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【UFC】フライ級無敗対決でまさかの「噛みつき」失格でセヴェリーノがUFC解雇→噛まれたリマに「バイトボーナス」→噛まれ痕を記念のタトゥーに→ボーナス倍額へ

2024/03/25 11:03
 2024年3月23日(日本時間24日)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Ribas vs. Namajunas』(U-NEXT見逃し配信)が開催され、第2試合のフライ級で「噛みつき」事件が勃発。噛みついたイーゴル・セヴェリーノ(ブラジル)はUFCを1発リリース。噛みつかれたアンドレ・リマ(ブラジル)にファイトボーナスならぬ「バイトボーナス」が支払われた。  2023年9月の登竜門大会コンテンダーシリーズでUFCとの契約を獲得していたセヴェリーノは、MMA8戦全勝全フィニッシュ(4KO・4一本勝ち)の20歳プロスペクト。今回がUFCデビュー戦だった。  対するリマもコンテンダーシリーズ上がりで7戦全勝。元ブラジルキックボクシング王者で7勝中5つのKO勝ちを記録する25歳。セヴェリーノ同様に今回がオクタゴンデビュー戦になる。 ▼フライ級 5分3R〇アンドレ・リマ(ブラジル)[2R 2分53秒 DQ] ※反則の噛みつき×イゴール・セヴェリーノ(ブラジル)  初回は、ともにオーソドックス構えで、セヴェリーノが打撃からテイクダウンを決めれば、リマが立ち上がり、ジャブ、ヒジ打ちを返し、互いにカーフキックを当てるなど一進一退の攻防に。倒してもリマに立ち上がられるセヴェリーノにとってはストレスの多い展開だった。  事件は2Rに起きた。  2Rも前に出るセヴェリーノが右ボディでリマを下がらせると、走り込んでのダブルレッグテイクダウン!  下からアームロックを狙うリマを金網に押し込み潰して左のパウンドを打つと、そこで出来たスペースを利してリマが相手に背中を見せながら初回同様に立ち上がり。 【写真】打撃で前に出て組んだセヴェリーノ(C)Zuffa LLC/UFC  バックについたセヴェリーノは背後からヒザを突き、立ちながらボディクラッチへ。リマはその手を剥がそうとしてアームロックを狙う。  スタンドでバックについたセヴェリーノは前かがみになり、顔をリマの左腕につけてバックから押し込む。  すると、ここでリマが自分の左の二の腕を指さして「噛んだ!」とアピール。セヴェリーノは構わず腰をクラッチしたままリマを崩してシングルレッグに行くが、金網背にして立ち続けるリマは左ヒジを上げてレフェリーに「ここを噛まれた」と再度アピール。  ここで「タイム」の声がかかるが、セヴェリーノは片足を持ち上げながら一瞬、レフェリーを見やるも片足タックルを止めず。  レフェリーは再び大きな声で「タイム!」とコールしながらセヴェリーノの腰を叩いた。  ブレークとなり、リマはドクターチェックに左ヒジを上げて二の腕を見せて口を開けて「噛まれた」と説明。カメラがリマの左腕に寄ると、マウスピース型の楕円形の歯形がくっきりと残っており、セヴェリーノの噛みつきによる「disqualification(失格)」のコールが下された。  試合後、UFCのダナ・ホワイト代表は、インスタグラムで「2人の新進気鋭の無敗ファイターだった。イライラして試合から降りたいなら、方法はいくらでもあるが、一番やってはいけないのは相手を噛むことだ。今、彼は(UFCを)カットされ、人生最大のチャンスを失う。言うまでもなく、彼はNSAC(ネバダ州アスレチック・コミッション)と本当に問題を抱えることになる」と語った。  試合後の会見でリマは、この噛みつき事件について、「あのとき、僕たちはとてもいい打ち合いをしていて、それから彼は私をテイクダウンしようとした。立ち上がるときに痛みを感じたから叫んだんだ。フェンスに挟まれたと思った。フェンスに噛みつかれたんだと思ったよ。一進一退の攻防で、彼にとっても僕にとってもいい試合だったのに」と戸惑いを隠せなかった。  UFCにおける噛みつき事件は、初めてではない。オクタゴンの歴史の幕開けから、その事件は起きていた。  1993年11月12日、米国コロラド州デンバーで開催された『UFC1』で“何でもあり”のノールールトーナメントとしてUFCが旗揚げ戦を行ったが、当時のルールでも「目潰し、噛み付き、金的」攻撃は、「反則」とされていた。  そのワンデートーナメントの決勝に勝ち上がったのはジェラルド・ゴルドーとホイス・グレイシー。  反則のケージ掴みでテイクダウンを防ごうとするゴルドーに対し、ホイスは反則の目つぶしを受けないように両脇を差してゴルドーの左脇下に顔を密着させると、ボディロックと小外がけを合わせてテイクダウン。  バックを奪われ、腕を喉元に差し込まれたゴルドーは、その腕に「噛みつき」。道衣ごしに噛まれたホイスは、背後からチョークで絞めて、ゴルドーがタップするも、しばらく絞めを解かず。マットを叩き続けるゴルドーにレフェリーが間に入り、ようやくホイスは絞めを解くと、勝ち名乗りを受けながら「アイツは噛んだ」と、怒りの表情で語っている。  それから31年。ルールは変われど、必死のファイトのなかで、自身が有利なポジションにもかかわらず噛みついたセヴェリーノは、UFCを解雇され、噛まれたリマは2万5000ドル(約370万円)のボーナスを獲得した。 (C)INSTAGRAM@LUCASLUTKUS  さて、この事件には後日談がある。  思わぬバイトボーナスを得たリマは、1日も経たないうちに、さっそく「ちょっとしたボーナスをもらった」と、セヴェリーノに噛まれた傷跡を記念のタトゥーで彫ったことをSNSで報告。  ダナ代表は、当初リマに2万5000ドルのボーナスを与える予定だったが、タトゥーを見て「5万ドルを与える」と表明している。
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