2019年8月18日(日)東京・大田区総合体育館で開催されるKNOCK OUT『K.O CLIMAX 2019 SUMMER KICK FEVER』。
同大会で唯一行われる女子マッチ、REBELSルール46㎏契約3分3Rでぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)と対戦する祥子(JSKキックボクシングジム)のインタビューが、主催者を通じて届いた。
祥子はキックボクシングジムの代表を務め、フィットネススタジオを2つ経営し、2児の母でもある。4月のJ-GIRLSではJ-GIRLSピン級王座決定戦に抜擢された(判定負け)。戦績は4勝6敗。相手が大きな注目を集めている選手だけに、勝ったら美味しいという想いはあるかとの質問に「もちろんあります」と答えた。
選手、ジムの代表、2児の母「物凄く大変です」
──KNOCK OUT初参戦ということで、キックを始めた経緯を教えて下さい。
「小学校から中学3年生までバレーボールをやっていましたが、その後は特に運動はしていませんでした。テレビでK-1 、PRIDEが盛り上がった時に試合を見ていて感動したので私も試合をやりたいなと。 21歳の時に、職場、家の近くでキックのジムを探している時に治政館を見つけ、試合に出たいと思い入会しました。
アマチュアで15~16戦ぐらいして2012年6月10日にプロデビュー(白石瑠里に2R判定負け)してから長女が出来て2戦目まで約6年間空きました(2018年1月7日、亜由美戦で判定勝ち)。それから次女が生まれてからまた落ち着き、選手としてやっていくことを諦められなかったのでプロ活動を再開し、今は復帰してから2年目になります」
――JSKキックボクシングジムの代表もやられているんですよね? 子供が2人いて選手としても活動して大変では?
「物凄く大変です。朝、子供を小学校と幼稚園に出して、ジムに来て仕事をした後に、幼稚園と小学校に迎えに戻ります。ジムに戻ってジュニアの指導をしてからは子供にジムでご飯を食べさせ、ジムで自分の練習をして家に帰るという生活の流れです。パパは仕事帰りが遅いので平日は完全に自分のペースでやっています。休みの日は、よっぽどのこともなければ練習も仕事もしないで家族のために時間を使うと決めてます」
──ジム代表として負けられない意地はありますか?
「自分が指導している子たちから見たら私は先生ですし、ここで練習している人から見たら私はジムの代表なので、やっぱりいいところを見せたいです。みんなが応援してくれているのでみんなに喜んでもらいたいですし、みんなのプラスの刺激になるような役割になりたいと思います」
──KNOCK OUT初参戦が決まりました。
「試合経験を積んでいくうちに、動画やテレビで見ていた自分とはちょっと住む世界が違うと思っていた選手とどんどんマッチメイクさせてもらえるようになっていく中で 、今回KNOCK OUTからオファーをもらった時はビックリしました。しばらくは信じられなく、自分的に気持ちが追い付つかない状態でした」
──今回から新体制となりますが、今までのKNOCK OUTにはどのような印象がありますか?
「タイ人のチャンピオンの方が出たりと魅力的なカードが凄くあったので、一流の選手がいっぱい出る大会というイメージがあります」
──いつぐらいからKNOCK OUTに出るんだと実感出来たのでしょうか。
「7月6日の一般公開記者会見で、実際にお会いすることになって少しずつ実感が湧いてきました」
みんなに勇気を与えられたらいいなと思います
──ぱんちゃん選手についてどのような印象がありますか?
「私はNJKFのリングをメインに戦っていて、ぱんちゃん選手はREBELSの選手なので別の世界の人だなと。ぱんちゃん選手の活躍はネットで見ていてずっと気にはなっていた選手でしたね。アグレッシブで気持ちも強いですし、リーチの長さもあって相手が入ってきたところに攻撃を合わせる技術もあると思います。自分も同じく相手の動きを見てカウンターを合わせたり綺麗に戦いたい派なのですが、ぱんちゃん選手はそういう技術もありながらパワーがあり、アグレッシブさで押し込んでくるような強さもあると思います。自分も綺麗に戦うということばかり意識してると、強さで負けちゃうと思うのでそういうところでも負けないようにやっていきたいと思います」
──ぱんちゃん選手はグラビアデビューもしていますが、そのような活動を見てどうですか?
「お綺麗だなと思っています(笑)」
──キャリアがまだ3戦しかないにも関わらず注目を集めていることに関してはどうでしょう?
「自分は10戦と戦績の数としては多いですけれど、正直そんなに自分の方が注目を集めたいというのはないです。4月のJ-GIRLSのタイトルマッチでMIREY選手に負けてしまい、まだチャンピオンにもなってないのに憧れのKNOCK OUTに出してもらえるというだけでありがたいと思っているので、人をどうこういう余裕が私には今はないです。これだけ注目されているので、いい試合をして勝って、試合が終わった後にあんな試合もありました、みたいに流されないような存在感を出せればいいなと思います」
──注目されている選手だけに勝ったら美味しいという想いは?
「もちろんあります」
──向こうは正統派で売っている中、対極の立場としてヒールのキャラで売り出して自身の名前を売りたいという想いはないですか?
「ヒールで行くべきなんじゃないか? と周りからも言われるのですが、うまくちょっとやり切れない上にそこまでの余裕がないです(苦笑)。練習して一生懸命試合をすること以外のことに頭が回りません。ちなみに実際に会見でぱんちゃん選手とお会いした時は、凄く礼儀正しくて良い方だったのでマイナスな印象は全然ありません」
――ぱんちゃん選手よりもご自身が優ってる部分はありますか。
「テクニック、そして相手よりも落ち着いてやれたらいいなと思っています。若い選手なので気持ちの強さが凄くあると思うのですが、自分も集中力を欠いちゃうと向こうのそういう気持ちに押されちゃうと思うので、最後まで集中力を切らさず、逆に向こうが焦るような完封といえるような試合をイメージして練習しています」
──キックを続けていく上で目標はありますか?
「J-GIRLSのタイトルマッチも惜しいところで逃してしまいました。応援してくださる方々は、私が勝っても負けても応援して下さるのですが、やっぱり自分の先生がチャンピオンなんだと言えると嬉しいと思うので、とりあえずベルトを獲りたいです」
──ぱんちゃん選手を倒せば、今回KNOCK OUT女子の部の主力選手として注目を集めることになりそうですよね。
「今回勝つことでそういう立ち位置が変わってしまうと思うので、大事な一戦だという感覚はすごくあります」
──ファンにメッセージをお願いします。
「女性として子供が出来たことで色々諦めてしまう方は多いと思いますし、私も正直キックを続けられるかわかりませんでした。私は今年36歳なんですが、子供二人を産んでそれでも夢を追いかけて、KNOCK OUTのところまで到達しました。このような前例があると、勇気を与えられる方もいると思いますし、強い気持ちで続けていい結果を出すことでみんなに勇気を与えられたらいいなと思います」