小見川の送り出し、所とのタイ合宿で置き引きが──
──2009年8月の『戦極 フェザー級GP決勝』を戦った小見川さんから「タイトルマッチ用に」と申し出を受けてどんなお気持ちでしたか。
「もちろんいろんなことを喋って、付き合いも長いし、戦極という冬の時代を迎えたところから小見川先輩も引退して、いろんな思いを託してくれて、熱い男だなとあらためて思いました。小見川さんとその話していて泣いちゃいましたからね。減量でメンタルいってるとかもあるけど、拳を交え、しかも壮絶な殴り合いをした2人で、応援しているという、口じゃなくて形で表してくれるのも嬉しいし、僕らにしか分からない絆があります。小見川さんは、僕がいなければベルトを持っていた、僕がいなければ──という存在がこういう形で送り出してくれるのはありがたいことです」
──キャリアのなかでも大きなタイトルマッチだと思います。格闘技とは金原選手にとって何でしょうか?
「“格闘技は何か”と言われると、なかなか難しい。デビューしてから格闘技しかできないし、人生そのもの。今後キャリアを終えていくなかでも、終えても育成でもRIZINに関わって行きたいし、MMAには死ぬまで関わっていくんだろうなと思います」
──鈴木選手とは年末に戦う流れもあったなかで相手の負傷もあり、今回の4月になりました。その期間で身体も作れる一方、削られることもあったと思います。タイ合宿も含め、この4カ月間は、どういう時間になりましたか。
「自分としては年末にやりたかったのが正直な気持ちですが、延びてくれて良かったと思うところもあるし、そればかりは僕が決められることじゃない。相手ありき・団体ありきの巡り合わせで、ここでと言われたらそこでやるしかない。タイへ行くのも、試合決まったから、じゃあ頑張ろうじゃなくて、行くことを決めていて、タイ合宿ができて良かったです」
──タイガームエタイのコレスニック選手は、「個人的には金原選手に勝ってほしい」と。
「嬉しいですね。僕は勝ってもやらないですけど(笑)」
──そのタイ合宿も経てロータスでも練習し、誰もが警戒しながらもらってしまう、鈴木選手の右の強打に対して立ちあう自信は出来ていますか。
「右に対して自分がどう怖がらず前に行けるか。ポイントはそこじゃないですかね、今回。そこだと思います」
──タイには所英男選手と行かれたようですが、それも心強かったでしょうか。
「真面目な話でいいですか。僕より5個上なんですけど……マジで何の役にも立たなかった!(笑)。自分の息子と行っているような感じで、ずっとおどおどしていて、トラブルがいっぱいあったけど。ラントレしていたら置き引きにあって、バイクで逃げられてるのに走っても追いつかないのにハアハアって走って。バイクに乗ってる人に乗せてもらって犯人を追っかけて、そのあと走ってついてきて『ありがとう』って。役に立たないです(苦笑)。置き引き? 取り返しました。マジで全部入っていたので、あれが無かったら帰ってこれなかったです」
──所選手との練習では?
「真面目な話、練習はありがたいです。この歳でキツいことやってると、サボりたい・休みたいこともある。あの人は試合も何も決まっていないのに、僕の練習にはついてくる。あの人が頑張っているから頑張れたというのはあります。二人三脚で慰め合って頑張ってきた」
──では入場も共に?
「僕一人じゃ歩けないんで。僕らはいつも二人三脚で。肩借りれるなら借りたいくらい」
──タイトルマッチに集中しているかと思いますが、7月28日には『超RIZIN.3』が決まっています。Dynamite! のときのようにもう一度大きな会場に出たいという思いもありますか。
「試合してたら、大森ゴールドジムでもさいたまスーパーアリーナでも変わらないです。目の前で一生懸命なので分からんス(笑)。周囲は暗いんで。声援の大きさとか違うけど、やってるときは分からない」
──ちなみに、2009年のDynamite!! では、所英男選手、金原正徳選手、青木真也選手が出ていました。
「その試合は青木くんの名前出してはいけないでしょう。僕ら持ってかれたんだから(※廣田瑞人戦)。みんなそんな仲良いわけじゃないし、一致団結してあのリング目指して頑張ろうじゃない。またやるの? って感じになる。でも今成(正和)さんもそうだし、冬の時代に頑張った人を見ると元気になる。仲間意識じゃないけど、負けずに頑張ろうという気持ちにはなる」