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【NJKF】武田幸三プロデュース東西対抗戦は東軍が勝利、MVPはKO勝ちで新王座に就いた嵐。大田拓真が新フェザー級王者に、真琴が一航からダウン奪い新スーパーバンタム級王者に就く

2024/02/11 20:02
NJKF CHALLENGER 東西対決2024年2月11日(日)東京・後楽園ホール ▼第12試合 NJKFフェザー級暫定王者決定戦 3分5R○大田拓真 (新興ムエタイジム/同級1位)判定3-0 ※50-46×3×笹木一磨 (理心塾/同級3位)※大田が新王座に就く。  大田は内外でNJKFをアピールし、強さを示して「NJKF2023年度年間表彰」にて最優秀選手=MVPに輝いた。昨年は5月にメキシコ『IRON FIST』でムエタイ世界王座を2R TKOで奪取、7月は新日本キックで王者・瀬戸口勝也を撃破、9月のONE Championshipデビュー戦では従来のイメージを一新するハードな戦いを見せ、乱打戦の末勝利した。23年最終戦(11月)ではNJKFに凱旋、タフな難敵ルークワンを迎えたがボディを効かせ、4Rにローキックで沈めた。  対する笹木は“素手で闘う空手”を標榜する理心塾で腕を磨く選手。サウスポーから左の強打を角度と軌道を変えて打ち分け、三日月蹴りなど空手の蹴りも使いこなし、NJKFと並行して出場するPRO-KARATEDOでも昨年11月バンタム級(-58.5㎏)王者に就いている。  多くベルトを獲得しながらこれまでNJKF王座には縁のなかった大田が遂に悲願を果たすのか。あるいは笹木が下剋上でその名を轟かせるのか。  1R、大田の右ローがサウスポーの笹木に2度連続してローブローとなってしまい試合は中断。それでも右ローを蹴っていく大田は右ミドルも。笹木は左ハイ、左ミドルを蹴る。  2R,大田が組んでくるところにヒジを合わせようとする笹木。大田は右ストレートと右ローでゆさぶりをかけ、右ミドルも蹴る。  3R、大田が右ストレートをヒットさせると、すぐに笹木がバックスピンエルボーでお返し。このラウンドは前に出る大田が右ストレートでのヒットを奪い優勢に。  4R、大田が右ストレート、右ローで前へ出ていき、組むと首相撲で笹木を投げる。終盤にはヒザ蹴りのラッシュで笹木を追い込み、決定的な場面を作った。  5R、大田は離れて右ミドル、ヒジで近付いて組むとヒザ、そして首相撲でコカす。笹木に反撃のチャンスを与えず、大田が上手さを見せて判定勝ち。  ベルトを巻いた大田は「(東軍の)大将としていい試合をしたかったんですが情けない試合をして自分が情けないです。とりあえずチャンピオンとったのでチャンピオンらしい試合が出来るように頑張ります」と語った。  これにより東西対抗戦は東軍が12ポイント、西軍が7ポイントで東軍の勝利に。MVPには嵐が選ばれた。 [nextpage] ▼第11試合 NJKF スーパーバンタム級王者決定戦 3分5R×一航 (新興ムエタイジム/同級1位)判定0-3 ※47-48、49-47×2○真琴 (誠輪ジム/同級3位)※真琴が新王座に就く。  今や兄の大田拓真とともに、NJKFをけん引する存在となった一航は2023年も精力的に試合を積み重ねた。年明けに保持するBigbangスーパーバンタム級のベルトを防衛(1月)、Krushでは晃貴に苦杯をなめさせられたが(3月、初回KO負け)「もっと勉強と努力して絶対に追い越す!」と気持ちは折れない。7月も前田大尊に黒星を喫したが、10月はTKO勝利、12月は判定勝ちでBigbang王座を再び守り、後半巻き返して1年を終えた。 「倒す選手を目指している」という一航は10月をTKO、12月もダウンを奪って判定勝利し「少しずつ倒せるようになってきたと思います」と手応えを掴んでいる。今回は4冠王の威信を示し、KOで5冠目を手にしたいところだ。  対する真琴は2020年7月のデビューから、この階級では恵まれた175㎝の上背から繰り出す前蹴りやミドルといった蹴り技を武器に戦い、ここまで12戦9勝(1KO)2敗1分。昨年9月、初のタイ人戦となるカオパン・ゲッソンリットとの試合を判定でクリアすると、20日後の24日にはDEEP☆KICK-55kg暫定王座決定戦に臨み、鷹介(魁塾)を判定で降しベルトをものにした。  19歳、若さと可能性溢れる真琴だが、ここでスーパーバンタム級日本屈指の実力者・一航が立ちふさがる。試練か、あるいはジャンプアップの好機とできるか。  1R、ジャブと左ミドルの一航に真琴は左フックを強振しつつ右ローを蹴る。一航も右ローを蹴り返し、終盤はローの蹴り合いに。  2R、首相撲で一航がヒザを押し当てて真琴の動きを止めると、真琴は持ち上げてマットに叩きつける荒業。その後もボディロックからもち上げて投げるなどラフなファイト。 一航は左ミドル、右ローを蹴っていくが、真琴がヒジで飛び込んだり、左フックから右ローと手数で攻める。  3R,一航の強い左ボディに真琴はワンツーで対抗。パンチで打ち合う中、真琴が右ヒジをヒットさせて一航を流血させる。ドクターチェック後再開、右ストレート、左フックを強振していく一航だが真琴も一歩も退かず打ち合う。一航は2度目のドクターチェックに。ストップされる前に倒したい一航は猛然とパンチを打っていき、真琴もこれに応えて打ち合う。途中経過は29-29、30-29×2で真琴。  4Rは序盤から激しい打ち合いに。仕掛けていくのは一航。真琴は顔面前蹴りも。一航が前へ出てパンチを繰り出していく中、真琴が右フックのフェイントから右ヒザを顔面へ突き上げてダウンを奪う。  5R、逆転を狙う一航は前へ出て右ストレートを打っていくが、懐深く構える真琴はパンチが見えている様子。逆に左ボディ、右ストレートを打っていく。一航が右ストレートをヒットさせる場面もあったが、ダウンを奪った真琴が判定勝ちで新王座に就いた。  真琴はマイクを持つと「僕は知名度もなくて一航選手はいろいろなタイトルを持っている中でリスクしかないのに僕と試合してくださってありがとうございます。ニュージャパンのスーパーバンタム級のベルトを僕が獲ったのでベルトの価値を上げられるように頑張ります」と話した。  西軍に2ポイントが追加され7ポイント、東軍が10ポイントで最終決戦へ。 [nextpage] ▼第10試合 NJKFバンタム級王座決定戦 3分5R○嵐 (KINGgym/同級3位)KO 2R 2分50秒 ※右ミドルキック×甲斐元太郎 (理心塾/同級2位)※嵐が新王座に就く。  2023年11月、NJKFに新加盟したTAKEDA GYM武田幸三会長が選手をリングに上げ東西対決を発表。その中で最も火花を散らしたのがNJKFバンタム級王座を争う嵐と甲斐元太郎だった。  嵐は甲斐と向き合うなり中指を向け、「初めて相手の顔を見たけどすごく弱そう」と挑発。甲斐は嵐を突き飛ばし、あわや乱闘寸前、NJKFでは珍しい場面が繰り広げられた。  5歳から名門KING gymで練習を開始した嵐は、アマチュアベルトを獲得するなど早くから才能を発揮。世界王者を目標に掲げており、18歳にして初のタイトルマッチとなった。KING gymで学んだムエタイスタイルだが好戦的で、ボディブロー、ハイキックと多彩な技と倒せる力を併せ持つのが強み。関係者の期待も高い。決戦を前に、昨年11月30日にはラジャダムナンスタジアムで試合に臨みボディストレートで初回KO勝ちを上げている。  これに対する甲斐はNJKFの第14代バンタム級王者で、メインに出場する笹木一磨と同じく理心塾に所属。やはりPRO-KARATEDOにも出場して強さを見せており(全日本PRO-KARATEDO選手権2019無差別級王者)、サウスポーから放つパンチと蹴りは威力があり、ヒジ・バックブローも使いこなす。HOOST CUP、RISEとアウェーに乗り込んでの戦い、ベルギー選手を迎えてのISKAタイトルマッチと経験も豊富で、嵐に対し異名である“左の殺し屋”ぶりを発揮したい。  甲斐が前日計量をクリア出来なかったため、嵐が勝った場合のみ王座に認定される。甲斐は減点1からのスタート。  1R、大応援団の声援を受けて嵐は右ロー中心に試合を組み立て、右ストレート、右ミドルと右の攻撃中心。サウスポーの甲斐は左ローを蹴るが1Rは様子見か。  2R、右ボディストレート、左前蹴りと徹底してボディを攻めていく嵐。右ローを蹴っての右ストレートも。甲斐は左ストレート、左ローで応戦し、試合が激しくなってきたところで嵐が甲斐の右ジャブにテンカオ、続いてロープを背にした甲斐に右ミドルを蹴ると、甲斐がダウン。そのまま悶絶して立ち上がれず、嵐がKO勝ちで戴冠となった。  ベルトを巻いた嵐は「この団体に53kgの相手がいないのでKNOCK OUTのチャンピオンとやらせてください。俺が53kg最強を証明します」とKNOCK OUTに宣戦布告。  KO勝利5ポイントを追加して東軍が10ポイント、西軍が5ポイントとなった。 [nextpage] ▼第9試合 NJKF スーパーライト級 3分3R○ジャムワンスック・ゲッナァーウィー (タイ/ゲッナァーウィー/ジッムンノーンスタジアム認定スーパーライト級王者)判定3-0 ※30-27×3×真吾YAMATO (大和ジム/元NJKF同級王者)  183㎝の長身でキャリア初期から期待を受けた真吾は21年末にNJKF暫定王座を戴冠。翌22年には当時新日本キックのエースであった重森陽太を敵地でTKO、その後WMC日本王座も獲得と飛躍した。ONEではオープンフィンガーグローブを着用してのムエタイマッチに臨み、ヒジと左右フックを振るって猛攻、1勝2敗の星を残した。  今回迎えるジャムワンスックはサウスポーから繰り出すミドルとストレート、左の攻撃を主武器とし、のこされている試合映像では左ミドルを受けた相手が右腕にダメージを見せTKOとなるものもあった。組んでも体幹の強さを感じさせ体を折られず、逆に相手を組み倒していく。組み際にも縦・横とヒジを飛ばすため、真吾とのヒジ合戦も見られるかしれない。  昨年9月、ONEでの前戦では初回KOに沈んだ真吾。タイの現地王者を迎える一戦で持ち前のラッシュを炸裂させ今年の行く先を切り開きたい。多方面へのアピールはなるか。  1R、伸びのある左ミドルを決めていくサウスポーのジャムワンスック。真吾はそれに縦ヒジを合わせに行くが、真吾の蹴りにジャムワンスックが右フックをリターンし、真吾は一瞬腰を落とす。その後も左のパンチとヒジで狙い撃ちするジャムワンスック。  2R、ジャムワンスックの左ミドルに右ミドルで対抗する真吾。組んでの攻防でもジャムワンスックがヒジとヒザで優勢に。真吾は右カーフを蹴っていく。  3R、ヒジで勝負をかける真吾だがジャムワンスックは左ミドルを蹴って下がる。追っていく真吾が右ストレートをヒットさせるが、首相撲ではジャムワンスックが有利な体勢で組み、逆転を許さずフルマークで判定勝ち。東西対抗戦は両軍5ポイントのイーブンとなった。 [nextpage] ▼第8試合 66.6Kg契約 3分3R○吉田凜汰朗 (VERTEX/NJKFスーパーライト級王者)判定2-0 ※30-29×2、29-29×青木洋輔 (大和ジム/WBCムエタイ日本ウェルター級王者)  昨年9月、NJKFスーパーライト級タイトルマッチに臨んだ吉田は王者・畠山隼人と対戦。5年に渡り王座を保持する難攻不落のチャンプに対し、吉田は3連敗中であり不利の下馬評が多数を占めたが、KOでベルトを奪うと、この試合はNJKF昨年の年間最高試合に選ばれた。合わせて年間表彰で殊勲賞も手にした吉田だが、「昨年は3戦して1勝2敗でしたので、悔しい気持ちの方が大きい」と気を引き締め闘志を燃やしている。  対する青木は2020年にNJKF王座を得た後、2023年7月にはWBCムエタイ日本統一ウェルター級王座も獲得。この試合ではINNOVATION同級王者の梅田勇一に対し、組んでの展開で優位に立ち、5Rを粘り強く戦い判定勝利した。続く12月は地元・名古屋で行われたホーストカップで試合に臨み、カーフキックで2R KO。心地よく年越しを果たしている。v  スーパーライトの吉田に対し、青木寄りの契約体重で行われる一戦。キャリアと体格で上回り、先輩王者の意地がある青木にはプレッシャーの掛かる試合となる。対して吉田は戴冠初戦、常々目標として掲げる“本物”であることをこの戦いで示さなくてはならない。  1R、吉田は左ミドルとジャブで試合を作り、青木はジャブと右カーフキック。ジャブの打ち合いが度々見られる。  2R、左右のストレートをヒットさせていく吉田に青木は組み付いていくが、右カーフを蹴ると吉田がバランスを崩す場面も。  3R、右カーフを警戒する吉田はサウスポーに構え、左ストレートとテンカオ。ならばと青木は組んでヒジを打っていき、吉田を流血させるが吉田はストレートを当てに行く。終盤、青木の右ロングフックが吉田を捉えたが、判定2-0で吉田が勝利した。  東西対抗戦は東軍4ポイント、西軍5ポイントと西軍がリードに。 [nextpage] ▼第6試合 61.5Kg 契約 3分3R×岩橋伸太郎 (エスジム/NJKFライト級1位)TKO 3R 2分29秒 ※レフェリーストップ○TAaaaCHAN (PCK連闘会/聖域統一スーパーライト級王者) ▼第5試合 団体交流戦 ウェルター級 3分3R○亜維二 (新興ムエタイジム/同級5位)TKO 2R 1分58秒×YUYA (クロスポイント吉祥寺) ▼第4試合 NJKF ライト級 3分3R×TAKUYA (K-CRONY/同級3位)判定0-3 ※27-29、26-30×2○祖父江泰司 (理心塾/同級4位) ▼第3試合 ミネルヴァ ライトフライ級 2分3R○真美 (team ImmortaL/S-1レディース世界同級王者)判定2-0 ※29-29、29-28×2×喜多村美紀 (テツジム/ミネルヴァ同級1位) ▼第2試合 フライ級 3分3R△明夢 (新興ムエタイ)ドロー 判定0-1 ※28-29、28-28×2△永井雷智 (VALLELY) ▼第1試合 57Kg契約 3分3R△藤井 昴 (KINGgym)ドロー 判定0-0 ※29-29×3△祖根亮麻 (大和ジム)
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