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インタビュー

【KNOCK OUT】ぱんちゃん璃奈“初敗北”を受け入れ「ちゃんと付き合って見てもらえる人の言うことを聞こうって初めて思いました」

2024/05/30 18:05
【KNOCK OUT】ぱんちゃん璃奈“初敗北”を受け入れ「ちゃんと付き合って見てもらえる人の言うことを聞こうって初めて思いました」

「負けたことによって、1人で戦うのはやめようと思った」とぱんちゃん

 2024年6月23日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館にて開催されるKNOCK OUTのビッグマッチ『KNOCK OUT CARNIVAL 2024 SUPER BOUT“BLAZE”』(U-NEXT配信)で、ISKAアルゼンチン・ストロー級王者ムエタイルール王者&WAKO (48kg) アルゼンチン王者アイリン・ゴンザレス(アルゼンチン)とKNOCK OUT-BLACK女子-48.0kg契約3分3R延長1Rで対戦するぱんちゃん璃奈(フリー)のインタビューが主催者を通じて届いた。


 ぱんちゃんは2019年2月にプロデビュー。無敗の快進撃を続け、2020年8月にREBELS-BLACK女子46kg級初代王座(REBELSとKNOCK OUTの統合により現在はKNOCK OUT-BLACK女子アトム級王者)に就いた。2022年3月には喜多村美紀を破ってKNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級王座に就き二階級制覇を達成。2023年9月にチャッキー、12月にケイスリィ・ヴァンスを連続KO。2024年3月にはK-1に初出場し、RISEの平岡琴に判定勝ち。しかし、5月の『巌流島バーチャルファイト』でルシア・アプデルガリムに判定2-0でプロ初黒星を喫した。

私はがめついし、しぶといし、執念深いので


──まずは、「巌流島VIRTUAL FIGHT」でのルシア・アプデルガリム戦から振り返っていただきたいんですが。いつかは来るかもしれない初黒星が、あの空間で来るかというところに驚きましたが。

「確かに。でも、それも私らしいなと思いましたね。リングの上では負けてないのに、あそこで来るかっていうのが、私だなと」

──山口元気代表は、ロープもないしルールも違うから、正式な戦績に入れなくてもいいのではという見解でしたよね。

「最初『これは公式戦に入らないから』って言われて試合したんですけど、私の中では1敗は1敗なんですよ。リングがどうのこうのじゃなくて、プロの試合で負けてるので。本当に、『無敗』にこだわってるように見えて、こだわってないんですよ。じゃないと世界に挑戦しに行きたいって言わないし、誰に勝ったとか誰に負けたとかが大事かなと思っているので。ルシア選手は、正直拳を合わせた時に、本当にいい選手だし強いなと思ったので、絶望を感じるほど落ち込んだりとかはしてないです。逆に戦えてよかったし、絶対リベンジしようという気持ちですね。これが日本人とか、よく分かんない選手に負けてたら、『もう死にたい』ってなってると思うんですけど、そういう考えにはならずに、試合後はスッキリしてました」


──反省点、改善点がすごく見つかったと話してましたね。

「メッチャありました。今までは正直勝ってたから、ダメなところがあったとしても『勝ってるから』で許されてた部分があるんですよね。でも今回は負けて通用しなかったんだから、「変えなきゃいけない」ってなるんですよね。うん。今までは、力んでた、次頑張ろう。練習したテクニックが出なかった、次頑張ろう。でよかったんですけど、今回は負けたので、『出なかった』で済ませちゃいけないんですよ。意識がないときでも出るぐらいまでの練習をしなきゃいけなかったし、もっと何かコンビネーションを最初から決めておけばよかったし、距離感がまず合ってなかったし、というところで。調子に乗るために頑張って勝ってたんですけど、負けた今はもう調子に乗れないと思ってるので、やっぱり改善点をいっぱい探して変えていくっていうところに意識を置いてますね」

──変えていくために、練習環境も変えたりしているんですか?

「変えました。今まではタイと大阪の正道会館がメインだったんですけど、タイにも大阪にも行って東京も3ヵ所で練習していて、対策は良太郎さんが考えてくださっていたんですけど、どの技を使うか、どういう攻撃を出すか、どういう展開にするかっていうのは自分1人で勝手に決めてたんですよ。いろんなトレーナーさんから『これ使った方がいいよ』とか『これが向いてるよ』って言われたのを全部組み合わせて自分でやろうとしたのが、ルシア戦で『あ、これは通用しないな』」となった時に何も出なかったというか、切り替えられなかったんです。なので、今回負けたことによって良太郎さんと話して、『敗因は1人で戦ってることだ』と言われたので、戦略は全部良太郎さんをメインに置くことにしたんです。いろんなジムに行ってもやったことを全部まとめてもらって。『3月のK-1の試合は倒せたはずだし、今回も勝てた相手だけど、自分1人でやってるから勝てない。だからこれからは一緒に戦おう』と言ってくださったので、確かにそうだなと思って、そういう考えに変わりました」


──そうなんですね。

「今回はタイも短めにして、大阪も行く回数を減らして良太郎さんをメインにして、あとはちょこちょこ行くという感じに変えました」

──その手応えは出ていますか?

「信用しようと思って。今までは自分を信用してたんですよ。勝ってるし、フィジカルでいけると思って。でも負けて、通用しなかった。自分の考えじゃダメだったとなった時に、ちゃんと付き合って見てもらえる人の言うことを聞こうって初めて思いました。遅いんですけど、負けたことによって、1人で戦うのはやめようと思いました」

──その上で、どうできるかと。

「はい。でも、今は課題をすごく練習していて、打ち方を全て変えてます。もう別の競技をやるように打ち方を変えてますね。脇が開いちゃったりとか力んじゃったりするので、力まないようにナックルだけポイントで当てにいったりとか、必ず足をつけるとか、必ず打ち終わりで動くとか、そういう基礎しか練習してないですね。ルシア戦が終わってから3週間は基礎しかやってないです。ダメージもあったんですけど、今スパーをやったところで力んじゃうし、うまくいかないのでとりあえず基礎だけやると。鏡に向かってシャドーが一番大事だなと思ってやってます」


──では、それが今度の試合の時点で、どこまでできるかという感じなんですね。

「そうですね。できないならもうやめた方がいいかなと思うぐらいだと思いますね。もう7年も格闘技をやってるので、これでできないなら向いてないと思います」

──そして今回、1年3カ月ぶりの代々木第二大会です。昨年も“復帰戦”をやった代々木ですね。

「あ、そっか! そうだ、あれが“人生の復帰戦”ですもんね。今回、また別の意味での復帰戦ですね。でも巌流島だからとかじゃなくて、今回は“復帰戦”っていう意識じゃないんですよね」

──というと?

「何て言うんだろう……自分との戦いという感じなんですよ。新しいぱんちゃんになれるのか、前みたいに力んだ試合をしちゃうのかというところしか考えてないので、対相手でいい勝ち方をするとかじゃなくて、うまく出るか出ないかという、そういう意識になっちゃってますね。それぐらいの方がいい戦い方ができると思うので」


──では、相手はあまり関係ない?

「もちろん、対策はしっかりするんですけどね。自分のメンタルがぶっ飛んじゃったり暴走しちゃったり、力んじゃったりしたら絶対ちゃんとできないし、それだとまぐれでしか倒せないんですよ。忠実に忠実にセコンドの声を聞く、対策したことを出すっていう、自分の能力をちゃんと出せるかなっていう試合かなと思ってます。いつもと違う感覚で、復帰戦とか負けた後だからとか、そういう意識はないですね。そういう感じで格闘技と向き合ってはいないので」

──では、どう勝ちたいというよりも、今やってることをできるだけ出したいという気持ちの方が強い?

「はい、自分を褒められる試合をしたいなと思います。今まで自分を褒められる試合というと、KOしたとかダウンを取ったとかだったんですけど、そうじゃなくて、ちゃんと動ける、基礎を使える試合をしたいなと思ってます。それができれば、同階級に負けることは絶対ないと思ってるので」

──そして、次につなげると。

「ルシア選手へのリベンジは必ずします。試合後もルシア選手としゃべらせてもらって、『よかったらもう一度お願いできませんか』って言っちゃったんですけど『またやりましょう』と言ってくださったので。本当にルシア選手ははすごくいい選手で尊敬してるんですけど、私はがめついし、しぶといし、執念深いので、必ずやり終えてから引退します」


──その意味では一つ大きな仕事ができましたね。

「はい、だから今までより楽しいんですよ。これまでは、この先の目標とかが正直ボンヤリしていて、ライバルもいなかったので。でも私に勝った選手が『KNOCK OUT』に来てくれて、同じ大会で試合をするということが、すごくうれしいんですよ。負けた側なんですけど、うれしくて。この気持ちが不思議なんですけど(笑)。でもやっぱり相手のことを認めてるので、ルシア選手にもいい試合をしてもらって、その相手に私が勝つっていうストーリーを作りたいなと思ってます」

──そのための大事な一歩と。

「はい、私も本当に楽しみです」

──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?

「今までに見なかったようなフットワークを使いたいなと思ってます。あと足をしっかり使ってパンチを乗せたいし、蹴りもペチペチじゃなくてタイ人のように腰の入った蹴りを見せたいし、基本の技を一つ一つキレイに見せたいなと思ってます」

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