伊藤「質の高いところで全力を出し合う」
「今はもう、あの試合も『過去』という感じなので、あの試合について何かということはないです。今回のための試合だったと思うので、今回もキッチリ勝つだけという感じです」
──KO勝ちは2022年6月の南雲大輝戦以来でした。そのKOがあの大舞台で出せた理由は?
「やってきたことが形になってきたというのと、リングで何をするかということを自分で理解して実現できた結果だったので、自信にもなりましたし、自分のやることがさらに明確になった試合だったと思います」
──自分のスタイルや戦い方が変わってきた?
「それは大きくあると思います。試合への向き合い方だったり、試合の中での自分の出し方というところは変わったと思います」
──その変化はジムが変わったことと関係ありますか?
「そうですね。パンチ一つから、自分が試合で何をすべきかというところまで一つずつ、ジム代表の太田東玖先生に教わって、先生やジムの仲間と話し合って練習しながらやってる状態なので。まだまだ途中ですけど、前回の試合はそれが一つの形になってきた証だと思います」
──前回の試合を踏まえて、今回の再戦に向けては何を重視して練習してきましたか?
「『お客さんに見せる価値のある試合とは?』と考えながら、一発一発の質を上げることを考えてきました。倒すか倒されるかという緊張感を持って、質の高いところで全力を出し合うというところに重点を置いてます」
──そういう意識というのは、今まではそこまでなかったですか?
「もちろんお客さんが盛り上がるような試合をとは思っていましたけど、それができてたかどうかというと全然違いますし。あと、思ってたとしても見え方が違うというか、視点が変わった感じですね」
──では、前回勝っているということは、有利に働くわけではない?
「そうですね。自分としてはまた初戦のつもりで戦えればと思ってます。ただ、相手は『やり返そう』という気持ちが強いと思うので、そこに対しては前回よりも強い相手を想定して練習しています」
──タイトルマッチということについてはどうですか?
「これまでの格闘技生活はチャンピオンベルトというものに対してまっすぐに、その中で勝ちも負けも繰り返しながら進んできたので、何が何でも獲るべきものだと思いますし、自分が獲るものともう決めています。ただここがゴールではないので、獲って次に向かいたいです」
「本当に全身と全霊で戦って、息つくヒマがないほどの試合展開の中で相手を倒して、本当にKrushのベルトを巻くべき人間であることを証明したいですね」
──それを実現するにあたって、里見選手の一番警戒すべき部分とは?
「里見選手がやることに関しては、特にどこを警戒というのはないです。全部で自分が上回るだけなので。自分のやるべきことをやるだけです」
──勝てばチャンピオンですが、その心構えはできている?
「はい。練習している時もずっと思ってますし、ベルトを巻くべき人間でないと巻けないと思っているので、ここでしっかりと巻きたいと思います」
──ベルトを巻いている姿は想像していますか?
「毎日してます。明確にイメージできてますね。あとはこのイメージを当日、現実にするだけなので、そこまでは集中を切らさないようにしています」
──31戦目で初のタイトルマッチということになります。ここまで来てみて、回り道をした、遠かったという思いがあったりはしますか?
「いえ、なるべくしてなったんだなと思っています。今までの勝ちも負けも全て、その時の自分の必然だったんだなと。簡単に来れた道ではないというのは自分でも分かりますし、周りからもそう思われているとは思いますけど」
──では、周りの方々の期待もすごいんじゃないですか?
「そうですね。期待というか、思いがあるので。さっきはここまでの10年を僕だけの視点で振り返りましたけど、応援してくれる人たちの年数もあるので、僕だけのものじゃないなという気持ちはあります。その思いも力にしていきたいです」
──では最後に、この試合に向けての“決意”を教えていただけますか?
「格闘技生活9年目にして初のタイトルマッチですし、ただのタイトルマッチじゃないということは試合を見ていただければ分かると思います。必ず自分がチャンピオンになる姿を見せるので、ぜひ注目してほしいですね」