MMA
インタビュー

【ONE】“野生獣”手塚裕之「農耕民族がトンガの戦闘民族を倒す! 6連続フィニッシュかましてきます」

2024/09/04 13:09

「アメリカで試合がしたい」じゃなく「アメリカで試合をすることで名前を売りたい」


(C)hiro_tgfc

──アメリカでボクサーのアンディ・ミンスカーさんの薫陶を受け、今は二瓶先生のもとで空手を練習しているなかで、ご自身のMMA打撃の進化をどのように感じていますか?

「試合を通してですけれど、ここ3戦はほとんど顔も触られずに勝ってこれていて。KO勝利ではないけれど、組みを混ぜる打撃という点で空手は合っていたりしますね。自分はあまりガードをしないんです。ノーガードって意味ではもちろんなく手は顔の前に置いていますけれど、固めたりしない。固めてしまうと、お腹が空いたりタックルに入られるスペースが空いてしまうので、“固まる姿勢をしない”のですよね。

 あとは足が止まった瞬間は必ず頭を動かすとか、打ち終わりに同じポジションに頭を置かないことであったり、ボクシングの先生の教えもそうだし、空手の練習のなかで自分に落とし込んで、それを試合のなかで実践してきて“確かにそうだよな”って思えて。最近は空手が自分がタックルを切りやすかったり、逆にタックルに入りやすかったりするという組みにも繋がっていて、距離感と相手に入る瞬間の駆け引きにいい影響が出てきて、アドバンテージを感じられるというか、MMA打撃ができるようになってきていると思っています」

──どのような展開になると思っていますか?

「相手は僕が唯一ONEで負けた試合を研究してくる感じがします。そうすると同じようにタックルで漬けにくるかなと思うのですけど、それに対してはしっかり切って、逆に自分がテイクダウンするか、その前に打撃で仕留めてしまうか、どちらにせよ相手のやりたいことはできずにこちらがフィニッシュしていると思います。打撃か寝技かは分からないけれどフィニッシュは狙います」

──フィニッシュ狙いで、流れでどちらでも、ということだとは思うのですが、先ほども打撃の進化や優位性を語っていたなかで、今回はよりKOを狙うというようなことはありますか? アピールという意味も出てくると思うのですが。

「色気出しちゃうとあまりいいことないの、知ってるんです(笑)。アメリカ大会だから承認欲求が出ちゃうかもしれないですけど(笑)、でも大丈夫です。僕はいつも『フィニッシュを狙う』と言っていて、それでこの5戦フィニッシュできていますけど、あくまでもフィニッシュは、勝つための一番の最短ルート。最後までリスクなく終わらせるために。勝つための最短ルートの中で終わっているということ。だから勝つことを一番のプライオリティに置いているので、最悪判定でもいいとは思っているんです、それくらい勝ちに徹しています」

──MMAキャリアがアメリカで始まっていることも踏まえて、今回デンバー大会に出ることには特別な思いがありますか?

「そうですね、やっぱり総合格闘技を始めた土地ですし、アマチュアのキャリアもずっとこっちで積んで“プロになって、自分がアメリカに呼ばれて試合をすることになったか!”と感慨深いことをちょっと思った瞬間はあるのですけど。そこでやっぱり勝たないと、別に“アメリカで試合がしたかった”ってわけじゃなくて、“アメリカで試合をすることで名前を売りたい”ということなので、ここでしっかりフィニッシュしたいですね」

──北米で名前を売るということが、キャリアを通して目指してきたことのひとつなのですか?

「お客さんをとってみても、アマチュアのときから北米ファンはすごくエキサイティングで、僕もそういうファンの前で試合をするのは好きでしたし、やっぱり世界で一番大きな団体があって、MMAファンがすごく多いですから、そこで自分の名前を売れたら名誉なことですね。もちろん日本にも国内の大きな団体があり、有名になっているファイターもいますけど、自分が一番最初に目指したのは海外に出て世界の強豪たちと戦っていくことだったので。そういう意味では世界で名を売っちゃったほうが早いかなって。国内でいくら知名度を持つことよりも。だから今大会に出られることはとても嬉しいです」

──“やっとここまできたか!”という気持ちですか? あるいは順当な流れでしょうか。

「順調にステップアップできているとは思っています。そういう意味でも、ここで勝ったら次はタイトルショットが欲しい! とは思いますよね」

──では、この試合をタイトル戦を見据えた重要な試合として、位置付けていますか。

「そうですね。いい勝ち方すれば組まれるのかなと思いますし、そこに関わってくるかなとは思っています」

──ケージでの試合となることについてはいかがですか?

「ここ3戦がリングだったのですけど、それ以外は自分の経歴がアマチュア含めてケージなので慣れていますし、ケージの方が戦いやすいかなっていうのはありますね。リングにはリングの良い面があって、コーナーがある分追い詰めやすいというようなことはありますが。ルンピニースタジアムのリングはMMAで考えるとちょっと狭いんです。自分がテイクダウンしたときに相手に立たれにくいっていうのはありましたけど、だから自分が下になると立ちづらかったり、狭いので腕十字に行ったときに体が詰まりそうになったりして。だから、より足も使えて、ケージなので万が一倒されても立ちやすいという利点を活かしていきたいです」

──王座戦を見据えてのプレッシャーなどもあるかと思いますが、今は楽しみが勝っていますか?

「はい、楽しみですね!」

──手塚選手は緊張しないようなイメージです。

「どうなんですかね?(笑)ある程度しますよ。控室でウエーってなったり(笑)。最近胃が弱くて」

──コメを食べているのに?(笑)

「ハハハ!(笑)」

──ケージに入るときはどんな気分なのですか?

「雑念があるんですよ。この間なんて“絶対これ勝ってボーナス!”とか(笑)。だから集中して、コントロールできることに徹したい、つまり勝つことだけを考えたいと思います」

──SNSでの突然のトラッシュトークなどはどういう心境といいますか、狙いでつぶやいているのでしょうか。

「呟きは注目を浴びたくて、ふざけてやっているだけです(笑)。承認欲求がすごくて」

──注目されますが、それに伴うアンチコメントなどが気にならないのですか?

「気にならないです。自分で蒔いたタネなので、そういうのはしょうがないです。分かった上でやってるので。でも最近は、父親だし、みっともないから落ち着こうと思っています」

──ご家族に「やめて」って言われたりも?(笑)

「妻はSNSをやらないので俺が暴れていることを知らないんですけど(笑)、客観的に見てスポンサーさんの企業イメージとかもあるので改めようかな、って。でもそう考えながらも、承認欲求にかられてやってしまったりするので、エンターテインメントだと思って、見てくださいね!」

──では最後に、U-NEXTでライブ配信を視聴するみなさんにメッセージをお願いします。

「しっかりフィニッシュして6連続フィニッシュかましてくるので、よかったらご覧になってください!」

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント