2024年11月16日(土)東京・後楽園ホール『Krush.167』にてライト級3分3R延長1Rで対戦する、瓦田脩二(K-1ジム総本部チームペガサス)と永澤サムエル聖光(林商店)のインタビューが主催者を通じて届いた。
瓦田は伸びのある右ストレートを武器にアグレッシブなファイトスタイルでデビューから5連勝。東本央貴、川崎真一朗、ワン・ジーウェイに敗れたが、その後は覚醒して2021年7月・9月の「第6代Krushライト級王座決定トーナメント」で優勝し、王座に就いた。2019年12月から8連勝と快進撃を続けていたが、2022年2月のK-1で篠原悠人に判定で敗れて連勝がストップ。4月には初防衛戦に臨んだが大沢文也に敗れ王座を失った。2023年10月にKPKBで勝利しているが、K-1グループでは泥沼の5連敗。戦績は15勝(7KO)6敗。
永澤は新日本キックボクシング協会で日本ライト級1位まで昇りつめ、トップランカーとして活躍。ジャパンキック旗揚げ後は2020年1月大会で興之介を右フックでマットに沈めて第2代ライト級王座に就き、9月にはNJKFで鈴木翔也からダウンを奪っての判定勝ちでWBCムエタイ日本統一バンタム級王座も獲得。2022年7月にWMOインターナショナル王座決定戦をコンデートと争い、判定勝ちで三冠王となった。2024年8月、Krushに初参戦も里見柚己に初回KO負けを喫している。戦績は28勝(12KO)12敗4分。
とにかく自分の持ち味を出したい
──1月の児玉兼慎戦以来、10カ月ぶりの試合になります。KO負けの後で、ダメージのために間隔が空いたんでしょうか?
「いえ、一度気持ちを入れ替えるために、このまま同じことをやっていても…と思って、ちょっと期間を置いたという感じです。練習もムエタイのジムに出稽古に行ったり、たまにボクシングのパーソナルを受けたり、レオナ・ペタスさんと同じところで練習したりして、環境をちょっと変えてみました」
──そうなんですね。ムエタイジムはちょっと意外な気がしますが。
「もともと僕はムエタイベースでやっていて、タイにもよく行ってたんですよ。以前はタイから帰ってきてからの試合は調子がいいことが多くて、今はタイには行けないけど、もっと蹴り込んだりミットを打ち込んだりしたいなと思って、PHOENIXさんに行ってみました」
──では、試合スタイルも少し見直した?
「見直したというより、最近は自分の調子がちょっと崩れちゃっていたところがあったので、それを立て直すために、一回自分の中で考えて、環境を変えてみたという感じですね」
──そういう時期を経て、また試合をしようというところまで整えられたという感じですか?
「そうですね。整えることもできて、いろんな刺激ももらって調子も上がってきたので、いい状態になったかなとは思います。試合でどうなのかはやってみないと分からないですけど、練習の中ではいい状態で来れていると思います」
──というところで、今回は永澤サムエル聖光選手との対戦です。どういう印象ですか?
「体が強そうだなというのと、足元は多く蹴ってきそうだなという印象はあります。でも、自分のスタイルをしっかりとやり込めれば問題ないのかなと思います。いい選手だとは思うんですけど、自分のいいところが出せれば大丈夫かなと」
──永澤選手が前回、Krushに初参戦した里見柚己戦については、どう思いましたか?
「まあ、うまく合わせられて、もらっちゃったなという感じですね。何度かは見ましたけど、早い段階でパンチをまとめられちゃったので、あんまり参考にはならないかなと思います」
──では、その永澤選手を相手に、どういう試合をしてどう勝ちたいですか?
「自分の持ち味を見つめ直してきたので、それを出して勝てればいいかなというのはありますね。それがどういう勝ち方になるかは分からないですけど、とにかく自分の持ち味を出したいですね。ヘタな試合をして勝つよりも、持ち味が出せて結果がついてくればと思っています」
──その「持ち味が出た試合」というのは、連勝していた頃のイメージですか?
「そうですね。むしろそれ以上のものを出せたらと思っているんですけど、その感覚自体は取り戻せてきている気がします。なかなか調子が出なかった時期は、いいイメージが湧きづらかったところもあるんですけど、ここ最近はちょっとずつ湧いてくるようになったので、悪くないかなと思っています」
──Krushライト級は激戦区になっていて、同じ大会では里見柚己選手も試合しますし、前後の大会でも注目カードが多く組まれています。また宮田充プロデューサーは「来年、ちょっと考えがある」とも言っていました。そういう状況はどう見ていますか?
「今は、次の試合しか考えていないので、正直、『来年、面白いことがありそうだから燃えている』みたいなこともないですし、とにかく次に集中している感じです。その先のことは勝ってから考えたいです」
──また所属のK-1ジム総本部チームペガサスでは、軍司泰斗選手がK-1フェザー級のベルトを落としたり、先日は白幡裕星選手がKrushタイトル獲得ならなかったりという状況です。そこについては?
「まあ、選手それぞれ頑張った上での結果だと思うので。選手をやっている以上、いい時もあれば悪い時もありますからね。だからそんなに気にはしていないです。あと、以前とはチームのメンバーもガラッと変わっているし、自分もいろんなところに練習に行っているというのもあるんですけど、今回自分が勝って、チームも勢いがつくといいとは思います」
──では、瓦田選手自身の、今回一番のテーマは?
「まずは自分の持ち味を出すということ。それと、今までは迷いすぎているところがあったんですけど、試合までに自分をしっかりと作り上げて、リングの上では迷わずに、何も考えずにできればと思っています」
──では最後に、改めて今回の試合についての“決意”を教えていただけますか?
「うまくいかない時も応援してくれていたファンの皆さんに、強い姿を見せられるように、自分も精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします。勝ったら勝ったで、またいろいろ考えて進んでいこうと思っているので、期待してもらえればと思います」
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自分の動きとか構えを変えて
──8月のKrushデビュー戦では里見柚己選手にKO負けと残念な結果でした。今、あの試合を振り返ると?
「普通に勝てると思ってたので、そこは甘かったなと。『ムエタイだから』ってさんざん言われてきて、『いや、そんなん関係ねえだろ』って思ってたんですけど、やっぱりそこは、少しムエタイになっていたのかもしれないと自分では思っていて。今回はそこをしっかりと切り替えてきた感じです。Krushのスタイルに変えてきたので、そこを切り替えるきっかけになった試合でしたね」
──実際にやってみて、想定と違った部分というのは?
「練習通りには動けていたんですよ。作戦も合っていたんですけど、ただ僕の構えがムエタイになってたんだなという感じですね。そこで、左のパンチも予測していたんですよ。あの角度で、動いた瞬間に『来る!』って予測してたんですけど、そこでもらっちゃったなというのがあったので、その部分をしっかり練習してきました。手応えはすごくあって、『今回はいけるんじゃない?』という感じに仕上がって居るので、試合が楽しみですね」
──試合序盤、ローから距離を探っていたと思うんですが、Krushの選手はそこをほとんどやらないですよね。
「確かにやらないですね。まあ負けたので、いろいろ言われるだろうなとは思ってたんですけど、それでもやっぱりローキックは僕の強みだし、マジで倒せる技なので、今回もそこはちょっと見せたいなとは思います。ローキックは絶対蹴るし、パンチの強化もしてきたので、そこにつなげるところは変わらないですね」
──では、Krushのスタイルに合わせつつもローは武器として捨てないと。
「捨てないです。絶対に生かせるという自信があるので。もちろんガードだったり構えだったりはKrushのスタイルにしないといけないなと前回の試合で感じたんですけど、いつもの動きにプラスしてKrushのスタイルを入れていった感じです」
──前回の試合前は自信に満ちていたので、敗戦でのショックは大きかったのでは?
「うーん…でもファイターなので、負けもあるというのはもちろんなんですよね。だからそこまでショックというより、『この野郎、次はぶっ飛ばしてやるからな!』という気持ちの方がデカいです。まあ、周りからは言われるんですけど、そこは僕としてはあまり気にしてないというか。『どうせ試合で見せるしかないんだから、いろいろ言ってもしょうがないでしょ』という気持ちで、今回は本当に切り替えて、あの負けも上書きするようなインパクトのある試合をしたいと思っています」
──それも、これまでのキャリアでずっとやってきたことという感じですか。
「そうですね。何戦もやってきて、一発KOというのはあんまりなかったんですけど、いつか絶対あるとは思ってたので。自分もやるし、やられることもあるだろうなと思っていて、それが前回来たというだけなので、次は自分がワンパンでKOすると思っています」
──今回も、元王者との対戦となりました。瓦田脩二選手の印象は?
「背が高いですよね。長身でパンチャーというイメージで、すごく細かいパンチを打ってきて、そこからヒザも出るという印象です。ただ、これまで長身の選手は何人かやってきていて、距離感は離れていると思うので、やりづらいとかは特にないです。あとは、自分の動きとか構えを変えて、実際に試合で使うのは初めてなので、どんな風になるかなと言うのがあるぐらいですね。心配とかはなくて、楽しみの方が大きいです」
──どう戦えるかという楽しみですね。
「そうですね。しかも、2戦連続で元チャンピオンとやらせてもらえるのは光栄なので、そこはしっかりと、与えられた役割に応えたいです」
──Krushライト級は王者も次々に変わっていますが、特に激戦区と言われています。そこはどう見ていますか?
「そういう風に言われているのはうれしいですよね。そこに呼んでもらえたというのもあるし、こうやって連続で元チャンピオンと当ててもらえたというのは、何か期待してもらえているのかなというのもあるので、僕が勝ってしっかりアピールしたいですね。先日の会見で、宮田プロデューサーが『来年は面白いことをやりたい』と言っていたので、そこに加われれば最高なので、僕も来年、花を咲かせるために、今回しっかりと勝ちたいです」
──他の選手たちとは違うところから乗り込むだけに、そこで暴れたいという気持ちは余計に強いのでは?
「強いですね。やっと自由にやれる状況にもなったし、ずっとK-1で戦いたかったので、ここで自分の存在をアピールしたいですね。全格闘人生を懸けて、やってやるつもりです」
──ところでXの投稿を見ると、息子さんがグローブを着けてミットを叩いている様子がすごくかわいいですね。
「そうなんですよ!(笑) まだ1歳半ぐらいなんですけど、何かマネできるようになっちゃって。毎日、ルーティーンになっちゃってて、朝はミットを持ってきて起こされるんです」
──それはすごいですね! もともとやらせたいと思っていたんですか?
「いや、特にそういうわけじゃなくて、ただ家にポーンと置いていたミットを、シュッシュシュッシュとやり出したんです。『よく見てるなあ~!』と思ってたら打てるようになっちゃって、今は自分のグローブを買って、保育園にも着けて行ったりしてて(笑)。まあ、まだ1歳なので分からないですけど、本人がやりたいと言えば面白いなと思ってますけどね」
──試合会場に応援に来られたりもしているんですか?
「はい、たぶんそこで見たのがきっかけでマネし始めたんですよね。だからホントに、勝つところを見せてあげたいと思ってます。僕もK-1に憧れていたので、せっかく来たからにはKrushのチャンピオンになってK-1でも戦いたいので、その最後の夢を子供にも見せたいです」
──まだまだやることがたくさんありますね。
「そうですね、休んでられないです(笑)。今、やれるうちにガンガンやっていきたいです」
──これだけキャリアを重ねて、また新しいことに挑戦できるというのもいいことですよね。
「そう思います。何とかここまで来れたというのもあるし、最後、悔いなくやれればという気持ちも強いので、一戦一戦大事に戦っていきたいです」
──では最後に、改めて今回の試合への“決意”を教えていただけますか?
「今回もKrushの元チャンピオンが相手ということで、期待されてのマッチメイクだと勝手に思い込んでいるので、Krushに出るということはどういうことなのか、『しっかり倒して勝つんでしょ?』というところを見せたいので、応援団のみんなにもお客さんたちにも勝つところを見せて、今年を締めくくりたいですね。そして『来年は何かデカいことやるぞ!』って言ってやりたいです」