ONE Friday Fights 58: Superbon vs. Grigorian II2024年4月5日(金)タイ・ルンピニースタジアム※U-NEXTでLIVE配信
▼第10試合 ONEフェザー級キックボクシング暫定世界タイトルマッチ 3分5R〇スーパーボン(タイ)[判定3-0]×マラット・グレゴリアン(アルメニア)※スーパーボンが暫定王座に就く。
スーパーボンはブアカーオの元で腕を磨き、2021年10月のONEフェザー級キックボクシング王座決定戦でジョルジオ・ペトロシアンに右ハイキックによるKO勝利で戴冠。2022年3月の『ONE:X』ではマラット・グレゴリアンを判定で完封し、初防衛にも成功した。しかし2023年1月、チンギス・アラゾフに2R KO負けで王座陥落。12月にはONEフェザー級ムエタイ世界王者タワンチャイに挑戦も判定負けで王座奪取ならず。戦績は114勝(28KO)36敗。
グレゴリアンは2015年のK-1 WORLD GP初代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメントで3試合連続KO勝ち。初代王座に輝くと2019年5月にシッティチャイを破りGLORY世界ライト級王座も獲得。ONEには2020年12月に初参戦。2023年8月にONEフェザー級キックボクシング世界王者チンギス・アラゾフに挑むも判定負けでタイトル獲得ならず。2024年1月のONE日本大会ではシッティチャイと5度目の対戦でKO勝利を奪った。戦績は67勝(35KO)13敗1分1無効試合。
1R、ジャブを突きながら前に出るグレゴリアンにスーパーボンは前蹴り、両腕を抱え込むようにしてのヒザで対抗。スーパーボンもジャブを突く。前に出るグレゴリアンだが、ジャブを当てるのはスーパーボンで前蹴り、ヒザ、右ローもヒットさせる。
なかなか入れないグレゴリアンは右ローも蹴り始める。グレゴリアンの右手を抑える動きとジャブを交えるスーパーボン。ヒザ、右ローもヒット。グレゴリアンはコーナーへ詰めて左右フックと右アッパーを決めた。
2Rもジャブと前蹴り、ヒザでグレゴリアンの前進を止めるスーパーボン。グレゴリアンも右ローを蹴ってパンチに繋ぐ。左右アッパーのグレゴリアンにスーパーボンはヒザ。スーパーボンは左ミドルをグレゴリアンの腕に連打。これで受けに回ってしまうグレゴリアン。
スーパーボンはグレゴリアンが近付くと胸を押して押し返し、右ローを蹴る。さらにヒザ蹴り。グレゴリアンが下がると左ミドル、近付くとヒザ、下がると左ミドル。グレゴリアンは左右アッパーを連続して繰り出すが、スーパーボンの攻勢が目立った。
3Rもグレゴリアンは前へ出てスーパーボンをコーナーへ追い込もうとするが、スーパーボンは前蹴りで突き放し、近付くとヒザ蹴り。両者接近戦となり、アッパーを打ち合うがスーパーボンはヒザ、左ハイも繰り出す。グレゴリアンの右ローに足が流れ始めるスーパーボン。グレゴリアンの圧力を受け続けたため、スーパーボンはかなり疲労の色が濃い。グレゴリアンのラウンドか。
4R、グレゴリアンはいきなり右ローを蹴る。スーパーボンは左足を蹴られないために左ミドルを蹴る。前に出るグレゴリアンにジャブとヒザで対抗するスーパーボンだが、グレゴリアンの圧に押される。左ショートアッパーを突き上げるグレゴリアンは右ローの連打から左ボディ。
明らかにローのダメージを感じさせるスーパーボンだが、それでも右ヒザを突き刺し、左ミドルを蹴る。グレゴリアンは左ミドルで腕を蹴られながらも前に出て左右ボディ、アッパー、左フックを打つ。両者とも疲労が見えるタフファイトの様相に。スーパーボンは左ミドル2連打、グレゴリアンも右ロー。
5R、グレゴリアンは大きく息を吐いて前へ。スーパーボンも明らかに疲れているがヒザを蹴ってジャブを突く。スーパーボンはつかみを注意される。左ミドルを蹴りながら下がり、前に出るとヒザを突き刺すスーパーボン。グレゴリアンは右ローを蹴り、左ボディ、そして左右アッパー。スーパーボンも負けじとヒザ、左ミドル。
右ローの蹴り合い。なかなかパンチが当たらないグレゴリアンに対して、スーパーボンはヒザと左ミドルを蹴る。スーパーボンは逆にアッパーも突き上げる。グレゴリアンはフックとアッパーの連打で前に出るが、スーパーボンもヒザで応戦して一歩も譲らない。
超タフファイトの勝敗は判定にもつれ込み、両者滝のような汗を流して判定の結果を待つ。判定は3-0でスーパーボンの勝利に。大接戦のシーソーゲームを制したスーパーボンは「チンギス・アラゾフ、タワンチャイの両方と対戦してムエタイとキックボクシングの両方のタイトルを獲りたい」と、両王座の統一を宣言した。
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▼第9試合 バンタム級 ムエタイ 3分3R〇ノンオー・ハマ(タイ)[判定3-0]×クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
ノンオーは37歳で265勝56敗10分の驚異的な戦歴を誇り、ルンピニースタジアムでスーパーバンタム級からライト級まで四階級制覇、ラジャダムナンスタジアムのベルトも獲得している、まさにムエタイの伝説的存在だ。2019年2月にONEムエタイ・バンタム級王者となり、鈴木博昭、セーマペッチ、ロードレック、リアム・ハリソンらを相手に7度の防衛に成功して絶対王者と呼ばれていたが、2023年4月の8度目の防衛戦でジョナサン・ハガティーにKOで敗れ王座陥落。12月にはニコ・カリロにもKO負けしてまさかの連敗で再起をかける。
クラップダムはサウスポーのファイタータイプで、左ストレートを決め技とする元ルンピニースタジアム認定ライト級&スーパーライト級2階級制覇王者。2018年にはプロムエタイ協会ライト級王者の肩書を引っ提げて初来日。REBELSのリングで梅野源治とルンピニースタジアム認定ライト級王座決定戦を争い、4Rに強打で梅野を2度ダウンさせてのTKO勝利を収め、日本のムエタイファンにも強烈なインパクトを残した。
ONEには2019年9月から参戦し、2020年のONEバンタム級ムエタイトーナメントでは決勝へ進出したが、ロードレックに敗れた。2021年は1勝2敗、2022年は2勝3敗、2023年は4勝(3KO)1敗1無効試合。KO狙いのアグレッシブなスタイルはタイで人気を博している。前戦は2024年2月にフリオ・ロボに初回TKO勝ちを収め、現在3連続初回KO勝ち中。戦績は77勝25敗2分1無効試合。
1R、右ミドルを蹴っていくノンオーにクラップダムは右足を上げ下げして踏み込む機会をうかがう。右ローから右ミドルを蹴るノンオー、クラップダムも左ミドルを返す。ノンオーの左ミドルをキャッチしたクラップダムは右ボディから右フック。じりじりと詰めていくのはノンオー、右インローを狙い撃ち。ノンオーが右ミドルを2発ヒットさせると、クラップダムが左右ボディを返す。クラップダムの打ち終わりにはノンオーが右ミドルを返した。
2R、ノンオーは右ミドルと右ボディ、クラップダムは左ミドルを返す。クラップダムの左ボディストレートにはノンオーが右ストレートを返す。左フックの連打で前に出たクラップダムだが、ノンオーも右ミドルを蹴りながら下がる。クラップダムは左ボディから左ヒジの連打、さらに左フック。クラップダムの右フックにヒジを合わせに行くノンオーだが、クラップダムは右でボディを叩いて左フック、左ヒジ。ノンオーは流血が見られる。前に出るクラップダムが左フックを打つが、ノンオーが右ヒジで反撃、クラップダムも左ヒジを打ち返す。ラウンド終了のゴングが鳴ると抱き合う両者。前に出て攻撃を当てたクラップダムの優勢か。
3R、ノンオーの右ミドルに左右ボディから左フックを打つクラップダム。前に出るクラップダムにノンオーは下がりながらも右ミドルを蹴る。クラップダムが伸ばした右手がアイポークになり、試合は中断。再開後、右ミドルを蹴り続けるノンオーにクラップダムも左ミドルを蹴る。左ヒジ、左右フックで前に出るクラップダムに、ノンオーも前に出てヒジを打つ。ノンオーの右ミドルに左ボディを返すクラップダムだが、ノンオーはすかさず組み付いてヒザ。左ミドルと右ミドルの蹴り合い、ヒザの蹴り合い。ノンオーは右ミドルを蹴り続け、最後は前に出てクラップダムを下がらせる。
試合終了のゴングが鳴るとクラップダムは跪いてノンオーに敬意を表した。判定は3-0でノンオーが勝利。クラップダムの強打をノンオーがテクニックで封じた戦いとなった。
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▼第8試合 キャッチウェイト (64.41kg) ムエタイ 3分3R×セクサン・オー・クワンムアン(タイ)[判定0-3]〇麻火佑太郎(PHOENIX)
35歳の“鉄人”セクサンはタイのビッグマッチには欠かせないムエブー(アグレッシブに前へ出てムエタイの全ての技を使って戦うタイプ)のスター選手の一人。2015年9月のラジャダムナンスタジアムにて梅野源治を迎え撃ち、勝利を奪って梅野の進撃をストップした。同年にはラジャダムナンスタジアムの年間MVPにも選ばれている。
『RISE WORLD SERIES 2019』に初来日し、-61kgトーナメント1回戦では大雅を破ったが、準決勝では白鳥大珠に敗れた。その後はロッタンやヨードレックペットを相手に連敗が続いたが、2022年は8戦して5勝1敗2分と盛り返す、2023年からはONEに参戦して9戦全勝。勇敢に前へ出て攻め続けるスタイルはタイの観客を魅了し、大声援を受けての試合となるため対戦相手にとっては厄介だ。
そのセクサンに白鳥以来の日本人選手が挑む。麻火は元TENKAICHI Gライト級王者。K-1甲子園-60kgベスト4、KAMINARIMON×新空手最強決定戦-63kg優勝、全日本格斗打撃選手権大会優勝などの実績を持つ。KNOCK OUTとREBELSでキャリアを積み、2022年2月のRISEではチャッピー吉沼から勝利。5月には木村“ケルベロス”颯太に判定で敗れたが、12月に北井智大から殊勲の勝利を収めた。2023年5月、KNOCK OUTなど他団体で活躍してきたマサ佐藤をヒザ蹴りで初回KOに破ると、8月にはKENTAに判定勝ち、2024年2月に野村太一に判定勝ちと4連勝の絶好調。戦績は14勝(2KO)8敗。
蹴り技が主体で、相手の攻撃をほとんどもらわず自分の攻撃を当てるスタイルで、特に最新の野村戦では完封勝利を収めた。突進してくるセクサンにもそのスタイルが通用するか。
1R、麻火は左ジャンピングハイキックの大技を見せるが当たりは浅い。しかし、サウスポーから左インローでセクサンを崩す。前に出るセクサンをジャブと左ストレートで突き放す麻火。横蹴りでセクサンのヒザを狙う麻火はセクサンが前に出てくると下がり、距離をとって掛け蹴りを顔面にヒットさせる。さらに左ミドルからの左ストレート。ヒットは麻火が奪った。
2R、麻火は左ストレートを顔面とボディへ打ち分け、前に出てくるセクサンにパンチを当てて下がる麻火。それでも前に出るセクサンが右ストレート、右ハイ。麻火が右フックを効かせ、動きが止まったところへ左アッパーでダウン奪う。ダメージの深いセクサンへ左右フック、ヒザとラッシュを仕掛ける麻火。 セクサンも思い切り左右フックを振り回す。麻火はそのセクサンのパンチをよく見てヘッドスリップでかわし、ジャブ、右ストレートを当てていく。それでも前に出て左右フック、右ミドル、右ハイを繰り出すセクサン。フラフラになりながらも右ストレートを打つセクサン。
セクサンへの大歓声が上がる中、迎えた3R。麻火は左ストレート、ジャブをしっかり当て、右フックを当てて右へ回り込む。セクサンはひたすら前へ出てジャブ、右ハイキック。麻火は右へ回り込みながらセクサンの攻撃をかわし、ジャブと右フックを当てる。 ガードを固めながら突進するセクサンを、まるで闘牛士のようにひらりひらりとかわしてジャブを突き刺す麻火。左右に動き、右へ回り込む麻火が左ストレートもヒットさせる。セクサンは諦めずに右ミドルを蹴るが、麻火の左インローにバランスを崩す。終了直前、勝ちを確信した麻火はガッツポーズ。
判定3-0で麻火が大殊勲の勝利。カメラに向かって笑顔でピースを決めた。
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▼第7試合 フライ級 ムエタイ 3分3R×ムアンタイ・PK・センチャイ(タイ)[判定1-2]〇ナックロップ・フェアテックス(タイ)
“エルボーゾンビ”ことムアンタイは2010年頃からルンピニーのトップ選手として活躍しているベテランで、2015年5月に初来日では梅野源治にTKO負け、2019年10月のONEでは健太に判定勝ちしている。2020年1月にONEでブライス・デルヴァルに判定勝ち後、タイでフェラーリ・フェアテックスに判定負け。その後2年のブランクを経て、2022年4月にリアム・ハリソンと5度ダウンの奪い合いの大激闘を演じたが最後はTKO負けを喫している。
2023年は1月にマブルド・ツピエフに判定勝ち、3月にクラップダムからKO勝ちを奪ってみせたが、6月にニコ・カリロにまさかのTKO負け。9月にはヨードレックペットから勝利も12月にはナビル・アナンに判定負けと勝ち負けを繰り返している。今回はバンタム級からフライ級に落としての試合となる。
対するナックロップはK-1に来日経験があり、2022年9月に朝久裕貴と対戦してKO負け。タイのテレビマッチで活躍し、激しい試合をするムエタイ選手として知られている。2023年1月にONE初参戦、3連勝をナビル・アナンにストップされたが、その後は11月にデッドゥアンレック・ティーデ99にTKO勝ち、12月にペットンローに判定勝ちと連勝中。
1R、サウスポーのムアンタイは左ストレート、左ミドル。ナックロップも負けじと右ミドルとジャブ。ナックロップが右ローを蹴ると、ムアンタイはすかさず左の縦ヒジ。ムアンタイが組み付くと離れ際にヒジを見舞うのはナックロップ。組み際にムアンタイは綺麗にヒザを突き刺す。ムアンタイの右ミドルをキャッチしたナックロップは右の連打。離れるとヒザから組み付くがナックロップが右ヒジを打つ。離れ際にも見ストレート。またも組んでくるムアンタイに右ヒジを見舞うナックロップ。
2R、互いにミドルをカットする中、ムアンタイが組み付こうとするとナックロップはヒジ。ナックロップはパンチのコンビネーションを繰り出して攻勢に出るが、ムアンタイはローからヒジ。前蹴りでムアンタイのバランスを崩すナックロップ。ムアンタイのヒジをかわしてパンチを入れていくのはナックロップだ。ナックロップの左フック、右ストレート、ヒジをもらっても前に出るムアンタイ。ナックロップは下がりながらヒジ、回り込みながらの右ストレート、左フック。的確に攻撃を当てていったのはナックロップ。
3R、蹴りとパンチで距離をとろうとするナックロップに、ムアンタイは前へ出てヒジとヒザを当てに行く。パンチをもらっても前に出るムアンタイへ右ヒジを見舞うナックロップ。疲労が見えるナックロップだが、ムアンタイとのヒジの打ち合いに一歩も譲らない。ナックロップが左フックをクリーンヒットさせ、右ヒジも打つ。ムアンタイは右フック、右ヒジをもらうが左ミドルで反撃。ナックロップのパンチがムアンタイを捉え、ヒジは空振りさせる。打ち合いの中でパンチを当てて前へ出るのはナックロップ。
判定は2-1と割れ、ナックロップが大接戦を制した。ムアンタイは納得がいかない表情で首を横に振ったが、ナックロップは雄叫びをあげて大喜び。この好試合に35万バーツのボーナスが両者に贈られた。
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▼第6試合 キャッチウェイト (60.78kg) ムエタイ 3分3R×ジャオスアヤイ・ソー・デチャパン(タイ)[判定0-3]〇ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)
ジャオスアヤイはタイ国BBTVスタジアム・フェザー級8位として、2019年11月の「第3代K-1フェザー級王座決定トーナメント」に初来日。1回戦で安保璃紅を必殺の飛びヒザ蹴りでKO、準決勝でも卜部弘嵩との延長戦に及ぶ激闘の末に勝利。決勝こそ江川優生の左ボディに沈んだものの、鮮烈なインパクトを残した。2020年3月『K'FESTA.3』で小澤海斗からも勝利を収めている。2022年8月の「K-1 WORLD GP 2022 K-1フェザー級世界最強決定トーナメント」では1回戦で玖村修平にKO負けを喫した。
『ONE Friday Fights』には2023年6月から参戦し、初戦のペットスクンビットには初回KO勝ちも、8月の2戦目ではコンスック・フェアテックスに判定負けを喫している。11月にはパイダンをKO、12月はラジャのスーパーフェザー級王者ペットスクンビットから判定勝利を収めた。戦績は78勝(27KO)38敗2分。
ゴントーラニーは2018年6月にラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王座、2021年11月にプロムエタイ協会ライト級王座、2022年3月にラジャダムナンスタジアム認定ライト級王座を獲得している。ONEには2023年2月のFriday Fightsから参戦し、2戦目でペットスクンビットに敗れるもその後は内藤大樹らに勝利して6連勝中。前戦は2024年1月にシャリフ・マゾリエフに判定勝ち。戦績は67勝15敗。
1R、ゴントーラニーはサウスポーから左ミドル、ジャオスアヤイは右インローを返す。ジャオスアヤイもサウスポーにスイッチするところを見せる。ジャオスアヤイが入ろうとするところに左ストレートをしっかり合わせるゴントーラニー。ジャオスアヤイがサウスポーになると右ミドルを蹴るゴントーラニー。ジャオスアヤイが入り込んでくると左ヒジのカウンターを見舞い、左ハイを放つがこれはジャオスアヤイがしっかりガード。
2R、出会い頭に両者が右フックを放ったところでジャオスアヤイが先に当ててダウンを奪う。パンチでまとめるジャオスアヤイがグラつかせるが、ゴントーラニーは左ハイ、ヒジで前へ出て反撃。ジャオスアヤイの右アッパーにはゴントーラニーが左フックを返す。左ミドルに左フック、右ヒジを打つゴントーラニーは左ストレートでジャオスアヤイを下がらせる。ゴントーラニーは首相撲のヒザから手を離すと同時に左フックでダウンを奪い返す。左アッパーを当てていくゴントーラニーにジャオスアヤイも右で反撃。
3R、ジャオスアヤイの右ローに左フックを合わせるゴントーラニー。ジャオスアヤイが前へ出ると左アッパーを打ち、蹴ってくると足を払いながら背後へ回ってジャオスアヤイを引き倒す。前に出るジャオスアヤイは右ボディを狙い撃ち、これにゴントーラニーが下がり始める。左ミドル、左アッパーを打つゴントーラニーだが、ジャオスアヤイの右ボディに身体を丸める場面が目立った。
判定は3-0でゴントーラニーがダウン応酬の激戦を制し、ONEでの7連勝を飾った。リング上ではONE本戦との契約も発表され、ゴントーラニーは笑顔を輝かせた。
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▼第5試合 フェザー級 ムエタイ 3分3R〇シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)[3R 0分53秒 TKO]×エリック・ヘアー(スウェーデン)
シャドウはラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級王者。同タイトルは2022年2月にフリオ・ロボと王座決定戦を行って勝利し、手にしたもの。2022年にはラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)のウェルター級リーグ戦で優勝。2024年2月のFriday Fightsに注目の初参戦を果たしたが、マムカ・ウスビャンに判定負けを喫した。
ヘアーは今回がONE初参戦の25歳。
1Rから2R序盤まで前へ出るシャドーがローキック、左ボディ、ヒジとヘアーを圧倒。しかし2R中盤にヘアーが右ストレートをカウンターでヒットさせてシャドーはダウン寸前に。
逆転の予感に場内が大きく沸くが、シャドーは強烈な右ミドルを蹴り続ける。そしてラウンド終盤には右ストレートを打ち抜いてダウンを奪う。
3R、シャドーは左ミドル、左インロー、左ヒジと追い込んでいき、右ハイキックでヘアーを大きくグラつかせる。ロープを背にして倒れかかったヘアーにダメ押しの右ハイをガードの上から叩き込んでダウンを奪う。ヘアーは立ち上がるもフラフラでレフェリーがストップした。
今夜初のKO勝ちしたシャドーには35万バーツのボーナスが贈られた。
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▼第4試合 キャッチウェイト (57.15kg)ムエタイ 3分3R〇コンペット・フェアテックス(タイ)[判定3-0]×ゴンチャイ・チャナイドンムラン(タイ)
コンペットはルンピニースタジアム認定フライ級&バンタム級の2階級制覇、元タイ国プロムエタイ協会ライトフライ級王者、BBTV(7チャンネル)フライ級・ライトフライ級・フェザー級の3階級を制覇したムエタイ6冠王。ここ数年はフェザー級トップ選手として君臨し、上の階級の選手とばかり試合を組まれたことも。“フィームー”と呼ばれる離れて戦うテクニシャンタイプであるが、激闘の多さで有名な7チャンネルで戦ってきた、打ち合いも出来る万能型。2022年9月、K-1に初参戦して玖村将史を判定に破り、日本でもその名が知られるようになった。
ONE初参戦となった2023年1月の『ONE FRIDAY FIGHTS 1』のメインイベントではプラジャンチャイに判定負け、3月のK-1では金子晃大に判定負けと連敗を喫するも、6月の『ONE FRIDAY FIGHTS 23』では中国人選手に判定勝ち、9月にはゴンチャイとの大激闘を判定で制した。10月にはカムバックと引き分けとなり、2024年1月にはダレン・ローランにTKO勝ち。戦績は86勝(13KO)18敗4分。
対するゴンチャイは2020年1月ラジャダムナンスタジアム認定115ポンド(スーパーフライ級)王座を獲得(vsペットスパン戦、判定勝ち)、また同年9月には「ヨードムエ・ワンソンチャイ」122ポンド王座も獲得(vsペットパノム戦、判定勝ち)、9月4日(日)にはオートーコースタジアム興行「ムエディーヴィーティータイ+ジットムアンノン」メインイベントでベテランのアピワットと同興行フェザー級王座戦を戦い判定勝ち。ワンソンチャイ系・ジットムアンノン系を代表するトップ選手。2022年10月には福田海斗に判定勝ちしている。『ONE FRIDAY FIGHTS』には2023年2月から4度参戦し、4戦全勝(1KO)だったが、前述の通り9月にコンペットとの大激闘でONE初黒星を付けられた。
1R、ゴンチャイはサウスポー。コンペットは右ローと右ストレート、ゴンチャイは左ミドルを蹴る。コンペットの右インローにゴンチャイは左ミドルを返すが、コンペットはすかさず右を狙い撃ち。コンペットは左手を開いてゴンチャイの前腕をつかんだり払ったりして右を打ち込む。コンペットの右のヒットが目立った。
2R、ゴンチャイの左ミドル、コンペットの右ミドルの蹴り合い。このラウンドはゴンチャイが前に出て左ストレートを顔面とボディに打つ。コンペットは右で迎え撃ち、ヒジも繰り出す。至近距離でヒジを打ち合う両者。離れ際にはコンペットが右ローを蹴る。組んでのヒザはコンペットが2発、すぐにヒジと右フック。ゴンチャイは左ミドルでバランスを崩したコンペットに左ストレート。前に出て左ストレートを打つゴンチャイだが、ヒットはコンペットの方が多い。
3R、ゴンチャイの左ミドルをキャッチして右を打つコンペットにゴンチャイはヒジを繰り出す。前に出るゴンチャイは打ち合いに持ち込むと左ストレートをヒットさせる。前に出てくるゴンチャイにコンペットはロープを背負うと右で打ち合うが、ゴンチャイの左ストレートをもらって動きが止まる。それでも打ち合うコンペットだが、ゴンチャイに下がらされる。ゴンチャイは左ミドルから右フック、コンペットも打ち合うが、このラウンドのヒットはゴンチャイが優った。
判定は3-0でコンペットが接戦を制した。この勝利でコンペットが本戦の契約を獲得した。
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▼第3試合 バンタム級 ムエタイ 3分3R〇ジェイク・ピーコック(カナダ/英国)[判定3-0]×新城絋平(エクシンディコンジャパン)
ピーコックは隻腕のキックボクサー。極真空手を学び、北米選手権で優勝すると世界大会にも出場した。キックボクシング転向後は北米スーパーウェルター級王座、1Xヨーロッパ同級王座、そして2022年7月にはWBCムエタイ カナダ ウェルター級王座も獲得。2023年に1年間にわたって繰り広げられた「Road to ONE」トーナメントで優勝し、今回の出場権を手にした。ハンディをものともしない蹴り技中心の戦いぶりを見せる。2016年6月には『Hard Knocks Fighting Championshiip』でMMAにも挑戦しているがTKO負け。
コウヘイ・ウォーワンチャイこと新城絋平は沖縄県出身で、2021年3月14日RISEでプロデビュー。King of Strikersライト級3位、M-1 JAPANライト級3位で戦績は6勝(2KO)2敗2分の新鋭だ。
ピーコックは他の試合とは違い右腕にボクシンググローブは着けず登場。1R、新城は右ロー、ピーコックも右ローを蹴る。ピーコックはノーモーションの左ストレートをヒットさせ、右ハイも浅くだが当てる。組むとヒザ、右ヒジも打つ。サウスポーから左ミドルを連打したピーコックは、組み付くとヒザ蹴り。さらに左ヒジ。離れるとピーコックが左ハイをクリーンヒット。新城は左右フックを繰り出すが、ピーコックはブロックや距離で外す。
2R、右ミドルの蹴り合いからピーコックが前に出ての左ミドル、右前蹴り。接近するとピーコックは右ヒジを打つ。ロープを背負う場面が目立つ新城。ピーコックは右ハイ、ジャブ。新城は右ミドルを蹴るがピーコックは下がらず、圧をかけ続けた。
3R、ジャブから接近するピーコックは上手く右ヒジをヒットさせる。さらに左ストレートをフェイントにしての左ハイ、後ろ蹴りからのハイキック。新城の蹴りを受けるとピーコックはそのまま回転しての後ろ廻し蹴りを見せる。飛びヒザで前に出るピーコックに新城が左右フック、負けじとピーコックも右ヒジを叩きつけて左ミドルを蹴る。
判定は3-0でピーコック。全くハンディを感じさせない見事な戦いぶりでONEデビュー戦を勝利で飾った。
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▼第2試合 ストロー級 キックボクシング 3分3R×アリーフ・ソー・デチャパン(タイ/マレーシア)[判定0-3]〇ジャン・ペイメン(中国)
アリーフは2023年7月の『Friday Fights』から参戦し、タイ人選手2人に勝利、前戦は11月にイランのペイマン・ゾルファガリに初回KO勝ちと3連勝を収めている。戦績は57勝7敗。
“中国の天心”の異名を持つペイメンは、中国「EMLegend」等で活躍し、23勝18KOをマークするなど“最強中学生”として話題となり、2022年3月にONEデビュー。サムエーが持つONEストロー級(56.7kg)ムエタイ世界タイトルマッチにも挑戦経験があるトナーと対戦し、2RでKO。7月大会ではアスランベック・ジクレーブを判定3-0で破り、10月にONE世界ストロー級キックボクシング王座決定戦に臨んだが、ジョナサン・ディベラに判定で敗れ戴冠ならず。2023年3月の再起戦で勝利するも、11月にはルイ・ボテーリョに判定で敗れた。戦績は17勝(6KO)3敗1分。
1R、両者の身長差は14㎝。上背で優るアリーフはペイメンが前へ出てくるとテンカオを突き刺し、右ミドルとローで迎え撃つ。ペイメンはものともせず懐に入り込み、ヒザにはボディを合わせ、顔面に右ストレートを伸ばしていく。あっさり入り込むと左右ボディを連打するペイメン。アリーフは早くも身体を丸めだす。離れながら右ミドルを蹴るアリーフにどんどん距離を詰めて左右ボディを打っていく。それに身体を丸めてしまうアリーフ。ペイメンの右フックをもらったアリーフは右ミドルを2発返した。
2Rも前に詰めて来るペイメンにアリーフは飛びヒザを連発。ペイメンは左ミドルから左右ボディ、顔面へも左フック。動きが止まるアリーフに左ボディと左右フックのペイメン。アリーフは右ミドル、ヒザを返すもコーナーに詰まってボディをもらい、身体を丸める。アリーフが一発ヒザを出すとペイメンはボディと顔面へ5~6連発。1Rに続いてペイメンが攻め続けた。
3Rも前に出るペイメンにアリーフは下がりながら左ミドルを蹴っていくが、ペイメンにすぐ詰められて左ボディ、右ストレートをもらう。左フックからのボディブロー、左ボディからの右ローとアリーフをコーナーへ釘付けにするペイメン。それでも右ミドルを返して反撃するアリーフ。最後までペイメンが追いかけての攻撃を続け、ペイメンが勝利を収めた。
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▼第1試合 キャッチウェイト (55.34kg) ムエタイ 3分3R〇石井寿来(=ジュライ・ウォーワンチャイ/ウォーワンチャイプロモーション)[判定3-0]×片島聡志(Kick Life)
ONEでは珍しい日本人同士のムエタイ戦が組まれた。
石井は石井一成の甥で、2019年3月にルンピニースタジアムでプロデビュー。2023年7月のソンチャイノーイ戦で判定負けするまで国内無敗を誇った。WMC日本フライ級王者、スックワンキントーンフライ級王者。戦績は13勝(5KO)8敗の18歳。
片島は2010年9月デビューの33歳ベテランで、元WPMF世界スーパーフライ級王者。そのほとんどのキャリアをムエタイルールで積んできた。2024年2月にはRIZIN佐賀大会に出場し、石郷慶人から判定勝ち。戦績は30勝22敗。
1R、サウスポーの石井が軽く左ミドル、片島は左へ回り込みながら前足へ前蹴り、左ロー。互いに利き手のストレートを打つ。片島は絶妙な距離感で石井のパンチ、ヒジの空振りを誘う。左回りが止まってきた片島に石井がワンツーの連打。徐々に石井の左ストレートが当たり始める。逆に片島はパンチやヒジが届かない展開に。前に出た石井が優勢か。
2R、片島は右ロー、右インローを蹴るが石井の左ストレートをもらう。ストレート連打で前に出る石井に片島も足を止めて打ち合い、ヒジも打ち合う。片島は1Rでも決めた右ボディからの左フック、石井はワンツーの連打からのヒジを繰り出す。片島のパンチに左縦ヒジを合わせにくる石井だが、片島も右フックを当てる。正面に立つ片島を石井の左ストレートが捉え、左ハイキックも浅くだがヒット。石井の左ミドル&左ストレートに右の三日月で応戦する片島。ヒット数の多かった石井のラウンドに。
3R、石井は左ヒジ、左ハイ、左ストレートと打ち込み、片島の先手を打つ。片島もヒジを繰り出すが、石井の左ストレートに後退。ワンツーの連打、ヒジで片島はコーナーを背負う。片島は右ボディを打ち、接近してのヒジ。石井はジャブを突き、片島の蹴り足をキャッチして軸足払いでコカす。左右の連打で前へ出る片島だが、逆に石井のワンツーをもらってバランスを崩した。
判定は3-0で石井が勝ち名乗りを受けた。