米国でエネルギーを取り戻し、鎧をまとうようなパワーがついた
──斎藤選手はクレベル選手に勝つストラテジー(戦略)が見つかった、と言いました。クレベル選手は?
「戦略は“自分の喧嘩やるからな!”。喧嘩スタイルであることです。もう一個の戦略は、勝つこと! みんないろいろなスタイルがあって、斎藤選手はそれをやっていますよね、“これをやりたいからそのためにこれを使う”とか、“こうすればこうなる”って全部作戦で動く。私にそれは出来ない。私の戦略にはあんまり秘密がない、“寝技やるか”だけ。細かい戦略はない。最初のほうで言ったけど、私はもっとラクでいたい。なんでも自分はできるんだよ、今。斎藤がやりたいことがあったとしても私もなんでも出来るよ。寝技、キックボクシング、レスリング、何でもできるから、本気で(これだけという)戦略はない」
──ATTでアドリアーノ・モラエスと練習したことも……。
「ミキーニョ(モラエス)だけじゃなくて、ATTはみんなが強いから、自分はもっと自信がついた。自分がびっくりしたのは、アメリカに行くと、トップ選手が強いのはもちろんだけどそれだけじゃなくて、無名でも強い選手がいるんです、みんなが分かる有名選手だけじゃなくて、知らない人でも強くて、そういう人といて、いっぱい勉強したから」
──試合で勝った後、誰と戦いたいですか。
「まあ、いっぱいいるかな。でも自分ほんと一個ずつ考えて、その最初が、斎藤選手だった。でも……鈴木千裕かなあ? RIZINがチャンスくれたらもう1回、千裕と戦いたいかな。それ。朝倉は分からないな、1週間前にYouTubeで『またクレベルもう1回戦う』とか言ったりしていたみたいだけど、鈴木千裕、金原正徳、朝倉未来、この3人とは戦いたいです」
──来年もまたATTで練習する予定がありますか?
「そう考えています、サトシやマルキーニョス、みんなと話して、来年もまた多分行きますよ」
──それはタイトルマッチなど大切な試合のファイトキャンプっていう感じの考え方ですか?
「これからアメリカでも練習して、日本とアメリカの両方です」
──(ポルトガル語で)敗戦後アメリカへ渡った成果をファンにどう伝えますか?
「よく言っていることなんですけれど、実のところ、負けたくなんかないし、負けるなんて思っていなかったわけですから、自分としては進化を求めざるを得なくて、そのための自己投資をして、(ATTに)辿り着いた。不運にも外に行く閉ざされた時期というのもあったりしつつ、日本から外国にまた行けるようになってからは、自分のほかの対戦の時は、タイに行けたりもしたけれど、金原戦に関しては、どこにも行かないという判断をして、そしてあんなことになってしまっって全てを失った。
その敗戦から、自分は本当に変わりたいって思ったんです。自分のエネルギーを新しく入れ替えて、ちょっと違うことですごく自分には良かった。向こうで練習しているときはあまり日本のことは考えなくていいから、メンタル的にも、自分を信じるエネルギーが戻ったことで鎧をまとうような感じでパワーがついた。これまで全てが噛み合っていない、繋がっていないような状態だったのが、全て文字通りここに、戻ってきたような感じなんです」
──今話している人は別人かのように感じます。自分のなかに変化を感じていますか?
「そうだったらと思っています。自分はこのエネルギーを、リングに持ち込もうと思っています。この意志こそ自分が取り戻したもの。今って、自分としても一番リラックスできている状態と言えて、プレッシャーから解放されたからなんですね。RIZINで負けたことがなくて、ピットブル戦では負けたんだけれども、それと(金原戦での敗北)は敗北の味が違ったというか……。つまり自分が思うように何もできずにただやられてしまったのが前戦だからなんです。自分が何もできなくて、負けてしまった。
とにかくどうしたらいいかという風になって、すごく辛い1年になったけれども、自分はカムバックした。頭をリセットしてクリーンな状態になって、より強くなって帰ってきた。それがハッピーです。いつもそばにいてくれる最高の友人、最高のチーム、いつもサポートしてくれている人たち、家族、そういった本当に大切な人たちが、この敗北によってもたらされたという点で、とても重要なものだったと思います。というのは、自分のことを本当に親身になって味方してくれる人は誰なのか、ということ。勝った時にはいろんな人が寄ってくるけれども、負けた時には本物だけが残ります。先生たちであったり、友人、生徒たち、そして家族であったり。だからよりハッピーになってカムバック出来た。それだけですね。とにかく試合をして、ベストを尽くしたい。この気持ちをしっかり試合で出したいと思っています」