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【GRACHAN】林“RICE”陽太が岸本篤史との接戦制し、ライト級暫定王者に! 伊藤空也が田中智也に判定勝ち手塚へのリベンジ宣言、中村京一郎が初回KO勝ち

2023/12/17 18:12
 2023年12月17日(日)東京・TFTホール500にて『GRACHAN 66×GRACHAN challenge』が開催された。 ▼ライト級暫定王座決定戦 5分3R×岸本篤史(BRAVE)[判定1-2] ※28-29, 29-28, 27-30〇林“RICE”陽太(パラエストラ森ノ宮)※林がライト級暫定王者に  ロクク・ダリの負傷により、岸本と林が「ライト級暫定王座決定戦」を争う。  岸本は、GRACHAN4連勝から20213年5月のRIZINで強豪ビクター・コレスニックのカーフに敗れたものの、10月の前戦ダリとの試合では、グラウンド状態の顔面に反則のヒザを受けながらも、判定1-1ドローに持ち込むなど、不屈の闘志を見せている。  一方、3連勝中の林は、2023年2月の山下康一朗戦で判定勝ちすると、7月の『GRACHAN 62』で小川道的を衝撃の跳びヒザで13秒 TKO勝ち。さらに10月の前戦で小谷直之を2R、左から右の返しでダウンを奪いパウンドアウト。2試合連続TKO勝ちを収めている。  初対決の両者。岸本はその卓越した打撃戦術で林の猛攻を凌ぐことができるか。林はKOへの道を切り開くことができるか。いずれにしても、GRACHANライト級の歴史に新たな名が刻まれる王座戦だ。  1R、ともにサウスポー構え。岸本は左カーフ、左フック。そこに林は組んでバックテイク。背中に乗って4の字ロック、リアネイキドチョーク狙い。岸本は立ったまま後ろ手を組ませず。3者林支持。  2R、林の組みを切った岸本がヒザを突き、前に。ボディ打ちから左右で前に出るが、林の右ストレートにダウン! ガードする岸本は腰に両足を当て金網背に立とうとするが、そこにバックテイク狙う林。引き込むが正対した岸本が上からパウンド連打でホーン。2者が林支持。1者岸本。  3R、左ボディを当てて右前手フック、さらに左ストレートを当てて前に出る岸本だが、右の打ち合いでまたも尻もち。レッスルアップで立ち上がり上になるが、脇差し立つ林がバックテイク、4の字ロックでホーン。  判定は2-1(29-28, 29-28, 30-27)で林が勝利。ライト級暫定王座に就いた。「いつも僕のことをご指導していただいている先生、応援の皆さん、ほんまにありがとうございます。何とか暫定ですけどチャンピオンになることが出来ました。いつもチャンスをいただいている岩﨑代表ありがとうございます。僕のベルトを賭けてどんどん挑戦していきますので、GRACHANもチャンスをくれると思います。まず今まで僕に負けている選手、今年以降の僕は全然違うのでリベンジさせてください」と語った。 [nextpage] 伊藤空也が5連勝中のグラップラー田中智也に競り勝つ ▼バンタム5分2R(延長1R)〇伊藤空也(BRAVE)5連勝[判定3-0]×田中智也(fit)  10月大会でノンタイトル戦ではあるものの、TSUNEが現王者・手塚基伸に判定勝ちしたことで、混沌としてきたバンタム級。  そんな中、MMAでは4連勝中の伊藤空也と、PFC2連勝から修斗北海道、GRACHANで3連勝とMMA5連勝中の田中智也が激突する。  伊藤は、2021年12月に手塚基伸に一本負けでGRACHANバンタム級王座から陥落したが、その後、3連勝。2022年3月のRIZINで魚井フルスイングに判定勝ち、2022年12月のGRACHANでイ・ハンヒョンに判定勝ち、5月に安部路人に判定勝ち。6月のシュートボクシングでのOFGマッチでは基山幹太に判定負けしたものの、10月の前戦GRACHANで難敵・高須将大を2R TKOに下している。  MMA15勝3敗で11の一本勝ちを誇る田中は、フライ級でも力を発揮し、北海道PFC、PANCRASE北海道などでデビューから8連勝。中国での敗戦とDEEPで島袋力に、PFCで吉野光に敗れたものの、遠藤来生に判定勝ち、三好真大を1R KO。2022年6月の修斗北海道大会で秋山翼をキムラで下すと、7月のGRACHANでは、極真出身の弘田颯志を64秒、三角絞めで極めている。5連勝中の33歳。  田中にとっては、この試合がバンタム級の頂きへの挑戦となりうる大きなチャンス。迎え撃つ伊藤にとっては、王座に返り咲くためには負けられない2R戦だ。両者の戦いは、バンタム級のパワーバランスに新しい動きをもたらすか。  なお、今大会から、本戦2Rがドローになった場合には延長1Rが追加され、その延長ラウンドも判定の場合は延長Rのみの判定をマストで採点し、決着がつけられることとなっている。  1R、伊藤が左ミドル、右カーフと蹴りから入る。田中は右ストレートで詰めて左で差してケージに押し込んで小外がけテイクダウン。  伊藤の両足を束ねてマウント、伊藤がケージウォークで体を入れ替えるとそこに三角絞めを狙う。足は三角に組ませない伊藤は上体を立ててパウンド。田中が背中を見せて立つ際でバックへ回ったところでゴング。  2R、左ミドル、右カーフ当てる伊藤。右を振って組む田中に伊藤がスタンドバックへ。そのクラッチにアームロック狙いの田中。右腕を外して背後から右フックを打つ伊藤に田中は前転気味に足関節狙い。抜く伊藤のバックを取りに行くが、落とした伊藤が上に。  中腰からパウンドを落としつつ、伊藤の足関節狙いを回って潰しに。終了間際に田中がシングルレッグから上になるもゴング。  判定は3-0で伊藤が勝利。試合後、「田中選手、実力者と聞いて、自分の立ち位置に関わる試合だったんで勝って良かったです。自分、いま国内MMA5連勝中なんで来年またベルトを獲りに行きたいので、2月に手塚(基伸)選手とTSUNE選手がやると思うんですけど勝った方とやりたいです。手塚選手にはリベンジしてしっかりケジメをつけたいです」と語った。 [nextpage] MACがインフルエンザで試合中止、ブランドン「強い相手をお願いします」 【中止】▼第8試合 無差別級 5分2R(延長1R)─ハシモト・ブランドン(JAWS WEST)─MAC(マーシャルアーツアカデミーMAC685)※MACがインフルエンザにより中止  無差別級トーナメント準優勝のハシモト・ブランドンと、サモアの未知強・MACが対戦。ストライカーとして3戦全勝の記録を持ちながらも、そのMMAの実力の詳細は謎に包まれている。一方、ブランドンは荒東に敗れるも、7月の前戦では岡本純一朗に1R TKO勝ち。新たな脅威にどう立ち向かうのか? ハシモト・ブランドン「皆様知っている通り、昨日夜10時半に連絡があって(対戦相手のインフルエンザにより)試合がキャンセルになりました。僕、ペルー人ですが、日本生まれ・日本育ちで世界の格闘技業界で、必ず山のてっぺんに乗ります。なので、皆さん応援、よろしくお願いします。GRACHANの関係者の皆様、強い相手をお願いします」 [nextpage] 警視庁退職から難病乗り越え、ケージから勝利の転倒の松田が連勝 ▼第7試合 フェザー級 5分2R+延長1R〇松田征也(BLUE DOG GYM)[1R 1分50秒 TKO]×伊藤 類(AACC)  柔道ベースの松田は8月に今村豊を2R TKO。10月にディオゴ・ロボ・トクナガも2Rにパウンドアウトし2連勝中。試合後にケージに登り、着地時に頭を打って苦い思いをした。伊藤は2022年5月に櫻庭泰裕に判定負け。  1R、ともにオーソドックス構え。先に左右ローは松田。そこに右を狙う伊藤だが、右カーフを被弾。松田は右オーバーハンドを当てて押し戻す。飛び込んでワンツーの右を当てる松田。伊藤は目線を下に左右の右を返す。伊藤の右にカウンターの右を合わせた松田が、左右をまとめてダウンを奪い、すぐにレフェリーが間に入った。  試合後、松田は「ケージはもう上がんないです。皆さん知っている通り、危ないんで(苦笑)。2年前に警視庁辞めて、警察官のみんなも応援来てくれていますけど、退職して新しい道に行こうと思って、そこで難病になって、1年、ほんとうに苦しい思いをして(涙ぐむ)ほんとうにどん底で、いまこうして舞台に立てて、今年3連勝して今日もこんな多い応援……南は沖縄から、仙台、和歌山、大阪、東京、そして我らが北九州、みんな遠いところから応援に来てくれてほんとキツいことばかりですが、頑張っていることをみんなに証明できて良かったです。来年はもっと飛躍してトップ戦線でやって行けるように頑張りますので、応援のほどよろしくお願いします。あと最後にインスタグラムをフォローしなくてもいいので、見に来てください。フォローしてくれたら、お酒をおごります(笑)」と感極まった表情で語った。 [nextpage] 中村京一郎が4試合連続の1R KO勝ち ▼フェザー級5分2R(延長1R)〇中村京一郎(EXFIGHT)[1R 3分51秒 TKO]×村田 俊(ノースキングス)  GRACHANに新たなエース誕生を予感させる中村京一郎は、3連続フィニッシュ勝利中。元海上自衛官の中村は「格闘DREAMERS」で頭角を現し、「POUNDSTROM」では狩野優と3Rを戦い、一本負け。EX FIGHTで樋沼朝光に1R TKO勝ちすると、2023年3月の前戦GRACHANでテコンドーベースの石塚将也に1R TKO勝ち。J-MMAルーキーズカップ準決勝では怪我によりリングに上がることができなかったが、10月の前戦で、強豪・大搗汰晟の腕十字をかわして、パウンドアウト。TKO勝ちで、プロMMA3連勝をいずれも1R フィニッシュしている。  一方で村田俊もまた、自らの静かなる力を着実に示している。J-MMAルーキーズカップの優勝者である黒井海成に、2022年5月大会でスプリット判定勝ち。唯一の敗北を味わせた実績を持つなど、粘り強さと戦術の堅実さで注目を集めている。2022年9月の前戦では高橋孝徳とフェザー級トーナメント1回戦を戦い、判定負けを喫しており、再起なるか。高い攻撃性を持つ中村の序盤の猛攻を、堅守の村田はいかに凌いで自身のペースに持ち込むか。  1R、サウスポー構えの中村。オーソドックス構えの村田。左に回る中村に詰める村田。中村は左を伸ばして見せ、左インロー。村田のローに合わせて左を当ててダウンを奪うと、組み来た村田を切ってバックからパウンドも足を手繰ろうとする村田を切る。  ケージに追い込んでワンツーの左を当てるが、右を返す村田。左ミドルハイを当てる中村に、右ミドルを返す村田。左ミドルを2発打つ中村は右ローも。左に回って角度をつけていきなり左ストレートで飛び込む中村。左アッパーは空を斬るが、左ストレート。  村田はダブルレッグテイクダウンで尻を着かせるが、頭を押して金網背に立つ中村が右を差し返して左ヒザ! さらに左ボディ。右を返した村田を詰めて左インローから左ミドル。打ち合いに持ち込み、左を当てて金網に詰めるとラッシュ! 1R3分51秒、TKO勝ちした。  試合後、中村は「4試合連続1R KOの京一郎です。僕の名前を知らないとちょっと時代遅れですよ。僕はほかの選手と違ってバックボーンも無いし、やんちゃしてきて、格闘技やってきて今年で4年目。もしかしたらこの会場にも俺より格闘技歴が長い人もいるかもしれない。でも俺はバックボーンなんか無くても、日本でチャンピオン獲って海外で誇りを持って日本人として戦うと決めているので、今日の試合で僕のことを覚えてくれると嬉しいです」とアピールした。 [nextpage] テイクダウン・コントロールの金井に長野は足関節で応戦 ▼第5試合 フライ級 5分2R(延長1R)〇金井一将(BRAVE)[判定2-0]×長野将大(リバーサルジム武蔵小杉所プラス)  プロデビュー戦のドロー以降、J-MMAルーキーズカップ1回戦で修斗のKJタイラーに判定勝ち後、準決勝でDEEPの氏原魁星にも判定勝ちで決勝進出したBRAVE GYMの金井。  10月の決勝では格闘DREAMERS出身の鈴木崇矢のバックを奪いリアネイキドチョークを極めかけるも、横に落とされてスタンドで左ストレートに沈んだ。3連勝から準優勝の悔しさを次戦にぶつけるか。  一方、所英男の愛弟子・長野将大は、ZSTからGRACHAN参戦で3連勝も、2022年5月に加マーク納に2R TKO負けすると、10月大阪大会で小田魁斗に1R TKO負けで2連敗中。  攻撃を最大の防御とするアグレッシブなスタイルの金井に対し、所仕込みのグラップラー長野は一発の極めとと粘り強さも持つ。フライ級の今後を左右するマッチアップだ。  1R、長野の組みに倒されない金井。左で差す長野は押し込んで右ヒザ。金井は脇潜りバックテイク。背後からヒザを突く。長野が正対したところにボディロックテイクダウン。立つ長野についていき、ボディロックで崩してコントロール。バックを奪いリアネイキドチョークをパームトゥパームで絞るが、後ろ手を剥がす長野が腰をずらそうとするとマウントに移行。回る長野が首守り、ホーン。  2R、中央を取る金井、長野はヒザつきでシングルレッグも切った金井がバックテイク。すかさず4の字ロックからリアネイキドチョーク狙い。極めさせない長野は腰をずらして正対、左で差して立ち上がり押し込み。カニ挟みで引き込み、下から内掛け三角ヒザ十字、内ヒール狙い!  上体を立てて組み手つかんで絞らせない金井。長野は外に変えてつま先を伸ばすと、ヒザ十字! ヒザは入っている金井の足首を捩じると抜けて上に。しかしここで金井が立ち上がりに。詰める長野。左で差して押し込む長野に四つからテイクダウンは金井。しかし長野も下からガードに入れてパウンド。  1Rは金井。2Rは前半が金井も中盤以降は長野が足関節でニアフィニッシュか。判定は1者ドローも2者が金井を支持。金井がルーキーズカップ準優勝から再起、勝利した。 [nextpage] ▼第4試合 無差別級 5分2R(延長1R)×ダンカン・ヒロ(AACC)[判定0-3]〇ステファン“スマッシュ”(チーム怪獣キラー) [nextpage] ▼第3試合 無差別級 5分2R(延長1R)〇ラデック・ヘルボーイ(AACC)[1R 4分34秒 KO]×瓜田幸造(掣圏会/瓜田道場)  柔道ベースながら長いリーチで打ち合いも辞さないラデック。GRACHAN2連勝から、無差別級トーナメントでは桜井隆多に2R TKO負け。8月の前戦では岡本純一朗に1R TKO負けと2連敗中。  対するは掣圏会のストライカー・瓜田。ジャブから懐に入ってのインファイトで勝負も、2022年12月にハシモト・ブランドンに判定負け、8月の前戦でダンカン・ヒロに判定負けと、ラデック同様に2連敗中。“怪獣キラー”荒東英貴が頂点に立つ無差別級で、勝利を掴むのはラデックか瓜田か。  1R、サウスポー構えのラデックにオーソの瓜田は左周りで外足を取りにステップ。左前手を突いて左右で詰めるが、そこにラデックは左ストレート一閃! 瓜田が後方にダウンしてすぐにレフェリーが間に入った。 [nextpage] ▼第2試合 ライト級 5分2R(延長1R)〇草訳駿介(リバーサルジム立川ALPHA)[2R 3分01秒 TKO]×水杉泰誠(blooM)  191cmの長身を誇る金原正徳の教え子・草訳駿介のリーチを活かした打撃と、レスリングに磨きをかける水杉泰誠のライト級戦。GRACHANチャレンジから昇格した草訳は、プロデビュー戦で反則のヒザ蹴りで黒星も、潜在能力を開花させるか。水杉は、PANCRASEで藤波勇飛、鈴木悠斗にいずれも判定負け後、10月大会で富田善樹に判定勝ちで再起を遂げている。  シングルレッグを仕掛ける水杉は両足を束ねるなど組みで勝負もその都度立ち上がる草訳は、右ヒザを当てるなど迎撃。水杉のシングルレッグに、右で差してボディロックテイクダウン! 水杉は右を差してハーフも左小手に右ヒジ連打を突いた草訳がパウンド。レフェリーが間に入った。 [nextpage] ▼第1試合 フライ級 5分2R(延長1R)×後藤浩希(Fired up gym)[1R 2分53秒 TKO]〇平野紘希(K.O.SHOOTO GYM)  瀧澤謙太門下生の後藤浩希はプロデビュー戦。平野紘希は加藤ケンジが所属する浜松K.O.SHOOTO GYM所属。4月のDEEP名古屋でプロデビューし、加藤聡志に判定負けしている。  1R、後藤のローに右を突く平野。さらにバックフィストとアグレッシブに打撃で応戦。後藤も左を当てて前に出るが、平野は左を当ててバランスを崩すと、右カーフ。後藤も右を突く。  平野は後藤の右に右を効かせて一気に詰めると左右ラッシュ。スタンドのままヒザが落ちる後藤にレフェリーが間に入った。  なお、今大会から、本戦2Rがドローになった場合には延長1Rが追加され、その延長ラウンドも判定の場合はマストで採点し、決着がつけられることとなっている。 [nextpage] ▼第0試合 GRACHAN challenge 63㎏以下契約 3分2R西嶋 珀(JAWS WEST)[判定2-1]天坂匡孝(サツキジム横浜)
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