首相撲は「深く組まない」ため
「UFC6連勝」のなかで、試合毎に進化を見せている平良。
今回のペレス戦でも、沖縄「THE BLACKBELT JAPAN」での扇久保博正、福田龍彌らとの練習や、ボクシングジムでの出稽古、さらに米国デンバーのエレベーション・ファイトチームでの海外修行の成果を見せていた。
インタビューでは、「スタンドで自分がケージのセンターを取る」こと。「グラウンドではバックからの展開を予定していた」ことを明かしている。
レスリングのプレッシャーをもとに、外からの連打で詰めてくるペレスに対し、平良はしっかりジャブを刺し合い、カーフも蹴り返し。ペレスの入りにアッパーを突き上げ、近い間合いになると、長身を活かした首相撲ヒザでコントロールした。
その理由を平良は、「相手がレスリングがしっかりしているので“深く組まないように”序盤は四つで勝負するというよりはクリンチ、首相撲でヒザを狙っていこうと」と作戦を練っていたという。
そして相手にケージを背負わせる圧力をかけた上で、自らダブルレッグで金網まで押し込み、シングルレッグに移行してテイクダウンを奪っている。
これまでの強みの四つではなく、タックルからのテイクダウン。カレッジレスリング出身で、モカエフをも苦しめたテイクダウンディフェンス率80%を誇るペレスを相手に仕掛けたその動きは、北米修行の成果ともいえる。
チョークを極めるためにいかにバックを奪うか
「過去にチョークで負けた試合があるペレスに、僕はチョークを極めて勝ちたい」と語っていた平良だが、いかにチョークのポジションを取るか。そこにはペレスからバックを奪うという課題があった。
足を取りに来た平良に対し、金網背にしたペレスは左手をネルソンに組み両手で差し上げると、平良は右手のシングルレッグへ移行し、差し上げられた左手とインディアングリップでロック。ヒザ裏で引き付けて、左の大内刈の足技を合わせてテイクダウン。ペレスの立ち際に右足をかけて前に煽って、マットに両手を着かせてバックを奪っている。
そしてそこからは、時間をかけずに両足でボディトライアングルを組み、さらに右足を対角の相手の左ヒザ裏に差し込んでおたつロック、ペレスをコントロールした。
立ったまま平良を背負い、右手で平良の右手を掴んで前に落とそうとするペレスに対し、ここで平良はペレスの左脇下からペレスの右手を正面でロック(送り手)。右手でパウンドしながら、対角で掴んだ右手も引いて、右後方に体重をかけて引き込み。
左ヒザをおたつロックで固定されたまま、右ヒザ上に荷重がかかったペレスは、右足先が外を向くも、右ヒザが内側に固定されたまま倒れて、声を挙げてダウン。平良はパウンド1発だけを入れて、拳を止めている。