MMA
インタビュー

【RIZIN】シェイドラエフがキルギスに凱旋帰国で歓待受ける「ベルトの準備は出来ている」、アーチュレッタ「我々は“MMAの未来”を目撃している」

2024/10/03 10:10
 2024年9月29日(日)『RIZIN.48』(さいたまスーパーアリーナ)のフェザー級(66kg)戦で、2.9kg体重超過のフアン・アーチュレッタ(米国)に、1R 腕十字で一本勝ちしたラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス・23歳)が、母国に凱旋帰国。空港で歓待を受けた。  減量苦のアーチュレッタがバンタム級からフェザー級に上げての注目の2戦目は、アーチュレッタの体重超過により、68.9kgのキャッチウェイトで行われ、アーチュレッタの勝利の場合は記録せず、シェイドゥラエフが負けるか引き分けの場合はノーコンテスト。アーチュレッタは減点50%からスタートだった。  試合当日は「10kgくらい体重差があったと思う」(榊原CEO)というなか、シェイドゥラエフは、打撃でも立ち合い。  右ハイ、左前手フック、右ストレートでアーチュレッタをコーナーに詰めるが、組んだアーチュレッタが両脇差しでクラッチ。右手をねじこんで差し返したシェイドゥラエフは、左小手に巻いて投げるが、ともに頭を着いて同体で残し。シェイドゥラエフはシングルレッグからサイドを奪うと、亀から立とうとするアーチュレッタのバックに回る。  いったん足をたぐってスロエフストレッチ、三角絞め狙いから腕十字に移行。アーチュレッタは両手をクラッチして首を刈らせず、いったんはガードの中に入ったが、シェイドゥラエフは大きく足を開いてアーチュレッタの顔に両足をかけ直すと、肩抜き後転で裏十字をうつ伏せになって極めた。  スタンドでも寝技でもアグレッシブかつパワフルな一本勝ち。海外ではバンタム級で戦っていたシェイドゥラエフは、階級上のフェザー級でも一回り大きなアーチュレッタを1R で極めてMMA戦績を12戦無敗とし、フェザー級王者・鈴木千裕との対戦を希望している。  全試合をフィニッシュ勝利のシェイドゥラエフは、リング上で「皆さん、私はRIZINのなかでトップを目指したいと思います。鈴木選手と対戦したいと思います。日本には素晴らしい選手がたくさんいます。文田(健一郎)も。私とやりたいという選手とは誰とでもやります」、さらに「ベルトの準備は出来ている」と、鈴木千裕との対戦を希望。  解説席の鈴木は、「ドンと構えるだけ。(シェイドゥラエフは)すごい強い。リスペクトを持って、やるなら正々堂々と戦いたいと思います」と語った。  試合後、榊原信行CEOは、武田光司戦に続きRIZIN2連勝・MMA12連勝をマークしたシェイドゥラエフについて、「前評判通り、バケモノぶりをRIZINファンに見せつけた、この先楽しみ」と高く評価。 「12戦12フィニッシュですからすごい戦績ですよね。武田選手に勝ってアーチュレッタに勝って。ただ(シェイドゥラエフが望む)いきなり千裕というわけにはいかないと思いますね。千裕が戦わなくちゃいけない選手は何人も並んでるんで。(千裕が)怪我明けで年末に誰との対戦になるかは最終調整をします。シェイドゥラエフは今日も圧倒的な強さで無傷で終わってるんで、名古屋でいいんじゃないかなって思ってます」と、いきなりの王座戦線抜擢には早いものの、11月17日の『RIZIN LANDMARK 10 in NAGOYA』にシェイドゥラエフを参戦させたいとした。  フェザー級には、シェイドゥラエフのみならず強豪外国人が揃ってきている。  この日の第1試合では、カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)が、木下カラテ(和術慧舟會HEARTS)を1R 1分48秒、左ストレートで衝撃KO。1月の松嶋こよみ戦、6月の関鉄矢戦、今回の木下戦と3試合連続左のパンチで初回KO勝ちをマークし、こちらも次戦で上位戦線との対戦は避けられない状況だ。  そして、11月の名古屋大会では、前RIZINフェザー級王者のヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)の参戦も決定。さらにフェザー級には、ビクター・コレスニック(ロシア)、イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)も次戦を待っている。  世界最高峰のUFCがまだ本格的には手をつけていない中央アジアからの猛者たちの戦いは、確実に日本マットのレベルを押し上げている。  翌日にキルギスに凱旋帰国したシェイドゥラエフは、首都ビシュケクのマナス国際空港に降り立つと、キルギス国旗を掲げた50人近いファン・関係者の歓待を受けた。  実はシェイドゥラエフが勝利した同日には、PANCRASEでも11勝1敗のキルギス人ファイター、カリベク・アルジクル ウルルが、いきなりバンタム級1位の井村塁(ALMA FIGHT GYM PUGNUS)を1R、75秒でTKO。ビッグインパクトでバンタム級王座戦線に名乗りを挙げている。  かつて“触ってはいけない”と言われた旧ソ連のMMA勢というパンドラの箱を開けた日本マットは、コロナ禍を経た開国で、新たなドラッグテストにも踏み切り、さらなるオープン化を進めていく。  試合後のシェイドゥラエフとの一問一答は以下の通りだ。 シェイドゥラエフ「体重超過は自分に対してもRIZINに対しても敬意に欠く」 ──フアン・アーチュレッタ選手との試合を終えた率直な感想をお聞かせください。 「試合後とてもいい気分でみなさんにお目にかかれて大変嬉しいです」 ──アーチュレッタの体重超過についてと、実際に戦った印象について教えてください。 「フアン・アーチュレッタ選手は約3キロの契約体重オーバーで試合をすることになりました。試合前アーチュレッタ選手のこの体重オーバーは関係なく試合オファーがあった時は喜んで受けたいと言う気持ちでした。というのは、彼はBellatorとRIZINでチャンピオンになっています。私自身は、自分のキャリアを上げていくために、よりよい戦績を残している選手と対戦したい気持ちが強かったからです。ただし体重超過は自分に対してもRIZINに対しても敬意に欠くと思いましたが、試合は受けました」 ──試合後、フェザー級王者の鈴木千裕選手の名前を挙げていましたが、それについて詳しく教えてください。 「まず、鈴木選手は優秀な選手であること、そして彼がRIZIN王者であるということを知っています。ですから自分自身の望みはRIZINチャンピオンになることなのでぜひ挑戦したいと思い、名前を挙げました」 ──アームバーの際にグローブが引っかかってしまったとアーチュレッタ選手が言っていましたが、どういう状況だったでしょうか。 「彼の手ををこう(手の甲・手首を)掴んでいました。彼がなんと言っていたか知りませんが、こう掴んでいましたので」 ──全試合・全フィニッシュ勝利となりました。たとえば判定まで戦ってみたいとか、フルラウンドやってみたいという思いはあるのでしょうか。 「今日で12試合していますが、大体ほとんどが1Rでフィニッシュしています。3Rまで戦うことに意義はありませんので、3Rまで自分が戦えるような相手をRIZINが提案してくれたらと思います。まあ鈴木選手だったら3Rまで行くのではないかと思います」 ──ファンからの後押しや期待も必要になると思います。日本のファンをもっと増やすためにやっていきたいことはありますか。 「どうやったらと考えると、どの試合でも内容の濃い、いい試合をすることがまず自分のできることのひとつなので、そういう試合をひとつずつこなしていくことでファンが増えると感じています」 ──大晦日大会への参戦意思はいかがですか。 「もちろんやる気があります。RIZINから対戦相手を出していただければ、全力で戦います」 ──1日2試合したいという発言もありますが、どういう自信から出る言葉なのですか? 「ご覧いただいたとおり、ほとんど1Rでフィニッシュしているので、そのフィニッシュ後でもまったく疲れを感じていません。だから、これは仮定の話ですが、同じ日に別の相手と対戦するということは、相手さえいれば、いつでも体力的にもできるという意味です」 [nextpage] アーチュレッタ「朝倉海、クレベル、シェイドゥラエフ──並の選手とやっているわけじゃない。自分がピークアウトしているとは言い切れない」 ──シェイドゥラエフ選手との試合後の今、思っていることをお聞かせください。 「今の思いといえば、まずはファンの皆様、関係者の皆様に深くお詫びします。体重超過は単に私のせい、全て自分の責任です。これからは今までみたいに10日前には来日して調整し、このようなことを2度と起こさないとファンや応援してくださっている方には誓いたいと思います。それを深く心に留めて、ファンの皆さんに改めてお詫びをしたいと思います」 ──試合自体の率直な感想についてもお聞かせください。 「非常に残念です。自分としては作戦どおり動いたし、その作戦が通用していると感じていました。残念ながら最終的には一本取られましたが、そのなかでグローブが絡まったと自分が感じたこともあって、引き抜こうとしたときにグローブが引っかかった結果極まってしまい、そのことについて恥ずかしい気持ちもありますし、とにかく負けて残念に思っています」 ──シャイドラエフと実際に対戦してイメージと違っていたことがあれば教えてください。 「試合に入る前からトップファイターと試合する覚悟をしていましたし、それに関して100パーセント準備して、100パーセントの状態で臨んだつもりです。我々は今、MMAの未来を目撃していると思います。彼は本当に若いですし、素晴らしい選手だと思います。スタイル的にもボクシング、キックボクシング、柔術、全てを備えたファイターだと思います。彼のような若き新鋭と肌を合わせることができたのを光栄に思います」 ──試合を終えたばかりですが、今後の目標・展望を教えてください。 「まずは家に戻って、そこから目先のゴールを一つひとつ定めていかないといけないと思っています。自分としてはまだRIZINのなかでやりたい目標も目的もまだあるので、RIZINがまだ許してくれるならそれに向けて活動したいと思います、まだベルトは諦めていないし、そんなに遠くはないと感じているので、まずはチームと目標を設定しチームとともに高みを目指せるように努力をするだけです」 ──3連敗はキャリア初だと思いますが、自分の強さの限界はまだ感じてはいないでしょうか。 「いや、とりあえず去年振り返るとRIZINでたくさん試合をし、非常に活動が多く短い期間でバンタム級リミットの体重を作り、身体に負担がかかっていたのは事実だと思いますし、それが最近のパフォーマンスにも出ているかもしれません。ただ、短い期間の準備でも自分は楽しめているし、カブ・スワンソンやチームのみんなとの練習を楽しめているし、世界トップの選手とやれている自覚があります。  今回負けたと言っても、それは勝率が5割程度の相手なわけではなく、勝率100パーセントの無敗の全フィニッシュの素晴らしい選手ですし、その前もフィニッシュ率の高いクレベル・コイケ選手、そして朝倉海選手というみんなチャンピオンクラスで、並の選手とやっているわけではないので、ピークアウトしているとは今は言い切れないと思います」
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