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【RIZIN】榊原CEO「ONEとは興行戦争にならない」「海外から売り込みがすごい」「UFCの訴訟問題でプロモーションと選手の契約は変わってくる」「堀口恭司、朝倉海のUFC参戦についてはダナ・ホワイトと会って──」

2024/01/31 21:01
 2024年3月23日(土)神戸ワールド記念ホールで開催される『RIZIN LANDMARK 9』(※ナンバーシリーズからケージ使用に変更)の追加カードが1月31日、都内会見にて発表された。  会見後、榊原信行CEOが囲み取材に応じ、「皇治のいない関西大会」「ライト級の今後」「2024年のGP開催の可能性」「ONE日本大会の感想」「2月初旬に渡米してPFL&Bellatorと会談」「堀口恭司、朝倉海のUFC参戦についてダナ・ホワイトと意見交換」などについて、歯に衣を着せずに語った。 ムサエフはBellator側との調整によっては、早いタイミングでRIZINライト級戦線に出てくる ――今回の『RIZIN LANDMARK 9』(3月23日・神戸ワールド記念ホール)が、皇治選手抜きの関西の大会ということで、新しい景色になるでしょうか。 「どうですかね。去年、これまで大阪というか関西のファンからけっこう『何だよ』みたいなことを言われていて。それは前回の、昨年だと皇治と芦澤(竜誠)の(キックの)試合がメインだったりしたんですけど、そういう意味では今回、見応えのあるMMAの骨太カードがしっかり並べられたので、喜んでもらえるんじゃないかなと思いますし、今のRIZINとしての求心力からすると、たぶん神戸はたぶん即完すると思うんです。本当にチケットはすぐ無くなるくらいのムードがあるので、皇治がいるとかいないとかっていうことは、興行全体にはあんまり、経済的なことでいうと影響はないだろうなと思っています。  彼(皇治)もこの後、いずれにしても総合のMMAを続けていくというところで、大晦日の試合を受けて、夏くらいのタイミングでMMA第2戦目というようなイメージで、皇治選手とは話をしております」 ──今回ナンバーシリーズからLANDMARKシリーズに変更になった理由があれば教えていただきたいです。 「特に無いですね。別に何かあったからとかってことじゃなくて。僕らも絶対こうだということを決め切れてるわけじゃなくて、去年のアゼルバイジャンでも、いろいろなイレギュラーということになるのか分からないけども、ケージの中でのタイトルマッチをやりましたが、少なくとも今回はタイトルマッチは無いということと。年間通してナンバーシリーズと、ケージとリングでの試合の比率を考えたときに、ここはケージでケージの試合を組んでおきたいなと。後半戦でナンバーシリーズが4月以降続いていく予定もあるので、そういうバランスで決めました」 ――中村K太郎選手が階級をライト級に落として、最初に王者のサトシ選手と対戦というカードになったことについては? 「笹原(圭一・広報事業部長)とも話したんですけど、ある意味、K太郎って、今見てもウェルターからライトに落としたら『日本最強』というか。サトシからすれば、国内にいる中で最も危険性の高い相手になるだろうな、と。今も向き合った体格を見てもそうですしね。だから、国内でなかなかサトシの首が狙えるようなライト級の選手って育っていないのも事実で、サトシは常々フェザーのような群雄割拠の階級、クレベルが活躍する階級と、自分の階級をもっと活性化したいという思いもあるので、そういうことでいえば、最初からもうドンとぶつかったほうが面白いし、ご質問もいただいたように、これでK太郎がサトシを取れば、そのままダイレクトリマッチでタイトルマッチという試合も見える中でいうと、勝負論もある。  それぞれ縦に積んで、ライト級の(日本の)中堅どころととりあえずK太郎が腕試しみたいなことをしている余裕が、ライト級自体はないというか。この2人がどんな試合をするかで、それぞれのダイレクトリマッチにもなるかもしれませんし、外国勢もすでに皆さんが知っているようなスパイク・カーライルやジョニー・ケースとかも控えています。新規でライト級で外国勢も、アゼルバイジャン勢の中にも今もいますし、アメリカからもいろいろな売り込みも来ているので、この後が楽しみになる、層が厚くなるので、その後の展開が逆に、トップと向き合ってK太郎がどこまでいけるかというのを見せた後、またK太郎がいろいろな選手とライト級でやっていけばいいのかなと思っています」 ――やっぱりサトシ選手、なかなかタイトルマッチを組みづらい、組めないというところが、選手層だったりというところが影響していると。 「なかなかライト級で、今我々が国内、まあ海外でもライト級でチャレンジしてきている選手で、名前と顔が一致する外国勢というのがコンペティター、対戦相手、挑戦者としてこいつだろうという選手を作り切れていないところもあると思います。アメリカに近々行って話をしてきますけど、この後、トフィック・ムサエフとか、そのへんの契約もBellator側との調整によっては、早いタイミングでRIZINライト級戦線に出てくると思いますし、役者が増えることには越したことがないし、そういう意味では、日本人でライト級で、そういう期待感がある中で、K太郎のライト級転向は僕らからしてもすごく期待はしているところではあります」 GPはフライ級もフェザー級もないことはないけど、『絶対やります』というところにはない ――2024年はGPの開催というのは現在の計画としてはいかがですか? 「『絶対やります』というところにはないですね。可能性、夏くらいからGPにする可能性はゼロではないですけど、この後、アメリカに行って、当然可能性がある階級でいうと、フライ級が今僕らの中では最もGPでやる可能性が高いかなと。フェザー級もないことはないと思いますけど。フライ級で、といったときに堀口恭司がどうなるのかという問題があるので、堀口恭司の契約をどういう形にまとめられるのか。  そのへんの交渉にはアメリカのプロモーションが関わるので、調整をしていきたいなと思っています。それ次第でもありますが、今の時点でいうと『GPを絶対的にやります』というように旗を立てているわけではないです」 [nextpage] 武尊はリスペクトに値するけど、あまりにも代償が大きい。ONEとは興行戦争にならない ――大会からは外れますが、先日の『ONE 165』は榊原CEO、ご覧になりましたか? 「もうほとんど見てないです。武尊の試合はPPVで見ましたよ」 ――どんな感想をお持ちになられた? 「武尊選手は本当にリスペクトに値するし、素晴らしい選手だなと思う反面、あそこまでさせるべきじゃないんじゃないかなという風にも……あまりにも代償が大きいというか、肉体的なダメージが。ただ、武尊ってああいう選手なので致し方ないのかなと思いながら、本当にすごい選手だな。日本の格闘技界でああいう試合を見せるというか、あそこまで極める選手がいることを誇りに思いますね」――ONEは年内にもう1回日本でやりたいと。その意味で興行戦争的なところで意識というのは? 「興行戦争にはならないと思います。戦争にならないです。楽天でタダ券配ってるんだから戦争じゃないじゃない。だから、プロモーションとして戦争する気があるんだったら、もっと力をつけて僕らにかかってこないと、負けないですよ」 ――プロモーターから見て、決戦当日に対戦カードがいきなり変更になるというのはどう思われますか? 「それは……僕らも過去にあったりするのでね、何とも(苦笑)。それでも成立させたいのがプロモーター。たぶん裏側ではいろいろな交渉とかいろいろな調整があったと思いますけどね。ただ、やっぱり説明として、みんなに“こういうことがあってこうだった”って、たぶんそこをディスクローズ(情報開示)するべきだと思いますね。  試合当日にあのタイミングでチョロっと発表しちゃうと、たぶんみんな不信感を持つじゃないですか。だから、本当に僕らの役割って、常に胃が痛いというか、最後の最後まで、試合でゴングが鳴るまで、鳴ってからももちろんですけど、気が抜けないんですけど、何か起きたときにいかにそういう緊急事態を皆さんにお伝えするのかということの、一つのテストケースとして、僕らも他人事と思わずに、私だったらどうするかなというのは考える材料にはなりましたけどね。  表向き発表されている、セージ・ノースカットがセコンドがいなくて試合をしないというのは……僕なら許さないですけどね。だいぶ前にUFCを辞めて(ONEと)契約してから、2回くらいしか試合してないじゃないですか。逃げたのかなと思われても仕方ないと思いますし、だったら本人をリングに上げて、本人が謝るべきだと思うし。今後も日本で出続けたいと思うんだったら。彼がキャリアを進んでいくんだったら、“これこれこういう理由で本当にすいませんでした。自分はやりたかったんだ”(と説明すべき)。みんなが納得する理由で、セコンドがビザの申請が間に合わなくて来れなかったのかどうなのか。まあそこらへんも僕らも分からないので。こういうのって分からないことがあるとどんどん憶測が憶測を呼んで、ネガティブにどんどんボロクソに言われるので、“こういうことでした、ごめんなさい”と言ったほうが良かったのかなという気がしますけどね」 ――榊原CEOだったらセコンドのユライア・フェイバーにまで試合させるくらいの交渉を? 「どうするか、ですけど(笑)。やっぱり分からないですよね。青木真也が漢気を見せたのか。僕らは話してないんで分からないけど、青木真也が、本当にラストになるかもしれないような、少なからずONEの中では、何か句読点を打つのかなというようなテーマのあった試合がこういう形になっちゃうのは……青木選手的には、まあ、彼は本当にプロモーターのことも考えて、全体を考えて受けたんだと思いますけど、彼のケアももう少し僕らだったらするのかなという気はしますけどね。でもここはそれぞれのプロモーションのトップを含めた考え方の違いだと思うので、それがたぶんファン人たちの中で、俺はONEを支持するとか、RIZINは嫌いだとか、RIZINを支持するとかっていうものに変わってくることなので、一概には言えないですけど」 [nextpage] 2月の頭から渡米して、PFL、Bellator陣営と話す ――BellatorがPFLに買収されたことで、今後、BellatorとPFLとの付き合いを、RIZINの榊原CEOはどのように考えていますか。 「これまでも言及したことがあったと思いますけど、2月の頭からアメリカに行って、PFL、Bellator陣営ともいろいろな話をしてきます。お互い建設的にこれまで築いてきたBellatorとRIZINという両プロモーションがクロスオーバーして、これまで業界の中で起きなかったこと、起こしてきたこと──それはBellator側、そしてBellatorを買収したPFLのドン・デイビス会長もすごく評価をしているので、ヘルシーで建設的な関係は継続するという風に思っていますし、向こうからもそういう風に言われているので、前向きないろいろな話し合いを今回もアメリカへ行ってしてこようと思っています」 ――PFLまで触手を伸ばすということもあり得ますか。 「それはPFL次第じゃないですか。PFLとBellatorがいきなり全面対抗戦みたいなことをやっているので、相変わらずソフト的には分かっていないなと思います。僕だったら絶対やらないですけど。PFLとBellatorも、ああいう形でミックスというか、混ぜるんだというのも何か唐突すぎますよね。僕らが当初聞いていたのは、PFLはPFLでリーグ戦だから年間シリーズでやっていって、それとは別に、Bellatorはこれまでやってきた歴史の中で、ワンオーナーだけど海外ではBellatorとして(PFLと)セパレートでそれぞれの個性を磨くというような風には聞いていた中での、いきなり対抗戦ということだったので。  彼らもいろいろ試行錯誤して──そうしている場合ではないと思いますけど、いろいろ考えた上で、新しい方向転換もあるのかもしれないです。BellatorとPFLが交わるということを発表したことを受けたなかで、PFLとRIZINが対抗戦とか言ってもね。PFL、Bellatorにそれぞれ誰がいるのかもよう分かっちゃいない。そういうプロモーションとしての個性をそれぞれぶつけ合うことは、逆に可能性が高まったんじゃないかなと思っていますけど」 ――おそらくPFLとの契約からこぼれてくる選手もいると思います。そこで日本向きの選手だったら掴えにいきたいという気持ちも? 「そうですね。それはありますね。これはUFCの訴訟問題(独占禁止法訴訟)も含めてですけど、たぶん今年は選手とプロモーション、とくに北米のプロモーション、メジャープロモーションと選手との契約ってずいぶん変わると思うんです。レギュレーションも変わると思うし、中堅どころの選手たちはけっこう吐き出されちゃうというか、契約継続にならなかったりする可能性もあると思うので、いずれにしても、僕らのところにも、そういう意味でいうと、去年の後半、PFLの発表があったくらいから年明けも含めて、売り込みがすごいんですよね、今。  やっぱり日本でのRIZINに求心力があることって、海を越えて世界にも届いているので。(RIZINに)出た選手たちが凄かったという、やっぱり口コミも含めて、こういうのって光のように走るので。“RIZINでやってみたい”という選手がたくさん手を挙げていただけているので、そういう中から、本当に僕らが求めるスタイルの選手たちをうまくまた日本の市場の中に持って来れたらいいなと思っています」 [nextpage] 堀口恭司と朝倉海が日米で試合を──という虫のいい話は、UFCは許さないと思う。ウェットな感じもあるので、ダナと会って話をしてきたい ――そういう状況下で、堀口恭司選手だったり、朝倉海選手の今後の見通しというのはどういう可能性が一番高いんでしょうか。 「どうなんですかね。本人たち2人は『UFCで戦ってみたい』ということを公に言っていますから。前も言いましたけど、本人が戦いたいからと言って、“わかった、じゃあ契約するよ”というほどUFCの軒先は低くないので。実際UFCサイドとも、RIZINとして、“2人のチャンピオンにこういう意向があるんだ”というのは、これは僕的には、ダナ・ホワイトと直接会って話をして来ようと思っているので、今回、渡米中にダナとも会ってそのへんの話ができたらいいなと思っています。  だから、RIZINとしてすごく難しい判断は、当然RIZINとしてのベルトを、タイトルを維持するというか、タイトルホルダーとしてRIZINを主戦場に戦ってもらいたいんですが、Bellatorのように、1回、2回の契約を買ったり売ったりみたいなことができる関係値に今、UFCとの中ではないので、UFCに行くとなると、ベルトを返上して、いち競技者としてUFCのレギュレーションに従って、ファイトマネーも大幅に下がると思いますし、いろいろな求心力も落ちると思いますけど“それでもやるんだ”ということになるのか。そこまでしてでも、ひょっとしたらUFCは契約を取ってくれないかもしれない。ちょっとUFCと腹を割って話してみようという風に思います。  その中で選手たちのチョイスに、“こういう2つのチョイスがあるよ”と(言えるか)。僕らは一方的に契約で縛ったり、“RIZINでチャンピオンなんだから、もうRIZINでやれよ”とかっていう気持ちもないというか。それが本当に一個人として、“本当にRIZINにも感謝をしているし、RIZINのファン、日本のファンの前で戦いたいけども、1回、UFCでやってみたいんですよ”というのであれば──2つの重さってたぶんいろいろな意味で違うと思うんです。経済的なこととか、当然自分の試合に対する注目度とか、対戦相手もレベルも違うと思うし。その中でUFCでいきなりタイトルマッチに挑むことはないので、2人がそれぞれベルトを持ってUFCに行ったところで、ランカーを何人か倒した先に初めてUFCの頂きが見えてくるというくらい、群雄割拠の中で。  でもアスリートで競技者で、腕に覚えがあれば、そういう思いが優先するかもしれないので、そこはいろいろなケースを全部客観的にいろいろな要素を材料を集めて、再度、朝倉海と堀口恭司と話をしたいと思いますし、“もうRIZINをやめてUFCに行けるか行けないか分からないけどチャレンジします”ということでは全くないので。堀口とも海とも年明けに会って話しましたけど、当然一番いいのは、RIZINの中でタイトルを持っている中で、RIZINにも出ながら、UFCにもチャレンジしたいという──そんな虫のいい話は、たぶん、僕ら的にはいいけど、UFCは許さないと思うので、いろいろな思いとかも含めて──こういうのはたぶんちょっとウェットな感じもあるので、ダナと会って話をして来ようという風に思っています」 ──神戸大会は、今回のカード発表で全試合決定でしょうか。また、2月大会、3月大会からいい活躍があったら、4月大会に出られるということもあるのでしょうか。 「全対戦カードがこれで揃ったということではなくて、神戸は今最終調整をしているカードを含めて、キックの試合になる可能性が高いのですが、追加でキックの試合を1、2試合追加できるといいかなということで、最終調整をしてます。いずれにしても2月、3月のこの『LANDMARK』の2連戦で、怪我もなく、K太郎とサトシの試合もそうですけど、この2024年シーズンを2大会の結果いかんでは占うような、このシーズンを引っ張っていくような選手が誕生してくれると嬉しいなと思いますし、その結果いかんでは、4月とかその先、今年も10大会くらい予定をしているので、そういう大会にどんどん参戦をしていただくような機会が増えるかなと思います」
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