1月のメインを務めた大沢が今年を締めくくるのか(C)K-1
2023年12月17日(日)東京・後楽園ホール『Krush.156』にて、Krushライト級3分3R延長1RでKNOCK OUTからの刺客・大谷翔司(スクランブル渋谷)と対戦する大沢文也(ザウルスプロモーション)のインタビューが主催者を通じて届いた。
大沢は小学生の時から始めたボクシングで優れたテクニックを持つベテラン選手。2018年9月にはKrushライト級王座に挑戦してタイトル奪取ならずも、同年12月の「K-1ライト級世界最強決定トーナメント」では準優勝を果たした。2022年4月に瓦田脩二を破り、第7代王座に就くと8月のK-1ではデンサヤームに判定勝ち。2023年6月の初防衛戦では1月に無効試合となった里見柚己との再戦に敗れ、王座を失ったが、7月のK-1で東本央貴からダウンを奪って勝利。戦績は30勝(3KO)20敗3分1無効試合。
やっぱ、僕がメインがいいっすわ
【写真】記者会見で「メインは勘弁して欲しい」と直訴して宮田Pを困らせていた大沢
──11月28日の記者会見ではいろんな話題が出ましたが、あの場で一番感じたことは何でしたか?
「僕、あの場で『自分の試合がメインじゃなくていい』って言ったじゃないですか。あの後、冷静に考えたんですけど、やっぱ、僕がメインがいいっすわ」
──何と!(笑) あれだけ言っといてですか!
「いや、理由があるんですよ! とある先輩格闘家に、『絶対12月のメインは文也がいいっしょ』って言われたんです。なぜなら、今年1月のKrushのメインって、僕だったんですよ。だから2023年のメインは僕から始まってるんです」
──ああ、確かに。1月21日、後から裁定が変更されてノーコンテストになった里見柚己戦ですね。
「ですよね? だから、2023年最後のメインも僕がやるのがいいって言われて。『あ、そうだ! だったら俺じゃん!』って思ったんですよ」
──それ、会見前に分かってたらよかったですね(笑)。
「そうなんですよ! そしたら会見で言えましたからね。僕は試合順とか全然気にしないんですけど、今回は正直な話、会見でも言った通り、みんなインパクトが薄いんで。もちろん強い選手はいっぱいいるけど、見に来るお客さんって、選手からチケット買ってくる応援団の人がほとんどじゃないですか。そうするとインパクト薄いですよね。例えば山崎秀晃選手と木村“フィリップ”ミノル選手のタイトルマッチ(2013年12月)って、後楽園がパンパンに埋まってましたけど、応援団じゃなくて普通にチケット買って来たお客さんが多かったですよね。でも今回はそういうカードがないと思います。だって、今回の大会で一番知名度あるのって、誰だと思います?」
──大沢選手じゃないですか。
「ダントツで僕なんですよ! 僕みたいな人間が一番って時点で、もうヤバいんですよ!」
──いやいや(笑)。
「僕は客観的に見てるんですよ。僕は、メインを務めるような選手じゃないんです。だからトリはイヤだって言ったんです。でも、さっきみたいなことを先輩に言われたら『ああ、そうだな』と思っちゃって(笑)。煽りVも作りやすいでしょ。あの時、ノーコンテストになったからこそいいんじゃないかと思って」
──今回はキッチリ締めると。
「宮田充プロデューサーにもLINE送りました。『僕にメインやらせてください』って。でも、あそこまで言っちゃったら岩尾力がメインだと思って」
──岩尾選手本人も、もうメインをやる気になってましたよ。
「ですよね。僕のせいです。僕もあの会見が始まる前に、力に『メイン頑張れよ』って言っちゃいましたから。『えっ、僕なんですか?』なんて言ってましたけど、『いやいや、実力的にお前だろ。お前しかいねえぞ』って」
──どれだけ引っかき回せばいいんですか(笑)。ところで試合の話なんですが、会見では「このカードを対抗戦と思っているかどうか」という話も出ました。他団体から来て、Krush2戦目で自分と当たることに対して、思うところとかはないですか?
「全くないです!」
──やっぱり(笑)。
「だって同じ日本人で同じ格闘家なんだから、どこの団体だどうだとか、小っちゃくないですか? 『他団体の選手と対戦したい』とか『K-1の力を示したい』とかって言ってる選手多いですけど、だったらお前ら、プライベートでも他団体の選手と交流すんなよって言いたいんですよね。スパーリングしたりプライベートでメシ行ったりとか、みんなしてるじゃないですか。それで他団体どうこうって、矛盾してない?って。盛り上げたい気持ちは分かりますけど、そんなのめんどくさいよって」
──なるほど、よく分かりました(笑)。あと、今度の試合について「今までの試合とちょっと違うよ」という発言もありました。
「じゃあ、ちょっとだけ言おうかな」
──おっ!
「普段僕は手数が少ないんですけど、今回はたぶん、いつもの試合の倍はアグレッシブになってると思います。ただ、普段が少ないから、倍つっても普通ぐらいになるだけなんですけど(笑)」
──いやいや(笑)。そうしようというきっかけはあったんですか?
「年内最後というのもあるし、この前(11月大会)、龍華が派手にKOしたというのもあるし。ワーワー言ってるネット民とかもうるせーなというのもあるし。格闘技関係者は僕の力を認めてくれてるんですけど、分かってない格闘技ファンはいろいろ言うじゃないですか。そいつらにちょっと分からせてやろうかなと。インファイトもアウトボクシングも、何でもできるんだよって。だから俺はこの位置にいるんだよって」
──なるほど。会見で「5回に1回いい試合をする」と言われてましたが、確かに時々、「あ、今日は自分から前に出てるな」という試合がありますよね。
「でしょ?」
──でも、次の試合になるとまたスタイルが戻りますよね。
「いろんなことができるからですよ。短距離走も走れれば長距離走もできるんで」
──だったら、評判のいい方に寄せようとは思いませんか?
「なるほどね。別に、チヤホヤされたくて格闘技をやってるわけじゃないですからね。僕らアイドルじゃないんで。自分たちのことアイドルだと思ってるヤツらもいるけど、バカでしょ?」
──それは分からないですけどね(笑)。
「あと、僕はビビりなんですよ。それが一番大きいです。勝つのが一番だと思ってるんで。内容も大事かもしれないけど、負けたらお終いだし」
──もちろん負けない方がいいですけど、一番、戦い方も求められるのがKrushのリングじゃないですか?
「もちろんもちろん。言いたいことは分かりますけど、じゃあ全員が全員、打ち合うの?とも思うし。僕みたいな塩試合の選手がいるから、アグレッシブなファイターが目立つんじゃないですか? 陸上競技でも全部が全部100メートル走じゃなくていいじゃないですか」
──ただ、アグレッシブな選手の引き立て役になりたいわけじゃないでしょう?
「それはもちろん。引き立て役だったら、チャンピオンになってないですよね。世界チャンピオンになってても僕より試合がつまらない選手もいるじゃないですか。それが現実なんですよ。ファンの心をくすぐれるかっていったらそうじゃないし、ファンを楽しませたいという気持ちは僕にもあるんですよ。でも僕の場合は、『勝ちたい』って気持ちの方が勝っちゃうんで」
──なるほど。でも、今回はちょっと違うと。
「たまには。たまには見せようかなと。65kgの鈴木勇人っているじゃないですか。僕、アイツとよくスパーリングするんですけど、その時は一切足を使わないで、お互いガンガンやり合うんですよ」
──そうなんですか!
「でも僕は昔から、アウトボクシングが好きなんですよ。マイク・タイソンみたいなタイプより、メイウェザーみたいな選手の方が、小っちゃい時から好きでよく見てたんで。だから必然的にそうなるのかなと」
──いろいろよく分かりました(笑)。では最後に、この試合に向けての“決意”を教えていただけますか?
「僕がどれだけ倒れようが、1Rに2回、2Rに2回、3Rに2回ダウンしようが、必ず最後に勝ってるのは僕なので。どんな状況になろうと、必ず最後は僕が勝ちます。そういう練習をしてきたし、そういう戦い方ができます。なので、皆さん期待しててください」
──分かりました。
「ちょっとリップサービスし過ぎたかな?」
──いやいや(笑)。ありがとうございました!