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【RIZIN】予想を覆した元K-1王者の2人──久保優太「打撃では無理、でもタックルにきても無理なので、僕を脅威に感じて」、安保瑠輝也「体格だけで勝負できたわけじゃない」

2024/07/30 21:07
 2024年7月28日『超RIZIN.3』(さいたまスーパーアリーナ)で朝倉未来を1R、左フックでTKOに下した平本蓮以外にも、同大会では元K-1ファイターが大方の予想を覆す活躍を見せた。  フェザー級MMAでは、久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE)が斎藤裕(パラエストラ小岩)を2R4分19秒、三日月蹴りでKO。  また、スタンディングバウト特別ルール(69.0kg契約)3分3Rでは、安保瑠輝也(MFL team CLUB es)がマニー・パッキャオ(フィリピン)とフルラウンド戦い、攻勢の場面を作るなど健闘し、判定無しのドローとなっている。  両者はいかにアンダードッグの予想を覆したのか。試合後の一問一答全文を紹介したい。 久保優太「鈴木千裕選手はオールラウンダーの選手には勝っている。でも僕みたいな打撃超特化型の選手とやったら、勝負論あるんじゃないか」 ──斎藤裕選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。 久保 いやー、ちょっとホッとしています。やっぱり緊張していたし。そうですね、ここで斎藤選手という元フェザー級チャンピオンに勝たないと、僕の目標だったRIZINフェザー級ベルトを獲るというところを、せっかく4連勝まで来て、前回、高橋遼伍選手という強敵に勝つことができたのに、今回負けちゃったらまた振り出しに戻っちゃう、“やっぱり久保はMMAまだまだだった”と思われちゃう、どうしようと緊張していました。 サラ 今回はあまり叫ばなくて済みました。なんか地味で。ちょっと上の人の戦いって素人からするとよく分かんなくて。今回あまり叫ばなかったけど、勝てたからよかった。 久保 いやあ……ちょっとそれに期待していたんだけど、サラちゃんのエールとか応援に。 サラ 応援はしてたけど。 久保 試合前に目は合ったよね? サラ 合ったっけ? 久保 うん、でもサラちゃん怖い顔してた。 サラ ああ、それはマザーファッカーさんの応援しすぎててちょっと喉が枯れてたから心配だった。そっちに使っちゃった。 久保 ああ確かに。芦澤竜誠くんも勝ったしね。 サラ 今回勝ったんで、千裕? ですかね? なんか、最近チャンピオンって知ったんですよ。イケメンな人いるなと思ってたけど、まさかそれがチャンピオンだっても思ってなくって。ヤバッて。 久保 久保とどっちがイケメン? 今日の久保はイケメンだったでしょ? サラ それは人によるよ。 久保 クソ~。 サラ 相手の選手、いたじゃない。 久保 斎藤選手? サラ あの歌のモンチッチにそっくりすぎて(笑)、モンチッチに見えました(笑)。 ──入場の映像に出ていたモンチッチですね? 久保選手の話ではないのですね。 サラ はい。モンチッチです。 ──打撃の攻防で余裕のある表情を見せていたのは? 久保 タックル切って、斎藤選手の手札をどんどん削っていって、“もう打撃勝負するしかないんだぞ”っていって、“出してこい、それには全部カウンター合わせてあげるよ”って。そこに“パンチなり蹴りなり来たら、そこに合わせてあげようかな?”っていう誘いでした。 ──斎藤選手と実際に戦った感想は、想定どおりだったということでしょうか。 久保 いや。想像でもめちゃくちゃ斎藤選手の映像をずっと見て強いの分かっていたし、見る分だけ斎藤選手の癖だったり強い部分・弱い部分、すべて頭にインプットして今日を迎えたので、斎藤選手は本当に、自分のイメージは本当にめちゃめちゃ強い。でもそのとおり本当に強い人でした。 ──サラさんから「鈴木千裕」という名前も出ましたが、今後の目標・展望を教えてください。 サラ やっぱなんか、ここまできたらチャンピオン見えちゃったじゃん。 久保 行けそうな気がするでしょ? サラ 行けそうな気がする! 久保 ハハハ! サラ 行けちゃうんじゃない? これ、ヤバッ。 久保 でも真面目な話をすると、鈴木千裕選手はやっぱり、フェザー級ランキングがもしあるとするならば1位、2位、3位の選手、オールラウンダーの選手には勝っている。金原(正徳)選手や(パトリシオ)ピットブル選手のような。でも僕みたいな打撃超特化型の選手とやったら僕は勝負論あるんじゃないかと思っていて。  僕はフェザー級でチャンピオンになりたくてこの舞台に来たし、斎藤選手にもチャレンジしました。鈴木千裕選手とやりたいですし、僕と鈴木選手の打撃、どっちの打撃が強いか、興味ありません? もし直接対決が叶わないなら、挑戦者決定戦でも、一個前の前哨戦でも何個でもいいです。どんどん勝って、一個ずつクリアして、RIZINフェザー級のチャンピオンになりたいと思っています。 サラ 順番を踏みたいみたいな? 久保 順番? そうだね、段階を踏んでいって、元フェザー級のチャンピオンにああいう勝ち方できたっていうのは……。 サラ たしかに。 久保 斎藤選手もああいいう形でKOされたのは初めてだと思うんですよ。そういう勝ち方ができるのはやっぱり僕しかいないと思っているし、それくらい僕の実力っていうのを今日証明できたと思うので、僕はフェザー級でチャンピオンになれると、僕自身思っています。 サラ なんかさあ、“チャンピオンになれるかも”ってちょっと見えてきたらさあ、“なんか応援しよ”と思った。 久保 今まで応援してなかったの? あんなに声出してくれていたのに? サラ いや、違う。手のひら返すじゃないけどさ。いけるかも。 久保 1:9の割合で選手の方や専門家の方から斎藤選手が勝つというふうに言われてたから。 サラ K-1チャンピオンでRIZINチャンピオンて、結構ヤバくない? 久保 それを目指しているんだよ! サラ ヤッバ! ウソ。ヤバいよ。 久保 RIZINフェザー級でチャンピオンになります! 今年でも来年でもいいので、皆さん期待しててください。 サラ 手応えが違う。ちょっと人気になったぽいよ! 久保 本当に? サラ 帰りの花道のさ、お客さんの手を、「うぇい!」みたいにやるの、あれあったよ。あれなかったでしょ? 私も波に乗って「うぇーい」とかやっちゃったけどあれ初めて。気持ち良かった! 久保 さいたまスーパーアリーナで歌ったのは気持ち良くなかったの? サラ あれはもう慣れた。運動の一環になった、普通に。でも最後の手のブワーッ! っていうのは超気持ち良くて、「みんな大好き!」みたいな。あれまた味わいたい、クセになるから。 久保 じゃ、そのためにも、勝ちます! ──際のヒザ蹴りを効かせてからの三日月蹴りは狙っていたのですか。 久保 「一撃必殺の技がある」と言っていたことですか? あれではないです。あれは僕のK-1時代から見てくれている人は分かると思いますけど、僕はあれで何人も倒してきた、普通に僕の打撃技術の一つです。僕は本当にたくさん必殺技があって、どれも一撃で倒せる技ではあるので。 ──計量の時に言っていた必殺技ではないのですね。 久保 あれじゃないんですよ。 ──「王座挑戦でなければ、挑戦者決定戦でもいい」と。いろんな選手がベルトを狙っていて、鈴木選手がピットブルとやりたいと言っているなかで、順序もあると思いますが、どのような選手とやってベルトに近づいていきたいですか? 久保 やっぱり具体的には、前回、高橋選手に勝ってケラモフ選手とか元チャンピオンクラスの選手とやりたいと宣言させてもらって、それで今回RIZINが斎藤選手と組んでくださったので。今回のような元チャンピオンを倒せて──そうだな、どういう選手がいいんだろう? チャンスをもらえたら、『こいつに勝ったらタイトル挑戦させてあげるよ』とRIZINに用意してもらった選手を、『ニンジンぶら下げて』もらってじゃないですけど、一人ひとりクリアしていくっていう。僕はその自信が正直あるので、倒していくのみであります。 ──今日のメイン(朝倉未来vs.平本蓮)で勝ったほうとか? 久保 朝倉選手も平本選手もタイトルを目指している感じなのですか? 順番待ちすごいですね、千裕選手人気ですね。それだけこのフェザー級は群雄割拠なのかもしれないです。たしかにそうですよね。外国人の選手も滅茶苦茶強い選手が入ってきているので。ファンが望むカードでなおかつ、そろそろタイトルいいだろうって人とやりたいですね。 ──安保選手とパッキャオ選手の試合はどのようにご覧になりましたか? 久保 安保選手って、ディスりじゃなくすごいなって思います。MMAやって、BreakingDownでスダリオ剛選手とやってボクシングでパッキャオ選手とやるんですよ。すごいですよね(笑)。僕だったらできないですよ。僕とは違う道の選手だと思うけど、対戦した選手として、僕にはできない道なのである意味尊敬しています。 ──距離のコントロールにすごく長けていて、見応えがあるなかで、全部カウンターを取る感じで斎藤選手の打ち手がなくなっていきました。最初から試合のプランだったのですか? 久保 自分は打撃ではGLORYとK-1でチャンピオンになった人間なので、僕と打撃で勝負するとしたら、変な話、世界でも僕が一番だと思っているんですよ、MMAでも。でもそれはテイクダウンしたりタックルで変わる。だったらテイクダウンディフェンスを完璧にしなくてはいけない。  テイクダウンディフェンスが強いと言われている朝倉選手や平本選手が斎藤選手からテイクダウンされていたわけじゃないですか。斎藤選手に対して、自分がやっているテイクダウンディフェンスが通用してテイクダウンされなかったとしたら、僕がいま練習しているものがすごい成長できているというか。自分自身の実験じゃないですけど、改めて練習の成果が、今日の試合をもって(証明できた)。次の試合はタックルにくる選手はあまりいなくなるのでは、作戦を変えてくるのではないでしょうか。  打撃では無理、でもタックルにきても無理なので、僕を脅威に感じて(ほしい)。選手の方も専門家の方も、僕がテイクダウンされると1:9くらいの割合で、僕が漬けられて終わるという戦前の予想を見ていて「だよな、みんなそう思うよな」と。でも自分がやってきたことを信じて、BRAVEジムにはトップレスラーが所属していて、その中で僕はレスリングを勉強してやらせてもらっているし、FIGHTER'S FLOWで上田貴央トレーナーもみっちり戦略を練ってくれて、僕がどういう戦い方だったり、どういう戦略をやったらいいかをイチから考えてくださっている。弟の久保賢司も元RISEチャンピオンなので、弟が打撃コーチをずっとやってくれているので、僕はその皆さんを信じて、今回BRAVEジムの宮田和幸代表も忙しい中セコンドについてくれて、本当にみんながチーム一丸となってじゃないですけど、みんなが僕を勝たせるためにサポートしてくれたことに感謝ですね。 [nextpage] 安保瑠輝也「相手を駆け引きの段階で疲れさせていこうと」 ──パッキャオ選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。 安保 試合前からずっと言っていた通り、『中尾(剛之)先生と2人で作りあげてきたボクシングを証明する』と言っていたんですけど、倒して勝つつもりでいましたけど、倒すことはできんかったけど、中尾先生とやってきたボクシングを3分3R出して、証明できたかなって、いま素直に思えて、ホッとしています。 ──パッキャオ選手と実際に手を合わせてイメージと違うところはありましたか? 安保 別にイメージと違ったところは特になくて、1回たぶんジャブにカウンターの左フックが来たのかな、それが一発顎に当たってちょっと顎が痛いですけど、特別めちゃめちゃパンチが重かったわけではないし、練習してきた想定通りかなという印象でした。 ──長くファイターをやられてきて、これだけの充実感は初めてですか? 安保 充実感? 充実感というのはどういう感情のことを言っていますか? ──パッキャオ選手と3Rやりきってファンから応援されたことです。充実感とは違いますか。 安保 充実感とは違いますかね。3分3R戦ってドローという結果になりましたけど、ほとんどのボクシングをやってきた選手たちは、「安保は1Rで倒されるし、パンチは一発も当たらんし、一発当てられたらその時点で終わる」と言われていましたけど、それは絶対覆してやろうと心に決めていたので。中尾先生と2人でやってきたボクシングはそんなことにならないと分かっていたし。ここまでひとつのこと集中してやり続けたことも今までなかったので、充実してるかは分からないけど、めちゃくちゃボクシングに没頭したという、うん。 ──達成感? 安保 そうですねえ、達成感かなあ。ほんまのこと言ったら倒したかったですけど、それで盛り上げられるのがファイターとして一番気持ちいい瞬間ですけど、まあ中尾先生からも「よかった」と言ってもらえたので。 ──いま一番何がしたいですか。 安保 6月にスダリオ剛選手と戦ってからそのまま2週間足らずで(ショーン・)ストリックランド選手と本当に試合の気持ちで挑んだわけですけど、そこから1カ月足らずでパッキャオ選手と戦わせてもらって、とにかく格闘技漬けやったなっていうふうに思うので、もちろん職業としてファイターやってるからありがたいし、嬉しいことですけど、ちょっと若干疲れたなというのは感じていて。夏もしてないし、8月にあさってくらいから入るんですけど、分からないけど。2024年は安保瑠輝也の年にしてやろうかと思っています。 ──試合当日リングに上がった時の、リカバリした体重は? 安保 76kg。 ──体格差を活かしたボクシングというのは狙いとしてありましたか? そして実際体格差がこの試合のなかでどう生きたと思いますか? 安保 体格差だけでどうこうできる選手じゃないのは分かっていたし、それは過去の映像を見ても分かることじゃないですか。デカいだけで前にガンガン詰めてくる選手をパッキャオ選手が、相手が足止まっている状態だったらサンドバッグのように面白いように打つし、そうならないように、足もちゃんと機敏に動かして、入ってくるならその分だけ下がる。それも真っ直ぐ下がるのではなくて、エスケープ、ちゃんと自分がいい立ち位置、ポジションで避けながら打つ。  下がるだけじゃなくて、次は自分のフィジカルを活かして、相手が入ってくるタイミングで頭を相手の胸のところにぶつけて距離を潰してフィジカルを活かす、みたいな感じで、ディフェンシブな戦術をやっていきつつ、相手を駆け引きの段階で疲れさせていくというか、“なかなか上手くいかんな”と思わしておきながら、“自分が次は前に行ける”という段階の勝負になると分かっていたので、もちろん体格を活かせた部分はあるけど、体格だけで勝負できたわけじゃないと思います。 ──左フックやアッパーを浴びたと思いますが、先ほども「そんなに重くなかった」と。どんな感じだったでしょうか。また、笑ったシーンの感情について教えてください。 安保 なんかねえ、パンチはさっき言ったように特別パッキャオ選手だからどうというのはなかったんですけど。笑っちゃったりするのは、いいの当たった時に、楽しくなっちゃうってのもあったりして、あとはたぶん性格が、戦いの時にオラオラしちゃうのがあったりするので、いい点でもあり悪い点でもありますけど、冷静になるところはなる、熱くなって倒しにいったほうがいい時には、いい場面もあるし、そこは自分とうまく付き合っていかなきゃいけないのですけど、あえて笑ったりするのは自分の持ってる性質、性格ですかね。「楽しくて」です。 ──今回はスタンディングバウトでした、今後はどのような種目をやりたいかなど、将来の目標を教えてください。 安保 今、特に目の前の試合終わって「次からは何で行きます!」みたいなのは特にないですけど、リング上で言わせてもらった通り、始めは嫌われながらRIZINファイターになった僕ですけど、今こうしてパッキャオ選手と戦わせてもらった時に歓声の多さや、安保瑠輝也を応援してくれる人が増えたなと、正直に嬉しいという気持ちなので、自分がまずワクワクすることに挑戦していきながら、みんながそれを楽しんでくれることをやっていって、自分なりにこの競技で、まあどの競技を選ぼうと世界チャンピオンになろうと決めているので、それを今から模索していこうかなというような状況ですかね。
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