カンフー好きの山北渓人だが、今回は高倉健の『昭和残侠伝 一匹狼』ポスター前のキッズの写真をプリントしたフーディという、味わい深い姿で取材に応じた。(C)ゴング格闘技
2024年1月28日(日)に東京・有明アリーナにて『ONE 165: Superlek vs.Takeru』が開催される。
MMAストロー級では、山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We)が、同級2位のボカン・マスンヤネ(南アフリカ)と対戦する。
第3代ストロー級キング・オブ・パンクラシストの山北は、フリースタイルレスリング出身。2023年3月にONEに初参戦し、いきなり強豪のアレックス・シウバに判定勝ち。今回は、これまで箕輪ひろばや澤田龍人に勝利しているストロー級2位のマスンヤネと対戦する。
勝てば王者ジャレッド・ブルックスへの挑戦に近づくチャレンジマッチに向け、山北はグラップリングや柔術、ボクシングの強化・MMAへの融合の手応えを語り、グレコローマンレスリング強豪のマスンヤネとの試合を「スクランブル合戦には自信がある」と語った。
もうワンランク違うな、というところを見せたい
──PANCRASEストロー級王者として、2023年3月にONEに初参戦し、元王者のアレックス・シウバに判定勝ち。それから10カ月が経ちました。その間、今回のボカン・マスンヤネとの試合まで、いかがでしたか。
「前の試合が終わってから期間が開いたんですが、その間、しっかり時間も取れて質のいい練習ができました。またいろいろな人に教えてもらいながらレベルアップできたかなと思います」
──いろいろな人、というのは?
「グラップリングでは米倉大貴選手と毎週練習やスパーリングすることで自信になっています。
打撃も藤田大和さんの弟さんの藤田健児(アマチュア10冠・現WBOアジアパシフィックフェザー級王者)さんが先日、試合で勝利した(※WBOアジア・パシフィック・フェザー級王座決定戦で同級1位として同級2位でフィリピンのジョセフ・アンボに判定3-0勝利)のですが、その健児さんが、Mw, Weに打撃の指導に来てくださっているので、ミットを持ってもらって、帝拳ジムのスタイルも教えてもらって、それを採り入れたら、MMAにも活きるようになって、打撃も自信ができたので、打撃でしっかりプレッシャーをかけつつ、組んでも僕のいいポジションにしたいと思います。自分なりにやってきた打撃とまた違って、しっかりフィニッシュできるくらいのレベルになってきました」
──帝拳ジムのスタイルというと、重心の置き方でしょうか。
「そうです。(那須川)天心選手とかみんなああいうスタイルで、それをやり過ぎると偏るので、自分的にMMA用に落とし込んで採り入れることで、やっぱりバランスが良くなって打撃が打ちやすくなって結果、組みにも入りやすくなったんです。自分の強みがさらに伸ばされる形になりました」
──対戦相手のマスンヤネ選手は、澤田龍人選手、箕輪ひろば選手に判定勝ちしている日本人キラーです。どんな印象を持っていますか。
「見るからに身体能力がすごい選手で、組みでも打撃でも予想外の動きをしてくるので、そういうところの反応というか対応が必要だと思っています。PANCRASEでの試合や、ONEの箕輪選手との試合でも、日本人と結構やっていて、みんな負けている。今回の試合に向けて“ここでボカン選手が勝っているんだな”というところは掴んでいるので“そこをやらせない”というのが自分の中であります」
──同じレスリング出身ながらグレコローマンのマスンヤネ選手の強みをどうとらえていますか。
「レスリングベースでグレコローマンの選手なので、クラッチが強くて、1回バックに回られたらなかなか外せなくてそれで結構逃げられなくて、判定で負けている選手が多い。そこのエスケープとかもしっかり練習してきましたので問題ありません。バックを取られる前の対処、バックを取られての対処も全然逃げれるし、自分が有利なポジションにも入ることが出来ると思っています」
──バックを取られた場合、マスンヤネ選手には脳天からの投げはONEでは反則なものの、豪快な投げがあります。
「一番は投げられないこと。ともにレスラーなので投げを食らいにくいというのもありますが、投げられ慣れているということもあるので、もし投げられてもダメージも少ないし、正直、その後でしっかり動けばいいと。
そこでスクランブルになって有利なポジションを取って極めに行きたいと思っています。向こうもスクランブルが強い選手ですが、僕もそこには自信があります。スクランブルの中でどちらがいいポジションを取れるかがポイントになってくる。Me,Weにも組みが強い選手がいっぱいいて練習してきたので、スクランブル合戦には自信があります」
──さきほどマスンヤネ選手は、「バックに回る時間を長くしたい。相手の打撃にはカウンターを狙いたい」と語っていました。
「僕もバックを取ります(笑)。すごい強い選手ですが、上手さの部分はあまりないなと。柔術的な動きが僕は得意なので、そこをしっかりやっていけば全然勝てると思っていますし、極めの新技もあるので、それを見せられたらと思います」
──新技!
「絞め系の技とまでは言えます。練習でも、そこに至るまでのルートというかシステムみたいなものが固まってきていて“ここに入ったら絶対にここまでいける”というのがあるので、そこにどう持っていくかが試合で試されると思います」
──さきほど仰ったように、レスリングベースながら柔術的な動きが巧みなのも山北選手の強みです。あのアレックス・シウバ戦の1Rで見せたハーフガードからのスイープは……。
「オクトパスガードからのスイープですね」
──ハーフから脇を潜ることで、MMAでも殴られにくいと。ただ、あのとき山北選手はシウバ選手の脇を潜って●●に●●しましたよね。あれはオクトパスガードからの背中を着けながらのスイープ、バックテイクとは少し異なるような……。
「ああ、あれはどちらでも行けるんです。あのときシウバが●●したから、あの形になりました」
──なるほど、相手の動きによっていろいろバリエーションがあるのですね……。さて、今回はそんなチームメイトも応援にかけつける日本大会になります。テンションは上りますか。
「日本大会でモチベーションも高いのですが、非現実的なところもあって全く緊張しなくて、楽しみでしかないです。緊張しなさ過ぎて逆に少し不安なくらいです(笑)」
──ストロー級の2位とマスンヤネ選手と対戦する山北選手の試合前に、同じストロー級で3位の箕輪選手と4位のグスタボ・バラート選手が対戦します。意識する部分もありますか。
「ストロー級の試合が続くので、当然、同じ日本人として応援していますが、自分がその次に試合をするので、もうワンランク違うなというところをみんなにしっかり見せたいと思います!」