MMA
インタビュー

【UFC】前フライ級王者ブランドン・モレノが語るロイバル戦、平良達郎、堀口恭司、そして扇久保博正。「僕は“MMA”から始めた世代」=2.24 UFCメキシコ

2024/02/22 09:02
 2024年2月24日(日本時間25日)、メキシコシティのアレナCDMXにて『UFC Fight Night: Moreno vs. Royval 2』(U-NEXT配信)が開催される。  メインイベントは、フライ級で前王者のブランドン・モレノ(メキシコ)と、同級3位のブランドン・ロイバル(米国)の5分5R戦。両者は2020年11月の『UFC 255』で対戦し、モレノがロイバルをテイクダウン。足関節をかわしてパウンドラッシュ。肩を痛めたロイバルを1R、残り1秒でTKOに下している。 (C)Zuffa LLC/UFC  その後、モレノはデイブソン・フィゲイレードをリアネイキドチョークで下してメキシコ人史上初となる王座獲得に成功。ラバーマッチで王座から陥落したものの、再びベルトを取り戻し、2023年7月の前戦で、アレッシャンドリ・パントージャに判定負けで王座から陥落した。今回は再起戦となる。21勝のうち11の一本勝ちを持つが打撃でもKOできる力を持つトータルファイターだ。  対するロイバルはブラジリアン柔術で黒帯を巻き、15勝中9の一本勝ち。さらに4KOと打撃での決定力も併せ持つ。フルラウンド動き続けるスタミナを武器に、15勝のうち13勝を決着させるフィニッシャーで、ホジェリオ・ボントリン、マット・シュネル、マテウス・ニコラウ相手に3連勝から、2023年12月の前戦ではモレノ同様にパントージャに判定負けしている。  ともに軽量級で三十路に入ったばかりの同世代。先にインタビューしたモレノは、地元メキシコでの大会に、現地で調整。自身を「MMAネイティブ」だと語り、フライ級の平良達郎や堀口恭司、そして、TUF時代の盟友についても語ってくれた。 チームとして動く。全てに「専属」のコーチがいるんだ ──今回は試合前からメキシコにいるようですね。 「メキシコのプエブラに今いるんだ。メキシコの首都にとても近い街。大会はメキシコシティで開催されるだろう?『ブラジリアンウォリアー』でディエゴ・ロペス、アレッサンドロ・コスタのチームとやっている。彼らがジムを自分のチームにも解放してくれているんだ。とても感謝している」 ──ラスベガスでもトレーニングしているあなたが今回、メキシコにいるのは、やはり地元開催に向けてということが大きいのでしょうか。プエブラは標高2100mもあると聞きます。 「ベガスに住み始めてもう3年だ。トレーニングもベガスでしている。でも今回、メキシコでトレーニングしているのは、メキシコ大会でのメインイベントに全て賭けているから。高地トレーニングになるとか、皆それぞれ違うと思うけど、僕にとってはこの特別な土地で開催される大会に向けて、色々な側面で見逃してはいけないと思っている」 (C)theassassinbaby ──たしかに。メキシコ人として初のUFC世界王者になったあなたにとって、メキシコ大会の意義は大きいでしょうね。たとえベガスで練習してもチーム・アサシンで動いているようですし。 「自分のチームがあるんだ。全てに専属のコーチがいる。例えばレスリングコーチはカリフォルニアにいて、ベガスにトレー二ングに来たりしている。ムエタイコーチはメキシコから来ている。トレーニングパートーナーもいる」 ──あなたは両手を動かしながらボクシングをして、カーフキックも巧みですが、バックボーンをしっかり聞いたことがありません。そもそも何か競技をしていたのでしょうか。 「メキシコはボクシングで有名な国だろ? たくさんチャンピオンもいる。だけど、実は僕は“MMA”から始めた、その世代なんだ。柔術も立ち技もキックも、トレーニングしていた。それで2018年かな、ボクシングを始めたんだ。メキシコの伝統とは逆を行ったことになるね」──MMAネイティブだと。それで何かに突出した動きではなく、どれもが拮抗してレベルが高いのですね。 「僕の世代はすでにMMAがあったからね。1個1個を足して積み上げるのではなくて、同時に柔術もキックもMMAのためにやっていたんんだ」 [nextpage] ヒロはドッドソンに勝ったのか、本当にすごいよ ──そんなあなたの名前を日本のファンが最初に知ったのは、『The Ultimate Fighter 24』でした。世界中のフィーダーショーから同階級の王者が集まるという、唯一無二のチャンピオンばかりのトーナメントで、あなたはWFFフライ級王者として参戦した。あのとき日本の修斗王者として扇久保博正選手が準優勝したことをどう感じていましたか。 「ヒロマサとTUFでともに戦っていたのは2016年かな。とても強かったし、人としてすごく優しいヤツだった。彼がUFCとサインできなかったのは……とても残念なことだ。でも、日本のRIZINなどで素晴らしいキャリアを積んでいるだろ? あの後、会う機会はまだないんだけど、僕の事まだ覚えていてくれるといいな。将来会いたいと思っているよ」 ──間違いなく覚えていると思います。扇久保選手はRIZINでバンタム級からフライ級に戻し、昨年末にジョン・ドッドソンを下しています。 「今聞いて感心しているよ……ヒロの試合は結構追いかけていたりしていたんだ。彼のキャリアを見ていたから、日本でバンタム級で戦っていたのは見ていた。ジョン・ドットソンは素晴らしいベテランファイターだ。ドッドソンに勝ったのか……そうか。本当にすごいよ」 扇久保とモレノは同じチームベナビデスとしてTUFに出場。モレノは1回戦で現王者パントージャに敗れ、扇久保が準決勝でカラフランスを撃破したパントージャに判定勝ち。決勝でティム・エリオットと戦った。扇久保以外の選手はUFCとの契約をかわしている。(C)Zuffa LLC/UFC ──もう2人、フライ級の日本人ファイターについて聞かせてください。平良達郎という24歳のプロスペクトについてはご存じですか。 「もちろん。たしかUFCで5連勝中だよね。彼は本当にすごいファイターだと思っている。この階級の将来を担う選手だ。僕はここ数年でこの階級に大きな変化があったと思っているんだ。UFCのフライ級のタイトルマッチは昔だったらもう少しキャリアの早い段階でチャレンジできる環境だったと思う。だけど今は、強い選手が集まっているからタイトルに挑戦するまでの道のりが長い。タツローはとてもリスペクトに溢れたいい選手だ。これから活躍できる事を祈ってるし、彼は活躍できると思うよ」 ──最後の1人は、RIZIN王者の堀口恭司選手です。彼はUFCフライ級へのカムバックを望んでいます。もし、彼がいまのフライ級戦線に戻ってきたら、どこに位置すると考えますか。 「うん、すごく興味深い質問だな。キョージの事はもちろん知っているし、彼もまたすごくいい選手だと知っている。そして、結構厄介なファイトスタイルだよね。だけど、デメトリアス・ジョンソンとの試合からもう何年経ったか分からないけど……うん。答えられない質問だな。タツローの質問の時にも言ったけど、この数年ですごくこの階級も変わってきたんだ。だから、どうなるかは分からないね」 [nextpage] ロイバルはダイナミックかつ創造的なファイターだ ──ところで先ほど、ご自身を“MMAネイティブ”だと仰いましたが、今回の対戦相手のブランドン・ロイバルも同世代で、MMAをMMAとして戦うスクランブルを見せます。どうとらえていますか。 「最高の対戦相手だと思っているよ。とても強いし試合の中でとてもクリエイティブだ。KOするのが大好きな選手だし、武器を沢山持っているよね。ヒジもヒザも。ストレートもキックも。フットワークもいい。だからすごく危険な選手だ。ただ、自分が勝つことは分かっている。常に勝つ為に準備をしてきた。もちろん彼の事はリスペクトしているけどね」 ──長身サウスポーですが、4月のマテウス・ニコラウ戦で効かせたヒザ蹴りはサウスポーからスイッチしての右のヒザ蹴りでした。あのスイッチスタンスをどう感じましたか。 「結構、厄介だよね。だから彼はクリエイティブなファイターだとさっきも言ったんだ。ダイナミックで持っている武器すべてを使う。それが更に危険なんだ。まぁ、すでにゲームプランはあって、トレーニングキャンプも終えた。準備ができている。しっかりとリスペクトもしている。舐めてかかるとどうなるか分からないからね」──マット・シュネルを極めたのは得意のギロチンチョークですが、その前に足関節をトランジションに使っていました。 「巧いと思う。クレイジーだ。スタンドでもグラウンドでもクリエイティブだ。常に動き回っているし、ロールもするし、足を取ったり何かしら狙ってくる。だから試合中は全ての方向から本当に用心していないといけない」 ──では、ずばりロイバルとの試合の勝負のキーは何になるでしょうか。 「シンプルにきちんと準備ができているという事。全てに対して準備をする事。彼はKOが好きだからね、それは僕もだけど。僕はクレイジーでプレッシャーをかけてパンチを出しまくってメキシコ人らしいファイトを見せるのが好きなファイターだ。だから今回の試合は花火が上がるよ。だれもがこの試合を見るのを楽しめると思う。自分自身も楽しみだし、この土曜(日本時間日曜)試合をする事にワクワクしている!」 ──日本のファンへメッセージを。 「いつも愛と応援をありがとう。さっき話していても感じたけど、すごくクレイジーな人生の旅路だなって自分でも思うし、その旅路に世界中の人が関わっている事がすごくクレイジーだよね。本当に感謝しているよ、ありがとう。そして、本当にいつか日本に行きたいな。日本のカルチャーが大好きだし、僕の大きい方の娘も日本がすごく好きだから。日本に将来行けるなら何でもするよ!」 ──ほんとうに日本文化に興味を持っていることを知っています。あなたが盆栽をレゴで作ったのを拝見しましたし。 「その通りさ。一個、新年のドラゴンのレゴもあるんだ。今はポケモンカード集めるのを楽しんでるよ!」 ──今日はインタビューをありがとうございます。週末のメインイベントを楽しみにしています。 「ぜひ、日本からもU-NEXTで見てね!」
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