キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】“究極打撃格闘技ルール”で対戦する栗秋祥梧と中村優作「ケンカしに行く気持ちしかない」(栗秋)「サッカーボールキックで派手にやってやりたい」(中村)

2024/05/27 21:05
 2024年6月23日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館で開催されるKNOCK OUTのビッグマッチ『KNOCK OUT CARNIVAL 2024 SUPER BOUT“BLAZE”』(U-NEXT配信)にて、KNOCK OUT-UNLIMITED -58.5kg契約3分3R延長1Rで対戦する、栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺)と中村優作(TEAM FAUST)のインタビューが主催者を通じて届いた。  UNLIMITEDルールとは、ヒジ打ち、パウンド、サッカーキック、グラウンドでのヒジ・ヒザありとMMAから関節・絞め技と寝技を省いた“究極打撃格闘技ルール”。 栗秋「型にはまらない試合をしようかなと思う」 ── 5月9日のカード発表記者会見は、相手の中村優作選手とのやりとりが面白かったですが、どう感じましたか? 「本当によくしゃべる方だなって思ってましたね。あんなにしゃべる人は初めてで、マウント取られました(笑)」 ── 調子が狂いましたか? 「そうですね、あんなに話す人は初めてだったんで。でも、話はあんまりよく聞いてなかったですけど。いや僕、メチャクチャ二日酔いだったんですよ」 ── 何ですか、それは(笑)。 「『うわー、キツいなー』と思いながら聞いてました。ずーっとあーだこーだ言ってたじゃないすか、会長と。ずっと『うるせーなー』と思ってました」 ── 会見でも「うるせえな」って言ってましたけど、あれは正直な感想だったんですね(笑)。どれぐらい飲んでたんですか? 「いや、言うても3時ぐらいまでですよ」── いやいや、3時までだったら十分じゃないですか。 「まあ、始まりが夕方の4時半でしたからね。でも朝帰りじゃなかったんで、まだマシな方で」 ──試合の話に移りますが(笑)、今回はUNLIMITEDルールでの試合になりました。以前から、UNLIMITEDルールの試合には出たいと言ってましたよね。 「そうですね。オープンフィンガーグローブ(OFG)なので、ちょっとやってみたいなっていう気持ちはありました」 ──どこに魅力を感じたんですか? 「やっぱり何でもありなところじゃないかなと。寝技で寝ても、関節技とかじゃなく、もう殴るだけというところに魅力を感じました」 ──同じMMAファイターでやるにしても、MMAルールじゃないから関節を取られたり、絞められたりする心配がなく、殴ればいいと。 「はい。その方がやっぱり面白いですよね。単純なことなんですけど。やっぱり殴ったもん勝ちだなっていうルールなので、すごく引き寄せられますね」 ──ただ、会見で中村選手も言っていたようにタックルで上を取るという戦法もあるで、そうなると相手が上ですよね。 「そこはどうなんですかね? いざやってみないとわかんないんですけど、反応できるんじゃないかなと思います。自分の体的にも」 ──会見で栗秋選手は言っていませんでしたが、クロスポイント吉祥寺で、タックルを切るクラスに出てましたよね? 「はい。何で知ってるんですか?」 ── 知ってるも何も、ジムのSNSにクラスの様子が紹介されていて、そこに栗秋選手が参加しているところも写ってましたよ(笑)。 「あ、そうなんすね。元MMAファイターの孫煌進(そん・ふぁんじん)さんが教えに来てくれてたんですよ。それで今、教わってます」 ──ですよね。最初にそれを見た時は、「あれ、どうして栗秋選手がここにいるんだろう?」と思ったんですが、今回のカード発表で「そういうことか!」と(笑)。 「まあ、会見では『練習してない』ってことでキャラ作ってましたからね(笑)。実際、タックルに対応する練習はメッチャしてるんですよ」 ──では、このインタビューでも出さない方がよかったですか? 「いやでも、『練習してますよ』って言っとかないと、向こうもメッチャタックルに来るじゃないですか。ただ、クラスの様子は『KNOCK OUT STYLE』でも撮影していたので、まあ大丈夫です」 ──なるほど。ではそういう練習も為つつ、実際の試合ではどう戦いたいと思っていますか? 「今回の試合はケンカみたいなものだと思ってます。ルールがもう、そういうルールなので。街でケンカしたときと、たぶん同じようなルールだと思ってるので。もう本当にケンカしに行く気持ちしかないっすね。だから練習とかもいらないんじゃないかなとは、本当に思ってます」 ──まあ、ケンカするのに練習するヤツはいないですからね。でも普段の栗秋選手の試合は、「ケンカ上等」みたいなスタイルでもないじゃないですか。だからそう聞くと意外に思えます。 「それも、たぶんOFGだからというのもあると思います。OFGで、寝てもぶん殴れるっていうルールじゃないですか。だから逆に、そういう気持ちとか、そういうスタイルで行った方がいいのかなと。型にはまらない試合をしようかなと思います」 ──そもそも、ケンカとかするんですか? 「『はい、します』って言ったらヤバいじゃないですか(笑)。実際、全然しないですよ。高校生の時とかはしてましたけど、プロになってからは全くないっすね」 ──まあ、あっちゃいけないことですからね(笑)。でも、ケンカみたいな感じでやりたいというのはずっと思っていたんですか? 「いや正直、魅力を感じなくなったんですよね、キックボクシングというものに対して。長年やってきたことからだと思うんですけど、キックの試合に刺激をもらえなくなったというか」 ──もう60戦以上やってきてるわけですからね。 「『試合決まりましたよ、相手は誰々ですよ』って言われても、「うん、へえ~」みたいな感じで、響かなくなってて。口では何とでも言えるんすけど、全然闘志が燃えないような感じだったんです。そんな時に山口会長がUNLIMITEDルールを始めて。じゃあ、型にはまらないようにそのルールをちょっとやってみようかなと思って。それがきっかけでしたね」 ── 本当に新しい刺激を求めてこのルールに臨むわけですね。 「だから、そういう孫煌進さんに教えてもらってるタックル対応とかをやると、やっぱり楽しいですね。今まで知らなかったこともあるし、こんな技とか駆け引きがあるんだっていうのが面白いです。その練習で、メチャクチャ筋肉痛になりましたから」 ── 普段と違うことをやると、それだけ反応も違うんですね。試合に対しても、新鮮な気持ちで臨めていると。 「はい。それで、ちょっと弱い人を当ててもらおうかなと思ったら、あんなにゴリゴリの相手が来て(笑)。最悪だなと思いました。今年はタイでやった選手も強かったし、シュートボクシングでやった山田彪太朗選手もメチャクチャ強かったじゃないですか。それで今回は中村選手。ちょっと休憩させてほしいなって思いますよね。ジャブで終わるぐらいの相手を用意してほしいなって、最近思ってるんですけど、なかなかそうは行かなくて」 ──だって、山口代表はもともと、「じゃあ弱い相手を呼ぼうか」っていう人じゃないですよね(笑)。 「確かにそうなんですよね(笑)」 ──最終的には、どういう戦いをしてどう勝ちたいですか? 「せっかくこのルールなので……今から練習とかでもいろいろ探っていくんですけど、このルールだからこそ、こういう技を見せたいなっていうのは、まだハッキリ想像がついてないんですよね。今後の練習でそれを見つけていこうかなと思ってます」 ── では最後に、今回の試合でここに注目してくれというポイントはどこでしょう? 「やっぱりOFGなので、パンチの速さは一段と違うと思うし、あと、対戦相手もけっこう名のある選手なので、お互いが混ざり合ったらどんなに激しい試合できるのかなというところに注目してほしいですね。自分もそこは楽しみなので」 [nextpage] 中村「お互い倒れへんなとなったらマックス・ホロウェイしますわ(笑)」 ── 5月9日のカード発表会見は独壇場でしたね(笑)。 「何かキックの選手って、けっこうしっかり真面目に話す人らが多い中で、やっぱり一応僕は違うとこから来てるんで、ちょっとそこは盛り上げようかなっていう感じでああいう風にしました」 ──では、狙い通りバッチリだったという感じですか? 「そうですね。やっぱりせっかくね、YouTubeでも見てくださってる方もおるんで、真面目なら真面目でもいいと思うんですけど、やっぱちょっと面白いいい感じにした方が盛り上がるし、試合も楽しみになるんじゃないかなっていうのもあったので」 ──そんな中で栗秋選手は、真面目ともまた違う感じでしたよね。 「なかなか面白い返ししよんな思って。言葉数は少ないのに、メッチャオモロいやんと。また、男前じゃないですか。イケメンがあのように返すんがオモロいなと。カッコいいなと思いましたね。自分にはできんような感じのやり取りになったんで、よかったです」 ──今回は初の『KNOCK OUT』参戦、プロとしては初のキックボクシングイベント出場、しかも初のUNLIMITEDルールと、いろんな側面がありますが……まず『KNOCK OUT』に関しての印象は? 「印象としては、何かもうガッチガチのキックボクシング、ムエタイの選手たちが出てる、実力ある団体やなって、ずっと思ってました。まさかそんな団体からオファーが来ると思ってなかったですし、もちろん総合格闘家なんで、普段は総合格闘技のイベントに出てるわけじゃないですか。それがいきなり佐伯さん(DEEP代表)を通じて『『KNOCK OUT』オファー来たよ』という話で。『それはキックルールですか』って聞いたら、『ちょっとまだルールをそこまで理解はしてないんだけど、投げてもいいし、パウンドも打ってもいいよと。細かいルールとかはまだあんまり聞いてない』ってことで。『面白そうですね、それ。知名度もあるような団体からせっかくオファーをいただいてるんで、じゃあ出ます』という感じだったんですよ」 ──そのオファーを受けて、会見も終わった今、UNLIMITEDルールは理解できてるんですか? 「いや、一応の理解はしたんですけど、まだ聞いてない部分もあって。例えばグラウンドで関節技以外は何でもありって聞いてるんですけど、グラウンドのヒザもありなのかなとか」 ── 4点ポジション(両手、両ヒザがマットについた状態)でのヒザ蹴りということですね。 「はい。RIZINではOKですけど、他の団体では禁止されてるところが多いんで、どうなのか聞いてなかったなとか。そのへんをもう1回ちゃんと確認しないとなというのもあるんですけど。1回だけやった試合(2024年12月、三上ヘンリー大智vsパトリック・ケンソン)も見たんですけど、ちょっとよう分からんかったんで。どこでブレイクがかかるのかも分からへんし」 ── 普段は、そういう状態で試合に臨むことってないじゃないですか。不安ですか? 「不安というか…ちゃんとルールを把握してなかっけど「何でもOK」って聞いてたから、例えばヒザを打ってしまったと。それで反則負けとかなったら……とか、いろいろ考えることがあって。そのへんは絶対にちゃんと詰めて話さないとダメだなと思ってますけどね」 ──では、普段のMMAの試合に臨むのと、そこまで大きな意識の差は……。 「ないですね。佐伯さんと話もしてて、このルールに求められてるところは、『倒してサッカーボールキックとかで派手にKO』みたいな試合を、運営側としては見たいんだろうと。だからそういう感じでいけばいいのかなと」 ──そういう中で、栗秋選手の打撃はどうですか? 「いや、普通に強いですよね。日本ではトップレベルぐらいの実力はあるんだろうなと。僕はキックの選手って全然知らないんですけど、1~2試合分の映像を見たらパンチ力もすごくあるし、当て勘もすごくいいんで、そこはすごいなと思います」 ──立ち技だったら向こうのペースになっちゃうなという気持ちですか? 「そうですね……いや、そこがちょっと分からなくて。普段、キックボクサーとかともスパーをやるんですけど、別に負けることはないんですよ、正直。ただ、技術的にうまいのはもちろんうまいので、やっぱりキックの間合いでキックの試合をすれば、それは向こうが強いですよね。僕はキックのスパーでも日本拳法の間合いでやってますし、そこからババッといってっていう感じなんで、そこではキックボクサーとやってもそんなに負けることはない感じなんで」 ──中村選手はベースが日本拳法なので、あの特有の出入りがキックボクサーにも有効というのはありますよね。 「そうですね。間合いの取り方とかがうまいかなというのはありますね。日拳出身って、中村寬選手とか引退した長島☆自演乙☆雄一郎さんとかもそうでしたから。だから、栗秋選手は打撃のスペシャリストではあるわけじゃないですか。それと対峙してみて自分はどうなのかなというのも踏まえて、自分が成長できる試合だなという思いはあります。スパーと試合はまた全然違いますからね」 ──会見では山口元気代表が「MMA vs キック」と話していましたが、中村選手としてはMMA代表として臨むという気持ちはありますか? 「はい。今回、メインの五味選手を除けば、MMAファイターで出てるのは僕だけなので。しかもUNLIMITEDルール。うまいこと僕が成功すれば、総合からこっちに来て戦ったりとかいうことも可能なんじゃないかなと。これがおもんない試合になっちゃうと、『結局このルールだとこうなっちゃうのか。ちょっと面白くなかったな』ってなって、せっかく僕がMMAから来てるのに、それを潰すことになっちゃいますからね。そこは面白い試合して、今後もMMAファイターがUNLIMITEDルールに参戦したり、キックボクシングルールでも参戦というのができるようになってくれば、もっと盛り上がって面白いんじゃないかなと思います」 ──ご自身としては、もし今回いい形で勝てたら、例えばUNLIMITEDルールのベルトを狙うとか……。 「分かんないっすね、まだ初参戦なんで(笑)。やってみて面白いなと思ったらまた出るでしょうし……僕に需要があればですけど。やっぱりね、いい団体なんで出させていただきたいなと思うんですけど、一応やっぱMMAファイターなんで、MMAをメインにやりたいなっていうのはありますけど」 ──最終的にはどう勝ちたいですか? 「やっぱサッカーボールキックちゃいますか? 派手にやってやりたいですね。もし3分3R、最後の、例えば10秒20秒、なかなかお互い倒れへんなとなった場合は、マックス・ホロウェイしますわ(笑)。マックス・ホロウェイみたいな足止めて打ち合います」 ──では最後に、今回の試合で一番ここに注目してほしいというポイントはどこでしょう? 「試合後のマイクちゃいますか。すべるマイク。勝った前提ですけど、試合後のすべるマイクに期待してください。試合はすべらないんで」
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