フライ級の身体を作れば、全然できる
――前回の渡米時に、メラブ・ドヴァリシビリの試合前の練習相手を務め、パッチー・ミックスの圧力も体感した。特にドヴァリシビリの試合に向かう姿勢を見て、直前の追い込みの必要性と、怪我の心配との兼ね合いは難しくなかったですか。
「けっこう直前まで練習をやったんですが、今回スパーリングは減らしてたんです。打ち込みだったり、シチュエーションスパーリングにして、壁レスリングだったり、場面毎のポジションからの練習をたくさんやってきましたね」
――その点では、ヴィンスに帯同してきたビリー・ビゲロウコーチの指導が活きて来るのではないですか。ビリーはメラブやアルジャメイン・スターリングも指導していますよね。
「そうです。ビリ―がマジですごいです。彼はUFCチャンピオンを何人も育てているコーチで、技術がものすごい。知らない技術がたくさんありましたね。ビリーが全部アーチュレッタの試合の動きとか見てくれて、“こういうときはこうする”というのを全部教えてくれたので、自信はありますね」
――JTTにはエリーコーチも常にいるので、そのビリーの教えを確認したうえで、コーディネートしてくれる。では、佐々木トレーナーのボクシングミットとエリーのMMAミットとの兼ね合いはどのようにアジャストしているのでしょうか。海選手が自ら融合させている?
「それは、ボクシングジムにもエリーが来てくれてコーチ同士で話し合ってもらっています。その上で自分の中でもお互いの戦略を聞いて融合させています」
――ということは、エリーが今回の試合のヘッドコーチ的な役割を果たしている?
「そうですね。エリーがヘッドコーチです」
――アーチュレッタ戦はどういう展開になっても対応して、自分の強みを出すこと出来ると?
「そうです。だからKOを狙っていきますけど、KOできなくても勝つ自信はあります。拳もヒザも何ともないですし、バンデージの巻き方も研究して、衝撃を相手に伝えると、拳への負担を逃したりする、自分に合う巻き方が分かったので大丈夫です」
――万全ですね……。今回の試合「ダブルメインイベント」とはいえ最後のオオトリにはなりませんでした。
「どっちでも良かったんですけれど、気楽に戦えるなって。メインは試合内容をいい内容にしないといけないって責任が強いので。盛り上げるのは盛り上げて勝って、メインに繋げられたらと思います」
──会見では英語でアーチュレッタ選手とやりとりも見せましたね。
「今後、海外で試合することも視野に入れているのでその準備で試しにやってみましたね」
──大晦日に勝てばRIZINバンタム級のタイトルを獲得する。チャンピオンベルトを持つことで、海選手にとって今後、目標とする海外挑戦の通行手形になると考えますか。
「はい。RIZINとの契約があるので、チャンピオンになってすぐに海外に挑戦するかといったら、まだ分からないですけど、僕の理想としては、ここでUFCに挑戦したいなとは思っています」
――今、BellatorがPFLに買収され、PFL内での王者対決、Bellator海外シリーズのプランなど、先行きが不透明です。そんな状況下、いま仰ったUFCでは、かつてのライバルのマネル・ケイプ選手がフライ級に落として、現在8位。堀口恭司選手もフライ級に戻した。朝倉海選手も、ROAD FC時代にはフライ級で現UFCのアラテン・ヘイリ(UFC4勝2敗1分)を1R、ヒザ蹴りでKOに下しています。世界では、朝倉海選手もフライ級で戦うという選択肢も考えられますか。
「あると思います。体重的には落とせると思っているので。コーチたちも皆、『フライ級で勝負したほうがいい』ということは言っていたので、その身体を作れば、全然できる」
――そのためにもRIZINでベルトを獲得することで、世界への挑戦も具体的に視野に入ってくるのですね。
「はい。今回、元Bellator王者のファン・アーチュレッタという選手が世界的にも素晴らしい選手だと思い、実績も凄いので、ベルトを獲るということよりも、その選手に勝つことが自分の選手としての価値を上げるので、そっちの方が大事だと思っています。頑張ります!」