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【超RIZIN】安保瑠輝也が前UFC王者ストリックランドと「生死を彷徨う」壮絶スパー! 鈴木千裕の拳負傷に『俺、代わりますよ』とパッキャオ戦代打出場の名乗りも

2024/06/26 10:06
 第4代K-1 WORLD GPスーパーライト級(65.0kg)王者の安保瑠輝也(MFL team CLUB es)が25日、自身のYouTubeで前UFC世界ミドル級王者ショーン・ストリックランドとのスパーリング動画を公開。さらに24日の動画では、7月28日の『超RIZIN.3』でマニー・パッキャオと対戦予定の鈴木千裕が「拳を傷めている」事態を受けて、「俺の出番やな」と鈴木の代わりにパッキャオと対戦する意欲を示した。 「試合と同じ気持ちを作る」も「嗚咽」 「練習」を超えたスパーリングだった。  ミドル級のストリックランドを前に安保は3分5Rを「マジで気合いで、“死んでも倒れへん”という気持ちでやってた」と語った。その5Rのすべてを、動画では確認することが可能なため、ぜひ見てほしい。  安保は、2023年大晦日の『RIZIN.45』でMMA特別ルールで「70.0kg契約」(5分2R)で久保優太に1R リアネイキドチョークで一本負け。今後について「総合格闘家としてキックをやることはあるかもしれないが、今後は総合格闘技に専念する」と宣言したが、2024年6月の『BREAKING DOWN 12』では、無差別級でスダリオ剛(125.20kg)との1分3R+延長1Rのキックでの44kg差対決(安保は81.0kgで計量)に臨み、判定勝ち。  そして、今回のUFC世界ミドル級(83.9kg)前王者ストリックランドとのボクシングスパーリングを自らリクエストして、実現させていた。  試合前と同じように気持ちを作ってきたという安保。本番のように緊張から「嗚咽もした」という。  最初は「3分3R」のボクシングを提案した安保に「もっとやろうぜ、10Rだ」というストリックランド。結局7Rに落ち着き、スパーリングは始まった。  試合後で、ミドル級をゆうに超えた体つきのストリックランドとの体重差もあり、安保はヘッドギアとボクシングシューズを着用。ストリックランドは裸足でグローブのみでスパーはスタートした。 [nextpage] 仕留めに来たストリックランドに安保は反撃 (C)安保瑠輝也【神回】UFC世界ミドル級王者が強すぎた  1R、ともにオーソドックス構えから。オープニングは安保の左ボディストレート。ストリックランドの左ジャブの連打に右ストレートをかぶせる安保に、L字ガードのストリックランドは圧力をかけるとジャブの刺し合い。安保のワンツーの右、サウスポーにスイッチしての左ストレートをストリックランドはスウェイで巧みに避ける。  ストリックランドの右に壁に詰まる安保が右から左フックで飛び込むと、スウェイで避けるストリックランドは笑顔に。ここで「ケージに行こう」と。マットスペースからケージに場所を移動させた。  安保がオーソに戻した瞬間に左ジャブを突いたストリックランド。安保は続くジャブで伸ばした前手を右手で払って右ボディ、さらに左のロングフックから右で飛び込むが、ここはストリックランドがバックステップでかわす。  ケージに詰めての左ジャブ、右アッパーは危うくかわした安保。「ホッ」と声をあげたストリックランドは、ゴングに「あと6R!」と嬉しそうな声を挙げている。  2Rに、1Rでも安保が見せた左ボディからの右フックを今度は読んでスウェイでかわすストリックランドの圧力に詰まりそうになると、壁を抜ける安保。懐が深いストリックランドにクリーンヒット出来ないものの、自身もクリーンヒットはさせずに回る。  詰まって右オーバーハンドで押し戻す安保だが、かわしてすぐに圧をかけるストリックランドに、安保は左ボディからの左フックのダブル。これはケージに背中をバウンドさせて避けたストリックランドがまたも笑顔。続く安保の右は左肩で避ける。ケージに詰めてガードを固めた安保にワンツーを中央に打ち込んだストリックランド。オープンフィンガーグローブならガードを抜けるストレートに安保がガードを固めて頭を下げて押し戻すと、ストリックランドは細かくアッパー。  3R、右に回る安保に左ジャブで止めるストリックランド。左ボディを当てる安保は、声をあげて右で飛び込むが、ストリックランドはスウェイ。サウスポー構えになっての左ストレートは、ストリックランドがバックステップでかわす。ストリックランドの左右ボディを突いての右はKO級の強振も、かわした安保だが、左ジャブに後退。頭を下げてのガードに徐々にストリックランドの右アッパー、ケージを背にしての右ストレートを被弾。  さらに重い右フックをヘッドギア越しに受けて動きが止まると、右アッパー、左フック、右フックにガードを固めていた安保がくの字になり、ダウン寸前もケージを右に抜けて左右で打ち返し。安保の右スーパーマンパンチもかわしたストリックランド。ブザー。  ここで「もう2Rでどうだ」と告げたストリックランド。「OK!」と大きく答える安保。  4R、ジャブの圧力を強めるストリックランド。息が粗い安保は右を振るが単発。前に出るストリックランドに左ジャブを腹に突く安保。ジャブから右アッパーはかすめた安保に、ストリックランドはケージに詰めてワンツー! セコンドの「回って、回って」の声にステップするがストリックランドの重量級の左右フックに飛ばされる。  右ボディはブロッキングした安保に、緩急をつけたジャブのストリックランドは踏み込んでのワンツーも。スウェイで避ける安保はサウスポー構えにスイッチし、左ボディストレート、左オーバーハンド。意に介さないストリックランドは左ジャブの刺し合い。  荒い息遣いのなかで安保も左フックから右ボディストレートでストリックランドを金網に詰まらせると、さらに右ボディ! ここは金網を背にせず左に回ったストリックランド。左右で押し戻すと声を上げて右を伸ばして安保をケージに詰めてラッシュ。ガードを固めて左を強振してカウンターを狙う安保をかわして右から左で仕留めにかかるストリックランドに、ここも押し戻した安保は、サバイブする。  ブザーに嬉しそうな顔で「ラストラウンド!」と叫ぶストリックランド。安保のセコンドのジョリーは「この4年間、YouTubeをやっていて、こんなにやられる瑠輝也くん、余裕が無いのは初めて」と青ざめた表情を見せる。  インターバルでストリックランドは「バケーション!」と、このスパーリングは休暇だと余裕の表情で語るなか、安保も「ラストラウンドに地獄の休暇を味わわせてやるわ」と意地を見せる。  5R、ストリックランドの右に左フックをかぶせに行く安保。ワンツーで飛び込むが、スウェイでかわすストリックランドが左前手で安保の頭を押えると、安保は中に入って内側にコンパクトな左フックで顔面をとらえることに成功。さらにワンツーで詰めるが、左にさばいたストリックランド。力を使った安保の左ボディフックは軸がブレる。さらに声を上げての左フックもかわしたストリックランドは、自分のターンとばかりに圧力を強めてワンツー。  さらにブロッキングで押し戻した安保に右アッパーを突いたストリックランド。近い距離で安保は右ボディを突いてすぐに左フックでストリックランドをのけぞらせる。 「ラスト1分」の声にギアを上げたストリックランド。右を当てて左右を連打すると右アッパーに安保はケージまで後退も立て直して反撃。しかし、ストリックランドの右の打ち下ろしに金網に詰まると、左手で頭を押さえての鉄槌気味の右の連打からの左で終わらせに来たストリックランドに、安保は「オイッ!」と声を上げて左右で押し返す。  それをさばいて体を入れ替えるストリックランド。残り20秒、安保を金網に釘付けにしての左から右のハンマーパンチ、さらに左で頭を押さえてのダーティボクシングにも安保は耐えて左を振ってブザー。  その瞬間、ストリックランドは笑顔を見せ、安保は両ヒザに手を置いた。グローブタッチ後に、マットに初めてヒザを着いた安保は、あらためてストリックランドとグローブタッチし、息も絶え絶えに「勉強になった」と一言。  鏡の前に向かい、自身の腫れた顔と鼻からの出血に「ゴッツイやん」と満面の笑みを浮かべてみせた。  そんな顔にさせたストリックランドも「オーッ」とおどけて見せると、「キックルールだったら君が勝っていただろう。もしラスベガスにきたらいつでも俺がいるエクストリーム・クートゥアーに来てくれ。君はラスベガスに来るべきだ」と、熱く米国修行を誘っている。 ストリックランドを体感した「俺だけの特権」 (C)安保瑠輝也【神回】UFC世界ミドル級王者が強すぎた スパーリングから2日後、安保はYouTubeを更新。右目を腫らし、額に傷もある顔で、「もう身体がヤバいぐらい張ってる。なんかパンプしたというよりかは、もう“生死を彷徨った”感じ」と振り返った。 「試合と同じルーティンをやって気持ちも作った。3分5Rやったけど、もう5R目なんか気持ちしかなかったから。でも“絶対に倒れたくない”っていう気持ちだけでやってたから、もうそういう時ってやっぱ人の底力が出るわけ。“オラァ”と心からの叫びみたいな気持ちが出たから、なんか久しぶりにそれを体感して」と、必死のスパーリングを語る。 「倒れてはいないけど、顔の傷も2日でこんぐらい引いたけど骨とか痛い感じがして顔もめっちゃまだ腫れてる感じがするな。俺は攻撃力もそうだけど、ディフェンス面でも自信がある。試合でもこんなもらわへん。やっぱ強かったわ、当たり前やけど」と、試合以上の経験をしたと振り返った。 「生死を彷徨った」スパーリングで得たものがあるという。 「スパーリングを見返した時に“思ったよりやれてるな”っていう自分と、“なんでここもっと行けへんのやろ”って、客観的に見てて“いやそこ行けよ”って思うんやけど、でもやっぱそん時の第三者視点の映像と、俺は直接視点の映像がある。ストリックランド選手がこう(L字ガードで前手を伸ばし)やってると、やっぱ行けへんのよなあ。行けへん理由があって、それも俺、教えてもらって、これはちょっとまあ、特別にストリックランド選手のスパーリングを体感した俺だけの特権というか。そういう部分を俺はこれから自分のものにしたいなって」。  スパーリング後の直接の技術指導の一部は、動画で確認できるが、ストリックランドから安保は、捨てパンチの動きなどのほかに、あの圧力の秘密も伝えられたようだ。 「ほんまに勇気出してコンタクト取って良かったなって、心の底から思うわ」──満足気な表情を浮かべた安保は、ストリックランドとの別れ際、今年中にラスベガスに行く約束をかわしている。 [nextpage] 鈴木千裕に「MMAやってほしい」なら「そこ、俺代わりますよ」  そして、そんなタフなスパーリングを超えた安保は24日、新たな挑戦をぶち上げている。  ストリックランドとのボクシングスパーを終えた上で安保が語ったのは、鈴木千裕の怪我により実現が不安視されているマニー・パッキャオ戦のことだった。 「今世間で、あの鈴木千裕選手がパッキャオ選手とボクシングやるっていうことで、まあなんか五味選手との試合のことも“X”見てる感じだと、なんかちょっとボクシング2連戦、パッキャオ選手との試合、あんまり(世間に)求められていないんじゃないかなと思って、ちょっと俺が声を上げさせてもらおうと思って」と、切り出した安保。 「鈴木選手がパッキャオ選手と戦うにあたって、世間では『ボクシングのエキシビション2連戦やるんじゃなくて、MMAのRIZINのチャンピオンなんやからMMAで見せてくれ』っていう声があるやん。俺自身鈴木選手のことはめちゃくちゃリスペクトしてる。キックでもMMAでも頂点になってめちゃくちゃすごいやん。結局“鈴木、オモンナイ”じゃなくて、ファンからの期待やん。“MMAやってほしい”って。やったら『そこ、俺代わりますよ』って」と、負傷を抱えた鈴木に代わり、自身がパッキャオと対戦すると名乗りを挙げた。  久保戦後、「総合格闘技に専念する」と宣言していた安保だが、スダリオとの無差別級のキック戦、そして今回のパッキャオとのボクシング戦の名乗りは、どの道に繋がるのか。 「俺はキックボクシングにけじめをつけたいっていう発言で、その俺がどう向かっていくのかっていう部分では、要するに濁して終わらしてる状態なんやけど、俺ん中ではプランはある。スダリオ戦もあのでかい選手と試合するって考えた時に、“あっ、この試合をしたら俺は何かやれるものが必ずあるはずや”と思ってやったわけ。ストリックラン選手ともそう。“UFCチャンピオンの拳を受けてみたい”それで“俺の拳が通用するんか、確かめたい”って。パッキャオ選手はボクシング6階級制覇チャンピオンで、もうボクシングを極めた人。その世界のボクシングに俺は、中尾(剛之)先生のボクシングが通用すると思ってるから。それを証明したいと思う。でそれを世間が求めてくれるんやったら、なおのことやりたいなって」と、安保のファイターとしての成長と進化への挑戦の過程にあるとした。  安保は、「最後は榊原(信行)社長が決めること。俺の願いとしては(周囲が)そういう(安保vs.パッキャオを望む)声をあげてくれたら、動くんじゃないかなって思ってたりもして、その辺ちょっとみんなにお願いしたいなと」と、スーパーマッチ出陣への後押しを願った。  榊原CEOは、『RIZIN.47』試合後の会見で『超RIZIN.3』についても語るなかで、「スダリオも安保も、BreakingDownに気持ちよく送りこんだことで、違う熱もついただろうし、取り込めるものはすべて取り込んで“貸したものは返してもらおう”かな」とも語っている。  すべては鈴木千裕の怪我の回復次第。木村“フィリップ”ミノルらほか選手も名乗りを挙げるなか、「安保vs.パッキャオ」はあるのか。安保は傷だらけの顔で「俺は準備できてるよ」と不敵な笑みを浮かべた。
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