（C）Zuffa LLC/UFC
2024年9月29日(日)、フランス・パリのアコーアリーナにて『UFC Fight Night: Moicano vs. Saint-Denis』（U-NEXT配信）が開催された。
▼ウェルター級 5分3R
〇ブライアン・バトル（米国）11勝2敗（UFC6勝1敗）
[2R 3分47秒 TKO]
×ケビン・ジュセ（フランス）10勝3敗（UFC2勝1敗）
1R、左右で詰めて右で差すバトルに、ジュセは左小手で投げて崩す。残して押し込むバトルに体を入れ替えたジョセだが、再び入れ替えてダブルレッグのバトル。そこにヒジを落とすジュセ。
いったん両脇を差しながら押し込むバトルに右は四つに持ち込むジュセ。突き放して中央に。左ジャブを突くジュセに、打撃右を当てて前に出るバトルは前に。ここも左小手に巻いて払い腰で投げたジュセ！
立ち上がりにがぶりのジュセに頭を抜いたバトル。ワンツースリーと手数が多いバトルに右を返して右ボディを入れるジュセだが、左右回転速く打つのはバトル。
That's 3 in a row for @BryanBattle10 👏
— UFC (@ufc) September 28, 2024
He now has 5 UFC finishes! #UFCParis pic.twitter.com/hhJ1EWLWPW
2R、右ローをこつこつ打つジュセが前に。バトルもジャブを返してみ日ボディから左、そして右ハイも。ここは警戒しブロッキングのジュセ。しかしバトルの左右連打にケージ背に。ここから左右、右ハイと繋いで押し返すジュセ。
🇫🇷 #UFCParis Official Result: Bryan Battle (@BryanBattle10) defeats Kevin Jousset by TKO (strikes), Round 2, 3:47
— UFC News (@UFCNews) September 28, 2024
Complete Results: https://t.co/nNGjJiutkl
押し込み、右から左ボディ、首相撲ヒザも突くバトル。被弾するジュセはガードが下がる。ジュセも顔面に返すが、退かないバトルは左から右ストレート！ さらに左右連打でジュセを金網に詰めて連打！ スタンドのままレフェリーが間に入った。
ランキングに上がってマダレラと再戦を
新星ブライアン・バトルと対戦する地元出身の元柔道代表選手で、豪州・ニュージーランドでMMAキャリアを磨いたケビン・ジュセに話を聞いた。
──シティキックボクシング所属のケビン・ ジュセ選手ですが、今回は？
「パリにいます。フランスには10日前に入ったんだけど、南フランスの方に1週間くらいいました。今はパリでファイトウィークを迎えています」
──ファイトキャンプはニュージーランドで？
「その通り。もう5年も住んでいるから、フランス大会でもトレーニングキャンプはニュージーランドで行ってきた。シティキックボクシングのビッグネーム達と練習を重ねてきたよ」
──あなたも柔道がバックボーンなのですよね。
柔道のオリンピックメダリストだろ？もちろんだ。個人的に知り合いな訳ではないが
「4歳の頃からずっと柔道をやってきたし、黒帯をとってから15年以上経っている。フランスのナショナルチームで戦ってきたから、日本の石井慧の柔道の試合を見てきたし、この競技のレジェンドだからね、もちろん知っているさ。彼のMMAでの足技もよく見ている」
──柔道家がMMAに移行する難しさは？
「確かに時間がかかった。掴むべきGIがない事でテイクダウンをとるという事にまず苦労をした。柔道のルールが変わって足を掴む事が出来なくなったしね。それが自分達の戦い方を大きく変えた。自分の戦ってきた柔道ができなくなったからね。MMAでは、ダブルレッグとかを学ぶ必要がでてきて、それが一番大きかったと思う。
柔道ではテイクダウンで倒されても取り戻す事が結構容易だったが、MMAではそれが難しい。レフェリーが“待て”で立たせてくれないからね。そういった事をアジャストするのに少し時間がかかった。時間と共に慣れてきたんだ。
ただ、自分にとって良かった事は柔道はフィジカルを非常に鍛える事ができる。元柔道選手の相手とスパーをすると、だいたいの選手が“フィジカルが半端なく強い”って感じるはずだ。それに柔道ではフィジカルの強さと共にメンタルもかなり鍛えられると思っている。ハードな競技だから、MMAでも試合に向き合う事ができるようになったよ」
──前戦では、キーファー・ クロスビーが、元フランス代表のあなたに大外刈りをしてきましたね。
「あぁ。絶対彼が俺にオオソトを決められる訳ないからね。かけられたときも“絶対無理だろ？”と思ったよ（笑）。自分はそのポジションに絶対な自信があったし、体幹も強いから安定しているし、彼がそれを俺に挑戦してきた時にこの試合はすぐ終わるなと感じたよ。実際、そのすぐ後に試合は終了しているから彼にとって代償は大きかったね」
──フランスで柔道で食べていく事は難しかったですか。
「そうだね。実際に経済的に柔道だけで食べていくのはなかなか難しいね。でも、柔道を続けたことでMMAが出来た部分もある。自分はコーチをしていて、子供から大人まで柔道を教えていた、赤ん坊から競技者まで。教えながら同時に自分のトレーニングも出来た事はプラスだったと思う。自分がやっている競技に少しでも長い時間、携わる為にもね。柔道を辞めてMMAに転向した後もしばらくは柔道を教えていた。柔道を教える事は素晴らしいよ。特に自分は25年以上やってきているから人生で本当に大きな部分を占めているのが柔道なんだ」
──2016年にオーストラリアに最初に移った理由は？
「最初は純粋に世界を渡ってみたかったという事。トラベルをするのが好きなんだ。新しい言語や文化を学んで新しい人たちに出会い自分自身がオープンマインドでいる事が好きだ。MMAを始めた頃はもちろんグラップリングに力を入れて、柔術が上手い人達が多くいるジムにいたりしたのだけれど、ストライキングを向上させなければいけないと思った。その時にオークランドのシティキックボクシングの話しを聞いて、そこの選手のクオリティの高さやコーチのクオリティの高さに惹かれて自分の打撃を強くする為に、と移住を決めた。そしてそれが実際に叶っていると思う。もちろん家族と離れるのはタフだったけど、柔道でナショナルチームにいた頃も遠征などで離れる事も多かったのであまり違いはなかった」
──そしてユージンコーチやイズラエル・アデサニヤがUFCに推薦してくれた？
「あぁ、俺のマネジャーやチームが結構長い間UFCにプッシュしてくれたりしていた。UFCが自分のファイトスタイルに興味を持っていた事もある。HEXで2本目のベルトを獲った時に動画を送ったりしたんだけど、それも少し後押ししてくれた気がしているよ。すごく感謝をしているよ」
──2019年の『Eternal MMA 48』でMMAわずか3戦目でジャックデラマダレラにカットで敗れたことは、大きな経験になりましたか。
「もちろん。学んだ事があったよ。あれは自分の世界戦の1戦目だった。それまでの試合は全部2分くらいでフィニッシュをして勝ってきた。それが毎回起こせる訳ではないって試合の最初の段階で気付いた。ショートノーティスで受けた試合だけれど、経験を積むことができたと思っている。2Rでカットをしてドクターがケージに戻してくれなかったけど、カットが理由での敗戦には当時とてもフラストレーションを感じた。ただ彼は今UFCでも7連勝で上にいる。ランカーの選手で、自分も勝ちを積み重ねていって、できるだけ高いランク同士となって再戦をして彼をいつか倒す事を楽しみにしている」
──対戦相手のブライアン・バトルは日本でも佐藤天選手を右ヘッドキックで破っている選手として知られています。
「とても強い相手だと思う。佐藤天はいい選手だったし、ブライアンの過去の試合を全て見て研究した。いいゲームプランを練れたと思うよ。私と私のチームで共に倒せると思っている。ただハ―ドな試合にはなると思うし、彼のような選手と戦える事は光栄だし、自分のキャリアを前に進めるにあたってとても自分にとってもプラスだと思っている」
──アマチュアMMAデビューからまだ5年で今のキャリアを詰めていますが、これからのゴールは？
「MMAに最初に足を踏み入れたのは2016年の11月。初のアマチュアMMA戦が2018年。プロ戦が2019年なので、5年しかプロ戦では経験は確かにないでけど、自分はやるか・やらないかの人間で。やると決めたら200％でやるタイプ。なのでこの競技に足を踏み入れた時から頂点を狙ってトレーニングをしてきている。自分のゴールはシンプルで出来る限り高いところに立つ事。チャンピオンになれるように。だからトレーニングを頑張っているし、負けるつもりはない。常に勝ち続けて上達をし、頂点に立てる事が自分のゴールだ」
──日本のファンにメッセージを。
「ちょうど数日前に自分のコーチ達と日本の話しをしていたんだ。自分にとても関わりが深い国なのに行った事がないなと。特にずっと柔道をしてきた中で日本の事をたくさん知っているし、色んな日本の人とも知り合って皆、素晴らしい人達で。行ったことはないけど、常に自分の行きたい国のリストには載っていて、いつか必ず早い段階で訪れたいと思っています。
いつも応援をありがとうございます。日本には行ったことはないですが、いつも日本を感じる事ができています。これまでも本当に素晴らしいメッセージを頂いたりしています。日本で生まれた柔道が私のバックグラウンドです。どうぞ私の試合を見て応援して頂けると嬉しいです。いつか日本に訪れて試合ができる事があったら嬉しいです！」
