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インタビュー

【RIZIN】ヒロヤ「夢みたいだった」×新井丈「セコンドに確認したのは、俺って気持ちが折れていましたか? って」

2024/01/03 07:01
 2023年12月31日(日)さいたまスーパーアリーナ『RIZIN.45』の第6試合・フライ級(57.0kg)で、ジャパントップチームヒロヤのヒロヤと、新井丈(和術慧舟會HEARTS)が対戦。ヒロヤが2R、修斗二階級同時制覇王者の新井を、右ハイキックからのパウンドでTKO。3連敗からの復活を遂げた。  初回はヒロヤのテイクダウンをことごとく切った新井が左右のパンチでヒロヤをコーナーに追い詰めたが、ヒロヤはそのテイクダウンプレッシャーで新井のガードを下げさせた。  2R、左フックを効かせてからの右ハイキックで新井の足を泳がせると、右ストレートを打ち抜き、パウンドアウトした。その蹴りは、ヒロヤの前戦で山内渉が示していた新井攻略方法の一つだった。  ヒロヤは安谷屋智弘、伊藤裕樹、中村優作と強豪相手に連敗していたが、いずれも接戦を繰り広げており、その中で左右で蹴れることを見せていた。大晦日の大舞台で、得意の組みを軸に打撃の進化を見せて掴んだ大金星に、ヒロヤは「格闘技界を絶対に盛り上げられる男だと自分は思っている」とコメント。  一方、2023年11月19日の前戦で、山内渉と倒し倒されの大激闘の末、3R KO勝ちで、年間ベストバウト級の名勝負を繰り広げたばかりの新井は、わずか1カ月10日ほどのインターバルイでダメージが抜け切れていなかったか。ヒロヤにパンチを当てるも、本来の階級差もあり、詰め切ることが出来なかった。  修斗フライ級に加え、ストロー級(52.2kg)王者でもある新井は、連戦の中での敗戦も「気持ちは折れていなかった」と語った。 ヒロヤ「思いきり近藤大耶という人間をぶつけてやろうと思っていた」 ──試合後の率直な感想を。 「夢みたいでした」 ──どのあたりがですか? 「本当に諦めなかったらこういう夢みたいな出来事が起こるんだな、本当に奇跡みたいな、綺麗なストーリーではないかもしれないけど(安谷屋智弘に)負けてきて、『超RIZIN』は(朝倉)未来さんのコネって言われて、本当にそこの大舞台でも(伊藤裕樹に)負けて、次の大舞台で絶対勝つだろうと思われていたところ、自分で(中村優作戦を)落としてしまって負けて。この大晦日の大舞台で修斗の現役チャンピオンとやらせていただいて、本当に正直“ここで負けたら僕は終わりだろうな”とは思っていたんですけど……。  まあ本当に勝ちたい思いがいつも強くて、思い描いていた結果には全然繋がらなくて、でもコーチのエリー(ケーリッシュ)やビリー(ビゲロウ)、小倉(將裕)さんらみんな、チームでやったファイトキャンプ。そこで一切妥協せずやってきて、大晦日は僕からすれば夢の舞台で、新井丈選手と試合して、ブッ倒されてKOされて失神しても全然いいやと思ってて。本当に家族にも昨日そう言って。『俺が失神したらしたでかっこええやん、それが俺の人生やし、そこで勝ったら会場爆発すると思うけど、明日は最高の1日にするから楽しみにしといて』と言って。本当に、最高の1日になりました」 ──もっと嬉しい気持ちが爆発しているのかと思ったら、じーんとしている感じなのでしょうか。 「試合直後はちょっと夢のようで体が痺れていたような感じで、全然、マイクでも何喋ったか覚えていないくらいアドレナリンがすごく出ていたのですが、今はその反動というか、“これが人間なのかな”という感じがすごくします」 ──新井選手と実際に対戦してイメージと違うところはありましたか。 「いやあ、やっぱ想像通りのパンチ力、テイクダウン・ディフェンス。ちょっと1R、“やばいな”ではないけど。焦りはしなかったけど“やっぱ強えな、コイツ”とは思いました。試合前からめちゃめちゃ強敵だと本当に分かっていたので、それに対する準備は120%してきてたので、その結果なのかな、という風には思いました。全然舐めてないですね」 ──「準備を120%してきた」ということで具体的にどういうことをしてきましたか。 「ビリー、エリー、小倉さんに与えられた練習時間そのすべて、彼らが考えたメニューであったり、目の前のこと全て全力でこなす、全部その時間その時間、1分たりとも次のことを考えずに、目の前の時間しっかり考えてやり切る、ということを毎日続けていって、もうこの舞台で負けようが勝とうがやり切った自信があったので。いつも彼らが言うのは、『試合までは勝ちたい気持ちが強くていいけど、試合のときは楽しめ』と。昨日からいつもとは全然違う気持ちというか、いつもは勝ちたい気持ちが本当に強かったけど、今日は“思いきり近藤大耶という人間をぶつけてやろう”と思っていました」 ──新井選手が打撃で有利で、ヒロヤ選手はテイクダウンに行くのではという下馬評でしたが、結果は打撃で勝利しました。テイクダウンと打撃を混ぜるのが、今までよりさらに上手くいっていたように見えました。そういうことが念頭にあって練習しましたか。 「そうですね、(新井は)テイクダウンディフェンスが本当に強いので、そこは織り交ぜていかないと難しいだろうな、とビリーも言っていたので、1Rで僕は気づけなかったかもしれなかったけど、インターバルでビリーたちのアドバイスを聞きながら、彼らのアドバイス通りにも動くけど、自分の勘や、相手がどういうことを考えているかも試合中に考えながらやっていました」 ──新井選手は打ち合いでもタフな選手ですが、そういう選手に実際に効かせたときはどういう感情でしたか。 「顔で分かりました。絶対に効いたなって」 ──今回はJTTジム全体の勝利と考えていますか。 「間違いないですね。彼らや応援してくれるファンの方がいなかったら僕は『超RIZIN』の時に辞めていたかもしれないので。僕は本当にあのとき“どうしようかなって、引退するべきなのかな”と思っていたので。あんなにデカい口を叩いて、未来さんのコネでと言われて。それで負けてしまって、本当にどうしようかなと思っていたときに、やっぱり『続けてほしい』とか、『ここで諦めるな』という言葉がたくさんあったからこそ、RIZIN LANDMARKであったり、そういうものにも繋がって。でもLANDMARKで負けてしまって。エリーと小倉さんに悲しい顔をさせてしまったのを今でも覚えているので。彼らや周りのみんながいたからこそ、今日このトロフィーを持っているのだと本当に感じています」 ──朝倉未来選手とは会話しましたか。 「僕もちょっとあんまり面と向かっては言えなくて。アドレナリンがマックスのときにその辺で見ていてくれたら直接伝えようかなと思ったのですが、めちゃくちゃ多分喜んでいました。ニヤけていました」 ──「未来さんのやる気スイッチに火をつけたい」ということでしたが、手応えは? 「海さんの『今は(弟の)俺の番』という言葉が、“やる気スイッチに火を着けてやろう”という自分もいましたけど、やっぱり今はしっかり俺らがそこをサポートして、休んでもらって“やりたいな”って思ってもらえたらと思っているんですけど、今はしっかり休んで次の試合、120%のかっこいい朝倉未来を見たいので、いちファンとして応援したいです」 ──中村優作戦後はすぐ練習を再開したそうですが、今回勝利して、いつ頃練習を再開したいですか。 「めっちゃ気分いいので、明日でも明後日でも。ビリーやエリーの練習がめっちゃ楽しいので」 ──今回の大会にブレイキングダウンで対戦した冨澤選手も出場しましたが、見ましたか? 「見ました。いやマッチメイクとしても本当にやっぱすごい差がある試合だったとは思うんですよ。冨澤くんがKrushのチャンピオン(篠塚辰樹)とやるのは。あまり分かってない人からすれば“もしかしたら勝つんじゃないか”と言われたけど、7対3、8対2くらいの勝率だったと思います。やっぱり本当に気持ちのある試合を最後まで見せてくれていましたし、試合後に会ったのですけれど、体もボロボロで、多分心が普通だったら折れると思うけど、それでも誰よりも気持ちが強かったと思うのと、僕もブレイキングダウン、初めての時に戦ったので、悔しい思いを彼はしていると思うのですけど、胸を張っていいんじゃないかなという試合でした」 ──RIZIN初勝利を大晦日に挙げました。今後の展望・目標を教えていただけますか。 「シンプルにもっともっと強くなっていきたいです。それが、どういう形で自分の展望になっているのか考えはまだないですけど、一つ言えるとしたら、この格闘技界を絶対に盛り上げられる男だと自分は思っているので、期待していてほしいです。それなりの行動はしていくつもりです」 ──この会見の場にトロフィーを持ってきたのは喜びの表れですか。 「そうです、最初は呼ばれて(持たずに)歩いてたんですど、1回控え室に戻って持ってきました。めちゃくちゃ嬉しいです」 ──どこに飾りますか。 「分かんないですけど、これに飲み物いれて飲みたいです、とりあえず(笑)」 [nextpage] 新井丈「セコンドに聞いたのは『俺って気持ちで負けていましたか? 折れていましたか』って」 ──試合後の率直な感想を。 「しっかり負けて、記憶も途切れ途切れなので、こんな悔しいのは久々だなっていうところです」 ──実際に対戦してみて試合前のイメージと違うところはありましたか。 「それは特にないスかね」 ──イメージ通りだったということでしょうか? 「うん、想定内のところと記憶が飛んでいるところとあるけど、“やられたな”って感じです」 ──大晦日のRIZINの舞台の印象はいかがでしたか? 「しっかりと大舞台を自分なりに楽しめたとは思ったので、それだけに、結果残せなかったのが惜しいなって、思いますね」 ──試合を終えたばかりですが、今後の展望や目標を教えていただけますか? 「負けることは一切考えていなかったので、先のことは白紙になっちゃった感じですね」 ──大沢ケンジさんの言う「ミエテレバ キカナイ」を踏まえて言うと、今回打撃は見えなかったということでしょうか? 「そうっスね。自分ではちょっと何をもらって何を効かされたかは覚えていなくて。最後は特に覚えていなくて。セコンドに何度も試合展開を聞き直していましたね、ついさっきまで」 ──打撃が重かったですか? 「1Rで覚えている点としては、組みも反応できていたし、そんなに組み力は想定よりもどうにか対処できたので、打撃自体も、そうですね。重いなっていう記憶はないですね」 ──試合前、ヒロヤは「勝っているのはハート」だと。どの部分で負けた? 「本当に、そのあたりの勝負が、自分でも絶対負けたくない部分だったので、正直どう負けたのかは覚えてなかったんですけど、本当にセコンドに一番聞きたかったのは『俺って気持ちで負けていましたか?』て何回か聞いたんですけど。あと『気持ちで俺って折れていましたか?』っていう。そういう、気持ちが折れる姿を見せるのが、自分が思う格闘家として一番カッコわるいことだなって思ってて、それを一番確認したかったんですけど。セコンドが言うのは『全然、最後まで気持ちは折れてなかったと思う』って、そう言ってくれたので、今はそれを信じたいかなと思います」
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