MMA
インタビュー

【UFC】ポイエーの挑戦を受ける王者マカチェフ「ギロチンでやられることはない」「ダスティンは常に同じ課題を抱えている」「ハビブのセコンドで俺の打撃もレスリングも20%レベルアップする」

2024/05/31 20:05
 2024年6月1日(日本時間2日)に米国ニュージャージー州ニューアークのプレデンシャルセンターにて『UFC 302: Makhachev vs. Poirier』(U-NEXT配信)が開催される。  メインイベントのUFC世界ライト級選手権試合(5分5R)では、王者イスラム・マカチェフ(ロシア)に、同級4位のダスティン・ポイエー(米国)が挑戦する。  13連勝中のマカチェフは、元UFC世界ライト級世界王者ハビブ・ヌルマゴメドフがセコンドにつくダゲスタン軍団の32歳の王者。MMA25勝1敗で、25勝中16試合でフィニッシュ勝利(5KO・TKO、11SUB)している。2022年10月のライト級王座決定戦でチャールズ・オリベイラに肩固めで一本勝ちで王座に就くと、2023年2月に当時のフェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーの階級を越えた挑戦を受けて判定勝ち。10月の再戦でも左ハイキックからのパウンドで初回KO勝ちした。今回はライト級4位のポイエーと対戦することになった。  対するポイエーは、元同級暫定王者。2019年4月に マックス・ホロウェイに判定勝ちで暫定王座に就くも、同年9月のハビブとの王座統一戦で、3Rリアネイキドチョークで一本負け。その後、コナー・マクレガーとの2連戦で2連続KO勝ちを含む3連勝も、2度目の王座挑戦となったオリベイラ戦でダウンを奪うも逆転のリアネイキドチョークで一本負けで戴冠ならず。  2022年11月にマイケル・チャンドラーを3R リアネイキドチョークで仕留めるも、2023年7月のジャスティン・ゲイジーとのBMFタイトルマッチで、2R、右ハイキックでKO負け。しかし、2024年3月の前戦は5連勝中のブノワ・サン・デニを相手に左ストレートを効かせ、直後の右フックでダウンを奪いパウンドでKO勝ち。アンダードッグの評価を跳ね返して再起を飾っている。35歳、最後のタイトル挑戦となるか。  マカチェフがV3達成なるか、それともポイエーが初の正規王者のベルトを手にするか。 31日の会見では、冒頭でまずはマカチェフが会見で羽織っているジャケットについて、UFCアンチドーピング・コンプライアンス担当シニア・バイス・プレジデントのジェフ・ノブティツキーが説明。  薬物検査を50回クリアした選手のみが袖を通すことが出来る記念ジャケットが、マカチェフに贈呈されたことについて、ノブティツキー氏は、マカチェフの2016年4月16日の『UFC on FOX 19』での薬物陽性反応による試合中止が誤りであったことをあらためて伝えた(※ マカチェフが心室性不整脈でメルドニウムを服用。メルドニウムは2016年に禁止薬物リストに加わったが、マカチェフは2014年に医療処置を受けて使用した書類を提出。禁止薬物リストに追加される前の服用であったことが認められ、出場停止処分を解除されている)。  マカチェフは、「2016年からこのジャケットを心待ちにしていたんだ。他のファイターが着用している写真をたくさん見たからね。これから長い間、私のワードローブにかけておくつもりだ」と語り、2016年の禁止薬物使用による暫定出場停止処分について、「正直に言って、それはずっと気にしていたんだ。自分は常にクリーンなスポーツを目指しているから。USADAの検査員が(抜き打ちで)家に来るのはいつでも歓迎だ。彼らがファイターをちゃんと検査しているのを見ると嬉しいよ。MMAはスポーツだから、みんなが同等なレベルで同じ条件のもとに立っていなくてはいけないし、そのためにみんながクリーンでなければならない」と語った。  以下は会見での一問一答だ(※ポイエーとの一問一答)。 この試合後にダスティンが引退しないことを願っている ──常にライト級のトップ5にいるポワリエとは、いつか戦わなければならないと思っていた? 「彼のことはずっと頭にあった。どれくらいかは知らないけどずっとトップ5にいたし、自分にとってダスティンのようなビッグネームと戦うのは夢だった。だから、彼と戦えるのはとても嬉しいよ」 ──ヴォルカノフスキーとの2試合を終え、リマッチではないライト級ファイターと戦うことについて、どう感じている? 「リマッチはあまり好きじゃないんだ。新しいターゲット、新しいゴールが必要だよ。リマッチは同じ相手とのスパーリングみたいで、新しいモチベーションが生まれない。だから、新しい相手と戦いたいと思っていたよ」 ──ダスティンは、今回もあなたのコーナーにつくハビブ・ヌルマゴメドフ戦以降に成長したと思いますか。 「正直に言うと、ただ歳を取っただけで同じままだと思う。彼のコーチも彼自身も、俺に勝てるとは思っていないんじゃないかな。俺は、彼を倒せると確信しているよ」 ──ハビブは、2Rか3Rでのあなたのフィニッシュ勝利を予想しているが、自身ではどう考えていますか。 「ダスティンとはレベルが違うと思っているし、フィニッシュするよ。自分は今、世界で一番強いファイターだと思っている」 ──ところで、新しいUFCグローブの使い心地は? 「少し硬く感じるけど、ほとんど同じ。でも、指を開こうとすると少し難しいね。新しいグローブだと、指が閉じ気味になるよ」 ──このトレーニングキャンプではどのくらいギロチンチョークの対策練習をしましたか。 「今朝もギロチン対策をしたし、何度も繰り返し練習しているから、やられることはないよ(笑)」 ──ダスティンはタイトルマッチ挑戦の最後のチャンスだと思って、5Rの最後まで戦うと思う? 「正直、彼にとって俺は相性が最悪の相手だと思う。彼はストライカーを何度も倒してきているし、打撃は世界最高レベルだ。でも、俺たちはストライカーじゃなくてMMAファイターだ。その点で、俺と彼は全くレベルが違うよ」 ──彼を打撃で倒したいという誘惑もあるとは思うが、王者として勝利にこだわった戦い方を選ぶ? 「確かに、彼とは打ち合いでも戦える。ただ、簡単に勝つ方法も知っている。彼の相手はいつだってプレッシャーをかけるとき、テイクダウンを狙う。ダスティンは常に同じ課題を抱えているんだ」 ──ポイエーは「この試合で負けたら、もうトップを目指さないかもしれない」と言っている。彼のMMAでのレガシーをどう感じるか。 「この試合後に、彼が引退しないことを願っているよ。彼はこのスポーツで最大級のビッグネームだと思う。これまで多くのクレイジーな戦いを見せてくれたし、尊敬しているんだ。ダスティンのようなビッグネームが、俺の戦績に加わって嬉しいよ」 ──ケビン・ホランドのウェルター級で王者になるという発言について。またウェルター級に転向する可能性についてどう思うか。 「俺はライト級王者として長期政権を築ける。皆が俺から逃げ続けているんだ。俺のキャリアの問題点は、トップ10やトップ5のファイターが俺との試合を避けることだった。俺のスキルとスタイルを考えると、誰にとっても最悪の相性になってしまうからね。俺は二階級王者になれるし、その機会を待っているよ」 ──ハビブは29試合で引退しましたが、この試合はあなたにとって26試合目。トップのまま引退することを考えることもありますか。 「ハビブが引退したのは、年齢を重ねて衰えたからではなく、母親や家族を優先したからだ。自分はまだトレーニングキャンプのたびに進化していると感じている。もし自分に成長を感じなくなったら、戦いたくなくなるだろう。でも、俺は毎年成長していることを確認できている。まだ目標があるし、引退はしないよ」 ──ベラル・ムハマッドがあなたのトレーニングキャンプに参加して、あなたを「MMAのレブロン・ジェームズ」、ハビブを「マイケル・ジョーダン」と言っていたが、それについてどう思うか。また(友人の)ベラルがウェルター級王座を獲得したら、あなたはウェルター級に転向しない? 「難しい質問だが、彼は(現王者の)レオン(エドワーズ)を倒すと思う。彼がどのくらいハードに練習をしているかを目の当たりにしているからね。上手く行かない部分があると、ハビブや他の人に声をかけて、常に貪欲に成長するために練習している。もし彼がレオンに勝てば、どうなるかはまだ分からない。マネージャーやコーチ陣と相談するよ」 ──ハビブがあなたのセコンドにいる重要性をどう感じている? 「彼がセコンドにいることで俺の打撃、レスリングがそれぞれ20%レベルアップする。グレイゾン・チバウ戦では『左フックを狙え』と言われて、それに従ったら、左フックでノックアウトできた。タイトルマッチでも指示に従って一本勝ちできたし、彼がコーナーにいるのはいつだって有り難いよ。ハビブがセコンドに就くって言ってくれて喜ぶのは俺だけじゃない。みんな、ハビブにセコンドに就いてもらえたら嬉しいんだ」 ──なぜハビブはこの試合で、再びセコンドに復帰することを選んだと思う? 「何より、この雰囲気が恋しくなったんだと思う。彼が部屋で仲間の試合を見ているときは、とてもナーバスになっているんだ。彼はいつだって仲間のことを気にかけているし、助けたがっている。だから、またセコンドに就くことを決めたんだと思うよ」 ──ダスティン・ポイエーのギロチンは脅威と見られているが、彼はギロチンでの一本勝ちは無い。シャフカト・ラフモノフはギロチンで一本勝ちをしているが、両者のギロチンの違いをあなたはどうとらえていますか。 「どっちのギロチンが良いかは分からない。ただ、試合開始早々にチョークを極めるのはかなり難しいが、ダスティンはいつだろうとギロチンを仕掛けてくる。彼が疲弊しているときは、ギロチンは絶対極まらないだろう。シャフカトのほうが良いタイミングでギロチンを仕掛けてくるとは思う。ただ、ギロチンに関しては、相手の首を腕に捕らえた時点で、極まるかどうか判断できなきゃいけないんだ。たくさん練習をして、その感覚は自然と身につくものなんだよ」
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