ムエタイ
レポート

【RWS】石井一成が左フック一閃の鮮烈KO勝ち、追悼のかめはめ波&元気玉も。女子ムエタイの新星17歳のJKファイター・カナが完勝で5勝無敗に、メインでは女子初のラジャ王者ソムラッサミーが初防衛に成功

2024/03/09 22:03
ラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)2024年3月9日(土)タイ・ラジャダムナンスタジアム※U-NEXTにてLIVE配信 ▼セミファイナル(第6試合)117ポンド(53,0kg)契約 3分3R〇イッセイ・エクシンディコンジム(=石井一成/ウォーワンチャイプロモーション)KO 1R 1分12秒 ※左フック×コンパヤック・ポーラクブン(タイ)  石井はジュニアキック出身で、アマチュアでは14冠王を達成。2017年2月にはTrue4Uフライ級タイトルを高校生で獲得。2018年12月、トーナメントを制してKING OF KNOCK OUT初代フライ級王座に就いた。WPMF世界フライ級王座、IBFムエタイ世界フライ級王座、BOMスーパーフライ級王座、WBCムエタイ世界スーパーフライ級王座も保持。K-1には2022年8月に初参戦を果たし、12月の「K-1 WORLD GP初代バンタム級王座決定トーナメント」に臨んだが決勝で黒田斗真に判定負け。  2023年はK-1でヨーシラーとテクニカルドロー、7月と9月には『RWS』で連続KO勝利を収めたが、10月のRWSでラジャダムナンスタジアム認定バンタム級王者パントアに敗れた。12月のK-1 WORLD GPバンタム級タイトルマッチでも黒田との再戦に敗れた後、K-1との契約が満了したことを発表した。2024年1月には『TOP BRIGHTS』でナンペットを初回に後ろ蹴りでKOしている。戦績は44勝(25KO)15敗3分。  コンパヤックは元S-1バンタム級王者で、戦績は87勝25敗2分。  石井はワイクーの最後に“追悼のかめはめ波”のポーズを決め、場内からは歓声が沸き起こった。  1R、サウスポーのコンパヤックが放った左ミドルをスウェーでかわした石井は右ロー。コンパヤックはジャブからワンツー、左インローとスピードある攻撃で前へ出る。石井はジャブを出しながらワンツー。そして右ボディストレートから返しの左フックでダウンを奪う。コンパヤックも左ストレートを打つ体勢に入っていたため、踏み込んだ石井の左フックがカウンターで決まって鮮やかなKO勝ちとなった。  レフェリーが即座に試合を終了させると、石井はコーナーに飛び乗って元気玉のポーズ、さらに最後はテレビカメラに向かって、かめはめ波のポーズをとった。 [nextpage] ▼プレミナリ―ファイト第1試合 103ポンド(46.7kg)契約 2分3R×カオカノック・ウォーチャクラウット(タイ)判定0-3〇カナ・エクシンディコンジム(=押川香菜/エクシンディコンジム)  カナはタイでIMSA女子ピン級王座に就くと、2022年12月の国内プロデビュー戦でKO勝ち。僅かプロ2戦目にしてミネルヴァピン級王者・撫子を破るジャイアントキリングを起こして最強現役女子高生ファイターとして注目を集め、4戦4勝(1KO)と国内で連勝街道を突き進んでいる。11勝3敗2分のカオカノックとは17歳対決となった。  リング上で笑顔の余裕を見せるカナ。1R、長い手足のカオカノックは前蹴りと右ミドル、カナは右へ回り込みながら右ローを蹴る。右ミドルをややもらいすぎのカナだが、右ローをしっかりリターンしていいタイミングで決めていく。オープンスコアは10-9×3でカナ。  2R、いきなり左縦ヒジを交錯させる両者。カナはカオカノックの右ミドルをキャッチしての右ストレートを見舞う。ギアを上げたカナが前へ出てパンチと右ローで攻め、ボディへの右ストレートも当てる。パンチで来るカオカノックに前蹴り、右ローで応戦するカナ。カオカノックが首相撲に来るとボディクラッチで押し込んでいく。OPスコアは10-9×3でカナがリード。  3R、カオカノックの左ミドルに右ストレートを打つカナ。カオカノックは首相撲に持ち込んでのヒザ。離れるとカオカノックのテンカオをカナは右フックで吹っ飛ばす。右ロー、前蹴り、左ストレートからの右ロー、左縦ヒジと攻めるカナ。カオカノックの右縦ヒジはかわす。ポイントでリードしているカナだが攻撃の手は休めず、左ボディを狙い撃ちして前蹴りでもボディを攻める。  諦め気味のカオカノックに最後までカナが攻め込み、ジャッジ三者とも30-27の完勝を収めた。 [nextpage] ▼メインイベント ラジャダムナンスタジアム認定女子バンタム級タイトルマッチ 2分5R〇ソムラッサミー・マノップジム(タイ/王者)判定3-0 ※50-45、48-47、49-46×モニカ・チョクリコワ(スロバキア/挑戦者・同級1位)※ソムラッサミーが初防衛に成功。  王者ソムラッサミーは2022年RWS女子フライ級トーナメント優勝、2023年RWS女子バンタム級トーナメント優勝、昨年12月23日の初代王座決定戦でラジャダムナンスタジアム初の女子王者となった。22歳。  挑戦者のチョクリコワは6歳で空手を始め、10歳からムエタイを始めたという。アマチュアで数々のメダルを獲得し、プロではWMC世界-51kg級王座、WMCインターコンチネンタル-54kg王座を獲得。昨年9月、ロード・トゥ・ラジャダムナンの試合で1Rに右ハイキックKO勝ち、12月のラジャダムナンでも判定勝ちしている28歳。MMAでも3勝1敗の戦績を持ち、2020年10月のベラトール・イタリア大会ではスコーピオンクランチで勝利を収めた。  1R、ソムラッサミーはサウスポーから左ロー、チョクリコワはスタンスを広めにして前後にステップを踏み、前足のフェイントを使う。両者にアグレッシブの指示がレフェリーから出ると、パンチの打ち合いから首相撲でヒザを蹴り合う。オープンスコアは10-9×2がソムラッサミー、10-9がチョクリコワ。  2Rが始まると同時に首相撲勝負。ヒザを積極的に放っていくのはチョクリコワだが、ソムラッサミーはヤッサイで逆襲。互いにミドルをかわし合うが、チョクリコワが前蹴りを当てる。組むとチョクリコワが左ヒジ、ソムラッサミーはヒザ。ソムラッサミーにミドルをキャッチされたチョクリコワだが、転倒させられずバランスを保つ。OPスコアはソムラッサミーの10-9×3。  3R、左右の足を上げ下げしながら前に出てくるソムラッサミーにチョクリコワは下がる。ワンツーから組みに行くソムラッサミーだが、チョクリコワは首を引き付けながらヒザを押し当ててソムラッサミーにヒザを蹴らせない。バックハンドブローを繰り出すチョクリコワだが空振りに終わった。OPスコアは10-9×3でソムラッサミー。  4Rも前に出るのはソムラッサミー。掴みに行くとチョクリコワが右フックで迎え撃つ。組むとチョクリコワはヒジ、ソムラッサミーはヒザ。またもバックハンドブローを繰り出すチョクリコワだがパワーがない。前に出るソムラッサミーは両足を上げ下げし、前蹴りをしっかり当てていく。OPスコアは10-9×2でチョクリコワ、10-9がソムラッサミー。  5Rもソムラッサミーが前に出て左ストレート、左ヒジ。チョクリコワは右ストレートを返す。ソムラッサミーの左ミドルにバランスを崩してしまうチョクリコワ。さらに左ミドルを蹴っていくソムラッサミーが首相撲でチョクリコワを動けないようにし、完璧に制圧。ここでソムラッサミーのセコンドから流しの指示が出て、ソムラッサミーは流しの体勢に。チョクリコワはヒジとパンチで逆転を狙うが時間切れ。  判定3-0でソムラッサミーが防衛に成功した。「勝てて本当に嬉しい。モニカは強敵だったからプレッシャーがありました。このまま防衛を続けたい。海外でも防衛したいです」と勝利者インタビューに答えた。
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