プーケットは北米に行くのと比べて──
その両者にMMAを指導するのが、パラエストラ八王子の塩田“GOZO”歩代表だ。
今回、塩田は鈴木&高木のトレーニング内容の共有と、今後の指導に活かすために、プーケット合宿の前半を現地で視察した。
UFC世界バンタム級5位のピョートル・ヤン、ライト級8位のラファエル・フィジエフ、“英国の平良達郎”と呼ばれるムハンマド・モカエフ、ONEフェザー級王者のタン・カイら、トップ選手が集う同ジムには、コレスニックやダウトベック、ヌルベルゲン・シャリポフなど日本で試合経験のあるファイターだけでなく、ダケスタン、キルギスなどの強豪ファイターが多く訪れている。
レスリング中心のMMAスパーの日には、多くのプロ選手が参加。多様で充実したスパーリングが展開された。
高木は、タイガームエタイでの練習で「日本にはない外国人独特のリズムを学べたことが大きい」と語る。
「ダブルレッグ、シングルレッグのタックルも日本人と外国人ではリズムが違いました」と、フィジカル差もあるなかで、日本人選手には無いリズムで打って組んでくる、それを実際に体感することで得るもの大きかったという。
そして、鈴木は「危機感を感じる練習ができたのが収穫だった」と語る。
塩田代表は、鈴木の「危機感を感じる練習」について、「ある程度のレベルの選手でないと怪我をしてしまう可能性があるほど、全体的に強度は高めですが、現役の最前線で戦う海外の選手としっかり触れあえるという意味では最高の環境だと思います」と、海外出稽古の意義を語る。
さらに、アジアならではの海外修行のメリットもあるという。
「プーケットは北米に行くのと比べてかなり滞在費が安いので、その分を充実した練習環境などに充てることができます。そしてタイガームエタイでは、日本の本田選手がいてくれたことが、非常に助けになりました」と、円安で高価な北米修行に比べ、比較的、リーズナブルに過ごせることと、出稽古ならではのリスクを現地の本田が軽減してくれたことなどを挙げた。
練習後には、日本チームで何度も打ち込みや反復練習を繰り返し、ジムに併設されてる飲食スペースで食事を採って、トレーニングに集中した。
最初だけは腹を下した鈴木も、現地のカオマンガイをベストフードととらえ、充実の身体を作り上げている。
大晦日に鈴木は、「格闘技の大先輩、金原選手ですけど、だからこそ言わせてもらいます。先輩、越えさせてもらいますよ、俺が。ぜってー、KOしてしてやるから、やりましょう! 5月、よろしくお願いします」と語り、高木は「相手のやりたいことに一切付き合わず、自分のやりたいことだけやって、気づいたら相手は倒れている」と意気込んだ。
両者は“虎の穴”でどんな虎子を得たか。試合で明らかになる。