2024年6月1日(日本時間2日)『UFC 302: Makhachev vs. Poirier』で平良達郎(THE BLACK BELT JAPAN)が、UFC3連勝中のジョシュア・ヴァン(ミャンマー)と対戦することが分かった。当初対戦予定だったティム・エリオットは欠場。平良のマネージメントのイリディウム・スポーツが発表した。
▼フライ級 5分3R平良達郎(日本)15勝0敗(UFC5勝0敗)※UFC5連勝中ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)10勝1敗(UFC3勝0敗)※UFC3連勝中
平良が茨の道を進む。フライ級9位で扇久保博正に勝利しているエリオットと対戦予定だった平良だが、エリオットが欠場。5月18日のAPEX大会での試合がキャンセルになったところで、UFC3勝無敗・元FURY FC王者で22歳のプロスペクトとの対戦を決断した。ヴァンはノーランカーだが、MMA10勝1敗。6KO・TKO、2SUBの決定率を誇る。
フライ級13位にランクインしている平良にとって、ランカー食いを狙う注目選手にチャンスを与える形だ。
ヴァンは、10歳の時にミャンマー情勢の悪化に伴いマレーシアに移住し、難民キャンプでの生活を経て、3年後に米国移住。フロイド・メイウェザーvs.コナー・マクレガーを見てMMAを知り、キックボクシングと柔術から取り組み、2019年にMMAを開始。2021年にプロデビューし、2022年にUFCファイターのダニエル・ピネダに師事。2022年にFury FCでクレヴェランド・マクレーンにスプリット判定勝ちでフライ級王座を獲得した。
2023年6月にフェリペ・ブネスの代役としてUFCデビューし、UFC1勝5敗のジャルガス・ジュマグロフにスプリット判定勝ち。以降、ケビン・ボルハス、フェリペ・ブネス相手にオクタゴン3連勝をマークしている。
その強みはスタンドの圧力だ。
右の強打を武器に、回転の速い打撃から踏み込んでの左ジャブ、左右ボディ、右ヒザ、右ハイと巧みに上下に打ち分け、フィニュシュへと畳みかける。その攻めどころを知る強打者といえる。
一方で、ジュマグロフの強い組みに倒れず、ボルハス戦では右カーフを当てて圧力をかけて自らダブルレッグテイクダウン。そこから外ヒールと、アグレッシブに足関節を狙う動きも見せるなど、組み技も厭わない。
その分、「寝技」の時間も出来るが、最終的にスクランブルで相手を疲弊させて、スタンドで畳みかけている。
ブネス戦では、自らボディロックからバッククリンチでテイクダウン。袈裟固めからアメリカーナ狙いも、ブネスにバックを取られかけて前に落として極めさせず。
一方で、ブネスにテイクダウン・パスガードを許し、マウントからリバーサル。その際をオモプラッタを狙われてもいる。
相手の小外がけにも背中を譲らずスクランブルで立ち上がり。すぐに右ヒジでブネスを金網に追い込み、ボディ打ち。自らダブルレッグでテイクダウンし、ブネスの下からの腕十字をかわしてパウンド。最後はスタンドで、回転速く、右ハイ、左ボディ、右ヒザ、右フックと打ち分けてダウンを奪い、パウンドアウト。戦績を10勝1敗とした。
圧力の強いヴァンを相手に、前戦でダウンを奪うTKO勝ちした平良はいかに立ち合うか。
打撃で下がらせられたときでもクリンチ・テイクダウンし、ヴァンにスクランブルを許さず押さえ込めるか。立てばその際でのラッシュに注意が必要な“THE FEARLESS”(恐れ知らず)との戦いだ。
ある意味、戦略が立てやすいエリオットに比べ、未知の部分もある危険な相手との試合に臨む平良だが、プレリミナリー出場とはいえ、APEX大会からイスラム・マカチェフvs.ダスティン・ポイエーがメインのニューアークのプレデンシャルセンターという大会場でのナンバーシリーズ『UFC 302』での試合となったことを、今後のアピールとプラスに変えたいところ。MMA15勝無敗の平良が勝てば、UFC6連勝。24歳で日本人単独UFC連勝記録になる。6月29日には同門で同階級の鶴屋怜が同じくナンバーシリーズの『UFC 303』でオクタゴンデビューが決定しており、日本人フライ級の6月決戦が続く。