スタンドでもグラウンドでも手足による全ての打撃が許される“究極の打撃格闘技ルール”に臨む三上
2023年12月9日(土)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.6』にて、KNOCK OUT-UNLIMITEDクルーザー級3分3R延長1Rでパトリック・ケンソン(カメルーン)と対戦する三上ヘンリー大智(格闘ドリーマーズ)が、11月29日(水)都内にて公開練習を行った。
この試合はオープンフィンガーグローブ着用で投げあり、パンチ、蹴り、ヒジ、ヒザ、グラウンドでサッカーキック、踏みつけ、パウンド、ヒジ、ヒザとスタンドでもグラウンドでも手足による全ての打撃攻撃が認められる“究極の打撃格闘技ルール”KNOCK OUT-UNLIMITEDルールで行われる。
公開練習のミット打ちではジャブと右ストレートのみだったが、「初めてのルールということなので初ルールにふさわしい試合展開、このルールならこれが出来るってことをやってみたいと思う」と意気込む三上。
「見せ方ばかりこだわっていたら足元をすくわれるので慎重にやって、試合の中で出来ることを実験してみるって感じです」と、初めて行われるこのルールでの試合とはどういうものかを見せつつ、勝つことを優先したいとする。
対戦相手のケンソンは極真空手を長年学び、全日本選手権や世界選手権にも出場したことがあるという経歴以外は不明。「研究材料がないので自分の中で最強の敵だってイメージを作っています。(相手については)試合の中で拾っていくしかないと思っています」と油断はない。
理想の勝ち方を聞かれると「こだわりはないですが、KOボーナスが30万円出るのでKOで勝ちたいと思います。お金は大好きなので。ないと生きていけないので(笑)」と、KO勝ちでボーナスを狙いたいという。
その理由は「格闘技をやっていくうえで溜まってしまった借金を返済したいです。30万円を返せればだいぶスッキリします」と借金の返済にあてたいと意外な答え。とはいえ「20代の1年と30代の1年は練習してレベルアップする質は違うと思っていて、今は仕事を削って練習をやっているので、その中で今月所持金がヤバいなっていうことが何カ月も続いてしまっていて(笑)」と、自分への投資として作った借金だ。「これから全部回収していきたい」と、今は苦しくても格闘技で成功するために今の時間が大事だとした。
得意技を聞くと「ジャブ」と公開練習で見せたジャブをあげ、「攻撃の起点にもなるし、ジャブを制する者は世界を制するというじゃないですか。今まで凄くジャブを練習してきて、テイクダウンを狙う相手にジャブでけん制できれば距離がとれて打撃の展開に持っていける。ジャブを当てるだけでリズムを作れるので、ジャブは相当練習しています」とその理由を話し、今回の試合も一方的にジャブを突いて終わってしまうのではと聞かれると「それも面白いかと思います」と笑う。
新ルール用のサッカーキックやグラウンドでのヒザなどの練習は「特にはしていない」と言い、「僕が目指している舞台はユニファイドルールなので重点的には練習していません。そこはフィーリングというか、喧嘩のような感覚なので自分を信じます。もし出したかったら出すのかなって。相手がそれで来ても頭に入れておけば対処できると思っています。パウンドの練習も特にはしていなくて、スタンドの打撃と似たような感覚で角度が変わるだけという認識なので」と、自分の感覚を信じるとした。
KNOCK OUT-UNLIMITEDルールをやる理由は「MMAでやると自分が立ち技出身ということもあって、相手が組んできたがるんですよね。相手が組む気満々で試合が始まる。そうでなくて立ち技の展開でOFGでやるのは、自分が勝ち進んでいって相手のレベルが自分と同じくらい打撃が出来て組み技も出来るっていう選手と対戦した時にビックリしないのかなと思って。OFGでの打撃の交換とグローブでの打撃の交換は違うので、それを今回はルールの中で、お客さんが観ている中で試合として体験できるのが楽しみという意味合いですね」と、MMAの試合に経験が活かせることだとする。
このルールでの試合をどういう展開に持っていきたいかとの問いには「自分がこの団体の中心になるという意識はなくて、たまたまチャンスをいただいてその中で自分がいろいろ経験できるならやってやろうという感覚なので、一戦一戦に集中という感じですね。大きな目標とか中・長期的な目標は特には定めていないです」と、先のことは考えていないとした。
三上は元々、山口元気KNOCK OUT代表と同門で山木ジムにいた故・港太郎(元MA日本キックボクシング連盟ミドル級王者、元UKF世界ミドル級王者でキック引退後はリングス、パンクラス、デモリッションなどでMMAも経験)の弟子でもある。
その港から学んだことで今でも活きている技術は何かと聞くと、「首相撲からのヒザですね。首相撲の展開になったらMMAの組みの選手でも勝負できるところがあって。そこは先生に道を教えてもらったのが活きているのかなと思います。あとは奥足でのミドルキック。相手が右構えだろうが左構えだろうがスイッチして奥足で蹴れるので。その練習を最初の頃から右構えでの右足と、左の構えの時の左足で蹴るというのは分けて練習させてもらっていたので、そこはバランスとかも含めて凄く活きていると思っています」と首相撲とミドルキックをあげた。
かつての師匠と兄弟弟子である山口元気が代表を務める団体で試合をするのは感慨深いのでは、と問われると「そうですね。先生が亡くなってから先生に捧げる試合みたいなテーマを持って出た試合がなくて。先生が亡くなった後は指導者がいなかったのでジムを変えてプロデビューになったので。自分の中では先生の下でデビューしたかったという気持ちが凄く強かったんです。そこで今回、そういうつながりの中で先生に捧げるじゃないけれど、そういう試合が出来る、しかも(港太郎が現役時代にホームとしていた)後楽園ホールでやれるっていうのは自分の中で気合いが入りますね」との想いを語った。