2023年1月28日(日)東京・後楽園ホール『Krush.157』にて、スーパー・ライト級3分3R延長1Rで近藤魁成(TEAM3K)と対戦する塚本拓真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)のインタビューが主催者を通じて届いた。
塚本はK-1アマチュアを経て、2018年9月にKrushでプロデビュー。2019年10月から2021年6月まで3連敗を喫したが、2021年11月の川島康佑戦から2023年1月の大野祐志郎戦まで5連勝。「第9代Krushスーパー・ライト級王座決定トーナメント」では準決勝で小嶋瑠久に敗れるも小嶋の棄権で決勝へ進出。稲垣柊にTKOで敗れた。戦績は6勝(2KO)5敗2分。
お互いの覚悟と覚悟がぶつかり合って面白い試合に
──昨年4月のトーナメントから9カ月ぶりの試合となりました。間が空いたのは、1日2試合してのダメージと心境的なものとあったと思いますが、どちらが大きかったですか?
「体のダメージはそんなでもなかったんですよ。やっぱり気持ち的なものが大きかったですね。4月のトーナメントでは本当に周りの人たちの熱がすごく高くなっていることを自分自身感じられて、みんな自分がチャンピオンになるというのを信じて応援にきてくれていたんですよね。それが初戦の準決勝で負けて、その時点で落ち込んでたんですが、もう1回出られるということになって。でもそこでも負けて、格闘技で1日に2回負けることってなかなかないじゃないですか。自分自身も落ち込んだし、周りの人たちがガッカリするのを見て、申し訳ない思いでさらにメンタルをやられた感じでした」
──そこから抜け出すのには時間がかかったんですか?
「落ち込んだ時間もあったし、そこから自分を見つめ直して、いろんな人に相談したりもしました。みんな温かい言葉をくれましたし、でも何よりも結局は自分のために格闘技をやっているので、改めて自分を見つめ直した時に、ここで諦めたくはないなと思って。チャンピオンになると決めて高校卒業してすぐに上京しているので、『この世界でチャンピオンになってやる』というのを自分の中で再確認できました。1ヵ月か2ヵ月ぐらい、気持ち的にグラついた時期はあったんですけど、そこまで長引かずに練習を再開しました」
──では、その時点からも少し時間が空いてますよね。
「そこからは次への準備ですね。やっぱりあそこで2試合負けたということは、このスタイルでは勝てないということが身に染みて分かったんですよね。それまでは根性で粘り抜いて勝つという感じで5連勝できてたんですけど、トップになってきたらこれじゃ通用しないなと思って、ジムの代表の大宮司さんとかと、戦い方だったり足りない基礎的なところを刷り込むのに時間がかかっていました」
──今回の復帰戦で一番見せたいものというと?
「お客さんに対しても『やっぱり塚本拓真は明らかに強くなってるな』というところを見せたいですし、何よりもそれを自分自身に分からせる試合にしたいです。この9ヵ月が間違ってなかったというか、この間にやってたことを正解にしたいです。自信はメチャメチャあります」
──改めて、現時点での近藤魁成選手の印象は?
「本当に何でもできてうまいし、格闘技のキャリアで言うと自分より修羅場をくぐってきてるというか、名前のあるトップの選手と試合して注目も浴びてきているし、あの若さでそれに挑戦できて勝ってきてたというのは純粋にリスペクトしてます。すごく強いと思っているんですけど、格闘技って気持ちがないとダメだと思っていて、その部分では絶対的に俺の方が強いと思っているので、そこでは負けないと思っています」
──会見ではその思いを投げかける場面もありましたね。
「相手の返しがつまんなくて(笑)。別にエンタメのためにやってたわけじゃないんですけど、お客さんは『頑張りまーす』だけで終わるのを見たくて会見を見てる人なんていないと思ってて、そういう点を試合しなかった9ヵ月間にも感じたんですよね。だから挑発したとかじゃないし、挑発じゃなくて本心なんですけど、思った以上に返しがつまんなくて『大丈夫かな?』と思いました(笑)」
──近藤選手は寡黙ですからね(笑)。ただ、先ほどもあったように実績と知名度はあるわけで、そこに対しての意識は?
「会見の時にもそういう質問をされて、『他の選手と変わらない』とは答えたんですけど、そうは言いつつも、やっぱり目立ってて実績もある選手なので気合いは入るじゃないですか。こっちも火がつくし、だからこそ勝ってやりたいという気持ちが強くなるので。でも、近藤選手だから今まで以上に頑張るというわけではなくて、そこは変わらないかなと思います。どの試合も命懸けてやっているので」
──SNSでは、「連勝中も正直ずっと怖かった」という発言がありましたが。
「自信はもちろんあったんですけど、その前の3連敗した時期が本当にどん底だったので、そこから上がってこれて、『ここで負けたらどうなるんだろう』という不安があって。格闘家としての評価とか、自分の見られ方とかに重きを置いてしまっていたんですよね。あれは4月の試合で負けた直後だったのでああ書いたんですけど、今は自信も取り戻したし、負けるつもりなんてないですね」
──そして今大会は児玉兼慎選手、長野翔選手と、シルバーウルフから3選手が出ますね。
「一緒に練習して苦しいところを乗り越えているメンバーだし、2人とも後輩で年下だけどリスペクトできるところもあるし、自分にも慕ってきてくれているのも分かるし、3人とも勝ってシルバーウルフを盛り上げたいですね。しかも今年一発目の興行じゃないですか。それもあって、シルバーウルフの勢いに火をつける大会にしたいですね」
──そこからどうしていきたいですか?
「僕は普段、先のことはあまり考えないで、目の前の試合に集中してるんですけど…勝てばまたベルトだったりKー1に絡めたりという位置に戻れると思うんですけど、ここで負けたら下から来る選手の門番役みたいなところになっちゃうなと思っているので、本当にサバイバルマッチで、生き残りがかかっているというか。それは相手も同じだと思うんですけど、逆に相手の方が知名度がある分、その気持ちが強いかもしれないし。だからお互いの覚悟と覚悟がぶつかり合って、面白い試合になるんじゃないですかね。別に打ち合うとかじゃないですけど」
──では最後に、改めてこの試合への“決意”を教えていただけますか?
「復帰戦だからと言うのもあるかもしれないですけど、その中でも大切な一戦だと思っているし、相手選手も同じ気持ちで来ると思うので、『Krush.157』の中でもタイトルマッチ2試合よりも面白い試合になると思います。僕はそのつもりで仕上げているので、その覚悟を見てほしいです」