(C)ONE Championship
2024年3月9日(土)午前10時から、タイ・バンコクのルンピニースタジアムにて『ONE FIGHT NIGHT 20』(U-NEXT配信)が「国際女性デー」を祝して全カード女子ファイターの大会として開催される。
リングで行われる同大会には、日本からアトム級(※52.2kg)戦として、グラップリングで山田海南江(IGLOO BJJ)、MMAで澤田千優(TEAM AKATSUKI)が参戦する。
まずは、ONE本戦デビュー戦でいきなり同級5位の強豪ジヒン・ラズワンと対戦する修斗世界女子アトム級王者の澤田千優の言葉を紹介したい。
▼ONEアトム級→キャッチウェイト120ポンド 5分3R
ジヒン・ラズワン(マレーシア)120ポンド(54.43kg)ハイドレーション 1.0148
澤田千優(日本)116.25ポンド(52.73kg)ハイドレーション 1.0222
なお、今大会前の計量では、ジヒン・ラズワン(マレーシア)が120ポンド(54.43kg)、ハイドレーション 1.0148で体重大幅超過。
澤田は、一時ハイドレーションテストをパスできず計量し、115.25ポンド(52.27kg)を計測。最終的にハイドレーションで1.0222、116.25ポンド(52.73kg)で計量を終えている。
結果、試合はラズワンの体重に合わせて120ポンドのキャッチウェイト契約試合となった。
ランカーを倒して、ランキング入りを
──今回の対戦相手がアトム級5位のジヒン・ラズワンとオファーが来たときにどう感じましたか(※インタビューは7日に行われた)。
「マッチメーカーは、自分のONE本戦デビュー戦でこの選手を当ててくれるんだと、と思って、そこはいいチャンスを与えてくれてありがたいなという気持ちになりました」
──ONEで8勝3敗。V.V Mei選手、平田樹選手に判定勝ちし、前戦では、ジェネリン・オルシムを腕十字に極めています。どのようにとらえていますか。
「まず相手のジヒン・ラズワン選手は、ONEのランカーというところももちろんなんですけど、私も試合を前々から見ていたり、日本人選手と戦っていたり、スタンプ選手とも戦っていたりしているのは見ているので、やっぱりバランスのいい選手だと。上半身ももちろんですけど、下半身がしっかりしていて、52kgのアトム級でも、普段だったらもっとあるんだろうなと。自分よりちょっと大きい身体つきというのは元々の印象としてあります」
──対日本人選手との試合もご覧になりましたか。
「まず最初に確認したのは、日本人選手との──もともと見てはいたんですけど、平田樹選手とV.V Mei選手とやった試合。ジヒン選手が勝っている試合なので、その勝ち方が参考になるかなと思って見て、なかなか倒れない、腰が重いなというのも確認しつつ、スタンプ選手との戦いも見たんですけど、やっぱり負けてはしまってはいるけど、KOされてないし、いいヒジをもらってはいるけど、ちゃんとトップを取ったりもしている。腰の重さ、あとバランスの良さを確認しました。それに最近勝った試合、下から十字を極めた試合も見ました」
――その中でラズワン選手で一番警戒しているというポイントは?
「出すかどうかは分からないんですけど、一発もらったらやっぱり怖いなというのはあるので、ミット打ちとかを見ていても、ムエタイ仕込みのヒジとか、身長が私よりも大きいので、上から下に振りかざすヒジだったりとか、離れ際のヒジも。あとは、ちょっと遠間でも大ぶりのパンチとかが当たってくるのがやっぱり怖い、避けたいなと思っています」
――ラズワン選手はウーシューで世界王者になり、近い距離でも打ち合い、組みの平田選手にテイクダウン&コントロールで上回っています。そして下になっても仕掛けがある。そういう相手に新たな環境でどこを強化してきましたか。
「環境を変えた、チームを変えた(AACCからTEAM AKATSUKI)のは、まず、最初に出稽古に行かせてもらったのが去年の夏前くらいから。半年以上ですかね。打撃の面を見てもらいつつ。MMAに使える距離感とか、“今の距離は危ないよ”というのを教えてもらいながらという感じでした。今回、移籍した意図としては、自分がもっとレベルの高い選手になるためには、やっぱり打撃のレベルアップ。MMAなので、寝技だけではなくて打撃、トータルで強くならなきゃいけないというところで、私の弱みが打撃で、まだ自信を持ってできないので、そこを強化するためでした。その上で、TEAM AKATSUKIではいいところも伸ばしつつ、打撃を強化できる環境だなと思ったので、そこにシフトしました。
ラズワン選手に勝つためにやってきたこととしては──この試合が決まるずっと前から、ONEに出たらこういう選手と戦うなということは考えていて、イメージしていたことなので、打撃ももちろんですけど、寝技で下からも狙われる、トータル的に上手い選手が多いなか、ジヒン・ラズワン選手と決まってからは、やっぱり倒すまでの展開、倒してからの展開を作ってきました。ちゃんと下からのアプローチが上手ですし、なかなか倒れてくれない。そして、今回はロープなので金網が使えないというところはイメージして練習して、いいところで自分の強いポジション取りができるような練習はしてきました。
それに、アメリカでの試合とかもそうですが、これまでの傾向だと、私がタックルに入って、下の選手にガードに固められてしまう形になる展開が節々に出てしまうので、そこはちょっと突っ込みすぎないように、タックルに入っても、レスリングみたいに突っ込みすぎないようにいこうかなというのは意識して練習していました」
――なるほど。セコンドは良太郎選手のほかにも?
「良太郎さんと、あと松嶋こよみ選手がつきます」
──良太郎選手との打撃練習は、澤田選手の強みを活かす形のもののようですね。
「はい。とくに大きく変えるということは一切していなくて、それも良太郎さんの教え方の一つなんですけど、私だったらレスリングスタイルがもうベースとしてあるので、それを生かした打撃。体勢だったりとか、身体の体重移動がしやすい打撃のミットの打ち方とか、力の伝え方とかを、より練習しながらブラッシュアップさせてきました。“今だったらこのパンチ打てるよね”とか、“今だったらこのポジション取りだよね”みたい形でお互いにすり合わせながら練習し、教えてもらってきました」
――半年間の成果は出せそうでしょうか。
「“見せてやるぞ、見せつけてやるぞ”と思ってしまうと、どうしても私の性格上、空回りしたり、力んじゃったりとかするので、あくまでも私のスタイルは変えない。今までやってきたことは変えないつもりで、節々に手足が出せればいいかなという気持ちで、あまり緊張しすぎても良くないので、それくらいの気持ちでやろうかなと思っています」
――いかにアプローチしてテイクダウンして、下から仕掛けられずに削るか。グラウンドで鉄槌でフィニッシュなどのイメージもされていますか。
「しっかり削ってというのもイメージして、どっちにも転んでもいいように、鉄槌でダメージ与えて削って終わりでもいいですし、鉄槌でダメージ与えてフィニッシュすることももしっかり考えてやっています」
――今回ランカーと戦うことになった、ご自身が、今後どんな目標を持っていますか。
「私の目標は、まずはここのランカーを倒して、ランキング入りしたうえで、もっとレベルの高い選手と戦わせていただくことで、後々にチャンピオンだったらスタンプ選手、ONEのベルトを担げるようになるのが目標です」
――もう1点、今回「国際女性デー」の一環としてこの大会がおこなわれることについて、そこで何を示したいか、どう感じているか教えてください。
「そういう記念日に、記念ある大会に呼んで、そこでデビュー戦で、ましてや聖地のルンピニーで戦わせていただくことはすごく光栄なことだと、オファーを受けたときから思いました。たぶん『女性デー』とはいっていても、戦っている女の子たちみんな──“女の子”という言い方はかわいらしくなっちゃうけど、女性のみんなは、たぶんそこは別にそんなに気にしていなく、“私は私”という人が多いんじゃないかなと、私は思うんです。男性からしたら、“女性も頑張っている”と思う機会になるかもしれないし、見ている女性からしたら、“こういう戦い方をする女性がいるんだ”みたいに思ういい機会にもなるんじゃないかなと思ってはいるので、私も何かを表現する一因になれるように頑張りたいなと思っています」