応援に駆け付けたK-1 WORLD GP女子アトム級王者の菅原美優と。ともに12月の大一番を乗り越え、ベルトを腰に巻いた。(C)ゴング格闘技
2023年12月24日(日) 神奈川・横浜武道館にて、パンクラス30周年記念大会・第2弾『PANCRASE 340』(U-NEXT見逃し配信)が開催され、コメインの「フライ級暫定王座決定戦」(5分5R)で、伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム/ZST)が、有川直毅(K-PLACE)を2R リアネイキドチョークで失神させての一本勝ち。フライ級暫定王座についた。
一夜明けた伊藤に、試合での初回と2Rの2回の極め、PANCRASEのベルトへの思い、今後の対戦相手、そして試合後のケージ内での、あのサプライズについて訊いた。
まだ格闘技を続けられるんだなって
──タイトルマッチから一夜明けて、PANCRASE暫定フライ級のベルトを巻いた気持ちは?
「今回、何が何でも獲りたかったベルトを獲ることができて、試合前にはマイナスのイメージも出て来たなかで勝てて良かったです。身体も特に大きな怪我もなき元気だったので、今日も朝からみなとみらいを走ってきました。
試合前はいろんなすごいプレッシャーが……、浅見(Ryo)さんがとてつもない試合をして勝って、沙弥(子)ちゃんがすごいいい試合をして勝って、今年のグランドスラムの最後のメインの大トリが自分の試合だったんですけど、いい流れで自分に繋げてくれて、もう勝つしかないだろうと、プレッシャーで試合中もバタバタだったんですけど、無事に勝てて、とてもホッとしています。まだ格闘技を続けられるんだなと。ありがとうございました」
──試合では、序盤から打撃で詰めて先制したことに驚きました。
「作戦はいつもそれほど考えてなくて、向かい合ってみての閃きや感覚で、普段、練習とかでもアッパーとか打たないのですが、相手が自分の組みを嫌がって頭を下げてきたのでそこに入るかなと思ってアッパーを出したら、ちょっと親指の爪が剥がれて痛いです。
打撃は、やっている感じでは力んでいたし、全然スマートじゃない、ぶさいくな試合だったと思います(苦笑)。あそこで打ち気になってパンチをもらわないように、基本組みで試合を組み立てて行こうとは思っていました」
──テイクダウンからしっかりポジションを獲って、1Rの終わりには腕十字を極めて1回のタップを奪ったように見えましたが……。
「タップしたかなと思ったんですけど、相手が消耗していたのも分かったので、次また取るしかないなと切り替えました」
──2R、早々に左右で詰めてシングルレッグテイクダウン、パスガードからバックでは、オタツロックからツイスターも狙いつつ、最後はリアネイキドチョーク、盤石のフィニュシュでした。
「あれは練習通りでした。あの動きがあったから相手が身体をずらして逃げ辛くなった。それでしっかり背中向けてくれて、もうちょっと殴りたかったですけど、後頭部を向けてきたので殴るのは気を付けて、セコンドの指示で2分半までキープして、最後首が入ったんで、あそこはフルパワーで“参ったしてくれ”と思いながら極めました」
──結果的に有川選手は失神しました。
「やっと極まったと。でも今回は5Rあるし、すぐに極めに行かずにちゃんと削ろうと思っていたんです。ヒジとかも当てて、その上でフィニュシュ出来たらと思っていたんですけど……でも難しかったです」
──早く極めに行かないのが難しかったとは……。結果的に2回極めたことになりますね。
「ベルトと同じで2本取りました(笑)」
──今回のフライ級のベルトは、以前セコンドにもよくついていた砂辺光久選手も巻いたベルトです。ZSTからPANCRASEに来て、そのベルトを巻いたことをどう感じていますか。
「昨日、砂辺さんからLINEで『盛ちゃん、おめでとう』と連絡をいただき、『自分も砂辺さんが巻いていたベルトを獲れて嬉しいです』という話をして、砂辺さんが『俺が言うのも何だけど、俺の宝物だから。盛ちゃん、大事にしてね』という言葉をもらいました。それに打撃を教わっていたマモ(ル)さんが巻いていたベルトでもあるし、試合後にまだまだなんですけど、打撃を褒めてもらえて嬉しかったです」
──フライ級ではもう自分を止めるものがいないという思いも?
「そこまでではないですが、でも誰とやっても何らかで仕留める、フィニュシできるんじゃないかなとは思います。もちろんたくさんやられるとも思います、やられても最後の最後に逆転できる可能性があると思っています」
──正規王者は『ROAD TO UFC』に参戦中のの鶴屋怜選手です。どのように見ていますか。
「『ROAD TO UFC』の決勝は2月(4日)ですよね。終わってみないと分からないですけど、もし統一戦になるなら、めちゃめちゃ強いんで。自分と似たような感じじゃないですか。だから噛み合うだろうなとは思いました。ただ、自分は打撃が強い選手とやることが多かったので、あそこまで組みの強い選手とやることはあまり無かったので“どうなるかな”というのはあるし、でも自分の得意なところで負けたくない。戦うときがあれば……と思っています」
──同じフライ級ではIMMAF世界王者のムハンマド・サロハイディノフ選手の試合もありました。
「2月次第では自分が『正規王者』になって、次、防衛となったときにサロハイディノフ選手が一番の候補なのかな、と。昨日、試合を見ていて、すごい強いですけど、自分なら全然、勝てるなという自信があります。もしやるとなっても勝ちます」
──試合前のインタビューでは、海外選手との対戦や、海外挑戦も視野に入れていることをうかがいました。国内でも注目されているフライ級では、RIZINでフライ級GPが開催される可能性もあるかもしれません。そうなった場合の考えはいかがでしょうか。
「暫定ですけどチャンピオンになったので、いま海外の選手も来ていますが、しっかりこのベルトを守って、それからPANCRASEを背負って戦って、外の舞台でも戦いたいし、出て行ったときに、PANCRASEをナメられたくないし、しっかり他団体の強いやつを倒して、ベルトの価値を高めて、トップを獲りに行きたいなと思います」
──昨日、ベルトを巻いたケージ上では、K-1 WORLD GP女子アトム級王者の菅原美優選手と勝利を祝福しましたね。
「そこは来年、いろいろと発表できたらと思っていますので、もうちょっと待っていただけたらと思います。タイミングを見て、発表します!」
(※次ページは透暉鷹、住村竜一朗、Ryoの一夜明け会見コメント)