MMA
インタビュー

【ONE】連勝の和田竜光、ストロー級転向を宣言、パシオやブルックスらに「自分が負けているとは全然思わない」

2024/07/11 19:07
 2024年7月6日(土)タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Fight Night 23』のフライ級MMAで、シェ・ウェイ(中国)に判定3-0で勝利した和田竜光(フリー)。実力者のウェイを高い技術力で完封し、連勝を収め、試合後にストロー級挑戦も宣言した。その真意はどこにあるか。  試合後の公式インタビューに和田は「ストロー級の方がベルトに近いんじゃないかな」と語った。 ONEのMMA選手の中では僕がナンバーワンのボクサー ──今回のシェ・ウェイ戦、見事な完封劇でした。どんな作戦だったのでしょうか。 「作戦は特になくて。あんまり普段から作戦を決めてやる感じじゃないんですけど。相手は打撃は強い選手でしたが、相手の打撃を嫌がって組んだりとか、逆にそのタイミングを狙うとか、そういうことは考えてなかったです。むしろ、打撃で来るから、逆に打撃でやっつけちゃおうと。もちろん、その中で組むチャンスがあれば組んでテイクダウンする。できなければ打撃でやる。そのノリでやってました」 ──過去のウェイ選手の戦い方に比べ、今回の試合では自分の距離に入れず、和田選手が距離をコントロールしているように見えました。 「そうですね。試合始まって、1Rとか2R目ぐらいから“大体こんな感じか”っていうのが分かりました。本当はもうちょっと組んでテイクダウンとか増やしたかったんですけど、ちょっと僕のそのアタックの仕方に相手がすごく対応してきて。研究されているからか、崩し辛かったです。でも、もうちょっとテイクダウンを取れれば、試合は楽だったと思うんですけど。そこは彼がやっぱり強い選手だったんだと思います」 ──テイクダウンが難しい、脇を潜ってバックに行けないなか、近い距離でも和田選手には首相撲などの武器があります。 「距離の話をすると、近づいて打ち合う、至近距離での打撃の攻防をすることは僕は得意なので。首相撲はいつもやるし、遠い距離から出入りされるのが、僕からしたら嫌なんで、その点については、距離をちゃんと自分の得意な設定にしてやったって感じです」 ──和田選手のアタックに押されて、ウェイ選手がディフェンスに徹していたように見えましたが。 「組みに関して言うと、僕が良い所を持ちかけてたというか、何回か持てそうだったんですけど、ウェイ選手は持たせないような対応で、これは研究されていたんだと思います。あと足を触りに行ったのが何回かあったんですけど、その時のスプロールの反応もとても早かったので、徹底してやってきたのだと思いました」 ──打撃については? 「ウェイが打撃も強いのは分かっていたんですけど、僕の方が強いっていうのも分かっていたんで、特に脅威は感じなかったです。ONEのMMA選手の中では僕がナンバーワンのボクサーなので」 ──今回の試合は、和田選手がフェイントから攻撃を散らしたり、細かいパンチのテクニックが素晴らしく、和田選手の技術が非常に光った内容だと感じました。 「ありがとうございます。色んなところで、僕は『組技の選手』だと思われてるのが多いんですけど、打撃も得意なので」 ──はい。そうですよね。昔はどちらかと言うとバチバチなストライカーの印象があります。 「昔はそうでしたね。でも逆に、組みは昔はあんまりできなかったですね(笑)」 [nextpage] いわゆる「減量」って言うのを別にしてないからストロー級でチャンスを ──近年、MMAファイターとして成熟したという手応えを感じていますか。 「そうですね。経験値も上がってきて、自分のスキルはどんどん上がっているのは実感しています。逆に、体力が落ちたとも感じないし。その辺は結果が出なくなってきたら、落ちてきているっていうことなのかなっていう風に判断しています」 ──今回の試合で自身のパフォーマンスに関してどのくらいの評価をつけますか。 「悪くはなかったとは思いますね。フィニッシュできなかったのは課題ですが、でもそれもできなかったから別にそれはそれで良いと思います。やることはやったので。あの日は、あれが自分にとって1番良いパフォーマンスだったと言う感じがします。対戦相手は強かったです」 ──試合後に「今後はストロー級に落とす」と宣言されましたが、転向の理由は何でしょうか。 「理由は、普段あまり減量をしていなくて。(試合時は通常体重から)5kgくらいは落としているんですけど、凄いスムーズにできるんです。規則正しい生活サイクルにすると、自然と落ちるみたいな感じで。変なものを食うのを止めたりとか、しっかり3食を摂るみたいなノリでやると健康的な身体になって体重が自然に落ちるんです。なので、いわゆる減量って言うのを別にしてないんです」 ──減量という減量をせずにONEフライ級で戦ってきたと? 「フライ級はDJ(デメトリアス・ジョンソン)がいて彼と戦いたいというのがあって。それで言うと、とりあえず戦いたい選手がこの階級にはもういないです。もちろん、チャンピオンになるっていう目標はあるんですけど、フライ級ではそのチャンスが回ってくるのもまだまだかなっていうのと、ストロー級はまだやったことない選手もいっぱいいますし。現実的に考えた時に、落としてみようかなと。その方がベルトに近いんじゃないかなって思って。それで、今回勝ったら落とすっていう風に決めていました」 ──ストロー級挑戦、階級変更の発言の中で、その相手としてランカーやチャンピオンに呼びかけていましたが、具体的に戦ってみたい選手はいますか。 「一切ないです。そもそも戦いたい選手っていうのはいなくて、(ONEでは)DJだけでした。どのくらい強いのかなとか、触ってみたいなって思っていた時期もあるんですけれど、今は特に何もそういう感情はなくなりました。戦うのは誰でもいい感じです。  用意された相手とやりたいし、自分より評価の高いランキングの選手とかだったら誰でもいい感じです。ジョシュア・パシオ(王者)とやりたいとか、ジャレッド・ブルックス(1位)とやりたいとか、そういうのはないです。なんか“やってみたい!”って感じではないというか──まぁでも、やりたいんですけどね。(自分より)ランキングが上であれば、やりたいという感じです」 ──今、ストロー級で猛威を奮っているブルックスの実力はどう評価しますか。 「やっぱり組みが強いし、軽量級ならではというか、動きも試合を通してあまり落ちたりしないし、すごい良い選手だと思いますね。ただ、自分がそこに劣っているかって見た時に、別に対応できるかなとも思います。だから挑戦したいという風に思ったりしています。他にも強い選手いますけど、パシオも強いし、ボカン(マスンヤネ=2位)とかも強いし、ロシアの選手(マンスール・マラチエフ=5位)も強いなとは思いますが、だからといって別に自分が負けているという風には全然思わない。いけそうだなと思います」 ──ストロー級で挑戦する中で、タイトルマッチのチャンスがあるとしたらそれはいつまでにやりたいなど、ありますか。 「もちろん早ければ早いほど良いですが、体力的な衰えを今のところ感じてない。どこまで元気でやれるんだろうなって。自分でも未知なところもありますし、元気なうちにやりたいとは思います。(いま35歳で)40歳になっても、もしかしたら動けるかもしれないし」 [nextpage] 35歳の壁を越えて── ──最近、MMA業界の中でも35歳が節目の年齢みたいな話題が出ますが、ご自身としては、それは「自分には当てはまらない」と感じているのでしょうか。 「よく年齢は関係ない、年齢はあくまで数字という人がいますが、僕もそう思ってて。結果が他の選手との差を見せつけられたりとか。パフォーマンスも、別に動けるけど、あの時と比べたら落ちてきたなとかがあるんだったら、僕も辞めるという事を考えていると思いますが、それがまだないんで。できるところまでやってみようって感じです。だから『いつまでやるの?』とか周りの人に聞かれたりもしますが、『弱くなるまで』って答えています」 ──その全盛期の状態をキープできている理由は、自分でどう分析していますか。 「怪我がないというのが大きくて、そして怪我をしないためのマインドみたいなのもあって。無理をしない。あと、僕、全部練習のスケジュールとか自分で組んでいるんです。コーチがいないし、ボクシングのジムとか行くと、指導してくれるコーチはいるんですけど、練習全体を指示する人がいなくて。それは僕には今すごくハマってて。なので、疲れたなと思ったらすぐ休んじゃったりします。先輩の顔がちらついたり、厳しいコーチの顔がちらついたりすると、『ダメだ。練習に行かないと』とか普通は思うのですが、自分の場合は、今日はなんか風邪っぽいから休もうとか、あまり無理をしないでやっています。それが大きな怪我に繋がってないっていうのもあると思いますし、練習中もなるべく無理しないです」 ──練習でも無理をしない、というのは? 「若い頃って結構、頑張りすぎてどこか痛めたりとか、逆に相手に怪我させたりとかあったんですけど、そういうのをなるべく避けたいんで、危ない方向には動かないです。危なくなりそうな、例えば熱くなっている選手には練習でその選手のそばに行かないと決めています。セルフディフェンスですね。そういうのを何年もやって、怪我をしないように努めています。あと(怪我を回避した)ラッキーの連続ですね」 ──危険性がある状況にできるだけ近づかない。練習でその自制はすごいですね。 「危ないことから避けたい気持ちが強く、自分には良くないことが起きそうな事への嗅覚を持っています。もしかしたら明日大怪我して格闘技人生が終わるかもしれないし、日々そういう危機感を持ってやっていますし、その上でそうなってもいいやっていうくらいの覚悟で毎日過ごしています」 ──最大限の注意とともに覚悟もあると。最後にファンにメッセージをお願い致します。 「ファンのメッセージ……。これがね、本当にいつも一番難しいんですけど、いつも同じこと言っちゃうんですけど、次の試合も僕がどういった取り組みをして試合に臨んでいるかっていうのを、試合を見て、楽しんでもらいたいというか、気楽な気持ちで見てもらいたいっていうのもあります。 本当にビール片手に横目で見ながら楽しんでもらえるくらいでいいかなと思っています!」
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