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【RIZIN】パッキャオ「これはエキシじゃない。私はボクシングを知っている。パンチとフットワークがあれば問題ない」×鈴木千裕「ボクサーのパンチは当たらない。でも僕はボクサーじゃなくMMAファイターだから──」

2024/06/10 14:06
 2024年7月28日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催される『超RIZIN.3』にて、「RIZINスタンディングバウト特別ルール(ボクシングマッチ)」(68.0kg契約・3分3R)で対戦するプロボクシング世界六階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)と、RIZINフェザー級王者・鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)が10日、会見を行った。  9日の『RIZIN.47』リングに登場した鈴木は、「リスペクトをもって1RでKOします」とパッキャオを目の前にして宣言。笑顔を見せるパッキャオは「ついにこの舞台で戦うことが決まりました。7月の試合はぜひご来場いただき素晴らしい戦いを見ていただきたいです。ベストを尽くしてこの選手にボクシングを教えたい。ボクシングは思っているほど簡単ではないです」とボクシングを教えてやると語っていた。  10日の会見冒頭では、両者ともにサングラスを着用、パッキャオは会見中に自撮りするリラックスぶり。  68.0kg契約の3分3Rの“試合”が、8オンスのグローブで行われることについて、榊原信行CEOは、「シリアスにお互いにKOして、ポイントゲームじゃない、“やるか・やられるか”の試合。パッキャオからは『とにかくエキシという言葉は禁止にしてくれ』と言われていて、“漢と漢の戦い”ということで8オンスになった」と説明。  フロイド・メイウェザーvs.朝倉未来戦は10オンス戦だったが、パッキャオは「ボクサーとしては常に8オンスでやっている。68kg契約はちょっと重いけど問題ない。重い階級でもやっているので」と語り、鈴木も「普通じゃないですか。8オンスは公式に則った形」と語った。  今回の試合オファーは、榊原CEOが「パッキャオの対戦相手決定トーナメントを考えていた」なか、2024年4月29日に鈴木千裕が金原正徳に1R TKO勝ちした直後に、所属のクロスポイント吉祥寺の山口元気代表を通してオファー。鈴木は「ジムの会長から『試合あるぞ』と言われ、『すぐにやります、と。即答で1秒もかからないです。イエス、やります。それ以外ないじゃないですか」と語った。  オファーを受けたパッキャオも「これは自分に対してのチャレンジ。ボクシングリングでMMAファイターと戦いたかった。このチャレンジにエキサイトしている。この機会に感謝している」と参戦の理由を語る。  さらに「RIZINはいつも満席で観客もいい雰囲気。競技性が高く、ミスマッチが少ない。ファンがエンジョイして格闘技を楽しんでいる」と印象を語り、「7月28日に試合をするためにここに来た。1998年に日本で最初で最後の試合を行い、そのときは1Rで終わらせた(※当時OPBFフライ級王者のパッキャオがノンタイトル10回戦で寺尾新と対戦)。今回もミッションとしては同じことをしたい。3R戦だが、それよりも早く終わらせたい。これはエキシビションじゃない、しっかりしたファイトだ。お互いにノックアウトを目指す。しっかり戦う。絶対に見逃さないで。お楽しみに」と意気込みを示した。  また、RIZINで行われた、2度のフロイド・メイウェザーの試合(那須川天心戦、朝倉未来戦)について、「フロイドは対戦相手を選ぶ。私は相手を選ばず誰とでも戦うから違う」と、現フェザー級王者との対戦を語った。  会見冒頭で鈴木は、「もう試合が決まってやることはひとつ、とにかく勝たなきゃダメじゃないですか。KNOCK OUTをRIZINを背負っているので必ず勝ちます」と必勝を宣言。  その言葉を受けたパッキャオは、「ボクシングというのはそんなに簡単に習得できるものじゃない。7月28日に必ず彼はボクシングを学ぶことになる。私がベストを尽くして彼に学ばせる」と返した。  自信満々のパッキャオの言葉に、鈴木は「そういってもらわないと。安心しました。パッキャオさんにボクサーのパンチは当たらない。でも僕はボクサーじゃない。MMAのファイターなので、僕はパッキャオさんからボクシングを学ばせてもらいます。そしてパッキャオさんに僕はMMAを学ばせます」と、MMAならではの動きでパンチを当てると語った。  その言葉にパッキャオは「とても楽しみにしています。まあ見てみよう」と笑顔。  鈴木のこれまでの試合について「MMAの試合なので見ていない」としながらも、「ただ私はボクシングを知っている。パンチとフットワークがあれば問題ない」と自身の庭での動きに自信を見せた。  鈴木はパッキャオのボクシングを、「ボクシングにも上がってことない僕が評価することはない。でも今回はなんていうか、ボクシング同士じゃない“異種格闘技戦”なんで変わってくる」と言い、すでにキックとMMAの二刀流で戦っている鈴木は、この試合の意味を「普通にMMAのひとつにすぎない」とした。 [nextpage] 鈴木「誰も俺が勝てると思ってないでしょ、俺負けないんで」 「MMAはキックもボクシングも柔術もレスリングもぜんぶ出来ないといけない。なので僕の格闘技人生の一部にすぎない。歴史のある人と試合できることは、ある意味挑戦。人生の挑戦で自分が超えなきゃいけない試練」だという鈴木は、6月23日の『KNOCK OUT 2024 vol.2』では五味隆典とボクシング戦、7月28日にパッキャオ戦と連戦に向かう。  記者陣からは、フロイド・メイウェザー戦後に朝倉未来が負ったダメージを例に、鈴木の連戦のダメージを危惧する声が挙がったが、榊原CEOは、「そんなこと言っていたら、この仕事をやれない。未来は戦えなくなったわけじゃない。KOされたら試合できないルールはある。僕らがやっているのは格闘技、お互い相手の息の根を止めるためにあらゆることをしてサバイブしてダメージあたえる競技。何かあればダメージを抜くサポートはする」と説明。  そこに鈴木が割って入って、「榊原さん俺、負けないんで、そういう心配いらないですよ。負けるテイの質問はやめてください。なんでやる前から負けるとかダメージの話をするんですか。僕、命をかけて勝負するんですよ。やられたらどうするって、誰も俺が勝てると思ってないでしょ。だから俺嫌いなんですよ。なんでやる前から負けることを考えるんですか。そういう話はしないでください」と、アントニオ猪木ばりの闘魂を見せた。 「俺以外いないと思う。パッキャオを倒すことも、挑戦することも俺以外いない。KNOCK OUTもRIZINの看板も背負っているし、プライドを賭けて戦う」という鈴木は、7月の試合に向け、「常に倒すことを考えないとダメなんで気を抜かず、最初から仕留めに行く。ボクシングの12Rじゃなく、3Rなんで1秒たりとも抜くことなく倒したいと思います」と短期決戦に勝機を見出すとし、パッキャオも、「これはもうボクシングルールに準じたものになると思うので、練習も通常の試合用に、3Rではなく12Rを戦うような準備をします」と万全の状態で臨むとした。  また、今後の継続参戦について問われたパッキャオは、「7月28日、良いパフォーマンスをしてファンの皆さんに楽しんでもらえたら。また榊原さんから呼んでもらえたらいい」とし、今秋に米国ラスベガスでWBC世界ウェルター級暫定王者マリオ・バリオス(米国)への挑戦を交渉中であると海外メディアが報道したことについては、「まだ交渉中。話はあるけど詳細はまだ詰めている。やるなら11月から12月だが、判断するにはまだ遠い」と語った。  パッキャオはプロボクシングのレジェンドで、フライ級、スーパーバンタム級、スーパーフェザー級、ライト級、ウェルター級、スーパーウェルター級の6階級制覇を成し遂げた。戦績は62勝(39KO)8敗2分。2020年8月に42歳で現役を引退したが、2022年12月には韓国のYouTuberとエキシビションマッチを行って判定勝ちしている。2022年大晦日にRIZINに来日し、リング上から近い将来RIZINに参戦することを表明していた。  鈴木は、RIZINで5連勝後の2023年6月にクレベル・コイケが持つフェザー級王座に挑戦も、1Rに腕十字を極められタップアウト。しかし、400g体重超過したクレベルが王座剥奪の上、試合はノーコンテストに。  続く2023年7月の『超RIZIN.2』で現Bellatorフェザー級王者のパトリシオ・ピットブル(ブラジル)と70kg契約で緊急対戦し、1Rに右フックでKO勝ち。大金星を挙げると、11月のRIZINアゼルバイジャン大会でヴガール・ケラモフを1R1分18秒、TKOに破り王座に就いた。2024年4月には金原正徳に1R4分20秒、TKO勝ちで初防衛に成功した。6月23日には『KNOCK OUT』で五味隆典と今回と同じボクシングマッチで対戦することが決定。また、6月9日の『RIZIN.47』では、フェザー級次期挑戦者決定戦を勝ち上がったクレベル・コイケの挑戦も承諾している。  今回のパッキャオvs.鈴木を実現させた榊原CEOは、「2019年4月の横浜アリーナ大会でパッキャオさんがリング上で挨拶したときから、何度もコミュニケーションを取ってきた。大統領選に出るくらいフィリピンで活躍するパッキャオさんは、日本ではデビュー当時に一度、後楽園ホールで試合をしたきり、肉眼で戦った姿を見た人は少ない。  今回、3分3Rの非公式な試合ですが、パッキャオは『エキシビションという言葉を使うな、これはTHE FIGHTだ、果たし合いをする』と言っている。マニーを出したいと思い続けるなかで、タイミングを見ていたが、右に立つ人がいなかった。フロイドとやる天心がそうだったように、『未来の逸材にチャンスを与えたい』というなか、ピンとくる相手が見つからなかったが、二刀流で破天荒な活躍をする千裕ならワンチャンスある。『バーンとドーン』といけるかなと」と、期待を寄せた。
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