久井大夢選手との王座決定戦ですね。
「今までのキャリアを振り返ると、その勝負どころというか、ここ一番というところを落としてしまっているんですよね。うっすらと勘づいてはいたんですけど、しっかりとそこを認めて向き合えてなかったので、勝負弱い自分の改善が必要だなと感じて。試合に対する気持ちもそうですし、日頃の生活から、大一番で空気に呑まれないように心がけて、そのへんを変えていっています」
──今までは気負っていたところがあった?
「そうなんですよね。タイトルマッチとか大きな試合が決まると、『いいところ見せてやろう』と考えたりとか、練習の時もいつもよりやっちゃうんですよね。それって、『勝ちたい』というよりは、その場の不安を和らげるためにやってたんじゃないかなと思って。本来は勝つための練習をしなきゃいけないのに、不安を取り除くための練習、そういう思考になってたと思うんです。だから今は、練習の時から『どうしたら勝てるか』だけを考えて、タイトルマッチだからというので普段と違うことをするとかは意識的にやめるようにしています」
──むしろ普段の試合と同じように臨みたい?
「そうですね。もちろんリベンジマッチだしタイトルマッチなので、いつもと違う感情が生まれてくると思うし、これからの練習中も、プレッシャーもいつもより感じるとは思うんですけど、そこを消そうとはしないというか。正面からぶつからなきゃいけないと思ってるんですね。ここでダメだったら、この先はないと思っているし、正直、これぐらいのプレッシャーに負けているようだったら、自分の目指すところには全然たどり着けないと思うんですよ。だから不安から逃げずに正面からぶつかろうと、そこに負けないようにしようと思っています」
──ただ、以前に他団体でもタイトルマッチをしていて、その時は勝って王座を獲得したわけですよね。その時は違ったんですか?
「いや…結果だけでは判断できないというか、勝ったからそれができていたというわけではなくて。もちろん相手があるスポーツだし、その日の運もあるかもしれないですけど、あの日は勝ちましたけど、いつもの動きはできていなかったのも事実なんですよね」
──なるほど。
「ただ、ちょっと難しいなと思ったことがあって。前回のセーンダオレック戦では、ビッグマッチでタイ人との試合で、けっこう大一番だったんですけど、その時は動き自体は悪くなかったんですよ。でも逆にリラックスしすぎていて、今思えば覚悟が足りなかったんだろうなというのを感じていて。リラックスする中にも、極端な話、『死んでもいいや』ぐらいの覚悟を持って臨まないといけないんだなと思わされたんです。そこは正直、難しいなとは思うんですけど、そういうことを日々考えながら、いろんな人の意見を聞きながらやっています」
──確かに難しいところですよね。技術練習と違って、何かをすれば手応えがあるというものでもないでしょうし。
「そうなんですよね。人によっても違うだろうし、そのへんが格闘技の難しさであり、面白さでもあるなというのを痛感しています」
──例えば最近で、気負わずに戦えて、いい動きができたなという試合はあったんですか?
「最近だと、今年2月のキム・ウスン戦は、僕のキャリアの中でもいい動きができたと思います。あの時は削り合いの展開になることを予想していたので、『体がボロボロになっても食らいついてやろう』とずっと考えていたので、試合でも覚悟ができていたんですよね。もしかしたらあの時のマインドが、一番よかったかもしれません。覚悟が決まっていた上でリラックスもしていて、ステップを使って柔らかい動きもできていたので。あの時が理想かもしれないですね」
──そこは試合まで試行錯誤を続けると。
「ただ1回やっている相手なので、イメージはしやすいので。タイトルを獲るという点では、負けはしましたけど、1回やった相手との対戦というのはよかったかなと思います」
──もちろんファイターなので、負けじ魂みたいなものは強いと思うんですが。
「確かに負けず嫌いですね。ただ、過去に負けた相手に直接リベンジしなくても、その人のポジションを越えれば、間接的にリベンジすることもできるじゃないですか。そういう風に直接的なリベンジだけが全てじゃないとも思っていて。だから僕はそんなに負けた相手に執着するタイプでもないと思うんですけど、ベルトに関しては、『KNOCK OUTのベルトがほしい』とずっと思っていて、そことは本当に正面から向き合っていこうと思っています」
──その王座をタイ人と争うことになるというのは意外な展開ではありますよね。
「そうですね。そもそも代々木第二でセーンダオレック選手と組まれたこと自体が、予想していなかったことなので。そこからこうやってタイトルを争うというのは、去年の段階からしたら、かなり想定外の展開ではありますね」
──でも代々木の結果があるからこの再戦が組まれたわけでもあるので、分からないものですね。
「自分はバカポジティブなので、ここで勝ってタイトルを獲ることができたら今までの負けも肯定されると思ってるんです。基本的に、『過去のあれがあったから今がある』と思っています」
──では最終的に、今回の試合を左右するカギはメンタル面ですか?
「そうだと思います。結局は自分との勝負だと思っているので。僕自身が理想としている動きができれば勝てると思っているので、そこを信じて練習から試合まで臨んでいこうと思っています」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「過去に一度やっている相手だし、そこからの期間も短いですが、6月の試合からすると『別人だな』と思われるような動きを見せて、大会一番のインパクトを残してMVPも獲って、12月1日を僕の日にしようと思っているので、よろしくお願いします。次こそベルトを巻きます」