2024年7月7日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館『K-1 WORLD MAX』にて行われる、「K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント」の決勝戦に進出したゾーラ・アカピャン(アルメニア)のインタビューが主催者を通じて届いた。
“悩殺の貴公子”ゾーラ・アカピャンは、チンギス・アラゾフを師に持ち、ロシアの格闘技イベント『RCC』で活躍するイケメンファイター。3月20日に行われた開幕戦では、ウクライナのタラス・ナチュックを判定で下して決勝ラウンドへ進出した。
自分が他の人より優れているのは、試合の状況を把握できる点
――MAX開幕戦ではタラス・ナチュック選手と対戦して、勝利しました。振り返ってみて、どんな印象がありましたか?
「ナチュックの粘り強さには正直、驚きました。試合終了間際にダウンしても向かってきて、テクニックがもちろんのこと、最後まで諦めないファイターで打撃も強力でした」
――たしかにナチュック選手の評価は高いです。優勝候補のあなたが相手でなければ、彼は勝っていたかもしれません。師のチンギス・アラゾフ選手は、何か言っていましたか?
「チンギスは、勝利を祝ってくれました。彼はスパークリングパートナーでもありますので、とても喜んでいました」
――アラゾフ選手は、具体的な戦略も立ててくれるのでしょうか。
「いえ、試合についての戦略などはすべて専属コーチと立てています。コーチの分析を聞いて、私がリングで指示通りに動く関係です。チンギスとは、互いに勝利を祝いますし、互いに助け合って、試合の準備をしています」
――あなたのパーソナルのこともお聞きしたいのですが、何歳の時に格闘技を習い始めましたか。
「スポーツをやり始めたのは6歳です。柔道教室に通い始めました。1年ほど通って、その後、水泳を始めました。水泳の後は、空手ですね。空手は、伝統派とフルコンタクトの2種類をやりました」
――柔道、水泳、空手ですか。積極的にいろいろなことに挑戦したのですね。
「それから10歳の時に、地方のキックボクシングの教室に通い始めました。そこには17歳まで通っていました。当時、K-1で活躍するアレクセイ・イグナショフや他の世界的なスター選手の試合を見て憧れていましたので」
――イグナショフ選手が、憧れの存在だったんですね。
「アレクセイが、有名なアンドレイ・グリディンコーチのもとでトレーニングをしていることを知り、そんな伝説的なコーチのもとで習いたいとずっと夢見ていました。それで17歳の時、首都ミンスクに引っ越して、グリディン・ジムに入ることができたのです。そしてアンドレイ・グリディンコーチに直接指導を受けられるようになりました」
――順調にキャリアを積んでいるのですね。自分が対戦相手より優れている点は何だと思いますか?
「集中して戦うところでしょうか。戦っている時に、戦局を見極め、どうしたら力を出し切れるかを考えることができます。これは、とても重要なことと考えています。何も考えずに試合に出て戦う選手もいますが、自分が他の人より優れているのは、試合の状況を把握できる点だと思います。試合中に間違いを立て直すことができますし、戦い続ける力を見出すこともできます。対戦相手の隙も見つけることができます。そこが他の選手とは違うところだと思っています」
――たしかに勝ち抜くためには、修正力・対応力は必要なことですね。あなたが戦い続ける一番のモチベーションは何ですか?
「自分で決めた信念、やると決めた目標と向き合うことです。自分が辛い時には、もちろん、それを思い出すようにしています。正確に言うと、思い出すというより、いつも頭の中にあります。自分の目標、自分の信念です。それが軸にあり、試合に出場し、トレーニングし、勝ち続けるためのモチベーションとなっています」
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ファンが望んでいる試合をカスペルと見せられると思う
――3月に行われた決勝トーナメント抽選会では、多くの選手がオウヤン・フェン選手との対戦を避けました。
「オウヤンは決勝に進む可能性のある選手の一人だと思います。非常に強く、スピードのあるファイターです。打撃のテクニックも非常に優れています。オウヤンは判定勝ちでしたが、十分に強い選手なので決勝まで進むでしょう。もちろん彼とは決勝で戦いたいです」
――決勝トーナメント初戦で戦う、カスペル・ムシンスキ選手の印象は?
「カスペルと私は、ファイト・スタイルが似ていると思います。彼もカウンターパンチャーですし、2人でエキサイティングな迫力ある試合ができると思っています。日本には多くのK-1ファンがいて、見応えのある試合が大好きです。ファンが望んでいる試合をカスペルと見せられると思います」
――ムシンスキ選手は、あなたと並ぶ優勝候補のストーヤン・コプリヴレンスキー選手からダウンを奪い勝利しました。
「ストーヤンは非常に強く、手強いファイターです。2人の試合は、とてもエキサイティングで迫力がありました。あのダウンがなければ、延長戦になっていたかもしれませんね。でも、やはり試合では少しも気を抜いてはいけないし、集中力を切らしてはいけません。一瞬の隙にダウンを奪われてしまいます。これは誰にでも起こりうることで、だからこそ準備が必要なのです。あのような状況に対しても準備できてこそ、戦いに勝ち抜くことができると信じています。自分は、そんなミスはしません。私の優勝の可能性は高いと信じています。優勝することだけを狙っています。優勝のためにはどんなことも恐れません」
―――開幕戦で、他に気になった選手や試合はありましたか?
「印象に残ったのは、ロシアのヴィクトル・アキモフです。試合の序盤では、彼の規格外のテクニックに驚きました。中島(玲)の方が優勢に見えた時もありましたが、規格外のテクニック、綺麗なバックブローでKOに沈めました。あれには驚きましたね」
――7月7日のファイナルで優勝するためには、3回勝ち抜かないといけません。優勝するためには、どんな戦略が有効だと思いますか?
「どの対戦相手に対しても戦術が必要だと思います。準備も必要です。現時点では、当たる可能性のある全ての対戦相手に対して準備しています。試合中に戦術を変えるかもしれません。そのために非常に強力なコーチ陣がついています。試合の展開は常に変わるものです。勝っている時もあれば、負けている時もあります。様々な戦術を取って行き、試合中に修正していくことも必要です。対戦相手が予想と全く違う戦いをする時もありますから。うまく行かない時は立て直さないと勝てません」
――どんな特別な準備をしていますか?
「特別なことではなく、普段通り、真剣に勝つための準備しています。ナチュック戦後、トレーニング・メニューに従って準備しています。休暇は取らずに、すぐにトレーニングを始めました。ペースを大事にして、コンディションを保つようにしています。特別なことを普段からやっていれば、それは特別なことではなくなりますから。優勝を目指し、いつも通り集中して準備しています」
――あなたは優勝候補の一人としてファンの注目を集めていますが、最後にメッセージをお願いします。
「私が日本で感じたのは、みんなK-1が大好きだということです。K-1ファンは本当に多いです。ファンのみんなは注目してくれますし、期待もしてくれます。宿泊しているホテルを出ると、写真やサインを求められます。K-1は皆に愛されています。K-1やキックボクシングは、武道の中で一番迫力があり、見応えのあるスポーツだと思います。ですから、ファンのみんなには応援して盛り上げてくれて、どうもありがとう、と言いたいです」