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【ONE】武尊がスーパーレックに判定負け、執念は届かず。青木が欠場ノースカット代役のリネカーに一本勝ち。ルオトロが王座防衛、秋山が初回KO負け、グレゴリアンがKO勝ち、トノンが一本勝ち、三浦が平田に完勝、若松がリヴェンジ成功!

2024/01/28 15:01
 2024年1月28日(日)東京・有明アリーナにて『ONE 165: Superlek vs.Takeru』(ABEMA PPV ONLINE LIVE配信)が開催された(※選手名からインタビューへ)。 『ONE 165: Superlek vs.Takeru』速報 ▼ONEフライ級(-61.2kg)キックボクシング タイトルマッチ 3分5R○スーパーレック・キャットムーカオ(タイ/王者)[判定3-0]×武尊(team VASILEUS/挑戦者)※元K-1三階級制覇王者※スーパーレックが防衛に成功。  スーパーレックは、ルンピニーのフライ&バンタム級王座、WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王座のほか数多くのタイトルを獲得した名選手。2012年にはタイのスポーツ省が認定するムエタイMVPにも選ばれている。2017年6月、2018年8月と2度来日経験があり、ヤスユキにハイキックでKO勝ち、小川翔にヒジによるカットでTKO勝ちと圧倒的な強さを見せつけた。  ONEでは2020年7月大会でONEムエタイ世界フライ級1位にいたパンパヤックを判定3-0に破り、変わらぬ実力を発揮。2021年2月にイリアス・エナッシが保持するONEフライ級キックボクシング世界タイトルに挑んだが、判定3-0で敗れている。2022年の「ムエタイ・フライ級ワールドGP」では決勝へ進出するも、パンパヤックと両者が体重オーバーとなり、判定2-1で勝利するも優勝者は無しという珍事となった。2023年1月にダニエル・プエルタスに勝利してONEフライ級キックボクシング世界王者となり、3月にはダニエル・ウィリアムスをKOして初防衛に成功。  9月にはONEフライ級ムエタイ世界王座を懸けたタイトルマッチで王者ロッタンと対戦するはずだったが、スーパーレックが前日計量で体重超過したためキャッチウェイトでのノンタイトルマッチでロッタンと対戦。スーパーレックが2Rにヒジ打ちでダウンを奪い、判定3-0で勝利している。現在10連勝中。戦績は136勝29敗4分。  武尊は2011年9月にKrushでプロデビュー。2013年の「Krushフェザー級初代王座決定トーナメント」で優勝して王座に就くと、2015年にK-1初代スーパー・バンタム級王座、2016年にK-1初代フェザー級王座、2018年にK-1第4代スーパー・フェザー級王座をそれぞれトーナメントで優勝してK-1史上初の3階級制覇を達成した。  2022年6月、那須川天心に判定負けも2023年6月にベイリー・サグデンをKOしISKA K-1ルール世界ライト級王座を獲得して復活。戦績は41勝(25KO)2敗。  1R、まずは武尊が左インロー、スーパーレックはすぐに右ローを返す。早くも沸き起こる武尊コールだが、武尊は慎重だ。右ローを蹴っていくスーパーレック。ジャブから右ローも蹴る。武尊も右カーフを蹴り返す。  2発もらったスーパーレックはこれを警戒して足を引くようになる。スーパーレックはパンチで前へ出ると武尊をロープ際まで追い詰める。武尊がここまで下がることも珍しい。  2R、スーパーレックは右ローで下がる武尊を追いかけていくが、右フックに武尊も左フックを返す。圧力をかけて前に出る武尊だがスーパーレックはテンカオ、ジャブ、右ロー。武尊は左ボディから左右フック。スーパーレックはガードを固めてジャブと前蹴り。  武尊の右フックがスーパーレックの顔面をとらえる。スーパーレックはつかんでヒザを蹴ってしまい、注意を受ける。前に出る武尊の左右フックで場内は沸くが、スーパーレックは冷静にジャブを突く。  そして左ヒザを突き上げて右ロー。武尊は右カーフを蹴り、スーパーレックが前へ出ると左右フック。武尊がコーナーを背負ったスーパーレックへ左右フックを放つが、スーパーレックはほぼノーガードでこれをかわしてみせた。  3R、スーパーレックが強い右ロー、武尊も右カーフを蹴り返す。前に出る武尊の前足を右ローで狙い撃ちにするスーパーレック。武尊はジャブを突くがスーパーレックが右ローを蹴る。前に出る武尊が左右ボディもすぐに右ローを蹴られる。  しかし、武尊の左三日月が決まり、武尊の左ボディに身体を丸めるスーパーレック。そこで武尊が左ボディの連打。武尊の攻勢に場内は大歓声に包まれる中、武尊は左ボディを徹底的に叩き込んでいく。さらに三日月も蹴る武尊。スーパーレックは防戦一方に。  4R、スーパーレックはロープを背負って左ミドル、右前蹴り。武尊は前へ出ていくがスーパーレックに前蹴りと右ローを蹴られる。それでも左ボディを当てに行く武尊。  強烈な左ミドルも命中。スーパーレックの右ローで武尊のトランクスは裂けている。スーパーレックはテンカオ、前蹴りも突き刺してくるが、武尊も負けじと前蹴り、左ミドル。  ワンツーからのテンカオを決めるスーパーレックに、武尊は左三日月で応戦。スーパーレックは右ロー、左テンカオ、さらにジャブ。しかし、武尊は前へ出ることを止めず前蹴り。スーパーレックはジャブで先手を取り、武尊にパンチを打たせない。  5R、スーパーレックはワンツーから右ロー、そして左ヒザ。スーパーレックの右ローに武尊の身体が傾くが、武尊は蹴らせてワンツーを打つ。ワンツーで前へ出る武尊にスーパーレックはテンカオ。ジャブをしっかり当てていくスーパーレック。前蹴りで下がる武尊だが、左フック、右フックを命中。  さらにワンツーをヒットさせると場内は大歓声に。スーパーレックはジャブと右ロー、武尊のワンツーにはテンカオを返す。武尊はテンカオを突き刺されてもすぐに左フック。まさに肉を切らして骨を断つ戦法だ。スーパーレックの前蹴り、ジャブに下がらず前へ出て手を出す武尊。スーパーレックも苦しくなってクリンチも、至近距離でのハイキックを放つ。  タフなファイトの決着は判定に持ち込まれ、判定は3-0でスーパーレックの勝利に。武尊は精根尽き果てた表情で、足を引きずりながらリングを去ろうとしたが関係者に止められる。  勝利者インタビューでは「私のスキルを発揮できてとても嬉しかったです。武尊の強さに驚かなかったです。そういう評判でしたから。世界一の根性を持つ選手です。戦闘準備は整っています。チャトリの指示に従います。ロッタンとの再戦でも、武尊との再戦でも僕は何でもやる」とスーパーレック。チャトリ代表からはボーナスが送られた。  スーパーレックの勝利者コメントが終わると、武尊にもマイクが向けられる。「絶対に勝って世界一を証明してずっと応援してくれたファン、今日集まってくれたファン、みんなにパワーを与えたかったけれど、そのために今できる今の身体で出来る限界で出来るところまでやりました。絶対に勝ってみんなに武尊を信じて良かったと思ってもらいたくて。死ぬ気で頑張ってきたんですけれど。いま地震とかいろいろなことがあってみなさん辛い思いをいしたり苦しい思いをしている人がたくさんいると思うし、そういう人たちに僕が命がけで戦って頑張ればいいことがあるよってところを教えたかったです」と号泣しながらコメント。  そして「僕が出来るのはここまでです。これ以上の身体を僕は作れません。今日集まってくださってありがとう。僕を信じてずっとついてきてくれた皆さん、ありがとうございました」と、引退ともとれる言葉。場内が騒然とする中、武尊はリング四方へ向かって頭を下げた。 [nextpage] ▼ONEサブミッショングラップリング・ライト級チャンピオンシップ 10分1R〇ケイド・ルオトロ(米国)王者[判定3-0]×トミー・ランガカー(ノルウェー)挑戦者※ルオトロが王座防衛  20歳のケイドは、双子の兄弟タイ・ルオトロと共に、ホイラー・グレイシーの黒帯クレバー・ルシアーノの下で3歳から柔術を始め、メンデス兄弟の AOJ(ART OF JIU JITSU)で活躍。その後、ATOS所属となり2021年12月に黒帯になっている。2022年のADCC世界選手権77kg級で優勝し、19歳で史上最年少世界王者に輝いた。2022年5月のONEデビュー戦では、ケージグラップリングで青木真也に判定勝ち。同年10月のONE世界王座決定戦でウアリ・クルジェフにヒールフックで一本勝ちして初代王座に就くと、12月にはマテウス・ガブリエルを相手に判定3-0で初防衛に成功。そして2023年6月のランガカー戦も判定勝ちで2度目の王座防衛に成功した。  対するランガカーは、ノルウェー出身の29歳。キムラ/ノヴァ・ウニオンでホセ・カルロスの指導の下、トレーニングを積み、2022年IBJJF世界柔術選手権ミドル級(82.3kg)3位。2023年12月のIBJJFノーギ世界選手権79.5kg優勝。2021年11月の『Polaris18』では、道衣90kg契約でイゴール・タナベに敗れるも、2023年11月の『Polaris26』ではノーギでオリバー・タザのヒールフックを凌いで判定勝ちしている。  2023年6月の前戦では、トップからパスガードを仕掛けるルオトロに、ハーフガードのランガカーが足関節のカウンターを合わせる展開のなか、ジャッジはトップからアタックし続けたルオトロを支持している。MMAトレーニングも行っていることを明かしているルオトロと、ベルトの無い立場でグラップリングに挑戦し続けるランガカー。世界トップレベルのグラップラー2人は果たして、日本での再戦でどんな動きを見せるか。  1R、スタンドレスリングから。首後ろを掴むルオトロに、ランガカーも組み手争いに応じて簡単には下にならない。  ジャンピングハガードから引き込んだルオトロ。潜らせないランガカーが足を束ねるが、スクランブルからバックを狙うルオトロ。しかし腰はずらしたランガカーにパスガード狙い。左で差そうとするランガカーにダースチョークを狙うルオトロ。首を抜き、左を差してディープハーフ狙うランガカー。  離れるルオトロに下のランガカーはガード。ハーフから潜ろうとするが剥がすルオトロがトップからダースチョーク狙い。ランガカーはずらして極めさせずに正対へ。クルスフィックスのルオトロは足を外してオモプラッタに外してガードを取るランガカー。  右足首を掴んで右脇に隠しながらヒールの極めを狙うランガカー。外がけから内ヒールも狙うが、回って極めさせないルオトロ。しかしランガカーも足関節狙いに、ルオトロはヒザ十字狙い。しかしここでトップを奪うランガカーに、ルオトロは三角狙いから洗濯挟み。ランガカーはそのままトップキープでゴング。  判定は3-0で、ジャッジはトップからダースチョーク、腕十字とキャッチ級の攻めを見せたルオトロを支持した。  試合後、ルオトロは「相手に驚きはなかったけど、最初のダースチョークで力を使いすぎて疲れたのが反省点。12年ぶりの日本で戦えて愛しています。(5万ドルボーナスに)仕事を楽しんだら、仕事だと思わないから。コスタリカで一番大きな魚をつれて、ここでボーナスも獲得した。アリガトウ」と語った。 [nextpage] ▼ONEライト級(※77.1kg)5分3R〇青木真也(日本)48勝11敗1NC[1R 3分00秒 リアネイキドチョーク]×ジョン・リネカー(ブラジル)37勝11敗1NC※セージ・ノースカット(米国)が緊急欠場。理由は発表されず、青木はリネカー戦を承諾。※前日計量でリネカーは151ポンドで計量をパスしていた。  青木のMMAの試合は、2022年11月のサイード・イザガクマエフ戦以来、1年2カ月ぶり。2019年10月のONE日本大会でホノリオ・バナリオに一本勝ち以降、江藤公洋、 ジェームズ・ナカシマ、エドゥアルド・フォラヤンを相手に4連勝をマークしたが、現在は2連敗中。 2022年3月に秋山成勲に2R TKO負けすると、同年11月にイザガクマエフに1R TKO負け。グラップリングルールでもケイド・ルオトロに判定負け、10月の前戦ではマイキー・ムスメシに一本負けしており、ONEでは4連敗と黒星が続いている。40歳。  対するノースカットは、UFC6勝2敗から2019年5月にONEにウェルター級で参戦し、元IT'S SHOWTIME 77kg MAX世界王者のコスモ・アレクサンドレに1R KO負け。コロナ禍もあり、2023年5月にONEにライト級で復帰し、アフメド・ムジタバを1R ヒールフックに極めて、ONE初勝利を挙げている。27歳。  両者は当初、2021年4月29日の『ONE on TNT IV』で対戦予定だったが、ノースカットが「新型コロナウイルスの影響が長引いた」ため試合を辞退。青木は、秋山戦がキャンセルされたフォラヤンと緊急対戦していた。  ノースカットの欠場により、前日に151ポンド(68.49kg)で計量していた元バンタム級王者のジョン・リネカーと青木が急遽、対戦。  1R、サウスポー構えの青木が先にじりじり詰めてリネカーのヒザ蹴りを受けながらダブルレッグテイクダウン。リネカーは左で差してハーフガード。そこにダースチョークを合わせる青木。リネカーは右腕を入れて絞めを防いで仰向けに。  そこに、マウントに切り替えた青木。リネカーをコーナー際でヒジ打ち。パウンド連打! 後ろを向いたリネカーにパウンド連打し、背中を見せたところに乗ってリアネイキドチョークを極めると、リネカーがタップした。  1R 3分00秒、青木が一本勝ち。試合後、青木はインタビューに「なんでやったか? 12年世話になって友達から社長になって嫌だったけど、そのチャトリに『お願いします』って言われたらやるしかないだろ」  セコンドのケンドー・カシンらが拍手するなか、「20年やってきました。万感の思いです。一言、ありがとう」とファンにマイク。  5万ドルボーナスを告げられると、「コソボだよ(※ケンドー・カシンがスーパーJrで優勝した時に「俺の優勝賞金をコソボに寄付しとけ!」と発言し実際に寄付)、僕はONEを愛しているから、ONEも僕を愛してほしい」と語った。  なお、試合後、ノースカットはSNSでセコンドのビザの問題で欠場したことを明かし、「セコンドがつかなければ試合はできない」とSNSに記している。 [nextpage] ▼特別ルール 3分3R(1Rボクシング、2Rムエタイ、3R MMA)-85.0kg契約 ※MMAグローブ×秋山成勲(日本)[1R 1分40秒 KO]〇ニキー・ホルツケン(オランダ)  48歳の秋山は、MMA2連勝中。2015年11月のアルベルト・ミナ戦を最後にUFCを離れると、2019年6月にONEデビュー。アギラン・ターニに判定負けも、2020年2月にシェリフ・モハメドを1R KO。2022年3月には青木真也とライト級契約で対戦し、2R TKO勝ちを収めている。  対する元GLORY世界ウェルター級王者のホルツケンは40歳。10歳の時にボクシングを始め、キックボクシング、ムエタイも習得。ラモン・デッカーに師事し、3競技全てで活動。  K-1でブアカーオ、SBでアンディ・サワーらと対戦し、2013年12月のGLORY東京でウェルター級トーナメント優勝。初代王座についた。2018年11月のONEデビュー戦でコスモ・アレキサンドラと再戦し、2RKO勝ち。  2021年4月にジョン・ウェイン・パーに2R TKO勝ちも2022年3月にシンサムット・クリンミーに2R KO負け。2023年6月の前戦でアドリアン・サディコビッチに判定負けで2連敗中。また、プロボクシングでは14勝(11KO)1敗の戦績を残している。  オープンフィンガーグローブで両者ボクシングシューズを履いて初回に臨む。  1R、ともにオーソドックス構え。序盤は距離を取る秋山に、詰めるホルツケンは右フック! もらった秋山がタックル気味にクリンチに行くが、剥がしたホルツケンが左を打ち抜き、秋山がダウン。  立ち上がった秋山だが足がふらつく。さらにホルツケンは左ジャブ、コーナーに詰まった秋山が左を返しにきたところに右ストレート! 再びダウンし、立ち上がる秋山だが、コーナーで立ったところでレフェリーが試合を止めた。  試合後、ホルツケンは「ドバイで旅行中にチャトリCEOから『秋山とやらないか』と言われ、3週間で試合に臨んだ。こうしたボクシングシューズを履くルールも、エンターテインメントでいい」と語り、5万ドルボーナスを獲得した。 [nextpage] ▼キックボクシング キャッチウェイト(-70.99kg) 3分3R〇マラット・グレゴリアン(アルメニア/ONEフェザー級キックボクシング世界2位)[3R 1分20秒 KO]×シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ/ONEフェザー級キックボクシング世界3位)  グレゴリアンは2015年のK-1 WORLD GP初代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメントで3試合連続KO勝ち。初代王座に輝くと2019年5月の『GLORY 65』でシッティチャイと5度目の対戦。  過去4戦は全て敗れているグレゴリアンが判定勝ちで初勝利を収め、世界ライト級王座を獲得している。ONEには2020年12月に初参戦。2023年8月にONEフェザー級キックボクシング世界王者チンギス・アラゾフに挑むも判定負けでタイトル獲得ならず。戦績は66勝(34KO)13敗1分1無効試合。  シッティチャイはプロ160戦以上と鉄人的な戦歴を持つ現役のムエタイレジェンド。キックボクシングとムエタイを合わせ、世界王者に11回輝く。過去10年間に渡り、キックボクシングとムエタイで、最も圧倒的な強さを誇る選手の1人として評価を築き上げてきた。  ONEには2020年7月から参戦。2022年の「ONEフェザー級キックボクシングワールドグランプリ」では決勝へ進出するもチンギス・アラゾフに判定負け。前戦は2023年9月にモハマド・シアサラニに判定で敗れ、戦績を128勝(39KO)34敗5分としている。  1R、サウスポー構えのシッティチャイと、オーソのグレゴリアン。圧力をかけるグレゴリアンにロープを背にしながらも強い左ミドルを返すシッティチャイ。右アッパーから左ミドル、左ストレート、左ローをリズムよく繋ぐ。ガード固めるグレゴリアンは前に。右ハイをガード上に蹴ると、押し込んでの右ロー。  2R、圧力を強めたグレゴリアン。シッティチャイも左ストレート、右ジャブ、左ミドルとポンポンと入れる。グレゴリアンは強い右ボディストレート。さらに右ローで前に。受け返しのシッティチャイは左ミドル。  しかし、グレゴリアンも左レバー打ち。さらに前に出て右ストレート、右ミドル。アッパーを返すシッティチャイを逃がさずワンツーから右ロー。シッティチャイの左に左を返すとロープに詰めて左ボディを効かせて右のダブルを当てて右ヒザ!  ついにダウンしたシッティチャイ。立ち上がるとグレゴリアンが詰めるがゴング。  3R、詰めて近い距離で戦うグレゴリアン。右インローでシッティチャイはバランスを崩して手を着く。ノーダウンだがさらにインローのグレゴリアンは右前蹴り、右インロー、一転、右の蹴りから右スーパーマンパンチかで右テンカオ! 左フックと繋ぎ、シッティチャイがダウン。立ち上がれず。  グレゴリアンが3R KO勝ちで、因縁の対シッティチャイ戦で2連勝を飾った。  試合後、グレゴリアンは「8年間トップで戦ってきた。日本でKOで勝てたことは嬉しいです。パンチでボディ打ちしていて、相手の呼吸が荒くなったからヒザ蹴りで突いた」と語り、5万ドルボーナスを獲得した。 [nextpage] ▼ONEフェザー級(※70.3kg)5分3R〇ゲイリー・トノン(米国)1位[1R 4分41秒 リアネイキドチョーク]×マーティン・ニューイェン(豪州/ベトナム)3位  トノンは、2022年3月にトノンに敗れたものの、2023年1月にジョニー・ヌネスをキムラロックで、7月にシャミル・ガサノフをヒザ十字で極めて2連勝中のサブミッションアーティストだ。  元ライト&フェザー級二冠王のニューイェンは、2022年9月に現2位のイリヤ・フレマノフに1R TKO負けも、2023年2月の前戦でレオナルド・カソッティに判定勝ちで再起を遂げている。2人の王者がいるフェザー級で、次なるコンテンダーは誰か。注目の上位ランキング戦だ。  1R、先に右を振って詰めて左で差してボディロックテイクダウンはトノン! すぐにパスガード、マウント。  右で枕に巻き、ニューイエンが上体を立てたところを送り手を掴んでバックを奪うと4の字ロックでリアネイキドチョーク狙う。正対際でいったんロックを外してポジションを作り直して再び4の字に組んだトノン。  左足で左腕を縛ろうとして抜かれると、踵を脇に落としてから、左腕を喉下に巻き、頭後ろに巻こうとする手をニューイエンも掴んでいたが、剥がして頭後ろに巻いてリアネイキドチョーク! タップを奪った。  試合後、トノンは「自信が無いわけじゃないけど、1Rに極められるとは思っていなかった。蹴りで隙間を作り絞めました。(王者対決では)タン・リーに勝ってほしい。リヴェンジしたいから。5万ドルボーナス? 日本のトイレを買うよ(笑)」と笑顔で語った。 [nextpage] ▼ONE女子アトム級(※52.2kg)5分3R×平田 樹(日本/フリー)6勝3敗[判定0-3]〇三浦彩佳(日本/TRIBE TOKYO MMA)13勝5敗 ※元ストロー級王座挑戦者  平田は2023年3月のアトム級戦でハム・ソヒに判定負けからの再起戦。三浦は2023年11月のストロー級戦で中国のメン・ボーを1R あやかロックで極めて一本勝ち。今回は階級を落として、平田との日本人対決に臨む。  1R、先に詰めて首を巻いてコーナーに押し込んだ三浦。平田はボディロック。三浦は引き手をつかむが、抜いた平田が離れる。追いかける三浦に「グローブを掴むな」とレフェリー。飛び込み掴もうとする三浦。がぶりヒザの平田だが、立ち上がり押し込む三浦。  コーナーでサイドバック気味に崩す三浦! 平田は立ち上がり、バックに乗ろうとした三浦を落とすも離れ際にスペースを作らせない三浦。  スタンドバックにつくと左足をかけて首にも腕を回そうとするが、ここは平田も腕を外すも防御のまま。なおも押し込む三浦がスタンドバックで崩そうとすると平田はロープに手をひっかけて耐えて正対を狙いゴング。三浦の体格差を感じさせる動き。  2R、ここも左右ですぐに詰めてコーナー押し込む三浦。首投げを狙い、正対しようとする平田に押し込み。コーナー背に動けない平田。三浦は左小手の平田に釘付けにして細かいパンチ。さらに左足をかけて上から潰してついに平田に両ヒザを着かせる。  亀になった平田にヒザを突く三浦! 平田も立ち上がりクラッチを剥がそうとするが、三浦はダブルレッグテイクダウン! サイドを取りかけるがうつ伏せから立ち上がる平田。スタンドバックについて左足をかける三浦は平田を動かせず。押し込んで右のパウンドを打ち込んだところでゴングを聞き、両手を挙げる。  3R、ステップを使えない平田をすぐに詰めてコーナーから逃がさない三浦。左でオーバーフックして押し込み右で細かいパンチ。コーナー背に半身の平田はその手を掴んで防ぐ。首には手を巻かれないように防ぐ平田だが、三浦は右ヒジ連打! ブレーク。  すぐにシングルレッグに組む三浦に鉄槌の平田だが、すぐに両足を手繰りテイクダウンを奪う三浦。尻を着いた平田を寝かせようとする三浦。「極めることが大事なんだ!」という長南亮代表のゲキに動く三浦。そこで平田も立ち上がるが、詰める三浦はシングルレッグでみたび平田に尻を着かせると、平田は首を抱えるが極めには至らず。ゴングに両手を挙げる三浦。平田は何か思うところがあったか、サバサバとした表情で平田とハグした。  判定は3-0で三浦が勝利。天井を見上げた平田も勝者を拍手で祝した。三浦はやはり号泣。長南代表に笑顔で迎えられた。 [nextpage] ▼ONEフライ級(※61.2kg)5分3R×ダニー・キンガッド(フィリピン)2位・15勝4敗[判定0-3]〇若松佑弥(日本/TRIBE TOKYO MMA)4位・17勝6敗  若松は、2018年9月のONEデビュー戦でキンガッドに判定負け後、2戦目のフライ級GPでデメトリアス・ジョンソン(DJ)に一本負けと、強豪に苦杯を舐めたが、以降5連勝。  2022年3月に当時の王者アドリアーノ・モラエスに挑戦し、3R 一本負けで戴冠ならず。2022年11月にウ・ソンフンにも1R TKO負けとコンディション調整に苦しんだが、2023年7月にシェ・ウェイに1R TKO勝ちで復活。現王者DJへの挑戦権を得るために、ランキング上位のキンガッドとの再戦に必勝体制で臨む。  1R、ともにオーソドックス構え。立ち会った若松はいきなりダブルレッグテイクダウン。ガードのキンガッドにパウンド! キンガッドは右で脇差しスクランブルで上に。しかし若松も右で差して上を取り返すと、キンガッドも立ち上がり。キンガッドの右に、若松も右でキンガッドが崩れる。  組んだキンガッドはヒザ。崩れない若松はテイクダウン狙いを切ると立ち合い。右ローを当てるキンガッドは、若松の入りにダブルレッグテイクダウン! サイドを取ったキンガッドはバックを取りに行くが、仰向けから腰をずらして上になる若松!  蹴り上げから背中を見せて立とうとするキンガッドに、すぐについていく若松は背後からパウンド! キンガッドはその手を脇で挟んで立ち上がり。ゴング。  2R、先に中央を取る若松にシングルレッグから若松の立ち上がりにバックテイクするキンガッド。スタンドバックにつくと、引き込みへ。さらにボディロックテイクダウン。しかし脇差し向きあい、バックにつこうとする若松。キンガッドは巻き込み前転で上に!  若松は再びブリッジで上を取り返すとパウンドへ。腰に足を当てたキンガッドをさばきサイドに。背中を見せながら立とうとするキンガッドにこつこつパウンドを入れる若松。  キンガッドは右で差して押し込むが四つで左で小手に巻く若松は投げを打つ。残したキンガッドだが、崩しに下に! 足を手繰ろうとしたキンガッドに左足をスプロールする若松が細かいパウンドでゴング。  3R、先にダブルレッグテイクダウンは若松! 下のキンガッドに右のパウンド、ヒザ。ハーフのキンガッドは下から鉄槌を突き、脇差し立ち上がり。シングルレッグに小手巻き投げは若松。正対しがぶりからヒザ! なおも右足を手繰ろうとするキンガッドは足をかけようとするが、倒されない若松。  キンガッドのバックテイクを許さず正対して押し込み。右ヒジを突く。スタンド。ステップをが軽いのは若松。キンガッドの組みつきを外してスタンドバックから崩して手を着かせると若松がバックからパウンド! 座ってから正対立ち上がるキンガッド。  最後のスタンド。右から左で前に出る若松に、キンガッドはコーナーに詰まり、組んでゴング。判定は3-0で若松が勝利。2連勝をマークした。今回の日本大会で日本人選手の初勝利。 [nextpage] ▼キックボクシング ヘビー級 3分3R〇ラーデ・オパチッチ(セルビア)[判定3-0]×イラジ・アジズプール(イラン)  オパチッチはテコンドー、キックボクシングを学び18歳までアマチュアで戦い2015年にはWAKO欧州ジュニア選手権で優勝。2016年2月にプロデビューすると、2戦目でK-1 GLOBAL WORLD GPに出場して準決勝へ進出。2019年のKunlun Fightヘビー級トーナメントと2019年のEnfusionヘビー級トーナメントでも準決勝へ進出している。  2020年12月のONE初登場ではエロール・ジマーマンを2Rに後ろ廻し蹴り一発でKOし、大きなインパクトを残した。その後も全て2RでKO勝ちし、ONEで4戦全勝だったが。6月に今回再戦するグート・イノセンテにまさかの初回KO負け(ONEで唯一の黒星)。10月にヤニス・ストフォリディスにKO勝ちして再起を果たし、6月はグート・イノセンにも勝利。戦績は18勝(15KO)6敗。  アジズプールは2017年に国際アマチュアムエタイ連盟で銀メダルを獲得。同年にKunlun Fightのヘビー級トーナメントに出場して優勝し、2019年の同トーナメントでも準優勝。2021年10月からONEに参戦すると、アンデウソン・シウバに判定勝ち、イスマエル・ロントにKO勝ち。2022年9月のヘビー級ワールドGPでは決勝へ進出するもロマン・クリークリャにKO負けを喫した。戦績は58勝5敗。  1R、ともにオーソドックス構え。長身のオパチッチは右ローから。アジズブールは右オーバーハンドをガード上に振る。左ミドルを腹に突くオパチッチ。前足を上げながらフェイント。アジズブールはボディストレートを突く。ワンツーのオパチッチにアジズブールは左の蹴り。オパチッチは長い左右ミドル、右ロー。アジズブールは左ボディを突いてゴング。  2R、上下に蹴るオパチッチに、アジズブールはパンチでインサイドで勝負。ローブローで中断も再開。左右のボディ打ちで前に出るアジズブール。詰めて右の顔面と上下に散らす。バックフィストを狙うオパチッチ。  3R、詰めるアジズブールにオパチッチは右の縦蹴り。さらに三日月蹴りもアジズブールの股間に入りローブローに。中断、再開。左右フックで詰めるアジズブール。ガードを固めて押し戻し、左ミドルを返すオパチッチ。アジズブールも右フックで押し返すが、オパチッチの左ミドルに阻まれる。またもオパチッチのローブローで中断。再開。サークリングするオパチッチは流したか。  判定は3-0で有効打を当てたオパチッチが勝利。ヘビー級王座戦線に歩を進めた。 [nextpage] ▼ONEストロー級(※56.7kg)5分3R〇ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)2位[判定3-0]×山北渓人(日本/リバーサルジム新宿Me,We)  専大レスリング出身の山北は、第3代ストロー級キング・オブ・パンクラシスト。2023年3月にONEに初参戦し、いきなり強豪のアレックス・シウバに判定勝ち。これまで箕輪ひろばや澤田龍人に勝利しているストロー級2位のマスンヤネとの対戦を決めた。勝てば王者ジャレッド・ブルックスへの挑戦に近づくチャレンジマッチとなる。 マスンヤネは、フリースタイルレスリングで南アフリカで23の国内タイトルを獲得し、3度アフリカ選手権で優勝。コモンウェルスゲームにも出場したが、同国でレスリングで生計を立てていくことは難しく、MMAに転身し、アマチュアMMA6戦無敗、プロでも8連勝でブルックスの王座に挑戦し、1R、リアネイキドチョークで敗れている。  1R、サウスポー構えのマスンヤネ、オーソの山北は右ローをヒット! 細かいステップのマスンヤネの蹴り足を取って右を狙う。左オーバーハンドを振るマスンヤネも左ロー。右スーパーマンパンチを見せる山北。右フックから低いタックルで掴んで持ち上げ、前方にスラムしたマスンヤネ! 下の山北はギロチン狙いも頭取らせず中央にステイのマスンヤネ。手首を持つ山北は三角絞め狙いも、上体上げ外して腰を抱くマスンヤネ。  腰に足を当ててガードの山北は下からヒジ! マスンヤネは左足をパス。左腕をアームバー狙いの山北。下から三角絞めも、マスンヤネは持ち上げコーナーに持ち込み、頭からのスラムは禁止のためゆっくりコーナーで落とす。  2R、追う山北。ワンツーの右がかすめる。マスンヤネは右にサークリング。山北は右ローでスリップ。しかし立たせるマスンヤネ。詰める山北に、マスンヤネはテイクダウンのフェイントを混ぜて左ロー。ダブルレッグに入る山北だが、引き込み下に。  フルガードの中に入れる山北だが、脇下を潜れず。右足のパス狙いから右ヒジを落とすマスンヤネは左足をパス。ハーフからオクトパスガードでスイープを狙う山北だが、潰すマスンヤネ。顔を剥がして山北にスイープをさせない。山北は下のままゴングを聞く。  3R、中央に出る山北。回りながら左ハイ。山北の組みを切る。「行かない」というセコンドの声。両手を着くマスンヤネの挑発に跳びヒザ蹴りで飛び込む山北は、下になって三角絞めへ。それを察知し、かつぎパスでサイドを取るマスンヤネ。足を戻す山北だが、マットに背中を着ける。  立ち際を組まれることを嫌ったか、立つ動きより下からの仕掛けを狙う山北。背中を見せながら立とうとした山北。前転して足を取りに行くが、バックテイクはマスンヤネ。首を狙うが、腰をずらした山北は前転して立ち上がり。スタンド。左右で詰めて右スーパーマンパンチの山北だが、ダブルレッグははじかれ、引き込み腕十字狙いもゴング。  判定は3-0で、テイクダウンからトップを取ったマスンヤネが勝利した。 [nextpage] ▼ONEストロー級(※56.7kg)5分3R×箕輪ひろば(日本/総合格闘技道場STF)3位[判定1-2]〇グスタボ・バラート(キューバ)4位  元修斗世界ストロー級王者の箕輪は、2018年9月の修斗から2021年2月のONEのアレックス・シウバ戦まで怒涛の6連勝も、2022年1月のジャレッド・ブルックス戦で判定負け。2023年4月の前戦でボカン・マスンヤネにも判定負けで2連敗中。  対するバラートは、2012年ロンドン五輪グレコローマンレスリング55kg級ベスト8から2015年にMMA転向。これまで3人の日本人選手と対戦し、2019年4月に和田竜光に判定負けも、2021年7月に澤田龍人を判定で下すと、2022年4月に猿田洋祐にも判定勝ち。2022年10月にはアレックス・シウバの寝技を凌いでスプリット判定を制しており、現在3連勝中だ。  1R、サウスポー構えのバラート、オーソの箕輪。左を振って詰めるバラート。さばく箕輪は左オーバーハンドの打ち終わりに組むが離れる。左ローを当てるバラート。さらに左フック。肩口で受けてクリンチのバラートに箕輪はヒザ蹴り。シングルレッグで持ち上げかけたバラートに、着地する箕輪。なおもダブルレッグから持ち上げテイクダウンするバラートだが、すぐに立つ箕輪。組みついて来るバラートに箕輪は蹴りをつかんでこかすと前に。しかし押し込むのはバラート、左フック! さらに右を箕輪は被弾する。  2R、箕輪の右の蹴りに左フックを振るバラート。なおも右ローに左フックを肩口に当てるバラートは組んで左ボディを突くが、それがローブローとなる。箕輪はマスンヤネ戦に続くローブロー。しかし今度はパンチによる反則打となる。中断。  再開。頭から飛び込むバラート。バッティングもありながらワンツーの箕輪だが、左フックはバラート! 押し込むバラートに体を入れ替えようとする箕輪は右インロー。しかしバラートが押し込みボディロックテイクダウン。すぐに立つ箕輪はコーナー背に。  体を入れ替えヒザを突く箕輪は、右ストレート! しかし組むバラートはボディロック。倒されない箕輪は体を入れ替えヒザ! 再び入れ替え押し込むバラート。ブレーク。前に出る箕輪はジャブ、前進、ヒザでゴング。  3R、先に前に出て右のテンカオを突く箕輪。組んで離れ際に左を突くバラート。しかしさばいて箕輪はワンツースリーフォーと連打で前に。そこでクリンチして両脇を差すバラート。ヒザで突き放す箕輪にバラートはなおも組んで脇潜りスタンドバックで崩し。  すぐに立つ箕輪だが、押し込むバラート。ここで体を入れ替え、間合いを作って右を打ち込む箕輪。コーナーに押し込みヒザも、体を入れ替えたバラートがボディロックで押し込み。こつこつヒザもブレーク。ワンツーヒザの箕輪に、バラートも左右振って組み。それを体を入れ替え左右でヒザを突く箕輪。しかし最後はバラートが押し込みゴング。  判定は2-1に割れ、ジャッジはバラートを支持した。
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