2023年10月21日、アラブ首長国連邦アブダビのエティハド・アリーナにて『UFC 294: Makhachev vs. Volkanovski 2』が開催された。
第6試合では元DEEP王者にして、かつてRIZINで金原正徳をTKOに下しているUWF戦士のビクター・ヘンリーが出場。14戦無敗の強豪ジャビッド・バシャラートと対戦し、2Rに強烈なローブローを被弾し、悶絶した。試合結果は「ノーコンテスト」も、これが物議をかもす形となった。
物議をかもしたのはケージ内でのドクターからの言葉だった。
UFCで3連勝中のアフガニスタンのバシャラートにとって、地元と言っていい中東アブダビでの大会。
1Rは互いに決定打を許さない接戦を繰り広げ、2R、ジャビッドは、左インローを蹴るも、そのつま先はビクターの股間に。ファールカップに当たる音が響くなか、一瞬、そのまま続行の構えに入っていたビクターだが、その刹那、激痛に股間を押さえて前のめりに倒れた。
声を挙げて悶絶するビクターに試合は中断。回復の様子を見ていたドクターは、ビクターに何やら話しかけて状況を確認。インターバルの5分が経っても回復が見込めず、試合はノーコンテストと発表された。
この時、股間を押さえて声を上げて呻いていたビクターに、ドクターは「金的に当たったわけじゃないだろう?」と聞いていたのだ。
その言葉をケージサイドで聞いた実況のジョン・アニックは 「おいおい『ドクターが金的蹴りじゃない』って言っている! スローで見てみよう。ああこれは入っているな」
ドクターの問いに、ビクターは痛みに顔を歪めながら「金的だよ!」と返す姿が映し出されている。
ジャーナリストのアリエル・ヘルワニも「それはとても奇妙でした。ドクターは、耐え難い痛みに苦しんでいるように見えたビクター・ヘンリーに、『実際にはベルトの下に打撃を受けていない』と伝えていました。もしヘンリーが演技をしていたとしたら、彼はネクストレベルの俳優だ。それは演技の仕事とは到底思えなかった」とSNSに投稿。
まともに歩くことさえできないビクターに肩を貸して支えてケージを降りたセコンドのジョシュ・バーネットは、試合後、ビクターが嘔吐し、すぐに病院に運ばれたことを報告。
「私たちは現在、超音波検査といくつかの検査を受けるために病院にいます。彼の睾丸はサツマ(マンダリン)ほどの大きさに膨らんでいます」と伝えた。
その投稿にアリエル記者も「それはひどい。彼が早く回復することを願っています」と返し、格闘技ファンからも、ドクターの心無い言葉に批判の声が上がっている。
ローブローを蹴ったジャビッドは試合後、「なんでTKO勝ちじゃないんだ?」と綴っているが、実況陣は、2R途中での中断に、「これはTKOではなく、ノーコンテストとして再戦すべきだろう」と指摘していた通り、最終的に試合はノーコンテストに。果たして、ビクターはダメージを回復させ、早期復帰の上で再戦を実現することができるか。
また、試合後、ジョシュはジャビッドの言葉に「おおっ、すごいことを言うね。ただただすごい。見直してごらん。君の足が彼のファールカップを吹き飛ばす音を聞いてくれ。君は下から打ち、カップを彼の股間に打ち込んだ。まさか? それなら、彼の腫れ上がった睾丸をよく見てから、超音波検査をした医師たちに、彼らがいかに間違っているかを伝えるべきだね。ところで、お前はあの試合で彼を3回もローブローした。もっと正確にやれ」「何を言ってるんだ? ビクターが怖いのか? ローブローの件だけでなく、ビクターという男、ファイター、そしてあの試合での君の調子や技術についてもね。もう再戦を申し込んでいるんだから、どっちが辞めるか見ものだよ」と、すでに再戦を申し込んでいることを記している。