MMA
インタビュー

【UFC】11カ月ぶり復帰戦で王者デュ・プレシに挑戦するアデサニヤ「そして今、準備は整った」「同じ動物だが、異なる獣だ」

2024/08/18 04:08
 2024年8月18日(日)豪州パースのRACアリーナにて『UFC 305: Du Plessis vs. Adesanya』(U-NEXT配信)が開催される。 ▼UFC世界ミドル級選手権試合 5分5Rドリカス・デュ・プレシ(南アフリカ)21勝2敗(UFC7勝0敗)※UFC7連勝中イズラエル・アデサニヤ(ナイジェリ)24勝3敗(UFC13勝3敗)  メインイベントは「UFC世界ミドル級タイトルマッチ」(5分5R)で、現王者のドリカス・デュ・プレシ(南アフリカ)に、元王者のイズラエル・アデサニヤ(ナイジェリ)が挑戦する。  南アフリカ人初のUFC世界王者のデュ・プレシは、KSWウェルター級王者からEFCミドル統一級王者となって、2020年10月からUFCに参戦。2024年1月にショーン・ストリックランドにスプリット判定で勝利し、UFC無敗の7連勝でベルトを巻いた。  対するアデサニヤは、2023年4月にアレックス・ペレイラとの再戦で2R KO勝ちでリベンジし、王座奪還。しかし、2023年9月のストリックランド戦で右ストレートでダウンを奪われ判定負け。王座から陥落している。その後、一時的な休養宣言を行い、戦列から離れていたが、11カ月で復帰。いきなりタイトル挑戦となった。  メディアインタビューで、豪州の隣国のニュージーランドのシティ・キックボクシング所属のアデサニヤは、“ホーム”での王座奪還に向け、「リフレッシュとリセットが本当に良かった。そして今、準備は整った」と王座奪還を予告した。 今までで一番大きく、筋肉もついた。自分のスピードに驚く ──今回のトレーニングキャンプはいかがでしたか。 「過去最高のトレーニングキャンプを送れたと思う。感情的には落ち着いている。練習プログラムをアップグレードした。ただ我武者羅にやるだけでなく、怪我をしないように注意したよ。俺は王者として16カ月で5試合をこなしたんだ。リフレッシュできて本当に良かったよ」 ──「ベルトには興味がない」という発言もありました。あなたにとっての成功とは? 相手を倒すこと? 派手に打ちのめすこと? それともファンを楽しませること? 「今回の試合でいうと、その3つ全てだ」 ──「アフリカン・アメリカンとしてフランシス・ガヌーがPFLでMMAに復帰することについては、どう捉えている? 「彼が復帰することは嬉しい。彼が成し遂げたことや、彼が今取り組んでいることについて本当に嬉しく思う。彼は、誰にも経験させたくないような苦難を乗り越えた。フランシスのことをリスペクトしているよ。彼は今のUFCにおいて非常に重要な存在だった。UFCと他団体の間には競争があり、バトルもあるけど、彼の築いた歴史を無かったことにはできない。無視しようとしたり、話題にしないのは馬鹿げている。今はPFLで戦っているけど、それでも彼の歴史は変わらないんだ。今はちょっとした意地の張り合いだけど、UFCは賢い人たちが集まっているから、いずれ問題は解決されるだろう」 ──11月1日から新しくルール変更が導入されます。12-6エルボーの解禁、そしてグラウンド状態の攻撃の定義も再設定されることになりました。 「間違いなく嬉しいね。もうそろそろだと思っていたし、これが実現して良かった。ただ、ジャッジも改善されるべきだと思う。自分はまだ良いんだけど、他のファイターたちのためにね。勝利ボーナスがあるファイターが、ジャッジの判断でそのボーナスを奪われることがある。それが彼らの報酬の半分、場合によっては1万、2万、2万5千ドルにもなることがあるんだ」 ──ファイターとしてのレガシーを大事にしたいということですね。あなたとっては前回の試合(ショーン・ストリックランド戦)の周囲の反応はいかがでしたか。 「ファンの移り変わりが激しいから、団体がレガシーをしっかりと祝わないと、フランシスのような偉業が忘れられてしまうという懸念があるかもしれない。でも、インターネットの時代なので、そんなに簡単には忘れられないと思う。自分自身のことを振り返ると、前回の試合はひどかった。あの試合には満足していない。今回の試合は、やるべきことをやって、皆が驚くようなパフォーマンスを見せたい。だから、今回は自分の実力を再証明するときだと思っている」 ──11カ月ぶりの試合です。あなたが格闘技を始めて以来、最も長い休養期間となりましたが、長引いていた怪我や問題を癒すためにどれほど重要だったでしょうか。効果はいかがですか。 「あの休養は本当に重要だった。でも、これまでも何かしらの問題を抱えながら戦ってきた。例えば、マイアミでのアレックス・ペレイラ戦では、2週間前にヒザを故障したけど、それでも試合をキャンセルしなかった。本当に悪い状態だったし、ヒザが完全に壊れる可能性もあったけど、“これは一生に一度のチャンスだ”と思って戦ったんだ。そして、それは結果的に成功した。時には賭けに出て成功することもあれば、失敗することもあるけど、今回はリスクをうまく管理できたと思う。  この休養で身体を癒し、格闘技から完全に離れたことで、自分がアスリートとしてのレベルを上げたのは確かだ。期間は約3カ月間だった。自分の今後のキャリアにどれくらい影響があるかは分からないが、間違いなくファイターとしてのレベルは上がったよ。  今回がこれまでで最高の自分を見せることができると思う。今までで一番大きく、筋肉もついた。自分のスピードに驚くこともあるし、シャープな動きができている。このリフレッシュとリセットが本当に良かった。そして今、準備は整った」 ──敗れて「この選手は終わりだ」と思われる風潮もモチベーションになる? 「ニューヨークでアレックス・ペレイラに負けたときも『奴は終わった。引退すべき』なんて言われたけど、そんな馬鹿げたことを言う奴らは、自分たちがなにを成し遂げたかってことを理解していないんだ。怒りの感情も沸かないよ。自分が何をできるかは分かっているし、チームも分かっている。だから、今はそれを証明する時だ」 [nextpage] 怒りは炎のようなもの。自分を助けるためにも使えるが、焼き尽くすこともある ──「感情的には落ち着いている」ということですが、その落ち着きはどこからくるのでしょうか。 「経験からだ。この11カ月で本当にいろいろなことがあった。自分の人生の中でたくさんのことを乗り越えなければならなかった。私生活はあまりソーシャルメディアには出さないけど、だからこそ、自分自身と向き合って、たくさんの自己探求をしなければならなかったんだ。“俺はこの仕事、そして人生から何を得たいんだ? どんなレガシーを築きたい?”そういった質問を自分に投げかけ、正直に向き合わなければいけなかった。そして最終的に、復帰したら新たな自分でありたいと思ったんだ。『Same animal, different beast(同じ動物だが、異なる獣)』(※コービー・ブライアントの“Different Animal, Same Beast”にかけて)さ」 ──なるほど。あなたとドリカスのフェイスオフはかなり長く続いていましたが、記者会見自体は落ち着いていましたか。 「自分は何が起こるか分かっていたけど、彼が俺を脅そうとしたんだ。でも、そんな簡単な相手じゃないって、彼はすぐに気づいた。あの瞬間に、彼は俺の目を見て、俺が何者なのかを悟ったんだろう」 ──王者であるドリカスがアンダードッグになっていることについては? 「俺が優位に見られているとは知らなかった。ドリカスに期待するのは、彼が全力を尽くしてくることだ。彼は『最高の状態だ』と言っているけど、俺が求めているのはまさにそれなんだよ」 ──あなたが王者のときは、短期間で多くの防衛戦をしていましたが、今回勝てば同じようなペースで戦う? 「今は日曜日の試合だけに集中している。日曜日が終わった後に、次のことを考えるよ」 ──日曜日にドリカスに勝てば、ランディ・クートゥアーに次いでUFC史上2人目の3タイムス・チャンピオンになります。その偉業については? 「特に考えていない。ただ、ドリカスに集中している。結果は後からついてくるものだ」 ──ストリックランドが次のタイトル挑戦者になることが決まった時、「少し考える時間が必要だ」と言っていましたが、その後、何か考えは変わりましたか? 「未来のことを考えたくはない。全てをこの試合に集中させている。俺はベルトのために戦う必要はない。これまで一度もそうしてこなかった。今はただこの試合に集中して、ドリカスを倒してから、次のことを考える」 ──あなたは映画『ソウ』のテーマソングを、入場曲にしている。ドリカスは前に進むタイプのファイターで、あなたは巧妙な罠を仕掛けるのが得意だ。この試合に向けて、映画『ソウ』と試合の間に何か共通点を感じている? 「『ソウ』についてはあまり考えていない。『ソウ』のテーマはただ、自分の肌に鳥肌を立てるようなトラックだから好きなんだよ。でも確かに、映画のように、すでに罠は仕掛けられている。試合が決まる前からたくさんの罠があったんだ。でも、きっと向こうも一生懸命罠を仕掛けようとしているんだろう。これが俺たちのゲームなんだ。コーチ対コーチも含めて、誰がより良いゲームプランを持っているか、どちらがより優れた戦略を持っているかを見てみようじゃないか。罠が仕掛けられ、その罠に仕掛けるために、さらに罠が仕掛けられる。ただ結局、時にはただ戦うしかない。そして今週末、俺たちは戦うんだ。待ちきれないよ」 ──カスタムショーツの写真を見たけど、これまでで一番格好良いのでは? 「ありがとう。個性を少しでも見せることができるのはいいことだと思う。5カ月前くらいに、ハンター(キャンベルCBO)がそういうことができるようになると教えてくれたんだ。ゴールドグローブが登場する前から、ショーツをデザインして送っておいた。最初はゴールドグローブがあまり気に入らなかったけど、ショーツと合わせて見たら、意外と悪くないと思ったよ。ゴールドグローブは自分のショーツには合うけど、他のファイターにはあまり合わない場合もある。まあ、それは俺の問題じゃないけどね。黄色の稲妻のスピード感が気に入っているよ」 ──あなたのドキュメンタリーでは、自分の中の怒りを解放するテーマがありました。怒りに代わるモチベーターは何か見つかりましたか? 「怒りは主なモチベーターじゃない。怒りはエネルギー源だ。炎のようなものだよ。料理に使えば役立つし、自分を助けるためにも使える。でも、家を焼き尽くすこともある。ただ、どうやってコントロールするかを学ぶだけだ」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント