ジムの先輩たちが巻いてきたベルトを狙う黒川(C)K-1
2024年7月27日(土)東京・後楽園ホール『Krush.163』にて、「第9代Krushバンタム級王座決定トーナメント」が開幕する。
4選手によって争われる今回のトーナメント準決勝で、林佑哉(K-1ジム大宮チームレオン)と対戦する黒川瑛斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)のインタビューが主催者を通じて届いた。
黒川は2022年5月にプロデビューすると5戦目まで負け無しだったが、2023年10月の6戦目で大久保琉唯に初黒星。2024年3月、鵜澤悠也を左ストレートでKOして再起を飾っている。伸びる左ストレートと大きく振り抜く右フック、思い切りのいいパンチが武器で戦績は5勝(1KO)1敗1分。
パンチできてくれれば殴り勝とうと思っている
──今回、王座決定トーナメントの話が来た時にはどう思いましたか?
「率直にうれしかったですし、ここまでプロとしてやってきた意味、意義があった気がしました」
──昨年10月、大久保琉唯選手にプロ初黒星を喫したあと、今年3月の鵜澤悠也戦でプロ初のKO勝利。そこからのトーナメントということで、タイミング的にはいかがですか?
「いいタイミングだと思います。感覚的に何か掴めたものもあるような気がしますし、そういう部分では、すごくいい流れの時にお話をいただいたなと思いますね」
──ただ対戦相手が、当初発表されていた大村修輝選手から林佑哉選手に変更になりました。これについては?
「別に、自分のやることは変わらないので、特に相手がどうのというのは別に気にしてないというか。ただ、大村選手とやるよりは分かりやすい試合になるんじゃないかなとは思います」
──その林選手についての印象は?
「レコード的に見ても、また前回の試合もそうですけど、倒せる武器のある選手なんじゃないかなとは思います。あのパンチは警戒しなきゃかなと」
──パンチについては、黒川選手も自信のあるところなのでは?
「相手もパンチが得意なんだとは思いますけど、僕は全然そこで負けてるつもりはないし、勝ってる自信があるので、パンチできてくれれば殴り勝とうと思っています。相手の土俵だとしても別に負ける気はしないというか」
──また、反対側のブロックでは白幡裕星選手と峯大樹選手が対戦します。そこも含めて、トーナメント全体の顔触れについてはどう思っていますか?
「そこは特にないというか、ただただ自分がチャンピオンになればいいだけとは思ってるんですけど、白幡選手は名前もありますし、自分も以前からやってみたいなとは思ってました。まあ、決勝に上がってくるのがどちらになるにしても、僕のやることは変わらないですけど、やってみたいと思っていた選手が逆の山にいるというのは、刺激になっていますね」
──この2試合を勝てばチャンピオンということになります。改めて、ベルトについての思いは?
「このKrushのベルトというのは、自分の偉大な先輩たちが巻いてきているものだし、自分もそれを見て育ってきたので、次は自分が巻く番だなと思っています。バンタム級は晃貴さんが以前に巻いていますし、それに限らずたくさんの先輩たちが獲ってきているものなので」
──プロデビューの前から目指してきたもの?
「そうですね。一つの形だと思っていますし、それを目標にしていないとやる意味がないと思うので、それが結果として形になる時が来たなと思います」
──チャンピオン経験者がたくさんいる環境の中で、タイトルが懸かる試合への向かい方も学んでいるかと思いますが。
「そこはいつもと変わらずというか、プロでやっている以上、落としていい試合はないと思うので。これまでも1試合1試合、死ぬ気でやってきてますし、本当にタイトルが懸かったトーナメントだからといってもいつも通りの自分を出せれば、自ずと獲りたいものが獲れるはずなので、自分の試合をすることに集中したいと思っています」
──「自分の試合」というところで、今回はどういう試合をしてどう勝ちたいですか?
「分かりやすい展開というか、他の3選手との違いを見せたいですね。見ている人に『あ、コイツがベルトを巻くんだな』というのを、この準決勝から思わせられればと思います」
──そこに、前回の試合で掴んだ「倒す感覚」が生きてくる?
「もちろんそうだと思いますし、それ以上の、もっとすごいものが見せられるんじゃないかと思っています」
──6戦目までKO勝利がなかったことで、以前にもそこが課題だと言っていましたよね。「倒す」ということを練習の中でも意識してきたんでしょうか?
「別に、自分的にももともと倒せるものは持っていると思っていたので、心技体の一致というか、自分の中でうまく噛み合ってきた結果なのかなと思います。だから、今後につながる手応えも掴めています」
──王座も具体的に見えてきたところで、「ここまで来た」という感覚もあったりしますか?
「いえ、それは全然ですね。ベルトを巻くのがスタートだと思っていますし、別にこのトーナメントに選ばれたことが何かになるわけじゃないですし。ここを勝ち取れない人間は上には行けないと思っているし、1試合1試合、目の前の相手を倒していけば、いつか自分の目指す場所に立てると思っているので、今はまだまだスタート以前というところですね。昨年、大久保選手にも負けた試合が、一つ自分の中では大一番だったと思っていて、そこで負けて、前回はありがたく倒せて、自分でもここに選ばれているというのは運がいいなと思ってるんですよ。だからまだ慢心はしてないですね」
──その大久保戦の敗戦で考えたことというのは?
「あの試合で学んだことだったり、感じた課題だったりというのはたくさんありました。戦い方にしろ、精神的な部分にしろ、一度負けを経験したことで、すごく大きく変われた部分はあるので、そこはすごく生きてきているかなと思います」
──では最後に、今回の試合に向けての“決意”を教えていただけますか?
「先ほども言った通り、Krushのベルトというのは自分の偉大な先輩たちが巻いてきたものですし、それを見て自分も育ってきたので、今度は自分が巻く番だということを強く感じています。そういうところを見せられる試合、見てる人がワクワクするような試合を見せたいと思います」