2024年9月29日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館『K-1 WORLD MAX 2024』の8名参加ワンデイトーナメント「第7代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王座決定トーナメント」1回戦で、“イタリアンKOマシーン”レニー・ブラジ(イタリア/Team Calzolari) と対戦する第9代Krushスーパー・ライト級王者の稲垣柊(日本/K-1ジム大宮チームレオン)が、優勝へ向けての意気込みを語った。
稲垣は、4月のKrushスーパーライト級トーナメントで寺島輝、塚本拓真をKOで下して同王座を獲得。11月に小嶋瑠久を破り同王座防衛に成功。24年4月は「K-1×Krushスーパー・ライト級4対4マッチ」で元K-1ライト級王者の林健太を破り、11連勝となった。
ブラジは、“イタリアンKOマシーン”として注目を集め、23年10月にはONE Friday Fights 38に参戦してムエタイの強豪ノンタキット・トー・モースィーから3RKO勝ち。ISKAムエタイ欧州ライトウェルター級(-65kg)王者として、K-1-65kg王座決定トーナメントの台風の目になりそうだ。
自分と戦うブラジ選手が出場する外国人の中で一番の強敵
――スーパー・ライト級王座決定トーナメントの組み合わせが決まりました。組み合わせを見ての率直な感想をお願いします。
「自分が第9代Krushスーパー・ライト級王者になったトーナメントは、今回と同じ第3試合の青コーナーでした。だから自分的には、すごく縁起がいいトーナメントになりそうだなと思いましたね」
――たしかに、23年1月開催のKrushのスーパー・ライト級トーナメント一回戦の東本央貴選手とは、3試合目の青コーナーで戦いKO勝ち。4月の準決勝で寺島輝選手、決勝で塚本拓真選手を連続KOで下しての戴冠となりました。今回の出場メンバーについてはいかがでしょうか。
「自信があるのはもちろんなんですけど、客観的に実力を比べても自分が勝つなと思いました」
――それぞれ各団体の世界チャンピオンクラスが集まりました。
「たしかにベルトを持っているし、戦績は僕よりもある選手が揃っています。でも全選手の試合映像を見て、これは勝てるなと思いました」
――全員の試合映像を見たと。
「はい、見ました。組み合わせがなかな決まらなかったこともありますが、いつも対戦相手の分析はしています。具体的には言えませんが、うちの代表(K-1ジム大宮チームレオン=姜宗憲代表)が相手の分析を細かくする方なので、自分もやりますね」
――これまで13戦して1敗しかしていませんが、ほぼその分析通りになっていると。
「そうです。よく相手の分析をしないで、ぶっつけ本番で戦う選手もいますが自分はそういうことは嫌ですね、負けたくないんで。できることはすべてやってから、リングに上がっています」
――分析しない選手は、立てた戦略がはまらないと焦るからという意見もあります。
「作戦は何パターンもあって、自分がやられるパターンも立てるので、手札が多い感じです。それを試合中に判断して臨機応変に変えているので、焦ることはないですね」
――手札を多くするのは大変ですね。
「めちゃくちゃ大変ですよ。考えてただ知識を頭に入れただけでは試合に出ないので、それを練習に落とし込む作業が必要になります」
――仮に1試合で何パターンくらい想定しているんですか?
「倒すパターンよりも、自分がやられるパターンの数の方を多く想定しています。日に日に穴は少なくなっていますが、だからこそ強引に入ってくるだろうなとか。とくに外国人ファイターは、そういうことが多いだろうなと予想しています」
――フィジカルで強引に来られると、パターンも何もない気がしますが。
「その圧力をどうするかですね。詳しくは言えないですけど、考えてやっています」
――それを全選手で考えているわけですね。対戦相手のレニー・ブラジ選手は、どう分析していますか?
「ONEの試合を見ましたが、とてもアグレッシブだし、K-1向きだなというのが率直な感想です。でもアグレッシブな分、穴もいくつか見つかりました」
――かなり激しくパンチのラッシュをかけてくる選手ですが、大丈夫と。
「はい、対策は練っています。ラッシュさせないようにしたいですね」
――ブラジ選手は20歳で、37戦で26勝のうち15KOとかなりの強敵に見えました。
「正直、自分と戦うブラジ選手が出場する外国人の中で一番の強敵だと思いました。一回戦が決勝のつもりで戦います。ここを勝てればと、チームでも判断しました」
――準決勝は、中国のメン・ガオフォン選手とアルゼンチンのトーマス・アギーレ選手の勝った方と対戦します。
「ネットでは、ガオフォン選手が優勝候補に挙がっていますけど、ちゃんと試合映像を見ているかなと思いました」
――そこまでの強さではないと。
「だったら僕は、ブラジ選手の方が強いなと思いました」
――どちらが上がってくると思いますか?
「アギーレ選手は動き回るファイトスタイルではなく、のそのそと近づいてくるタイプなので、組み合わせ的にもここはガオフォン選手が有利なと見てます」
――それでも、ガオフォン選手が上がってきても問題ないと。
「はい、大丈夫ですね」
――決勝戦は、誰と対戦しそうですか?
「分からないですけど、鈴木選手とカン・ピナール選手が準決勝で戦って、勝った方かなと思っています。とくに日本人に肩入れするとかはないですけど、鈴木選手の相手のイオヌット・ポパ選手も強豪ですが、リーチの優る鈴木選手が蹴り勝ちそうな気がしています」
――カン・ピナール選手は、与座選手が強い評価していたオランダの選手です。
「ザ・マイクスジムスタイルの選手ですよね。フィジカルとかゴツゴツ系なので、どうなるかですけど、彼と一回戦で対戦するヨードクーポン選手は蹴りだけではなくパンチのラッシュをかける選手なので潰し合うかなと思っています」
――そうなると決勝で鈴木選手と対戦する可能性も出てきますね。
「そうなることが理想ですね。あとはダメージがどこまであるのか、それは運もありますので気になるところです。でも自分のブロックは、ラッキーだったなとも思っています」
――といいますと。
「ゴツゴツ系の選手が前半ブロックに揃ったので、そこで潰し合うことになるのかなと。鈴木選手も激闘系ですし、ダメージなく上がってくるのは難しそうですね」
――そうなると優勝するためのテーマは、ダメージなく勝ち上がることですか。
「それが理想ですけど、あまり早く倒そうとか色気を出すと足をすくわれることになるので、1試合1試合を普通に戦って勝とうと思っています。普通に戦えば勝てる自信がありますね」
――ここまで結果を出していると説得力しかありません。今回のメンバーは名前が知られていないながらも、実力派が揃った印象があります。
「そうですね。僕は誰が相手でも最終的には、自分が強いとファンの方に思ってくれる自信があります」
――今年のMAX70kg世界トーナメントは、始まる前は無名選手ばかりでしたが終わって見たらスター選手が誕生したというイメージでした。65kgも同じようなことがあるかもしれませんね。
「ファン目線で見ても、70kgで活躍した外国人が大阪大会に参戦したり、楽しみなカードが増えていますよね。まったく知らない選手でも、こんなに強いんだ、世界は広いなと思いましたし。今回参戦する65kgの外国人も、同じようなことになればいいなとは思っています。その中で、もちろん僕が優勝しますよ」